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東芝とうしば 半導体はんどうたい子会社こがいしゃ売却ばいきゃくさきにちべいかん連合れんごう”と優先ゆうせん交渉こうしょう決定けってい

2017-06-21 03:05:10

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経営けいえい再建さいけんちゅう東芝とうしばは、半導体はんどうたい子会社こがいしゃ売却ばいきゃくさきとして、政府せいふ主導しゅどうしてまとめた日本にっぽんアメリカのファンドや韓国かんこく半導体はんどうたいメーカーなどによるいわゆる“にちべいかん連合れんごう”と優先ゆうせんてき交渉こうしょうすすめることを、いちにちひらいた取締役とりしまりやくかい正式せいしきめました。今後こんごめの交渉こうしょうおこない、今月こんげつはちにち株主かぶぬし総会そうかいまでに最終さいしゅうてき合意ごうい目指めざ方針ほうしんです。
東芝とうしばは、いちにち取締役とりしまりやくかいひらき、半導体はんどうたい子会社こがいしゃ東芝とうしばメモリ売却ばいきゃくさきとして、政府せいふ主導しゅどうしてまとめた“にちべいかん連合れんごう”と優先ゆうせんてき交渉こうしょうすすめることを正式せいしきめました。

この“にちべいかん連合れんごう”は、技術ぎじゅつ流出りゅうしゅつ防止ぼうし雇用こよう確保かくほなどを理由りゆうに、政府せいふ主導しゅどうつくられたグループです。
具体ぐたいてきには、日本にっぽん官民かんみんファンドの産業さんぎょう革新かくしん機構きこう政府せいふけい日本にっぽん政策せいさく投資とうし銀行ぎんこう、それにアメリカの投資とうしファンドのベインキャピタルなどが出資しゅっしし、韓国かんこく半導体はんどうたいメーカーのSKハイニックス資金しきん貸し出かしだかたち参加さんかする構想こうそうです。

東芝とうしばは、“にちべいかん連合れんごうがわ今後こんご設備せつび投資とうし資金しきん計画けいかくなどについてめの交渉こうしょうおこなったうえで、今月こんげつはちにち株主かぶぬし総会そうかいまでに最終さいしゅうてき合意ごうい目指めざ方針ほうしんです。

ただ、東芝とうしば半導体はんどうたい事業じぎょう提携ていけいするアメリカのウエスタンデジタルが、売却ばいきゃく方針ほうしんをめぐって東芝とうしばはげしく対立たいりつしてきただけに、“にちべいかん連合れんごう”との売却ばいきゃく交渉こうしょう円滑えんかつすすめるには、ウエスタンデジタルとの調整ちょうせい焦点しょうてんとなりそうです。

東芝とうしば今回こんかい売却ばいきゃくさき選定せんていけた入札にゅうさつおこない、先月せんげつ入札にゅうさつには、海外かいがいのファンドや半導体はんどうたいメーカーなどよっつのグループが参加さんかしていました。しかし、政府せいふ主導しゅどうして、入札にゅうさつ参加さんかしていない企業きぎょうなどをまとめてグループづくりをすすめたことに、手続てつづきの透明とうめいせいそこなわれたという批判ひはんているほか、民間みんかん企業きぎょう再建さいけん公的こうてき資金しきんとうじることの妥当だとうせいこえもあり、産業さんぎょう革新かくしん機構きこうなどの説明せつめいもとめられます。

東芝とうしばもっと優位ゆういせいたかいと評価ひょうか

にちべいかん連合れんごう”と優先ゆうせんてき交渉こうしょうをすることをめたことについて東芝とうしばは、「国外こくがいへの技術ぎじゅつ流出りゅうしゅつ懸念けねん国内こくない雇用こよう確保かくほ売却ばいきゃく手続てつづきの確実かくじつせいなどの観点かんてんから総合そうごうてき評価ひょうかし、もっと優位ゆういせいたかいと評価ひょうかした」とコメントしています。

