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障害しょうがいしゃ殺傷さっしょう事件じけん 被告ひこく手紙てがみ取材しゅざいおうじる 謝罪しゃざいはなし

2017-07-25 07:42:22

相模原さがみはら知的ちてき障害しょうがいしゃ施設しせつよんろくにん殺傷さっしょうされた事件じけんで、殺人さつじんなどのつみ起訴きそされたもと職員しょくいん植松うえまつきよし被告ひこくなな)が、手紙てがみつうじた取材しゅざいに対にたいし、「意思いし疎通そつうがとれない人間にんげん安楽あんらくさせるべきだ」としるすなど、いまもゆがんだかんがえをつづけ、みずからを正当せいとうする主張しゅちょうつづけていました。一方いっぽうで、犠牲ぎせいしゃ遺族いぞくへの謝罪しゃざいはありませんでした。
NHKえぬえいちけい障害しょうがいがあるという理由りゆう大勢たいせい殺害さつがいされた事件じけん深層しんそうせまろうと、先月せんげつから今月こんげつにかけて、横浜よこはま拘置こうち支所ししょ勾留こうりゅうされている植松うえまつ被告ひこく本人ほんにんと、よんつう手紙てがみやり取やりとりをおこないました。

手紙てがみには「障害しょうがいしゃそだてることは、ばく大ばくだいお金おかね時間じかんうしなうことにつながります」、「意思いし疎通そつうがとれない人間にんげん安楽あんらくさせるべきだ」などと、おも障害しょうがいのあるひとたちに対にたいする差別さべつてきかんがえがつづられています。

そのうえで、植松うえまつ被告ひこくは、津久井つくいまゆりえんさん年間ねんかん勤務きんむしていましたが、「支援しえんをするなかで、いやおもいをしたことはありますが、仕事しごとだったので殺意さついったことはありません。ただ、さん年間ねんかん勤務きんむなかで、重度じゅうど障害しょうがいしゃ不幸ふこうもとだと確信かくしんった」としるしていて、差別さべつてきなゆがんだ思想しそう施設しせつはたらなかたかまっていく様子ようすがうかがえます。

さらに、事件じけんこそうとかんがえたきっかけについていたところ、「やまゆりえんでみたニュースがはじまりです」としたうえで、「ニュースでは、過激かげき組織そしきIS=イスラミックステートの活動かつどうと、トランプ大統領だいとうりょう選挙せんきょ演説えんぜつ放送ほうそうされました。世界せかいには不幸ふこうひとたちがたくさんいる、トランプ大統領だいとうりょう真実しんじつはなしているとおもいました」とこたえました。

そして、トランプのニュースをながら、周囲しゅういにいた職員しょくいんに対にたいして入所にゅうしょしゃ殺害さつがいについて言葉ことばにしたということで、「ふかかんがえなく、このひとたちをころしたらいいんじゃないですかね?とこえにしました。一度いちどしっかりかんがえてみれば、重度じゅうど重複じゅうふく障害しょうがいしゃ肯定こうていすることはできませんでした」とつづけてしるしています。

ニュースたという演説えんぜつ内容ないようや、どう影響えいきょうけたのかなど、くわしいことはこたえませんでした。これまでの手紙てがみで、犠牲ぎせいしゃ負傷ふしょうしゃ、それに遺族いぞくへの謝罪しゃざい言葉ことばはなく、いまもゆがんだかんがえをつづけ、みずからを正当せいとうする主張しゅちょうつづけていました。

負傷ふしょうしゃ家族かぞく「ひどい内容ないようえられない」

この事件じけんで、息子むすこ一矢いっしよんよん)さんがくびはらなどをられてだいけがをした尾野おの剛志たけしななさん)さんは、植松うえまつ被告ひこく手紙てがみなかいま差別さべつてき発言はつげん繰り返くりかえしていることについて、「あまりにもひどい内容ないようで、えられず、くやしい気持きもちです。植松うえまつ被告ひこくかんがえがわっていないことが、はっきりとわかりました」とはなしていました。

また、手紙てがみなか犠牲ぎせいになったひとや、その家族かぞくのことに一切いっさいれていないことについて、「反省はんせい気持きもちがなく、自分じぶんのことしかかんがえていないとおもいます」とはなしていました。

家族かぞくかい会長かいちょうふか反省はんせい謝罪しゃざいを」

津久井つくいやまゆりえん」の入所にゅうしょしゃ家族かぞくつく家族かぞくかい大月おおつきかず会長かいちょうは、植松うえまつ被告ひこく手紙てがみなかで、いま差別さべつてき発言はつげん繰り返くりかえしていることについて、「いち年間ねんかんかんがえをえないというのは、しんじられません」とはなしていました。

そのうえで、「わたしたち家族かぞくは『障害しょうがいしゃはいらない』という言葉ことばによって、本当ほんとうこころきずつけられています。それを取り消とりけしてもらわないと、きた心地ここちがしないのです。被告ひこくは、間違まちがった理屈りくつおおくのひとをあやめてしまったという罪深つみぶかさにはや気付きづいて、ふか反省はんせいして謝罪しゃざいしてほしいです」とはなしていました。

専門せんもん自分じぶん行動こうどう正当せいとう

犯罪はんざい差別さべつ関係かんけいくわしい、東京とうきょう造形ぞうけい大学だいがく前田まえだあきら教授きょうじゅ植松うえまつ被告ひこく手紙てがみ分析ぶんせきしてもらいました。

前田まえだ教授きょうじゅは「植松うえまつ被告ひこく恣意しい(しい)てき人間にんげん尊厳そんげんみとめられるひとと、みとめられないひと作り出つくりだしていて、それ自体じたいがすべての人間にんげん尊厳そんげんがあるという考え方かんがえかたはんしている。この社会しゃかいにとって、障害しょうがいのあるひとたちはマイナスだという意識いしき非常ひじょうつよく、その部分ぶぶんだけが前面ぜんめん行動こうどうにつながり、自分じぶん行動こうどう正当せいとうしている」と指摘してきしています。

そのうえで、前田まえだ教授きょうじゅは「いちねんたっても『意思いし疎通そつうのできない人間にんげんきる価値かちはない』という思想しそうのこっていて、相当そうとう根強ねづよ差別さべつ意識いしきこころなかかたまっているとかんがえられる。自分じぶんたちのがわにあるたね正義せいぎがあるという認識にんしきってしまうと、なかなか、それをあらためるチャンスにめぐまれにくいめんがある」とべました。
ソース:NHK ニュース