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いたることもあるつよどく「ヒアリ」 国内こくないはつ確認かくにん

2017-06-14 09:22:07

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されるとやけどのようないたみにおそわれ、アナフィラキシーショックこしていたることもある南米なんべい原産げんさんアリ、「ヒアリ」が国内こくないはじめて確認かくにんされました。
つかったのは神戸こうべこう荷揚にあげされたコンテナのなかで、すうひゃくひき以上いじょうのヒアリがくすり使つかって処分しょぶんされましたが、環境省かんきょうしょう周囲しゅうい定着ていちゃくしていないか緊急きんきゅう調査ちょうさはじめました。

「ヒアリ」は体内たいないつよどく南米なんべい原産げんさんのアリで、されるとやけどをしたようないたみがてアナフィラキシーショックをこし、いたることもあります。

アメリカでは年間ねんかんいちぜろぜろにん以上いじょう死亡しぼうしているとわれ、いちぜろねんほどまえからは貨物かもつせんなどを通をつうじて、中国ちゅうごく台湾たいわんなどアジアにもひろがり、各地かくち問題もんだいとなっています。

環境省かんきょうしょうによりますと、中国ちゅうごく広東かんとんしょうからおくられ、兵庫ひょうごけん神戸こうべこう陸揚りくあげされたコンテナを先月せんげつろくにち保管ほかん場所ばしょ尼崎あまがさき調しらべたところアリのつかり、専門せんもん機関きかんでヒアリと確認かくにんされたということです。

つかったヒアリはすうひゃくひき以上いじょうで、すぐにくすりによる消毒しょうどく処分しょぶんおこない、周辺しゅうへんからもつかっていないため、環境省かんきょうしょう国内こくないでヒアリが定着ていちゃく繁殖はんしょくしている可能かのうせいひくいとしています。

しかしコンテナの陸揚りくあげからヒアリの発見はっけんまでいち週間しゅうかん程度ていどあったことから、コンテナがかれていた神戸こうべ尼崎あまがさきわせてさんか所かしょ周辺しゅうへん捕獲ほかくようのトラップを仕掛しかけるなどしてヒアリが侵入しんにゅうしていないか緊急きんきゅう調査ちょうさはじめました。

外来がいらい生物せいぶつくわしい国立こくりつ環境かんきょう研究所けんきゅうじょ生物せいぶつ生態せいたいけい環境かんきょう研究けんきゅうセンターの五箇ごか公一こういち室長しつちょうは「ヒアリはちいさくつけにくいうえ繁殖はんしょくりょくつよい。つよどくっており、まさに最悪さいあく外来がいらい生物せいぶつだ。じんてき被害ひがいだけでなく、作物さくもつ食い荒くいあらしたり日本にっぽんにいるアリを追い払おいはらって生態せいたいけいえたりするなど、おおきな影響えいきょうあたえるため早期そうき発見はっけん重要じゅうようになる」とはなしています。

環境省かんきょうしょう緊急きんきゅう調査ちょうさ

環境省かんきょうしょう近畿きんき地方ちほう環境かんきょう事務所じむしょによりますと、今回こんかいつかった「ヒアリ」はすくなくともすうせんひきのぼり、駆除くじょしたあと一部いちぶをサンプルとして保存ほぞんしているということです。

「ヒアリ」は体長たいちょうミリからろくミリ程度ていどあり、茶色ちゃいろっぽいいろをしていてはらさきにはとがったどくはりがついています。

近畿きんき地方ちほう環境かんきょう事務所じむしょでは、ヒアリがつかったコンテナが一時いちじてき留め置とめおかれた神戸こうべ尼崎あまがさきわせてさんか所かしょいちにち殺虫さっちゅうざいはいった仕掛しかけや捕獲ほかくのためのシートを設置せっちしたということで、当面とうめんは「ヒアリ」がのこっていないか緊急きんきゅう調査ちょうさおこなうことにしています。

吐き気はきけふるえなどの症状しょうじょうた」

ヒアリを研究けんきゅうしている九州きゅうしゅう大学だいがく持続じぞく可能かのう社会しゃかいのための決断けつだん科学かがくセンター」の村上むらかみ貴弘たかひろじゅん教授きょうじゅはヒアリの採集さいしゅうをしていたさい実際じっさいされたことがあるということです。

