車くるまいすから降おり自力じりきでタラップ上のぼる バニラ・エアが謝罪しゃざい

今月こんげつ、格安かくやす航空こうくう会社かいしゃのバニラ・エアを利用りようした車くるまいすの男性だんせいが、鹿児島かごしま県けんの奄美あまみ空港くうこうで車くるまいすから降おりてタラップの階段かいだんを腕うでの力ちからで自力じりきで上のぼっていたことがわかりました。当初とうしょ、男性だんせいは同行どうこう者しゃに車くるまいすごと担かついでもらって上のぼろうとしたところ、転落てんらくの危険きけんがあると制止せいしされたということで、バニラ・エアは、不快ふかいな思おもいをさせたとして謝罪しゃざいしました。

バニラ・エアなどによりますと、今月こんげつ５ご日にち、鹿児島かごしま県けん奄美あまみ市しの奄美あまみ空港くうこう発はつ、関西かんさい空港くうこう行いきの便びんで、車くるまイスを利用りようしている大阪おおさか・豊中とよなか市しの木島きじま英えい登とうさん（４よん４よん）が、同行どうこう者しゃに車くるまいすごと担かついでもらってタラップの階段かいだんを上のぼろうとしたところ、航空こうくう会社かいしゃの空港くうこうのスタッフが「転落てんらくする危険きけんがあり、規則きそくで禁止きんしされている」と制止せいししました。

木島きじまさんはタラップの段数だんすうも多おおく、同行どうこう者しゃの友人ゆうじんに両りょう脇わきを支ささえてもらって上のぼるのは困難こんなんだと判断はんだんし、車くるまいすから降おりて腕うでの力ちからを使つかって一いち段だん一いち段だん自力じりきで上のぼったということです。

奄美あまみ空港くうこうには車くるまいすの乗客じょうきゃくが座すわった状態じょうたいで航空こうくう機きに乗り降のりおりできる設備せつびはなく、航空こうくう会社かいしゃでは、タラップの階段かいだんは、同行どうこう者しゃやスタッフが補助ほじょして上のぼり下くだりすることを想定そうていしていたということです。

バニラ・エアは、男性だんせいに対にたいし「不快ふかいな思おもいをさせた」として、直接ちょくせつ、謝罪しゃざいし、２に９きゅう日にちから奄美あまみ空港くうこうに、車くるまいす用ようの階段かいだんの昇降しょうこう機きを導入どうにゅうする予定よていだということです。

バニラ・エアは「お客様おきゃくさまにご不便ふべんをかけ、また、不快ふかいな思おもいをさせまして深ふかくおわびします。今後こんご、このようなことがないよう搭乗とうじょうのサポートを徹底てっていします」と話はなしています。

階段かいだんを自力じりきで上のぼった男性だんせいは

奄美あまみ空港くうこうでタラップの階段かいだんを自力じりきで上のぼったという大阪おおさか・豊中とよなか市しの木島きじま英えい登とうさんがＮＨＫえぬえいちけいの取材しゅざいに応こたえました。

木島きじまさんは足あしが不自由ふじゆうで車くるまいすを利用りようしていますが、今月こんげつ３さん日にち、関西かんさい空港くうこうでバニラ・エアの奄美あまみ空港くうこう行いきの便びんに乗のるため搭乗とうじょう手続てつづきをしていたところ、奄美あまみ空港くうこうでは飛行機ひこうきから降おりる際さいにタラップを利用りようすることを告つげられ、「歩あるけない人ひとは乗のれない」と言いわれたということです。

このため、木島きじまさんは「同行どうこうする友人ゆうじんの手助てだすけでタラップを下おりる」と伝つたえて搭乗とうじょうし、奄美あまみ空港くうこうでは、友人ゆうじん４よん人にんが車くるまいすごと担かついでタラップを下おりたということです。

その２に日にち後ごの今月こんげつ５ご日にち、木島きじまさんが、奄美あまみ空港くうこうでバニラ・エアの関西かんさい空港くうこう行いきの便びんに乗のろうと手続てつづきをしていた際さいには、職員しょくいんから「同行どうこう者しゃが車くるまいすを担かついでタラップを下おりたのは会社かいしゃの規則きそく違反いはんだった。同行どうこう者しゃの補助ほじょで階段かいだんを上のぼれるなら搭乗とうじょうできる」と言いわれたということです。

このため、木島きじまさんは、車くるまいすでタラップの前まえまで行いき、友人ゆうじんに車くるまいすごと担かついでもらって上のぼろうとしましたが、改あらためて制止せいしされたということです。

木島きじまさんは、タラップの段数だんすうも多おおく、友人ゆうじんに両りょう脇わきを支ささえてもらって上のぼるのは困難こんなんだと判断はんだんし、車くるまいすから降おりて腕うでの力ちからを使つかって一いち段だん一いち段だん自力じりきで上のぼったということです。

木島きじまさんは「歩あるけない人ひとは乗のれないと言いわれたのは驚おどろきで、差別さべつだと思おもう。設備せつびを完全かんぜんにするのは難むずかしいと思おもうが、できる範囲はんいで努力どりょくしてもらいたい。今回こんかいの件けんは、相談そうだんした行政ぎょうせいやバニラ・エアが対応たいおうしてくれて解決かいけつしてよかった」と話はなしていました。

