ノーベル経済けいざい学賞がくしょうに米べいの大学だいがく教授きょうじゅ リチャード・セイラー氏し

ことしのノーベル経済けいざい学賞がくしょうの受賞じゅしょう者しゃに、消費しょうひなど人々ひとびとの身近みぢかな経済けいざい活動かつどうを、心理しんり学がくと経済けいざい学がくの両面りょうめんから分析ぶんせきしたアメリカのシカゴ大学だいがくの教授きょうじゅ、リチャード・セイラー氏しが選えらばれました。

スウェーデンのストックホルムにあるノーベル賞しょうの選考せんこう委員いいん会かいは、日本にっぽん時間じかんの午後ごご７なな時じ前まえ、記者きしゃ会見かいけんを開ひらき、ことしのノーベル経済けいざい学賞がくしょうにアメリカのシカゴ大学だいがくの教授きょうじゅ、リチャード・セイラー氏しを選えらんだと発表はっぴょうしました。

セイラー氏しは、消費しょうひなど人々ひとびとの身近みぢかな経済けいざい活動かつどうを心理しんり学がくの要素ようそを交まじえて分析ぶんせきする「行動こうどう経済けいざい学がく」の権威けんいとして知しられています。具体ぐたい的てきには、商品しょうひんの価格かかくを下さげたり、人々ひとびとの所得しょとくを引き上ひきあげたりするのではなく、適切てきせつな情報じょうほうを提供ていきょうすることで、人々ひとびとに行動こうどうを促うながし社会しゃかいを望のぞましい状態じょうたいに導みちびく「ナッジ」という考え方かんがえかたを提唱ていしょうしました。この考え方かんがえかたは節電せつでんの促進そくしんや肥満ひまんの防止ぼうしなど欧米おうべいの公共こうきょう政策せいさくに大おおきな影響えいきょうを与あたえたとされています。

また「オークション」で商品しょうひんを高値たかねで落札らくさつした人ひとを例れいに挙あげ、落札らくさつした人ひとはその喜よろこびからみずからを『勝者しょうしゃ』と感かんじるものの、経済けいざい学的がくてきには、合理ごうり的てきでない価格かかくで購入こうにゅうしたことになるとして、そうした消費しょうひ行動こうどうを『勝者しょうしゃの呪のろい』と呼よんで、人々ひとびとの経済けいざい活動かつどうの非ひ合理ごうり性せいを指摘してきしました。

セイラー氏しの行動こうどう経済けいざい学がくに関にかんする著書ちょしょは、アメリカでベストセラーになっていて、多おおくの市民しみんに読よまれているほか、日本にっぽんでも販売はんばいされています。

ノーベル経済けいざい学賞がくしょうの選考せんこう委員いいん会かいは授賞じゅしょう理由りゆうについて「個人こじんは完全かんぜんに合理ごうり的てきには行動こうどうできないこと、社会しゃかい的てきな背景はいけいを踏ふまえ選択せんたくすること、そして自分じぶん自身じしんをコントロールできないことなど、人間にんげんの持もつ特徴とくちょうが個人こじんの経済けいざい的てきな決定けっていや市場しじょうにどのように影響えいきょうを与あたえているかを示しめした」としています。

選考せんこう委員いいん会かい「セイラー氏し 経済けいざい学がくと心理しんり学がくの橋渡はしわたし」

ノーベル経済けいざい学賞がくしょうの選考せんこう委員いいん会かいは授賞じゅしょう理由りゆうについて「セイラー氏しは経済けいざい的てきな決定けっていをする際さいの分析ぶんせきに心理しんり学がく的てきな要素ようそを取り入とりいれた。個人こじんは完全かんぜんに合理ごうり的てきには行動こうどうできないこと、社会しゃかい的てきな背景はいけいを踏ふまえ選択せんたくすること、そして自分じぶん自身じしんをコントロールできないことなど人間にんげんの持もつ特徴とくちょうが個人こじんの経済けいざい的てきな決定けっていや市場しじょうにどのように影響えいきょうを与あたえているのか示しめした」としています。

そのうえで「彼かれの貢献こうけんは個々ここの人ひとの経済けいざい的てきな意思いし決定けっていの分析ぶんせきにおいて経済けいざい学がくと心理しんり学がくの橋渡はしわたしをしたことだ。セイラー氏しが導き出みちびきだした理論りろんは、行動こうどう経済けいざい学がくの新あらたな分野ぶんやを急速きゅうそくに拡大かくだいさせ、多おおくの経済けいざい研究けんきゅうや政策せいさくに影響えいきょうを与あたえた」としています。

セイラー氏し「経済けいざいの主体しゅたいは人間にんげん」

ノーベル経済けいざい学賞がくしょうの受賞じゅしょう者しゃを発表はっぴょうした記者きしゃ会見かいけんで、セイラー氏しは電話でんわインタビューに応おうじ「私わたしの研究けんきゅうで最もっとも重要じゅうようなのは、経済けいざいの主体しゅたいは人間にんげんであり、経済けいざいモデルはそれに立脚りっきゃくしなければならないという認識にんしきだ」と述のべました。

また日本にっぽん円えんでおよそ１いち億おく２に５ご０ぜろ０ぜろ万まん円えんにのぼる賞金しょうきんの使い方つかいかたを聞きかれたセイラー氏しは「できるだけ非ひ合理ごうり的てきに使つかおうと思おもいます」とユーモアを込こめて答こたえていました。

土居どい慶大けいだい教授きょうじゅ「行動こうどう経済けいざい学がくをメジャーに押し上おしあげた」

日本にっぽんの経済けいざい学者がくしゃは、セイラー氏しの研究けんきゅうについて人々ひとびとの消費しょうひなど生活せいかつに深ふかく関かかわるテーマを分析ぶんせきしている点てんを評価ひょうかしています。

