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イランかく合意ごういは「みとめない」 トランプ大統領だいとうりょう演説えんぜつ

2017-10-13 20:49:27

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アメリカトランプ大統領だいとうりょうイランに対にたいするあらたな戦略せんりゃくについて演説えんぜつし、欧米おうべいなどとイランがおととしむすんだかく合意ごういについて「みとめない」としたうえで、制裁せいさい再開さいかいするかどうかなどについて、議会ぎかい判断はんだんゆだねるかんがえをあきらかにしました。議会ぎかいただちに制裁せいさい可能かのうせいひくいとられ、かく合意ごうい枠組わくぐみは当面とうめん維持いじされる見通みとおしですが、合意ごういむすんだイランやヨーロッパなどの反発はんぱつ予想よそうされます。
欧米おうべいなどとイランがおととしむすんだイランかく合意ごういは、イランがかく開発かいはつ大幅おおはば制限せいげんするわりに、アメリカなどが制裁せいさい解除かいじょするとしたものですが、トランプ大統領だいとうりょう繰り返くりかえ批判ひはんし、破棄はきふくめた対応たいおう示唆しさしてきました。

トランプ大統領だいとうりょういちさんにち、イランに対にたいするあらたな戦略せんりゃくについて演説えんぜつし、「イランは核兵器かくへいき開発かいはつうたがわれる軍事ぐんじ施設しせつ査察ささつ拒否きょひし、北朝鮮きたちょうせん取り引とりひきしているとひとおおくいる。イランはかく合意ごうい精神せいしんまもっていない。政権せいけんとしてみとめることはできず、みとめることもないだろう」とべ、かく合意ごういについて「みとめない」とする判断はんだんしめしました。そのうえで、制裁せいさい再開さいかいするかどうかなどについて、議会ぎかい判断はんだんゆだねるかんがえをあきらかにしました。

さらに、トランプ政権せいけん議会ぎかいに対にたいして、制裁せいさい再開さいかいするさいにはかく開発かいはつにとどまらず、イランのミサイル開発かいはつについての基準きじゅん盛り込もりこむなど、国内こくない法律ほうりつ改正かいせいするようもとめ、圧力あつりょくつよめたいかまえで、合意ごういむすんだイランやヨーロッパなどの反発はんぱつ予想よそうされます。

一方いっぽうで、トランプ大統領だいとうりょう演説えんぜつ先立さきだって、ティラーソン国務こくむ長官ちょうかん記者きしゃだんに対にたいして、トランプ政権せいけんとしてはかく合意ごうい枠組わくぐみにはのこりたい意向いこうしめしました。議会ぎかい現時点げんじてんではただちに制裁せいさい可能かのうせいひくいとられ、かく合意ごうい枠組わくぐみは当面とうめん維持いじされる見通みとおしです。

また、演説えんぜつではイランの歴代れきだい政権せいけんを「ならず者ならずもの政権せいけん」や「過激かげき政権せいけん」などとつよ言葉ことば非難ひなんしたほか、イランの革命かくめい防衛ぼうえいたいがテロを支援しえんしているとして、追加ついか制裁せいさいなどきびしい措置そちかんがえもあきらかにしていて、トランプ政権せいけんとしてイランへの対決たいけつ姿勢しせいをこれまで以上いじょう鮮明せんめいにしたかたちです。

イラン ロウハニ大統領だいとうりょう こめつよ非難ひなん

イランのロウハニ大統領だいとうりょういちさんにち、「国際こくさい社会しゃかい合意ごうい一方いっぽうてき無効むこうにすることはできない」とべて、アメリカをつよ非難ひなんしました。

アメリカのトランプ大統領だいとうりょういちさんにちあらたなイラン戦略せんりゃく発表はっぴょうし、このなかかく合意ごういを「みとめない」とする判断はんだんしめしたほか、イランの精鋭せいえい部隊ぶたい革命かくめい防衛ぼうえいたいに対にたいしても追加ついか制裁せいさいくわえるかんがえをしめすなど、イランに対にたいする圧力あつりょく強化きょうかする方針ほうしんあきらかにしました。

これをけてロウハニ大統領だいとうりょう国営こくえい放送ほうそうを通をつうじて演説えんぜつおこない、「国際こくさい社会しゃかい合意ごうい一方いっぽうてき無効むこうにすることはできない。アメリカは、いまだかつてないほど孤立こりつすることになった」とべて、トランプ大統領だいとうりょうかく合意ごういみとめない方針ほうしんしめしたことをつよ非難ひなんしました。

そのうえで「国益こくえきにかなっているかぎりかく合意ごうい維持いじしていく」とべて、イランとしては引き続ひきつづき、合意ごうい順守じゅんしゅしていく姿勢しせい強調きょうちょうしました。

