ドイツ コール元もと首相しゅしょうが死去しきょ 東西ドイツとうざいどいつ統一とういつ実現じつげん 欧州おうしゅう統合とうごうに尽力じんりょく

第だい２に次じ世界せかい大戦たいせん後ご、東西とうざいに分断ぶんだんされたドイツの統一とういつを実現じつげんし、ヨーロッパの統合とうごうにも力ちからを注そそいだドイツのコール元もと首相しゅしょうが１いち６ろく日にち、ドイツ南西なんせい部ぶの自宅じたくで死去しきょしました。８はち７なな歳さいでした。

コール元もと首相しゅしょうは１いち９きゅう３さん０ぜろ年ねん、ドイツ南西なんせい部ぶの都市とし、ルートウィヒスハーフェンで生うまれ、１いち０ぜろ代だいで中道ちゅうどう右派うはの主要しゅよう政党せいとう、キリスト教きょう民主みんしゅ同盟どうめいに入党にゅうとうしました。

州しゅう議会ぎかい議員ぎいんや州しゅうの首相しゅしょうなどを経へて、１いち９きゅう８はち２に年ねん当時とうじの西ドイツにしどいつの首相しゅしょうに就任しゅうにんすると、東西とうざいに分断ぶんだんされていた国くにの融和ゆうわに努つとめ、東ドイツひがしどいつのホーネッカー議長ぎちょうの西ドイツにしどいつ訪問ほうもんを初はじめて実現じつげんさせました。そして、１いち９きゅう８はち９きゅう年ねんにベルリンの壁かべが崩壊ほうかいすると、ドイツが再ふたたび強大きょうだい化かするのではと危惧きぐする、当時とうじのソビエトのゴルバチョフ書記しょき長ちょうやフランスのミッテラン大統領だいとうりょうなどを説得せっとくし、ドイツ国民こくみんの悲願ひがんだった東西とうざい統一とういつを実現じつげんさせました。

ベルリンの壁かべ崩壊ほうかいの直後ちょくごは、ドイツの統一とういつまでには時間じかんがかかるとの見方みかたが多おおくありましたが、壁かべの崩壊ほうかいから１いち年ねん以内いないに統一とういつが実現じつげんしたのはコール元もと首相しゅしょうの行動こうどう力りょくや各国かっこく首脳しゅのうとの友好ゆうこう関係かんけいがあったからだとされています。

また、ＥＵい-ゆ-＝ヨーロッパ連合れんごうの基礎きそとなったマーストリヒト条約じょうやくを成立せいりつさせるなど、ヨーロッパの政治せいじや経済けいざいの統合とうごうの礎いしずえを築きずきました。

戦後せんごのドイツで最もっとも長ながい５ご期き１いち６ろく年ねんにわたって首相しゅしょうを務つとめましたが、統一とういつ後ごも東西とうざいの格差かくさが解消かいしょうせず、経済けいざいの停滞ていたいが続つづいたことなどから１いち９きゅう９きゅう８はち年ねんに行おこなわれた連邦れんぽう議会ぎかい選挙せんきょで敗やぶれ、首相しゅしょうの座ざを退しりぞきました。その後そのご、在任ざいにん中ちゅうに多額たがくの政治せいじ献金けんきんを秘密ひみつ裏うらに受け取うけとっていた疑惑ぎわくも発覚はっかくし、批判ひはんを浴あびました。

コール元もと首相しゅしょうは数すう年ねん前まえから体調たいちょうを崩くずして入退院にゅうたいいんを繰り返くりかえしていましたが１いち６ろく日にち、死去しきょしました。８はち７なな歳さいでした。

メルケル首相しゅしょうがテレビ演説えんぜつ「私わたしの人生じんせいにも決定けってい的てきな影響えいきょう」

ドイツのメルケル首相しゅしょうは訪問ほうもん先さきのバチカンからテレビ演説えんぜつし、「コール氏しは偉大いだいなドイツ人じんであり、偉大いだいなヨーロッパ人じんだった。彼かれは、ドイツ統一とういつとヨーロッパ統合とうごうというドイツにとって、過去かこ数すう十じゅう年ねん最もっとも重要じゅうようだった２ふたつの課題かだいに懸命けんめいに取り組とりくんだ」と述のべ、その業績ぎょうせきをたたえました。

