ネット通つうじ水門すいもんの管理かんりなど行おこなう自治体じちたいのシステムに深刻しんこくな不備ふび

災害さいがいに備そなえるためインターネットを通をつうじて川かわの水位すいいを監視かんししたり水門すいもんを管理かんりしたりする全国ぜんこくの自治体じちたいの５ご０ぜろ余あまりのシステムに、機能きのうを停止ていしさせられたり遠隔えんかく操作そうさされたりするおそれがあるなど、深刻しんこくな不備ふびがあったことが、国くにのセキュリティー専門せんもん機関きかんの調査ちょうさでわかりました。インターネットにつながった防災ぼうさい機器ききの管理かんりのもろさを浮き彫うきぼりにしています。

「内閣ないかくサイバーセキュリティセンター」によりますと、問題もんだいが見みつかったのは、湖みずうみにつながる川かわの水門すいもんや洪水こうずいに備そなえて地域ちいきに降ふった雨水あまみずを川かわに流ながす排水はいすいポンプなど、災害さいがいなどに備そなえるために全国ぜんこくの１いち５ごの自治体じちたいの５ご０ぜろか所かしょ余あまりの施設しせつに導入どうにゅうされている、インターネットを通をつうじて川かわの水位すいいを監視かんししたり水門すいもんを管理かんりしたりするシステムです。

こうしたシステムは、本来ほんらいは限かぎられた人ひとしかアクセスできないようにパスワードなどを設定せっていするべきところが、施設しせつの名前なまえや水位すいい、水門すいもんの状態じょうたいなどがインターネット上じょうで丸見まるみえになっていました。

このため、もしサイバー攻撃こうげきを受うけてシステムが停止ていしすれば、水位すいいなどの把握はあくができなくなるおそれがあったほか、中なかには、水門すいもんを勝手かってに操作そうさされるおそれがあるものもありました。

内閣ないかくサイバーセキュリティセンターではインターネット上じょうのアドレスを一ひとつ一ひとつチェックし、問題もんだいが見みつかるごとに自治体じちたいなどに連絡れんらくしてパスワードの設定せっていを行おこなうなどの対応たいおうを求もとめていて、これまでに見みつかった問題もんだいはすべて修正しゅうせいされ被害ひがいの情報じょうほうもないということです。

内閣ないかくサイバーセキュリティセンターの山内やまうち智生ともお内閣ないかく参事さんじ官かんは「ネットにつながる機器ききの普及ふきゅうがますます進すすむなか、サイバー攻撃こうげきのリスクを抱かかえることにもなる認識にんしきがまだ足たりないと考かんがえている。問題もんだいのあるシステムはこれだけではないと見みていて、通信つうしん事業じぎょう者しゃとも協力きょうりょくして対策たいさくを進すすめたい」と話はなしています。

鹿児島かごしま県けん出水いずみ市しのダムでは

ＮＨＫえぬえいちけいの調しらべでも、水位すいいをはじめとした管理かんり状況じょうきょうなどが誰だれでも見みられるようになっていたシステムは、複数ふくすうの自治体じちたいで見みつかっています。

このうち鹿児島かごしま県けん出水いずみ市しにある県営けんえいの「高尾野たかおのダム」では、水位すいいや水門すいもんの開閉かいへい状況じょうきょう、ダムの異常いじょうを示しめすデータなどが、インターネット上じょうで誰だれでも見みられる状態じょうたいになっていました。

このため施設しせつを管理かんりしている出水いずみ市しに連絡れんらくしたところ、担当たんとう者しゃは、２に年ねん前まえの平成へいせい２に７なな年ねんにシステムを改修かいしゅうした時ときからこの状態じょうたいになっていたと説明せつめいしました。

高尾野たかおのダムは、大雨おおあめの際さいに下流かりゅうで洪水こうずいが起おこらないように川かわの水量すいりょうを調整ちょうせいする防災ぼうさいダムで、担当たんとう者しゃが市役所しやくしょや自宅じたくなどからインターネットを通をとおしてダムや川かわの水位すいいを監視かんしし、水門すいもんの開閉かいへいが必要ひつようなときだけ現場げんばに行いくことになっています。

このため、もしシステムがサイバー攻撃こうげきを受うけて水位すいいが分わからなくなると、防災ぼうさいの初動しょどう体制たいせいに遅おくれが生しょうじるおそれがあり、出水いずみ市しはＮＨＫえぬえいちけいの指摘してきを受うけ、ＩＤあいでぃ-とパスワードを入力にゅうりょくしないとダムの状態じょうたいを見みられないように設定せっていを修正しゅうせいしました。

出水いずみ市し農林のうりん水産すいさん整備せいび課かの永福えいふく辰巳たつみ課長かちょうは「ダムの管理かんりは市民しみんの生命せいめい財産ざいさんにかかわり、防災ぼうさい上じょう、大変たいへん重要じゅうようなので、指摘してきを受うけてすぐに対応たいおうをとった。サイバー攻撃こうげきの危険きけん性せいは考かんがえたこともなかったが、今後こんご、勉強べんきょうする必要ひつようがあると感かんじている」と話はなしています。

ＩｏＴ普及ふきゅうと増大ぞうだいするリスク

「ＩｏＴ」と呼よばれる技術ぎじゅつをはじめ、さまざまなものをインターネットに接続せつぞくしようという動うごきは、急速きゅうそくに広ひろがっています。

ロボット型がたの掃除そうじ機きをスマートフォンから操作そうさしたり、工場こうじょうの生産せいさんラインからインターネットを通をつうじて大量たいりょうのデータを集あつめたりするなど、さまざまな場面ばめんですでに使つかわれています。

しかし、利便りべん性せいを求もとめてさまざまなものをインターネットと接続せつぞくすることは、サイバー攻撃こうげきを受うけるリスクと表裏ひょうり一体いったいだと指摘してきされています。

ＩｏＴ機器ききがウイルスに感染かんせんして、サイバー攻撃こうげきの踏み台ふみだいにされてしまうケースは日本にっぽんでも起おきているほか、海外かいがいでは、重要じゅうようインフラ設備せつびがサイバー攻撃こうげきを受うけるケースも起おきています。
ウクライナでは、おととし変電へんでん所しょの制御せいぎょシステムがサイバー攻撃こうげきを受うけ、数すう万まん世帯せたいが最長さいちょうで６ろく時間じかんにわたって停電ていでんする事態じたいとなったほか、アメリカでは、インターネットに接続せつぞくする機能きのうを持もった自動車じどうしゃで、エンジンやブレーキの遠隔えんかく操作そうさができてしまう欠陥けっかんが見みつかり、１いち４よん０ぜろ万まん台だいがリコールされています。

ソース：NHK ニュース