また、トランプ大統領だいとうりょうがイランを「ならず者ならずもの政権せいけん」、「過激かげき政権せいけん」などと非難ひなんしたことについては、「イラン国民こくみんに対にたいする根拠こんきょのないひぼう中傷ちゅうしょうだ」と反論はんろんしました。そして、「われわれは断固だんことした決意けつい装備そうび強化きょうかし、国防こくぼうちかられていく」とべて、ミサイル開発かいはつなどを強化きょうかするかんがえをしめし、トランプ政権せいけん圧力あつりょくに対にたいしていちかない姿勢しせい強調きょうちょうしました。

べい与野党よやとう反応はんのう

与党よとう共和党きょうわとうからはトランプ大統領だいとうりょう演説えんぜつしめしたイランとのかく合意ごういへの否定ひていてき姿勢しせい評価ひょうかするこえがっています。

このうち、下院かいん外交がいこう委員いいんかいのロイス委員いいんちょう声明せいめいし、「大統領だいとうりょうはイランがきつけるあらゆる脅威きょういまさしく焦点しょうてんわせた」として評価ひょうかしました。
ただ、ロイス委員いいんちょうかく合意ごういけて解除かいじょした制裁せいさいふたたすかどうかについては言及げんきゅうせず、「イランの脅威きょうい対抗たいこうする取り組とりくみを支援しえんする。そのために議会ぎかいかく合意ごうい枠外わくがいでイランの弾道だんどうミサイル開発かいはつやテロの支援しえんに対にたいする制裁せいさい強化きょうかする法案ほうあん可決かけつする」と強調きょうちょうするにとどめました。

一方いっぽう野党やとう民主党みんしゅとう下院かいんトップペロシ院内いんない総務そうむいちさんにち会見かいけんひらき、「トランプ大統領だいとうりょう判断はんだんきわめて重要じゅうよう時期じきにアメリカの安全あんぜんおびやかし、信用しんよううしなわせるものだ」と批判ひはんしました。そして、「アメリカがかく合意ごういからけても、中国ちゅうごくロシアもヨーロッパのくにしたがうことはないだろう。アメリカが北朝鮮きたちょうせんかく開発かいはつ食い止くいとめようとするなか大統領だいとうりょう行動こうどう非常ひじょう危険きけん意味いみのないものだ」とべ、かく合意ごうい破棄はきけたうごきをけん制けんせいしました。

オバマぜん政権せいけんもと国務こくむ次官じかんらが批判ひはん

アメリカのオバマぜん政権せいけんでイランかく合意ごうい交渉こうしょうかかわったシャーマンもと国務こくむ次官じかんローズもと大統領だいとうりょうふく補佐ほさかんらがいちさんにち、そろって電話でんわ記者きしゃ会見かいけんしました。

このなかで、シャーマンイランかく合意ごういみとめないとするトランプ大統領だいとうりょう決定けっていについて「非常ひじょう無謀むぼうで、世界せかいとの関係かんけいやアメリカの信頼しんらいせい危険きけんにさらす」とつよ批判ひはんしました。

また、ローズは「正気しょうきでないやり方やりかただ。もし北朝鮮きたちょうせんがトランプ大統領だいとうりょうやり方やりかたていたら、アメリカと外交がいこう交渉こうしょうはいろうとはほとんどおもわないだろう。北朝鮮きたちょうせん問題もんだい外交がいこうてき解決かいけつをよりむずかしくし、紛争ふんそう危険きけんたかめるだけだ」と指摘してきしました。

かく合意ごうい内容ないよう

欧米おうべいなど関係かんけいろくか国かこくとイランは、おととし7月しちがつにイランのかく開発かいはつ大幅おおはば制限せいげんする見返みかえりに、アメリカやEUい-ゆ-などがしていた経済けいざい制裁せいさい解除かいじょすることで最終さいしゅう合意ごういしました。

このなかで、イランがわはウラン濃縮のうしゅく使つかわれる遠心えんしん分離ぶんり合意ごういいちぜろ年間ねんかんにわたっていちまんきゅうぜろぜろぜろからさんぶんいち以下いかにあたるろくいちぜろぜろらすほか、ウランの濃縮のうしゅくいち年間ねんかんにわたって平和へいわ利用りようかぎられるさんろくなな%までにおさえることが義務ぎむづけられています。

また、IAEAあいえいい-えい国際こくさい原子力げんしりょく機関きかんは、すべてのかく関連かんれん施設しせつへの定期ていきてき査察ささつ可能かのうになり、かく開発かいはつ懸念けねんされる施設しせつについても検証けんしょうのための立ち入たちいりをもとめることができるとしています。

一方いっぽうで、核兵器かくへいき起爆きばくさせる装置そうち実験じっけんおこなっていた疑惑ぎわくがあるなどとして、アメリカなどがもとめていたテヘラン郊外こうがいにあるパルチン軍事ぐんじ施設しせつ立ち入たちいりはみとめられなかったほか、ミサイル開発かいはつ制限せいげんについては今回こんかいかく合意ごうい直接ちょくせつ対象たいしょうにはなっていません。

