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登山とざんちゅう死者ししゃ 救助きゅうじょたい到着とうちゃく生存せいぞん割合わりあい

2017-08-10 21:00:11

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いちいちにちは「やま」です。登山とざんちゅう死亡しぼうしたひと死因しいん状況じょうきょうなどを分析ぶんせきした国内こくないではこれまでれいがない研究けんきゅう結果けっかがまとまり、救助きゅうじょたい到着とうちゃく生存せいぞんしていたひと割合わりあいは、わずかだったことがわかりました。分析ぶんせきにあたった医師いしは、滑落かっらくによる外傷がいしょうなど致命ちめいてきなケースが目立めだ一方いっぽうで、登山とざんしゃ自身じしん適切てきせつ対応たいおうにより、生存せいぞん可能かのうせいたかめる余地よちもあるとしています。
分析ぶんせきおこなったのは、登山とざんしゃのけがや病気びょうき専門せんもんとする「山岳さんがく」の国内こくないでの草分くさわけで、札幌さっぽろにある北海道ほっかいどう大野おおの記念きねん病院びょういん勤務きんむする大城おおしろ和恵かずえ医師いしです。

大城おおしろ医師いしは、平成へいせいななねんまでの年間ねんかん登山とざんちゅう死者ししゃおおかったいちぜろみちけんで、警察けいさつ協力きょうりょくて、御嶽山みたけさん噴火ふんかのぞいたわせてさんにん死因しいん死亡しぼうした状況じょうきょうなどを分析ぶんせきしました。

このうち死因しいんは、滑落かっらくなどによる外傷がいしょうもっとおおよんよん%、いでてい体温たいおんしょういち%、心臓しんぞう発作ほっさいちさん%と、雪崩なだれ脳卒中のうそっちゅうなどよりもおおく、これらが「登山とざんちゅうさんだい死因しいん」でした。

また、救助きゅうじょたい到着とうちゃく生存せいぞんしていたひと割合わりあいはわずか%だったことがわかりました。

外傷がいしょう心臓しんぞう発作ほっさ致命ちめいてきなケースが目立めだ事前じぜん対策たいさく重要じゅうようとなる一方いっぽうてい体温たいおんしょう時間じかんをかけて症状しょうじょう悪化あっかするため、登山とざんしゃ自身じしん体調たいちょう変化へんかはや気付きづ適切てきせつ対応たいおうをとることで、生存せいぞん可能かのうせいたかめる余地よちもあるとしています。

こうした研究けんきゅう国内こくないではこれまでれいがなく、大城おおしろ医師いしは、「やまは、救急きゅうきゅう医療いりょうから隔絶かくぜつされたきびしい場所ばしょなので、登山とざんしゃは、自分じぶんまもちからにつけてほしい」とはなしています。

心臓しんぞう発作ほっさ」は夏場なつば注意ちゅうい

登山とざんちゅうの「さんだい死因しいん」のひとつ、心臓しんぞう発作ほっさについて、分析ぶんせきにあたった医師いしは、脱水だっすい症状しょうじょう引き金ひきがねとなるおそれがあり、夏場なつばとく注意ちゅうい必要ひつようだと指摘してきしています。

今回こんかい研究けんきゅうおこなった大城おおしろ和恵かずえ医師いしは、札幌さっぽろにある北海道ほっかいどう大野おおの記念きねん病院びょういんの「山岳さんがく登山とざん外来がいらい」で、持病じびょうなどで登山とざん不安ふあんかかえるひと相談そうだん診察しんさつにあたっています。

今回こんかい分析ぶんせきなか登山とざんちゅう心臓しんぞう発作ほっさ死亡しぼうしていたひとななさんにんでした。

このうちデータのあるろくはちにん全員ぜんいんよんぜろだい以上いじょうきゅうよん%が男性だんせいで、大城おおしろ医師いしはこうしたひと登山とざんをする場合ばあい心臓しんぞう異常いじょうがないか事前じぜん検査けんさすることがのぞましいとしています。

そのうえで、登山とざんちゅう心臓しんぞう発作ほっさは、とく夏場なつば注意ちゅうい必要ひつようだと指摘してきします。登山とざんあせをかくなどして脱水だっすい症状しょうじょうおちいると、体内たいない血液けつえきりょうり、心臓しんぞう発作ほっさ引き金ひきがねとなるおそれがあるからです。

さらに登山とざんちゅう脱水だっすい症状しょうじょうは、からだつかれと勘違かんちがいし体調たいちょう変化へんか見過みすごしやすいということです。このため大城おおしろ医師いしは、心臓しんぞう発作ほっさふせぐには脱水だっすい症状しょうじょうにならないための水分すいぶん補給ほきゅう重要じゅうようだとしています。

今月こんげつはじめには、北海道ほっかいどう警察けいさつ本部ほんぶとともに、登山とざんしゃ注意ちゅういびかけた活動かつどうのなかで、脱水だっすい症状しょうじょう効果こうかがあるとされる経口けいこうすいえきくばり、水分すいぶん補給ほきゅうのタイミングやりょうもアドバイスしていました。

大城おおしろ医師いしは、「登山とざんしゃみなさんがイメージするりょうでは、水分すいぶん補給ほきゅう十分じゅうぶんではないことがおおい。登山とざんまえ最中さいちゅう、それににも、たっぷりと水分すいぶんをとってほしい」とびかけています。

外傷がいしょう」と「てい体温たいおんしょう」とは

登山とざんちゅうさんだい死因しいん」のうち、もっとおおかった滑落かっらくなどによる外傷がいしょうは、頭部とうぶ全身ぜんしんなどに深刻しんこく損傷そんしょうけ、救助きゅうじょはやくてもいのちすくうのがむずかしかったとみられるケースが目立めだつということです。

このことが、救助きゅうじょたい到着とうちゃく生存せいぞんりつきわめてひく理由りゆうひとつになっているとみられ、登山とざんちゅう死者ししゃ減少げんしょうけてむずかしい課題かだいとなっています。

一方いっぽう番目ばんめおおかったてい体温たいおんしょうは、時間じかんをかけて悪化あっかするため、登山とざんしゃ対応たいおうしだいで生存せいぞん可能かのうせいたかめる余地よちがあるということです。

登山とざんしゃ事前じぜん服装ふくそう装備そうびなど必要ひつよう準備じゅんびととのえるとともに、症状しょうじょういち早いちはや気付きづき、からだあたためるなど適切てきせつ対応たいおうることが重要じゅうようになっています。

大城おおしろ医師いしは、「登山とざんしゃが、自分じぶん自分じぶんたすける能力のうりょくにつけることが、登山とざんちゅう死者ししゃらすことにつながる」とはなしています。
ソース:NHK ニュース