ＥＵい-ゆ-とのＥＰＡ交渉こうしょう 大枠おおわく合意ごうい

日本にっぽんとＥＵい-ゆ-＝ヨーロッパ連合れんごうのＥＰＡ＝経済けいざい連携れんけい協定きょうていの交渉こうしょうは、５ご日にち、ベルギーのブリュッセルで行おこなわれた閣僚かくりょう協議きょうぎで大枠おおわく合意ごういに達たっし、ＧＤＰじ-でぃ-ぴ-＝国内こくない総そう生産せいさんでは世界せかいのおよそ３さん０ぜろ％に及およぶ日本にっぽんにとって最大さいだい規模きぼの貿易ぼうえき協定きょうていが結むすばれる見通みとおしになりました。

日本にっぽんとＥＵい-ゆ-のＥＰＡをめぐり、５ご日にち、ＥＵい-ゆ-本部ほんぶがあるベルギーのブリュッセルで、閣僚かくりょう協議きょうぎが開ひらかれ、岸田きしだ外務がいむ大臣だいじんとＥＵい-ゆ-で通商つうしょう政策せいさくを担当たんとうするマルムストローム委員いいんが大枠おおわく合意ごういに向むけて最終さいしゅう的てきな調整ちょうせいを行おこないました。

その結果けっか、岸田きしだ大臣だいじんは日本にっぽん時間じかんの５ご日にち夜よる、記者きしゃ団だんに対にたいし、「先さきの閣僚かくりょう協議きょうぎで詰つめることができなかった重要じゅうような論点ろんてんを解決かいけつし、閣僚かくりょう間かんで、大枠おおわく合意ごういの達成たっせいを確認かくにんすることができた」と述のべ日本にっぽんとＥＵい-ゆ-のＥＰＡ交渉こうしょうが閣僚かくりょう協議きょうぎで、大枠おおわく合意ごういに達たっしたことを明あきらかにしました。

これによって、ＴＰＰ＝環太平洋かんたいへいようパートナーシップ協定きょうていからアメリカが離脱りだつする中なかで、双方そうほうのＧＤＰじ-でぃ-ぴ-＝国内こくない総そう生産せいさんをあわせると世界せかいのおよそ３さん０ぜろ％に及およぶ、日本にっぽんにとって最大さいだい規模きぼの貿易ぼうえき協定きょうていが結むすばれる見通みとおしになりました。

これについて岸田きしだ大臣だいじんは、「日本にっぽんとＥＵい-ゆ-のＥＰＡは大だい規模きぼな先進せんしん経済けいざい圏けんの間までの、初はじめての経済けいざい連携れんけい協定きょうていとなる。合意ごうい内容ないようは世界せかいに範はんを示しめすに足たる包括ほうかつ的てきで、レベルが高たかく、バランスのとれたものだと自負じふをしている」と述のべ、成果せいかを強調きょうちょうしました。

一方いっぽう、岸田きしだ大臣だいじんは、今回こんかい、閣僚かくりょう間かんで合意ごういした内容ないようは、首脳しゅのう会談かいだんで最終さいしゅう的てきな確認かくにんが行おこなわれるとして、具体ぐたい的てきな合意ごうい内容ないようは日本にっぽん時間じかんの６ろく日にち行おこなわれる安倍あべ総理そうり大臣だいじんとＥＵい-ゆ-のトゥスク大統領だいとうりょうやユンケル委員いいん長ちょうとの首脳しゅのう会談かいだんのあとに公表こうひょうされるということです。

これまでの交渉こうしょうで、最大さいだいの焦点しょうてんとなっていた乗用車じょうようしゃやチーズについては、ＥＵい-ゆ-が乗用車じょうようしゃの関税かんぜいを７なな年ねんで撤廃てっぱいするほか、日本にっぽんのチーズの関税かんぜいは、国内こくないの酪農らくのう家かが今後こんご、生産せいさんを維持いじ拡大かくだいすることにも十分じゅうぶん配慮はいりょしながら、ヨーロッパのソフトチーズに一定いっていの枠わくを設もうけて１いち５ご年ねんかけて撤廃てっぱいすることでほぼ合意ごういしたということです。また、ワインの関税かんぜいは双方そうほうが即時そくじに撤廃てっぱいすることになりました。