産業さんぎょう革新かくしん機構きこう正式せいしき契約けいやく具体ぐたいてき調整ちょうせいすすめる」

産業さんぎょう革新かくしん機構きこうは「東芝とうしば取締役とりしまりやくかい決議けつぎ内容ないよう認識にんしきしている。今後こんご正式せいしき契約けいやくけて連合れんごうとして具体ぐたいてき調整ちょうせいすすめていく」とコメントしています。

けいさんしょう歓迎かんげいしたい」

こう経済けいざい産業さんぎょう大臣だいじんは「技術ぎじゅつ流出りゅうしゅつ防止ぼうし雇用こよう確保かくほという観点かんてんから一定いってい条件じょうけんたすもので歓迎かんげいしたい」とべ、最終さいしゅうてき合意ごういけた今後こんごめの交渉こうしょう注視ちゅうししていくかんがえをしめしました。
一方いっぽう記者きしゃだん民間みんかん企業きぎょう再建さいけん公的こうてき資金しきん使つかわれ事実じじつじょう政府せいふによる東芝とうしば救済きゅうさいではないかとただしたのに対にたいして、こう大臣だいじんは「産業さんぎょう革新かくしん機構きこう日本にっぽん産業さんぎょう革新かくしん貢献こうけんするという目的もくてき出資しゅっしをするわけで、いわゆる民業みんぎょう圧迫あっぱくのようなことにはならない」とべました。

官房かんぼう長官ちょうかん最適さいてき売却ばいきゃくさき選定せんてい期待きたい

かん官房かんぼう長官ちょうかん午前ごぜん記者きしゃ会見かいけんで、「上場じょうじょう企業きぎょう経営けいえいに関にかんするはなしでありコメントは差し控さしひかえたいが、東芝とうしば半導体はんどうたい事業じぎょうは、グローバルにてもたか競争きょうそうりょくゆうし、わが国わがくに雇用こよう維持いじ観点かんてんからも重要じゅうようだと承知しょうちしている。さらに、情報じょうほうセキュリティーの観点かんてんからも重要じゅうようせいしていると政府せいふとしては認識にんしきをしており、東芝とうしばにおいては、金額きんがくのみならず、こうした観点かんてんまえつつ、総合そうごうてき事業じぎょう将来しょうらいにとって最適さいてき売却ばいきゃくさきえらばれることを期待きたいしたい」とべました。

東芝とうしばメモリの工場こうじょうがあるよんにちでは

三重みえけん四日市よっかいちにある東芝とうしばメモリの工場こうじょうではつよあめなかいちにちあさ通常つうじょうどおりおおくの従業じゅうぎょういんらが出勤しゅっきんしました。工場こうじょう製造せいぞうラインのプログラミングをおこなさんはちさい男性だんせいは「工場こうじょうなかとくわりなくふだんの仕事しごとすすめているという状況じょうきょうです。にちべいかん連合れんごうはなしていますが東芝とうしばつちかってきた技術ぎじゅつ流出りゅうしゅつしなければいいとおもう」とはなしていました。

一方いっぽう市民しみん複雑ふくざつおもいをはなしていました。いちきゅうさい女子じょし大学生だいがくせいは「日本にっぽん企業きぎょうなので、日本にっぽんのままですすめてほしかった。今後こんごがどうなるか心配しんぱいです」とはなしていました。また、ろくななさい男性だんせいは「アメリカと韓国かんこくくわわるという選択せんたくはしかたがないことだとおもうが、やはり日本にっぽんだけでやってほしかった。地元じもととしては東芝とうしば名前なまえしたしみがあるのでさびしい」とはなしていました。

