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オーストリア議会下院選挙 きょう投票 難民問題が争点
2017-10-14 20:50:00

ヨーロッパ中部のオーストリアの議会下院の選挙の投票が日本時間の15日午後から始まり、難民受け入れの厳格化やEU=ヨーロッパ連合の批判などを前面に打ち出して支持を集めている中道右派の政党が勝利するかどうか注目されています。
オーストリアの議会下院にあたる国民議会の選挙の投票は、日本時間の15日午後1時から始まります。オーストリアは、おととし以降、大勢の難民や移民を受け入れたことから国民の不満が高まり、選挙では、難民・移民政策が最大の争点となりました。
選挙戦では、中道右派で連立政権の一角を担う「国民党」が、31歳のクルツ外相を党首にし難民の受け入れの厳格化や難民に支給される手当の削減などを訴えて支持を広げてきました。また、クルツ党首はEU域内に到着した難民を各国に割り当てて受け入れる政策を拒否する考えを示すなどEUに批判的な立場を前面に打ち出してきました。
選挙戦では、国民党のほか極右政党の「自由党」も支持を集めて第2党になる可能性があり、反難民・移民やEU批判を掲げる政党による連立政権が成立する可能性も指摘されています。EUでは難民問題をきっかけにハンガリーなどEUの政策に反発する国々が増えていて、オーストリアでも国民党が勝利すれば、EU内の亀裂がさらに広がる可能性があるとして注目されています。
オーストリアの国民議会選挙の投票は、日本時間の16日午前0時まで行われ、即日開票されます。
選挙戦では、中道右派で連立政権の一角を担う「国民党」が、31歳のクルツ外相を党首にし難民の受け入れの厳格化や難民に支給される手当の削減などを訴えて支持を広げてきました。また、クルツ党首はEU域内に到着した難民を各国に割り当てて受け入れる政策を拒否する考えを示すなどEUに批判的な立場を前面に打ち出してきました。
選挙戦では、国民党のほか極右政党の「自由党」も支持を集めて第2党になる可能性があり、反難民・移民やEU批判を掲げる政党による連立政権が成立する可能性も指摘されています。EUでは難民問題をきっかけにハンガリーなどEUの政策に反発する国々が増えていて、オーストリアでも国民党が勝利すれば、EU内の亀裂がさらに広がる可能性があるとして注目されています。
オーストリアの国民議会選挙の投票は、日本時間の16日午前0時まで行われ、即日開票されます。
オーストリアの政治と今回の選挙のきっかけは
今回の選挙は、ことし5月、中道右派、国民党のクルツ党首が、中道左派の社会民主党との連立政権を解消すると表明したのをきっかけに、行われることになりました。
オーストリアは第2次世界大戦後、社民党と国民党が左右の2大政党として政権を担当し、1995年にEU=ヨーロッパ連合に加盟してからは、EUの政策に沿う形で政権が運営されてきました。しかし、今回の選挙では国民党のクルツ党首が難民問題を中心にEUを批判する政策を前面に打ち出していて選挙で勝利すればオーストリアの対EU政策が大きく変わる可能性が指摘されています。
難民政策をめぐってはおととしヨーロッパに中東や北アフリカなどから難民や移民が押し寄せた当初はオーストリア政府もヨーロッパ各国と同様、歓迎する姿勢を示していました。しかし、13万人もの難民・移民が短期間に到着し、たとえば4人の家族には毎月12万円ほどが支給されるなど、難民・移民に対する手厚い支援に、市民のあいだから疑問の声があがるようになりました。
そして去年、行われた大統領選挙では、反難民・移民を訴えた極右政党・自由党の候補が決選投票にまで残るなど大きく躍進し、社民党と国民党の連立による今の政府に対する国民の不満の大きさが浮き彫りになりました。
