原発げんぱつ新設しんせつへの資金しきん調達ちょうたつ 電力でんりょく会社かいしゃが支援しえん策さく求もとめる 慎重しんちょう意見いけんも

国くにのエネルギー基本きほん計画けいかくの見直みなおしに向むけて、原子力げんしりょく発電はつでんの活用かつようを議論ぎろんする経済けいざい産業さんぎょう省しょうの審議しんぎ会かいが開ひらかれ、電力でんりょく会社かいしゃが新あらたな原発げんぱつの開発かいはつや建設けんせつに必要ひつような資金しきんを調達ちょうたつするための支援しえん策さくを求もとめたのに対にたいし、出席しゅっせき者しゃからは国民こくみん全体ぜんたいに必要ひつよう性せいを問とうべきだといった慎重しんちょうな意見いけんも出だされました。

エネルギー基本きほん計画けいかくの見直みなおしに向むけては、政府せいふが最大限さいだいげんの活用かつようを掲かかげる原発げんぱつの開発かいはつや建設けんせつを進すすめるための支援しえん策さくが焦点しょうてんの一ひとつになっています。

20日にちの審議しんぎ会かいで大手おおて電力でんりょく会社かいしゃでつくる電気でんき事業じぎょう連合れんごう会かいは、原発げんぱつの建設けんせつには巨額きょがくの初期しょき投資とうしが必要ひつようなうえ、事業じぎょう期間きかんが長期ちょうきにわたることから投資とうしを回収かいしゅうできなくなるリスクが大おおきいとして、民間みんかんの投資とうしを後押あとおしする仕組しくみの検討けんとうを求もとめました。

その例れいとして、イギリスでは、原発げんぱつの新しん増設ぞうせつに当にあたって、コストが上昇じょうしょうした場合ばあいの負担ふたんを電気でんきの利用りよう者しゃや国くにも負おうことで、電力でんりょく会社かいしゃが資金しきん調達ちょうたつを行おこないやすくする制度せいどを設もうけていることなどが説明せつめいされました。

これについて、審議しんぎ会かいの委員いいんからは「原子力げんしりょくならではの課題かだいや不安ふあんを払拭ふっしょく（ふっしょく）するような投資とうし環境かんきょうの整備せいびが必要ひつようだ」とか、「エネルギーの安全あんぜん保障ほしょうや脱だつ炭素たんそに向むけて原子力げんしりょくの必要ひつよう性せいは明あきらかで、ばく大ばくだいな資金しきん調達ちょうたつには政府せいふによるサポートが重要じゅうようだ」などと支援しえん策さくの必要ひつよう性せいを指摘してきする意見いけんが出だされました。

一方いっぽうで、「すでに多おおくの原発げんぱつ支援しえん策さくがあり、過剰かじょうな支援しえんになりかねない」とか、「投資とうし価値かちの高たかい電力でんりょくが本当ほんとうに原子力げんしりょくなのか、国民こくみん全体ぜんたいに問とうていく必要ひつようがある」といった慎重しんちょうな意見いけんも出だされていました。

経済けいざい産業さんぎょう省しょうは、こうした意見いけんも踏ふまえ、今後こんご、原発げんぱつも含ふくめた脱だつ炭素たんそ電源でんげんへの投資とうしを促進そくしんする制度せいどや支援しえん策さくを検討けんとうすることにしています。

“巨額きょがくの初期しょき投資とうし リスクの大おおきさ” 原発げんぱつ建設けんせつの課題かだいに

原子力げんしりょく発電はつでん所しょの建設けんせつには、巨額きょがくの初期しょき投資とうしが必要ひつようなうえ、建設けんせつから運転うんてんを終おえるまでの期間きかんが長期ちょうきにわたるため見込みこみよりも収入しゅうにゅうが減へったり費用ひようが増ふえたりして、投資とうしを回収かいしゅうできなくなるリスクが大おおきいことが課題かだいになります。

原発げんぱつの建設けんせつには、調査ちょうさや工事こうじを含ふくめて合あわせておよそ20年ねんかかると見積みつもられていますが、その間そのかんに、人材じんざいが不足ふそくしたり部品ぶひんや装置そうちの供給きょうきゅうが滞とどこおったりすることによる建設けんせつ期間きかんの長期ちょうき化かや、金利きんりの上昇じょうしょうやインフレ、それに、規制きせいの強化きょうかによる追加ついかの安全あんぜん対策たいさくなどでコストが膨ふくらむ可能かのう性せいがあります。

実際じっさい、2020年ねんのデータに基もとづく経済けいざい産業さんぎょう省しょうの試算しさんでは、出力しゅつりょく120万まんキロワットの原発げんぱつ1基き当あたりの建設けんせつ費ひは、6169億おく円えんと見積みつもられていましたが、2023年ねんまでの物価ぶっか変動へんどうを考慮こうりょすると、およそ1割わり増ふえて6796億おく円えんになるということです。

また、フランスで建設けんせつ中ちゅうのフラマンビル原発げんぱつ3号機ごうきでは、建設けんせつコストが当初とうしょ見積みつもりの4倍ばいにあたる132億おくユーロ、日本にっぽん円えんで2兆ちょう円えん以上いじょうに膨ふくれ上あがっていて、背景はいけいには、長ながい間ま、建設けんせつの経験けいけんが無なかったことによる部品ぶひん製造せいぞう企業きぎょうの減少げんしょうや技能ぎのうの低下ていかなどがあると指摘してきされています。

政府せいふは、原子力げんしりょく発電はつでん所しょを含ふくむ脱だつ炭素たんそ電源でんげんへの投資とうしを促うながすため、電気でんきの小売こうり事業じぎょう者しゃの負担ふたんで原則げんそく20年間ねんかんは費用ひように応おうじた固定こてい収入しゅうにゅうが保証ほしょうされるようにする制度せいどを昨年度さくねんどから始はじめましたが、電力でんりょく会社かいしゃなどからは、コストが上うえ振ふれするリスクに対応たいおうしきれないとして、追加ついかの支援しえん策さくを求もとめる声こえが上あがっています。

ソース：NHK ニュース