慶応けいおう大学だいがく経済けいざい学部がくぶの土居どい丈たけ朗ろう教授きょうじゅは、セイラー氏しについて、消費しょうひなど人々ひとびとの身近みぢかな経済けいざい活動かつどうを心理しんり学がくの要素ようそを交まじえて分析ぶんせきする「行動こうどう経済けいざい学がく」の権威けんいだとしたうえで、「セイラー氏しはそれまでマイナーだった行動こうどう経済けいざい学がくという分野ぶんやをメジャーに押し上おしあげた」としています。

具体ぐたい例れいとして「オークション」で商品しょうひんを高値たかねで落札らくさつした人ひとを挙あげ、「落札らくさつした人ひとは、その喜よろこびからみずからを『勝者しょうしゃ』と感かんじるが、経済けいざい学的がくてきには、合理ごうり的てきでない価格かかくで購入こうにゅうしたことになる。セイラー氏しはそうした消費しょうひ行動こうどうを『勝者しょうしゃの呪のろい』と呼よんでいる」として、必かならずしも合理ごうり的てきではない人々ひとびとの経済けいざい活動かつどうを深ふかく分析ぶんせきしたと評価ひょうかしています。

セイラー氏しの著書ちょしょはアメリカでベストセラーになっていて多おおくの市民しみんに読よまれているほか、日本にっぽんでも著書ちょしょが販売はんばいされています。

依田よだ京大きょうだい教授きょうじゅ「経済けいざい学がくに心理しんり学がく的てきな分析ぶんせき根ねづかせた」

京都大きょうとだい学がく経済けいざい学部がくぶの依田よだ高だか典てん教授きょうじゅは「セイラー氏しは、１いち９きゅう８はち０ぜろ年代ねんだいに経済けいざい学がくの中なかに心理しんり学がく的てきな分析ぶんせきを根ねづかせ、その必要ひつよう性せいを認みとめさせた権威けんいだ」と話はなしています。

セイラー氏しの功績こうせきについては、商品しょうひんの価格かかくを下さげたり、人々ひとびとの所得しょとくを引き上ひきあげたりするのではなく、人々ひとびとに適切てきせつな情報じょうほうを提供ていきょうすることで社会しゃかいを望のぞましい状態じょうたいに導みちびくことができる「ナッジ」という考え方かんがえかたを提唱ていしょうしたことを挙あげています。

依田よだ教授きょうじゅは「『ナッジ』の考え方かんがえかたは、節電せつでんの促進そくしんや肥満ひまんの防止ぼうしなど欧米おうべいの公共こうきょう政策せいさくに大おおきな影響えいきょうを与あたえた。この功績こうせきがノーベル賞しょう受賞じゅしょうにつながったのではないか」と話はなしています。

安田やすだ洋祐ようすけ准じゅん教授きょうじゅ「『心こころの会計かいけい』存在そんざい明あきらかに」

大阪おおさか大学だいがく大学院だいがくいんの安田やすだ洋祐ようすけ准じゅん教授きょうじゅはセイラー氏しの研究けんきゅうについて「人間にんげんにはお金おかねの使い方つかいかたを自分じぶんの心こころの中なかであらかじめ決きめて、使い方つかいかたの枠わくを設もうける『心こころの会計かいけい』が存在そんざいすると明あきらかにした。

具体ぐたい的てきには１いちか月かげつ当あたりの遊興ゆうきょう費ひを１いち万まん円えんとしている人ひとは、１いち万まん円えんで購入こうにゅうしたコンサートのチケットを道みちに落おとした場合ばあい、月々つきづきの遊興ゆうきょう費ひを上回うわまわるため新あらたにチケットを買かわないなど経済けいざい学がくに心理しんり的てきな要素ようそを取り入とりいれた。一般いっぱんの人々ひとびとの感覚かんかくに近ちかい人間にんげん像ぞうを主役しゅやくにした経済けいざいの理論りろんや見方みかたが広ひろがっていくとともに、セイラー氏しの行動こうどう経済けいざい学がくの知見ちけんが今後こんご、経済けいざい学がく全体ぜんたいに取り入とりいれられる可能かのう性せいがある」と話はなしています。

「将来しょうらい日本人にっぽんじんの受賞じゅしょう可能かのう性せいは十分じゅうぶんある」

准じゅん教授きょうじゅは「今回こんかいのセイラーさんも７なな０ぜろ歳さいを超こえているように、経済けいざい学賞がくしょうはほかの自然しぜん科学かがくの賞しょうと比くらべて高齢こうれいになってから受賞じゅしょうする傾向けいこうがあり、研究けんきゅうが出でてから受賞じゅしょうまでの期間きかんが長ながいのが特徴とくちょうだ」と指摘してきしています。

そのうえで「日本人にっぽんじんの有力ゆうりょく候補こうほとして名前なまえがあがるプリンストン大学ぷりんすとんだいがくの清滝きよたき信宏のぶひろさんも主しゅたる業績ぎょうせきが出でたのは１いち９きゅう９きゅう７なな年ねんで２に０ぜろ年ねんしかたってない。２に０ぜろ年ねんというのは、経済けいざい学がくの中なかではまだ短みじかく、もう少もうすこし待まつ必要ひつようがある」と述のべ、将来しょうらい、日本人にっぽんじんがノーベル経済けいざい学賞がくしょうを受賞じゅしょうする可能かのう性せいは十分じゅうぶんあると話はなしていました。

ソース：NHK ニュース