そのうえで、メルケル首相しゅしょうは「コール氏しは歴史れきしを理解りかいしたうえで、国境こっきょうを越こえた友好ゆうこう関係かんけいを築きずき、アメリカやポーランド、フランスやソビエトといった国々くにぐにの人ひとたちから信頼しんらいを勝ち得かちえた。これにドイツ人じんは感謝かんしゃすべきだ」と述のべ、コール元もと首相しゅしょうが各国かっこく首脳しゅのうらと友好ゆうこう関係かんけいを築きずいたことで、ドイツ統一とういつへ向むけて、周辺しゅうへん国こくの理解りかいを得えることができたことを強調きょうちょうしました。

また、旧きゅう東ドイツひがしどいつで育そだったメルケル首相しゅしょうは「コール元もと首相しゅしょうは私わたしの人生じんせいにも決定けってい的てきな影響えいきょうを与あたえた。ほかの数すう百ひゃく万まん人にんの市民しみんと同様どうよう、私わたしも独裁どくさい国家こっかから自由じゆうで民主みんしゅ的てきな国くにへと移うつることができた。それ以来いらい、あらゆるものが監視かんしされるおそれなしで生いきることができた」と述のべ、感謝かんしゃの気持きもちを示しめしました。

仏ふつ大統領だいとうりょう「極きわめて偉大いだいな人物じんぶつ失うしなった」

フランスのマクロン大統領だいとうりょうは声明せいめいを発表はっぴょうし、「コール氏しはヨーロッパのみならず、世界せかいで最もっとも偉大いだいな指導しどう者しゃの１いち人にんだった。フランスのミッテラン元もと大統領だいとうりょうとともにドイツ統一とういつを主導しゅどうし、ヨーロッパの統合とうごうを推し進おしすすめ、フランスとドイツの２に国こく間かん関係かんけいを深ふかめた。自由じゆうな移動いどうや単一たんいつ通貨つうかなど、われわれヨーロッパの偉大いだいな業績ぎょうせきは、コール氏しに負おうところが大おおきい」として、その功績こうせきをたたえました。
そして、「メルケル首相しゅしょうとドイツの国民こくみんにお悔おくやみと友情ゆうじょうを表あらわす」として、哀悼あいとうの意いを表あらわしました。

マクロン大統領だいとうりょうは、また自身じしんのツイッターで、フランス語ふらんすごとともにドイツ語ごでも、「われわれはヨーロッパの極きわめて偉大いだいな人物じんぶつを失うしなうことになった」などと投稿とうこうし、ドイツとの連帯れんたいをアピールしました。

ＥＵい-ゆ-本部ほんぶに半旗はんき

ＥＵい-ゆ-＝ヨーロッパ連合れんごうのユンケル委員いいん長ちょうは声明せいめいを発表はっぴょうし、「コール元もと首相しゅしょうの訃報ふほうに深ふかく傷きずついた。私わたしの師しであり、友人ゆうじんであり、ヨーロッパの本質ほんしつでもあった」と死しを惜おしみました。
そのうえで、ユンケル委員いいん長ちょうは「コール元もと首相しゅしょうは東西とうざいの間まに橋はしをかけただけでなく、ヨーロッパの未来みらいに向むけ、よりよい青あお写真しゃしんを描えがき続つづけた。単一たんいつ通貨つうかのユーロはコール元もと首相しゅしょうなしでは、なしえなかった」として、現在げんざいのＥＵい-ゆ-の統合とうごうの基礎きそを築きずいた功績こうせきをたたえました。

ブリュッセルにあるＥＵい-ゆ-の本部ほんぶでは、コール元もと首相しゅしょうの死去しきょの知しらせを受うけて半旗はんきが掲かかげられました。

米べいブッシュ元もと大統領だいとうりょう 功績こうせきたたえる

ドイツのコール元もと首相しゅしょうが１いち６ろく日にち、死去しきょしたことについて、同おなじ時期じきの１いち９きゅう８はち９きゅう年ねんから４よん年間ねんかん、任期にんきを務つとめたアメリカのブッシュ元もと大統領だいとうりょうは声明せいめいを発表はっぴょうしました。
この中なかで、「コール元もと首相しゅしょうは、第だい二に次じ世界せかい大戦たいせん後ごのヨーロッパで最もっとも偉大いだいな指導しどう者しゃの１いち人にんだった。私わたしの友人ゆうじんであるコール氏しと緊密きんみつに連携れんけいできたことで、東西とうざい冷戦れいせんは平和へいわ的てきに終おわることになり、ドイツの統一とういつは、私わたしにとっても人生じんせいで最大さいだいの喜よろこびの一ひとつとなっている」と述のべ、コール氏しの功績こうせきをたたえました。

ソース：NHK ニュース