事態を深刻に受け止めた国民党は、ことし5月、国民のあいだで人気が高い31歳のクルツ外相を党首に任命し、巻き返しを図ったのです。クルツ党首の就任以降国民党の支持率は、首位を維持し続けています。
オーストリアは第2次世界大戦後、社民党と国民党が左右の2大政党として政権を担当し、1995年にEU=ヨーロッパ連合に加盟してからは、EUの政策に沿う形で政権が運営されてきました。しかし、今回の選挙では国民党のクルツ党首が難民問題を中心にEUを批判する政策を前面に打ち出していて選挙で勝利すればオーストリアの対EU政策が大きく変わる可能性が指摘されています。
難民政策をめぐってはおととしヨーロッパに中東や北アフリカなどから難民や移民が押し寄せた当初はオーストリア政府もヨーロッパ各国と同様、歓迎する姿勢を示していました。しかし、13万人もの難民・移民が短期間に到着し、たとえば4人の家族には毎月12万円ほどが支給されるなど、難民・移民に対する手厚い支援に、市民のあいだから疑問の声があがるようになりました。
そして去年、行われた大統領選挙では、反難民・移民を訴えた極右政党・自由党の候補が決選投票にまで残るなど大きく躍進し、社民党と国民党の連立による今の政府に対する国民の不満の大きさが浮き彫りになりました。
事態を深刻に受け止めた国民党は、ことし5月、国民のあいだで人気が高い31歳のクルツ外相を党首に任命し、巻き返しを図ったのです。クルツ党首の就任以降国民党の支持率は、首位を維持し続けています。
選挙の争点は難民・移民問題
世論調査では30%を超える支持を集め、トップを走り続けている国民党のクルツ党首は、難民・移民問題への対処をみずからの政策の前面に打ち出しています。クルツ党首は、EUが2年前に合意した難民の受け入れを各国に強制的に割り当てる政策を批判しています。また、EU域内では国境をまたいだ人の自由な移動が認められていますが、クルツ党首は難民対策として各国が自国の国境を守り誰の入国を許すかを決める権利があると主張しています。
一方、極右政党の自由党は、「イスラム化を防げ」というスローガンを掲げていて、イスラム教徒については今後、難民・移民として事実上、受け入れないという過激な姿勢を示すなどして国民の支持を集めています。
また、社民党は、EUの難民政策には課題があるとしたうえで、戦争や迫害から逃れてきた難民については受け入れる必要があるとしてこれまでどおりの寛容な政策を続けるべきだと主張しています。
一方、極右政党の自由党は、「イスラム化を防げ」というスローガンを掲げていて、イスラム教徒については今後、難民・移民として事実上、受け入れないという過激な姿勢を示すなどして国民の支持を集めています。
また、社民党は、EUの難民政策には課題があるとしたうえで、戦争や迫害から逃れてきた難民については受け入れる必要があるとしてこれまでどおりの寛容な政策を続けるべきだと主張しています。
最年少首相候補「国民党」のクルツ党首とは
中道右派「国民党」の党首で外相を務めるゼバスティアン・クルツ氏は、31歳。首都ウィーンで生まれました。高校時代に国民党の青年部に入って頭角をあらわし、2010年に24歳でウィーンの市議会議員となったのに続き、翌年には内務省に設けられた移民統合局のトップに抜てきされました。2013年に行われた前回の国民議会選挙で初当選を果たし、歴代最年少の27歳で外相に就任しました。
おととし、中東などから大勢の難民や移民がヨーロッパに流入し、国民の不満が高まるとクルツ外相は、隣国ドイツのメルケル首相の寛容な受け入れ政策を強く批判するとともに、バルカン半島の国々と協力して、国境管理を強化し、難民や移民の受け入れを抑制しました。さらに、難民と認められなかった人の強制送還を積極的に進めたほかイスラム教徒の女性の顔全体を覆う「ブルカ」を禁止する法案の制定を主導し、イスラム教徒に対する厳しい姿勢を示しています。EU=ヨーロッパ連合についても、国境審査を中心に各国がEUに手渡してきた主権を取り戻すべきだと主張しています。