障害しょうがい者しゃ搭乗とうじょう時じの航空こうくう各社かくしゃの対応たいおう

車くるまいすを利用りようする人ひとや体からだに障害しょうがいがある人ひとが航空こうくう機きに搭乗とうじょうする際さい、航空こうくう各社かくしゃでは、リフトなどの設備せつびを活用かつようしたりスタッフが抱いだきかかえたりして、可能かのうなかぎり搭乗とうじょうできるよう対応たいおうしているとしたうえで、快適かいてきな利用りようのためにも事前じぜんに連絡れんらくしてほしいと呼よびかけています。

このうち、日本にっぽん航空こうくうは、車くるまいすに乗のったまま乗り降のりおりできるリフトなどの設備せつびがない空港くうこうでは、スタッフが体からだを抱いだきかかえて搭乗とうじょうをサポートしているということです。また、小型こがたの機材きざいで客室きゃくしつ乗務じょうむ員いんが１いち人にんしかいないようなケースでも、スタッフを増ふやしたり乗客じょうきゃくに協力きょうりょくを呼よびかけたりして対応たいおうしているということです。

また、全日空ぜんにっくうは、リフトやストレッチャーなどの補助ほじょ器具きぐを各かく空港くうこうに備そなえているほか、スタッフが抱いだきかかえて支援しえんする場合ばあいもあるということです。

格安かくやす航空こうくう会社かいしゃのジェットスター・ジャパンやピーチ・アビエーションは、いずれの空港くうこうでも、リフトなどの設備せつびを使つかったりスタッフが抱いだきかかえたりして搭乗とうじょうをサポートしているということです。

ただ、いずれの航空こうくう会社かいしゃも、乗客じょうきゃくの体調たいちょうや緊急きんきゅう脱出だっしゅつ時じの支援しえん要員よういんが確保かくほできないことなどで搭乗とうじょうを断ことわらざるをえないケースもあるとしています。

一方いっぽうで、どのような支援しえんが必要ひつようか事前じぜんに把握はあくできれば、タラップを使つかう必要ひつようがない到着とうちゃくスポットに航空こうくう機きを振り分ふりわけたりスタッフを増ふやしたりできるため、快適かいてきな利用りようのためにも予約よやく時じなどに事前じぜんに申し出もうしでてほしいと話はなしています。

ネット上じょうでの議論ぎろんが盛さかんに

ツイッターなどのソーシャルメディアには、「サービスを提供ていきょうする会社かいしゃとしてどうなのか」とか、「酷こくすぎて言葉ことばが出でない。人ひとに身体しんたい的てき・精神せいしん的てき苦痛くつうを強しいることが暴力ぼうりょくだとなぜわからないのか」などと、航空こうくう会社かいしゃ側がわの対応たいおうを非難ひなんする投稿とうこうが相次あいつぎました。

一方いっぽうで、「車くるまいすの利用りよう者しゃは事前じぜんに航空こうくう会社かいしゃに連絡れんらくしたほうがスムーズに対応たいおうしてもらえるのではないか」という意見いけんも数多かずおおく見みられました。

こうした指摘してきについて、「公共こうきょう交通こうつう機関きかんは事前じぜん申請しんせいなく、すべての人ひとが乗り降のりおりできるのが理想りそうだよね」というコメントが寄よせられたほか、障害しょうがいのある子こどもがいるという親おやの１いち人にんも「事前じぜん確認かくにんは当然とうぜんですが、いつでもどこでも健常けんじょう者しゃと同おなじ待遇たいぐうをしてもらえるのが望のぞむ姿すがたです」と書き込かきこむなど、ネット上じょうでの議論ぎろんが盛さかんになっています。

専門せんもん家か「国くにも指針ししん作づくり対策たいさくの徹底てっていを」

日本人にっぽんじんとして初はじめて国連こくれんの障害しょうがい者しゃ権利けんり委員いいん会かいの委員いいんに選えらばれ、障害しょうがい者しゃ政策せいさくに詳くわしい静岡しずおか県立けんりつ大学だいがくの石川いしかわ准じゅん教授きょうじゅは「車くるまいすを利用りようしている足あしが不自由ふじゆうな人ひとに、手てを使つかって１いち人にんでタラップを上のぼらせるような事実じじつがあったことは極きわめて遺憾いかんだ。障害しょうがい者しゃ差別さべつ解消かいしょう法ほうは、航空こうくう会社かいしゃなどの民間みんかん事業じぎょう者しゃは障害しょうがいのある人ひとからの求もとめに応おうじて対応たいおうに努つとめるよう定さだめている。仮かりに車くるまいすの男性だんせいが支援しえんが必要ひつようなことを事前じぜんに伝つたえていなかったとしても、サポートできる人ひとが全まったくいなかったはずはなく、あまりにひどい対応たいおうだ」として、航空こうくう会社かいしゃ側がわの対応たいおうに問題もんだいがあったと指摘してきしています。

そのうえで、石川いしかわ教授きょうじゅは「民間みんかん事業じぎょう者しゃの独自どくじの判断はんだんによって障害しょうがい者しゃがサービスを拒否きょひされたり制限せいげんされたりする差別さべつを受うけることがないよう、国くにも指針ししんを作つくるなど対策たいさくを徹底てっていする必要ひつようがある」と話はなしています。

ソース：NHK ニュース