一方いっぽう、日本にっぽん酒しゅにＥＵい-ゆ-がかけている１いちリットル当あたり最大さいだいおよそ１いち０ぜろ円えんの関税かんぜいの即時そくじ撤廃てっぱいや、緑茶りょくちゃの関税かんぜいの即時そくじ撤廃てっぱいのほか、それに、日本にっぽんからＥＵい-ゆ-への輸出ゆしゅつが多おおい「ホタテ」にかかっている、１いち１いち％の関税かんぜいも一定いっていの期間きかんを経へて撤廃てっぱいすることで合意ごういされ、今後こんご、日本にっぽんの食品しょくひんについてもＥＵい-ゆ-への輸出ゆしゅつ拡大かくだいが期待きたいされそうです。

ＥＵい-ゆ-にとっての意義いぎ

日本にっぽんとＥＵい-ゆ-のＥＰＡが発効はっこうすれば、人口じんこう６ろく億おく３さん０ぜろ０ぜろ０ぜろ万まん余あまりの巨大きょだい市場しじょうでの貿易ぼうえきがさらに活発かっぱつになることが期待きたいされます。

日本にっぽんとＥＵい-ゆ-の去年きょねん１いち年間ねんかんの貿易ぼうえき額がくをあわせるとおよそ１いち１いち兆ちょう７なな０ぜろ０ぜろ０ぜろ億おくドル、日本にっぽん円えんでおよそ１いち３さん３さん０ぜろ兆ちょう円えんと世界せかい全体ぜんたいの貿易ぼうえき額がくのおよそ３さん７なな％を占しめ、ＧＤＰじ-でぃ-ぴ-の合計ごうけいは世界せかい全体ぜんたいの２に８はち％余あまりに当あたります。

ＥＵい-ゆ-は日本にっぽんとのＥＰＡで日本にっぽんへの輸出ゆしゅつが３さん４よん％増ふえ、ＥＵい-ゆ-のＧＤＰじ-でぃ-ぴ-を最大さいだいで０ぜろ．７なな６ろく％押し上おしあげる効果こうかがあると見込みこんでいます。

ＥＵい-ゆ-は活発かっぱつな貿易ぼうえきが域内いきないの企業きぎょうの競争きょうそう力りょくを強化きょうかし、経済けいざい成長せいちょうや雇用こようの拡大かくだいにつながるとして、自由じゆう貿易ぼうえきの推進すいしんを掲かかげてきました。

歴史れきし的てきに関係かんけいの深ふかい中東ちゅうとうやアフリカ各国かっこくをはじめ、韓国かんこくやカナダなど世界せかいの９きゅう１いちの国くにや地域ちいきとの間まで４よん３さんの貿易ぼうえき協定きょうていを結むすんでいます。

現在げんざいもメキシコとの貿易ぼうえき協定きょうていの改定かいていや、ブラジルやアルゼンチンなどで作つくるメルコスール＝南米なんべい南部なんぶ共同きょうどう市場しじょうとの間まで協定きょうていの締結ていけつに向むけた交渉こうしょうを進すすめています。

先月せんげつ開ひらかれたＥＵい-ゆ-首脳しゅのう会議かいぎではアメリカがＴＰＰ＝環太平洋かんたいへいようパートナーシップ協定きょうていから離脱りだつするなど、保護ほご主義しゅぎ的てきな姿勢しせいを強つよめる中なか、「保護ほご主義しゅぎと闘たたかう」という文言もんごんを盛り込もりこんだ文書ぶんしょを採択さいたくしています。

アメリカに次つぐ経済けいざい規模きぼのＥＵい-ゆ-は、４よん位いの日本にっぽんとのＥＰＡで、自由じゆう貿易ぼうえきを推進すいしんする姿勢しせいを改あらためて強調きょうちょうする狙ねらいがあります。

ＥＵい-ゆ-は、日本にっぽんとの交渉こうしょうでは、一部いちぶでＴＰＰの合意ごういを上回うわまわる内容ないようを求もとめてきました。ＥＵい-ゆ-としてはより有利ゆうりな条件じょうけんを日本にっぽんから引き出ひきだすことで、イギリスとの離脱りだつ交渉こうしょうが続つづく中なか、加盟かめい国こくに対にたいしＥＵい-ゆ-のメリットをアピールし、求心力きゅうしんりょくを高たかめたいという思惑おもわくもあります。

ＥＵい-ゆ-の期待きたいと懸念けねん

ＥＵい-ゆ-は加盟かめい国こくに農業のうぎょう国こくも多おおく、日本にっぽんと大枠おおわく合意ごういしたＥＰＡを通をつうじて、食品しょくひんや農産物のうさんぶつの輸出ゆしゅつが拡大かくだいすることに期待きたいしています。