一方いっぽう、アメリカやEUい-ゆ-などがしていたイランと原油げんゆ取り引とりひきをする外国がいこく金融きんゆう機関きかんに対にたいする制裁せいさい措置そち解除かいじょされ、各国かっこくがイランさん原油げんゆ取り引とりひきが可能かのうとなったほか、イランへの民間みんかん航空こうくう機体きたい部品ぶひん輸出ゆしゅつ最終さいしゅう合意ごういもとづいて再開さいかいされました。

ただ、イランが合意ごうい内容ないよう違反いはんした場合ばあいろくにち以内いない制裁せいさい復活ふっかつさせる措置そち盛り込もりこまれています。そして、関係かんけいこくはこの最終さいしゅう合意ごういもとづいて、去年きょねん1月いちがつから合意ごうい内容ないよう履行りこうしています。

イランかく合意ごういについて、アメリカのオバマぜん大統領だいとうりょう外交がいこう交渉こうしょうによって、中東ちゅうとうからあらたな戦争せんそう危機ききふせぐことができたと意義いぎ強調きょうちょうし、みずからの「政治せいじてき遺産いさん」と位置いちづけており、イランのロウハニ大統領だいとうりょうかく合意ごうい実績じっせきうったえ、ことし5月ごがつ大統領だいとうりょう選挙せんきょ再選さいせんたしました。

トランプ政権せいけん不公平ふこうへい合意ごうい」と主張しゅちょう

トランプ大統領だいとうりょう去年きょねん大統領だいとうりょう選挙せんきょちゅうから、オバマぜん政権せいけんがイランとのわしたかく合意ごうい批判ひはんし、破棄はきするかんがえをしめしていました。

就任しゅうにん直後ちょくごにはテロ対策たいさく強化きょうかするためとして、イランなどななか国かこくからの入国にゅうこく一時いちじてき禁止きんしする大統領だいとうりょうれい発表はっぴょうし、敵対てきたい姿勢しせいつよめていきます。

ことし5月ごがつにははじめての外遊がいゆうさきとして中東ちゅうとう訪問ほうもんし、サウジアラビア演説えんぜつしたさいには、「レバノンからイラク、そしてイエメンまで、イランは武器ぶき提供ていきょうし、テロリストを訓練くんれんし、中東ちゅうとう地域ちいき全体ぜんたい混乱こんらんをもたらしている」とべ、イランをつよけん制けんせいしました。

先月せんげつ国連こくれん総会そうかい演説えんぜつでも「残忍ざんにん政権せいけん危険きけんなミサイルを開発かいはつして、地域ちいき不安定ふあんていさせる活動かつどうをつぶるわけにはいかない」とイランを名指なざしして批判ひはんしました。そのうえで、かく合意ごういについても「イラン合意ごういはアメリカがこれまでわしてきた取り決とりきめのなかでもっともひどく、一方いっぽうてきなもののひとだ。アメリカにとってはじだ」とべ、破棄はきふくめた対応たいおう検討けんとうしていることを示唆しさしていました。

トランプ政権せいけんは、これまでかく合意ごういによってイランのかく開発かいはつ制限せいげんされる期間きかん最大さいだいいちねん期限きげんもうけられていることや、イラン国内こくない施設しせつへの査察ささつ十分じゅうぶんおこなえないとして、「アメリカにとって不公平ふこうへい合意ごうい」だと主張しゅちょうしています。

さらに、イランがミサイル開発かいはつすすめていたり、テロ組織そしき支援しえんしたりしているとして、イランとの合意ごうい内容ないよう見直みなおしが必要ひつようだと主張しゅちょうしています。

ろくぜろにち以内いない議会ぎかい判断はんだん

アメリカのトランプ大統領だいとうりょうかく合意ごういを「みとめない」と宣言せんげんしたことをけ、アメリカ議会ぎかい今後こんご合意ごういけて解除かいじょしたたいイラン制裁せいさいふたたすかどうか検討けんとうはいることになります。これはアメリカの国内こくないほうもとづいた手続てつづきで、議会ぎかいろくぜろにち以内いない判断はんだんくだすこととなっています。

アメリカが解除かいじょしたたいイラン制裁せいさいふたたすことになれば、アメリカをはじめ関係かんけいこく制裁せいさい解除かいじょするわりにイランがかく開発かいはつ制限せいげんする合意ごうい先行さきゆきがあやぶまれる事態じたいとなります。

また、ティラーソン国務こくむ長官ちょうかんはトランプ大統領だいとうりょう議会ぎかいに対にたいして、制裁せいさいふたたすかどうかの検討けんとうおこなまえに、かく開発かいはつだけでなく弾道だんどうミサイル開発かいはつなどもふくむよう国内こくないほう改正かいせい検討けんとううながかんがえだとも説明せつめいし、イランへの圧力あつりょく強化きょうかしたいかんがえをしめしています。

アメリカ議会ぎかい現在げんざい、イランに対にたいきびしい姿勢しせいしめ与党よとう共和党きょうわとう多数たすう維持いじしており、今後こんご議会ぎかい判断はんだん注目ちゅうもくされます。
ソース:NHK ニュース