クルツ外相はこうした厳しい難民の受け入れ政策や若く行動力のあるイメージが国民の支持を集めています。ことし5月、国民党の党首に選出されると、世論調査で20%前後に低迷していた国民党の支持率を10ポイント以上伸ばし、第1党に押し上げました。
おととし、中東などから大勢の難民や移民がヨーロッパに流入し、国民の不満が高まるとクルツ外相は、隣国ドイツのメルケル首相の寛容な受け入れ政策を強く批判するとともに、バルカン半島の国々と協力して、国境管理を強化し、難民や移民の受け入れを抑制しました。さらに、難民と認められなかった人の強制送還を積極的に進めたほかイスラム教徒の女性の顔全体を覆う「ブルカ」を禁止する法案の制定を主導し、イスラム教徒に対する厳しい姿勢を示しています。EU=ヨーロッパ連合についても、国境審査を中心に各国がEUに手渡してきた主権を取り戻すべきだと主張しています。
クルツ外相はこうした厳しい難民の受け入れ政策や若く行動力のあるイメージが国民の支持を集めています。ことし5月、国民党の党首に選出されると、世論調査で20%前後に低迷していた国民党の支持率を10ポイント以上伸ばし、第1党に押し上げました。
欧州国政選挙 根強い右派の躍進
ヨーロッパではことし、オランダやフランス、それにドイツなどで相次いで国政選挙が行われました。選挙ではいずれも、EU=ヨーロッパ連合との関わり方や、中東などからの難民や移民の受け入れの是非などが、大きな争点となりました。
このうち3月に行われたオランダ議会選挙ではルッテ首相の中道右派の与党が第1党を維持したものの、移民の排斥やEUからの離脱を掲げるウィルダース党首が率いる極右政党・自由党が、大きく議席を伸ばしました。
また、4月から5月にかけて行われたフランスの大統領選挙では中道のマクロン大統領が決選投票で勝利したものの、移民の制限や反EUを掲げた極右政党・国民戦線のルペン党首も、投票総数のおよそ3分の1を獲得し、フランスの憲政史上、極右政党の候補者として最も多くの支持を集めました。
さらに先月、経済が堅調で、難民の受け入れに寛容だったドイツで行われた連邦議会選挙でも、メルケル首相の与党が苦戦し、難民の受け入れに反対する右派政党「ドイツのための選択肢」が、初めて議席を獲得し、第3党に躍進しました。
このように各国で行われた選挙では、難民や移民への厳しい対応を求める右派政党が勝利こそ収めなかったものの、国民の不安や不満の受け皿となり大きく支持を伸ばしました。
今回のオーストリアの選挙でも、EUの難民政策に批判的な政党が支持を伸ばすと見られていて、今後のEUの政策にも影響を及ぼす可能性があります。
このうち3月に行われたオランダ議会選挙ではルッテ首相の中道右派の与党が第1党を維持したものの、移民の排斥やEUからの離脱を掲げるウィルダース党首が率いる極右政党・自由党が、大きく議席を伸ばしました。
また、4月から5月にかけて行われたフランスの大統領選挙では中道のマクロン大統領が決選投票で勝利したものの、移民の制限や反EUを掲げた極右政党・国民戦線のルペン党首も、投票総数のおよそ3分の1を獲得し、フランスの憲政史上、極右政党の候補者として最も多くの支持を集めました。
さらに先月、経済が堅調で、難民の受け入れに寛容だったドイツで行われた連邦議会選挙でも、メルケル首相の与党が苦戦し、難民の受け入れに反対する右派政党「ドイツのための選択肢」が、初めて議席を獲得し、第3党に躍進しました。
このように各国で行われた選挙では、難民や移民への厳しい対応を求める右派政党が勝利こそ収めなかったものの、国民の不安や不満の受け皿となり大きく支持を伸ばしました。
今回のオーストリアの選挙でも、EUの難民政策に批判的な政党が支持を伸ばすと見られていて、今後のEUの政策にも影響を及ぼす可能性があります。
ソース:NHK ニュース