そのとき症状しょうじょうについて村上むらかみじゅん教授きょうじゅは「されると線香せんこうしつけられたようないたみをかんじる。台湾たいわんされたときいきあらくなったり、吐き気はきけふるえ、視野しやせまくなるといった、アナフィラキシーショックの症状しょうじょうおどろいた」とはなしていました。

今回こんかい国内こくないでヒアリがはじめて確認かくにんされたことについては「環太平洋かんたいへいよう地域ちいきでヒアリが定着ていちゃくしていないのは日本にっぽんだけなので、いつはいってきてもおかしくない。今回こんかい的確てきかく対処たいしょしたので拡大かくだいのおそれはないとかんがえられるが、貿易ぼうえき活発かっぱつするなかで、今後こんご侵入しんにゅうするケースはえてくるだろう。繁殖はんしょくりょくつよいため、水際みずぎわでの駆除くじょ失敗しっぱいすると一気いっきひろまり、被害ひがい可能かのうせいがある。みなとなどでより注意深ちゅういぶか水際みずぎわ食い止くいとめる対策たいさくることが重要じゅうようだ」とはなしていました。

一刻いっこくはや医療いりょう機関きかん受診じゅしん必要ひつよう

ヒアリは体内たいないつよどくち、腹部ふくぶにあるするどはり相手あいて繰り返くりかえします。攻撃こうげきせいつよく、刺激しげきしたりすると集団しゅうだんおそいかかってきます。ひとされるとやけどのようなはげしいいたみをかんじます。

専門せんもんによりますと、ヒアリのどくへの反応はんのうには個人こじんがあり、とく注意ちゅうい必要ひつようなのははげしいアレルギー反応はんのうこす「アナフィラキシーショック」におちいった場合ばあいです。

ヒアリにされてからすうふんからすうじゅうぶんかん息苦いきぐるしさをかんじたり、こえがかれたりし、はげしいどうきやめまいかんじた場合ばあいにはいのちかかわるおそれがあるため、一刻いっこくはや医療いりょう機関きかん受診じゅしんすることが必要ひつようです。

台湾たいわんでは根絶こんぜつ困難こんなん状況じょうきょう

ヒアリの生態せいたいくわしい沖縄おきなわ科学かがく技術ぎじゅつ大学院だいがくいん大学だいがく吉村よしむらただしこころざし研究けんきゅういんによりますと、台湾たいわんではぜろぜろさんねんにヒアリの侵入しんにゅうはじめて確認かくにんされ、政府せいふ専門せんもん研究所けんきゅうじょ設立せつりつするなどして駆除くじょにあたってきましたが、生息せいそくいきひろがりつづけ、根絶こんぜつきわめて困難こんなん状況じょうきょうになっているということです。

ヒアリは住宅じゅうたくがい空き地あきち公園こうえんなどのうち、かわいた場所ばしょこのんでつくるということですが、台湾たいわんではそうした場所ばしょくわえ、家畜かちく放牧ほうぼくにも生息せいそくいきひろがり、かまれた家畜かちくえさべなくなってそだちがわるくなるなどした結果けっか廃業はいぎょう追い込おいこまれた畜産ちくさん農家のうかもいるということです。また、かまれて病院びょういん搬送はんそうされるひとたないとうことです。

ヒアリは一度いちどつくると在来ざいらいのアリを駆逐くちくして、次々つぎつぎ生息せいそくいきひろげ、台湾たいわんでは特定とくてい場所ばしょ重点じゅうてんてき駆除くじょおこなうなど対策たいさくすすめていますが、根絶こんぜつさせるのはきわめてむずかしい状況じょうきょうになっているということです。

吉村よしむら研究けんきゅういん今回こんかい日本にっぽんはじめてヒアリがつかったことについて、「日本にっぽんにはヒアリが侵入しんにゅうした中国ちゅうごく台湾たいわんからのふね行き来いききしており、いつつかってもおかしくない状況じょうきょうだった。水際みずぎわ発見はっけんできてよかった。ヒアリがはいってきた経路けいろ検証けんしょうするとともに、今後こんごはいりそうな経路けいろ予測よそくして、監視かんし体制たいせい強化きょうかする必要ひつようがある」とはなしています。
ソース:NHK ニュース