残暑厳しく 秋も暑くなる見込み “引き続き熱中症対策を”
2024-08-20 07:50:19

気象庁の3か月予報によりますと、9月と10月を中心に平均気温は全国的に平年より高く、東日本や西日本の太平洋側では雨量が多くなりやすいと見込まれています。
気象庁は「残暑が厳しく秋の訪れが遅くなる。引き続き熱中症対策をとってほしい」と呼びかけています。
気象庁が20日発表した9月から11月の長期予報では、太平洋高気圧が日本の南東で張り出しを続けることで、上空の偏西風は平年より北を流れるとみられ、日本付近は引き続き暖かい空気に覆われやすくなる見込みです。
このため、3か月を通して平均気温は全国的に「高い」と予想されています。
月別に見ると9月と10月は全国的に「高い」予想で、11月になると北日本と東日本で「平年並みか高い」、西日本と沖縄・奄美で「ほぼ平年並み」と気温の高止まりがやや和らぐと予想されています。
これはペルー沖の海面水温が平年より下がる「ラニーニャ現象」が冬にかけて発生の可能性が高いとされていて、冬型の気圧配置が強まる可能性があるためです。
太平洋側を中心に雨の量も多くなる可能性があります。
高気圧が南東側に張り出すため、向こう3か月間の降水量は太平洋高気圧の縁を回る暖かく湿った空気の影響を受けやすいと見込まれています。
東日本から西日本の太平洋側と沖縄・奄美で「平年並みか多い」、東日本から西日本の日本海側と北日本で「ほぼ平年並み」と予想されています。
また台風シーズンが長く続く可能性もあります。
冬にかけて「ラニーニャ現象」が発生する可能性が高いため、フィリピンの東の海上で台風のもととなる積乱雲が例年より多く発生すると見込まれているためです。
日本近海の海面水温も気温と同様、高いと予想されています。
気象庁異常気象情報センターの田中昌太郎所長は「残暑が厳しく、秋の訪れが遅くなる見込みのため、油断をせずに熱中症対策を続けてほしい。また、湿った空気が入りやすい上台風の時期が続くため、大雨への対策が大事になる。最新の気象情報に留意してほしい」と呼びかけています。
屋内での熱中症疑いの死者 9割近くが“エアコン使用せず”
東京23区の死因がはっきりしない遺体を調べている東京都監察医務院によりますと、ことし6月から8月18日までに熱中症の疑いで死亡した人は、速報値で222人で、このうち96%にあたる214人が屋内で亡くなっていました。
屋内での死亡例を分析すると、エアコンがあるのに使っていなかったケースが、65%にあたる139人と最も多く、23%にあたる50人はエアコンがない部屋で亡くなっていました。
エアコンを使っていなかったケースは、あわせて189人と、屋内での熱中症疑いの死者の88%を占めています。
電気代抑えた効果的な使用 “リモコン設定がポイント”
熱中症対策に欠かせないエアコンは、どうすれば電気代を抑えて効果的に使えるのか。
空調機器大手「ダイキン工業」の広報担当、森重雄己さんは、リモコンでの設定がポイントだといいます。
このうち風量については「弱にすると電気代を節約できると考える人もいると思うが、私たちが行った実験では、室内が暑いときは風量弱の時より風量自動のほうが、節電につながるという結果となった。弱だと設定温度になるまで時間がかかるので、その分むだな電力を消費するが、自動は最初に強い風が出て設定温度に達したらそれを維持するので効率よく涼しくできる」と話していました。
この会社が行った実験では、午前8時から午後7時まで11時間連続運転した場合の電気代は1キロワットアワーあたり31円で、計算すると風量弱のおよそ119円に対し、風量自動の場合はおよそ86円と、3割近く安くなったということです。
また風が出る方向は「斜め下」よりも「水平」にしたほうが節電につながり、室外機の周辺に物が置かれていると空気の流れを邪魔した結果、無駄な電力を消費してしまう場合があることも知っておいてほしいといいます。
そのうえで森重さんは「30分ほどの外出であれば、こまめに電源を切るより、そのままつけっぱなしにしておいたほうが電気代が安くなる場合がある。寝るときも、朝までエアコンをつけっぱなしにしたほうが、タイマー設定でオフにするより熱中症予防の指標とされる暑さ指数が低いまま、快適に過ごせるという実験結果もあるので、エアコンをうまく使って熱中症対策をしてほしい」と話していました。
“エアコン使用 ためらわないで” 専門家呼びかけ
専門家は熱中症から命を守るためには、エアコンの使用をためらわないでほしいと呼びかけています。
熱中症対策に詳しい済生会横浜市東部病院の谷口英喜医師は「温度も湿度も下げてくれるエアコンは最も効果的な熱中症対策になる。古いタイプのエアコンは温度調整がきかず、冷えすぎたり、風が1か所しかあたらなかったりということがあったが、今のエアコンは設定すれば温度や湿度を自動調整したり、風が直接あたらないよう調整したりしてくれるので、それほど体に悪影響はない。この時期は体が冷えることより熱中症になることのほうが体へのダメージが大きいので、そのリスクを考えてほしい」と話しました。
そのうえで「エアコンで冷やされた空気を吸って体温を下げることが熱中症対策になるので、エアコンの風が苦手な人は、長袖の服を着たり寝るときなら布団にしっかり入ったりしたうえで、エアコンをつけて過ごすようにしてほしい。1日つけっぱなしにしてもかかる電気代は100円程度だが、熱中症の患者1人を救急車で搬送すると10万円単位の税金がかかるので、エアコンで熱中症を予防してもらったほうが社会全体の医療費負担も少なくなる」と指摘しました。
さらに「暑い日が続き、みなさんだいぶ暑さに体が慣れてきた反面、暑さによる疲れがたまってきている時期でもある。引き続き天気予報の暑さ指数や熱中症警戒アラートに注意して行動し、エアコンを使って室内の温度と湿度をコントロールするとともに、水分補給や栄養価の高い食事、十分な睡眠を心がけてほしい」と話していました。