四日市よっかいち商工しょうこうもり幸康ゆきやす課長かちょうは「四日市よっかいちにとって東芝とうしばは、おおきな存在そんざいで、財政ざいせい雇用こよう存在そんざいかんしめしてくれた。今回こんかい連絡れんらくはいっていないが、引き続ひきつづき、雇用こよう維持いじされ、さらなる設備せつび投資とうしがされるような工場こうじょうになってほしい」とはなしていました。

売却ばいきゃく交渉こうしょう経緯けいい

東芝とうしばが、利益りえき大半たいはんかせしてきた虎の子とらのこ半導体はんどうたい事業じぎょうについて、売却ばいきゃく方向ほうこうせいしめしたのは、ことし1月いちがつのことでした。アメリカの原子力げんしりょく子会社こがいしゃウェスチングハウス巨額きょがく損失そんしつ発生はっせいし、親会社おやがいしゃである東芝とうしば経営けいえい大幅おおはば悪化あっかしたため、半導体はんどうたい事業じぎょう売却ばいきゃくして、その利益りえき財務ざいむ改善かいぜんてる必要ひつようせまられたのです。


半導体はんどうたい事業じぎょう本体ほんたいから切り離きりはなしてつくいちぜろぜろ子会社こがいしゃ東芝とうしばメモリについて、東芝とうしば当初とうしょ経営けいえい主導しゅどうけんたもつため、外部がいぶからの出資しゅっし受け入うけいれはぜろ未満みまんにとどめる方針ほうしんでした。しかし主要しゅよう取引とりひき銀行ぎんこうから、「ぜろ未満みまん売却ばいきゃくでは不十分ふじゅうぶんだ」という意見いけんたため、「いちぜろぜろ売却ばいきゃく可能かのうせいふくめて半数はんすう株式かぶしき売却ばいきゃくする」と方針ほうしん変更へんこうしました。

東芝とうしばは、売却ばいきゃくさきえら入札にゅうさつ手続てつづきをすすめ、3月さんがつきゅうにちいち入札にゅうさつ締め切しめきります。このいち入札にゅうさつには、アメリカの投資とうしファンドや韓国かんこく半導体はんどうたいメーカーなどおよそいちぜろしゃ応札おうさつしました。このなか日本にっぽん企業きぎょう参加さんかはなく、政府せいふ半導体はんどうたい技術ぎじゅつ外国がいこく流出りゅうしゅつすることを懸念けねんする姿勢しせいしめしました。日本にっぽん機密きみつ保持ほじ安全あんぜん保障ほしょう観点かんてんから問題もんだいがあるとして、外国がいこく為替かわせほうもとづいてきびしく審査しんさするとしたのです。

これと並行へいこうして政府せいふは、売却ばいきゃくさき受け皿うけざらづくりに動き出うごきだします。いち入札にゅうさつ参加さんかしていたアメリカの投資とうしファンド、KKR中心ちゅうしんに、日本にっぽん官民かんみんファンドの産業さんぎょう革新かくしん機構きこう政府せいふけい金融きんゆう機関きかん日本にっぽん政策せいさく投資とうし銀行ぎんこう、それに複数ふくすう日本にっぽん企業きぎょうくわわる“にちべい連合れんごう”です。これによって東芝とうしばは、入札にゅうさつ手続てつづきをすすめる一方いっぽう政府せいふ主導しゅどうする“にちべい連合れんごう”の進展しんてんつというりょうにらみの状況じょうきょう余儀よぎなくされました。

その後そのご5月ごがついちきゅうにちには入札にゅうさつ締め切しめきられ、今度こんどよっつの陣営じんえい応札おうさつしました。
このうち、アメリカの半導体はんどうたい大手おおてブロードコムは、アメリカの投資とうしファンドのシルバーレイク共同きょうどう買収ばいしゅうするあん提示ていじしました。アメリカの投資とうしファンド、ベインキャピタルは、みずからが半数はんすう株式かぶしき取得しゅとくし、韓国かんこく半導体はんどうたいメーカーのSKハイニックスが資金しきんすほか、東芝とうしば経営けいえいじんにも出資しゅっしもとめるあん提示ていじしました。