ヨーロッパ産さんのワインやチーズ、スパゲッティ、チョコレートなどは日本にっぽんでも人気にんきが高たかい一方いっぽう、ＥＵい-ゆ-によりますと、これらの品目ひんもくの中なかには日本にっぽんが３さん０ぜろ％前後ぜんごの関税かんぜいをかけているものもあるということです。ＥＵい-ゆ-としては関税かんぜいの撤廃てっぱいや引き下ひきさげによって、日本にっぽん市場しじょうでヨーロッパの農産のうさん品ひんの価格かかく競争きょうそう力りょくを強化きょうかしたい考かんがえです。

このうちチーズについて、ＥＵい-ゆ-は原則げんそくとしてすべての関税かんぜいを撤廃てっぱいするよう求もとめ、交渉こうしょうの焦点しょうてんの１ひとつになってきました。ＥＵい-ゆ-のチーズの生産せいさん量りょうは世界せかい最大さいだいで、去年きょねんの輸出ゆしゅつ額がくは３さん６ろく億おくユーロ、日本にっぽん円えんにして４よん６ろく０ぜろ０ぜろ億おく円えん余あまりと農産物のうさんぶつではワインなどに並ならぶ主力しゅりょくの輸出ゆしゅつ品ひんです。ヨーロッパではおととし、チーズの原料げんりょうにもなる牛乳ぎゅうにゅうについて、ＥＵい-ゆ-が生産せいさんを調整ちょうせいして価格かかくを維持いじする制度せいどを廃止はいししたことなどから牛乳ぎゅうにゅうは供給きょうきゅう過剰かじょうとなり、価格かかくの下落げらくに抗議こうぎした酪農らくのう家かが各地かくちで抗議こうぎ活動かつどうを行おこないました。このためＥＵい-ゆ-は、牛乳ぎゅうにゅうの需要じゅようを増ふやせるチーズの輸出ゆしゅつ拡大かくだいに取り組とりくんでいて、日本にっぽんとのＥＰＡの交渉こうしょうでも力ちからを入いれてきました。

一方いっぽう、日本にっぽんとのＥＰＡをめぐってＥＵい-ゆ-側がわは自動車じどうしゃ産業さんぎょうへの影響えいきょうを特とくに懸念けねんしています。ヨーロッパの自動車じどうしゃメーカーで作つくる業界ぎょうかい団体だんたいによりますと、ＥＵい-ゆ-域内いきないで自動車じどうしゃ産業さんぎょうに従事じゅうじする人ひとはおよそ１いち２に６ろく０ぜろ万まん人にんで、雇用こよう総数そうすうのおよそ６ろく％に当あたり、ＥＵい-ゆ-の経済けいざいを支ささえる主要しゅよう産業さんぎょうだとしています。ＥＵい-ゆ-に輸入ゆにゅうされる乗用車じょうようしゃの中なかでは日本にっぽんからのものが最もっとも多おおく、業界ぎょうかい団体だんたいによりますと、去年きょねんはおよそ９きゅう０ぜろ０ぜろ億おくユーロ、日本にっぽん円えんで１いち１いち兆ちょう５ご０ぜろ０ぜろ０ぜろ億おく円えん余あまりで、乗用車じょうようしゃの輸入ゆにゅう額がくのおよそ２に４よん％を占しめています。また台数だいすうでは日本にっぽんから輸入ゆにゅうされた乗用車じょうようしゃは５ご７なな万まん台だい余あまりで、ＥＵい-ゆ-から日本にっぽんへ輸出ゆしゅつされる台数だいすうのおよそ２に倍ばいになっています。ＥＵい-ゆ-は日本にっぽんの乗用車じょうようしゃに１いち０ぜろ％の関税かんぜいをかけてきましたが、７なな年ねんで撤廃てっぱいすることで合意ごういし、業界ぎょうかい団体だんたいは日本にっぽんからの乗用車じょうようしゃの輸入ゆにゅうがさらに増ふえることになると懸念けねんを強つよめています。一方いっぽうで、ＥＵい-ゆ-域内いきないには日本にっぽんの自動車じどうしゃメーカーの工場こうじょうが１いち４よんか所かしょ、研究けんきゅう・開発かいはつ拠点きょてんは１いち６ろくか所かしょあり、合あわせて３さん万まん４よん０ぜろ０ぜろ０ぜろ人にんが雇用こようされているということです。

このためＥＵい-ゆ-側がわには、ＥＰＡが発効はっこうして貿易ぼうえきがさらに活発かっぱつになれば、現地げんち生産せいさんを行おこなう日本にっぽんメーカーの工場こうじょうが増ふえ、雇用こようも増ふえる可能かのう性せいがあるという見方みかたも出でています。

ソース：NHK ニュース