台湾たいわんホンハイ精密せいみつ工業こうぎょうは、傘下さんかのシャープとともにちょうえんえる買収ばいしゅうがく提示ていじしました。そして、“にちべい連合れんごう”の中心ちゅうしんとなるKKRも応札おうさつしましたが、この時点じてんでは、産業さんぎょう革新かくしん機構きこうなどの日本にっぽんぜい入札にゅうさつには参加さんかせず、出資しゅっし意向いこうしめすにとどまりました。

東芝とうしばは、来年らいねん3月さんがつまつまでに売却ばいきゃくえきなければ、連続れんぞく債務さいむ超過ちょうかおちいり、上場じょうじょう廃止はいしになるおそれがあるため、今月こんげつちゅうには売却ばいきゃくさきめたい意向いこうでした。しかし、政府せいふ主導しゅどうする“にちべい連合れんごう”の構想こうそうは、日本にっぽん企業きぎょう参加さんかすすまず、東芝とうしばにとっては、売却ばいきゃくさきめられないきびしい状況じょうきょうつづきました。

さらに、売却ばいきゃくさき選定せんてい作業さぎょう複雑ふくざつにしたのは、半導体はんどうたい事業じぎょう提携ていけい関係かんけいにあったアメリカのメーカー、ウエスタンデジタルの存在そんざいです。三重みえけん四日市よっかいちにある主力しゅりょく工場こうじょう共同きょうどう運営うんえいしてきたウエスタンデジタルは、東芝とうしばメモリの株式かぶしき半数はんすう取得しゅとくして経営けいえい主導しゅどうけんにぎることをねらい、だいさんしゃへの売却ばいきゃく阻止そし動き出うごきだします。

5月ごがつには、東芝とうしばメモリの株式かぶしきを、みずからが同意どういしないだいさんしゃ売却ばいきゃくすることの差し止さしとめをもとめて、国際こくさい仲裁ちゅうさい裁判所さいばんしょ仲裁ちゅうさい申し立もうしたてをおこないました。その一方いっぽうでウエスタンデジタルは、入札にゅうさつには参加さんかしないまま、東芝とうしば経済けいざい産業さんぎょうしょう交渉こうしょうすすめ、株式かぶしき取得しゅとくする割合わりあい引き下ひきさげるなどの譲歩じょうほあんしめして、さぶりをかけていきます。さらに今月こんげついちよんにちには、カリフォルニアしゅう上級じょうきゅう裁判所さいばんしょ東芝とうしば売却ばいきゃく手続てつづきの差し止さしとめをもとめて申し立もうしたてをおこないました。

東芝とうしばとしては、“にちべい連合れんごう”のグループづくりをすすめる政府せいふ意向いこうや、ウエスタンデジタルの存在そんざいにいわば振り回ふりまわされながら、売却ばいきゃくさきめる目標もくひょうとしてきた6月ろくがつまつちかづき、あせりのいろくなっていきます。

こうしたなか政府せいふは、東芝とうしばもとめるちょうえん規模きぼ資金しきん確保かくほするため、KKRとはべつ陣営じんえい入札にゅうさつ参加さんかしていたアメリカの投資とうしファンド、ベインキャピタルや韓国かんこくのSKハイニックスとむ“にちべいかん連合れんごう”の構想こうそう推し進おしすすめました。

東芝とうしばは、この“にちべいかん連合れんごう”の実現じつげんちながらも、ちょうえんえる買収ばいしゅうがく提示ていじしていたアメリカのブロードコムとも交渉こうしょうすすめるだんがまえの状況じょうきょうつづいていましたが、最終さいしゅうてきには、売却ばいきゃく交渉こうしょう優先ゆうせんてきすすめる相手あいてとして“にちべいかん連合れんごう”をえらびました。
ソース:NHK ニュース