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仕事しごとじょうせま熱中ねっちゅうしょう危険きけん 先月せんげつ死傷ししょうしゃ最多さいた対応たいおうさく

2024-08-21 09:25:46

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連日れんじつつづ危険きけんあつさ。その影響えいきょう仕事しごとじょうにも。

先月せんげつ仕事しごとじょう熱中ねっちゅうしょう死亡しぼうしたり休業きゅうぎょう余儀よぎなくされたりしたひと全国ぜんこくで188にんにのぼり、7つきとしてはこの5年間ねんかんもっとおおくなったことが厚生こうせい労働ろうどうしょうのまとめでわかりました。

これ以上いじょう被害ひがい食い止くいとめるため、かく業界ぎょうかいでは対応たいおうせまられています。

未明みめいから農作業のうさぎょう そのわけは?

全国ぜんこく有数ゆうすうのオクラの産地さんち鹿児島かごしまけん指宿いぶすきです。

にち出前でまえ午前ごぜん3ごろ、周辺しゅうへんくらなか収穫しゅうかくおこな1にん男性だんせい西にし中川なかがわさちなみさん(36)です。高齢こうれい両親りょうしんとともにオクラを生産せいさんしています。

にちちゅう時間じかんたいけて日の出ひのでまえから作業さぎょうはじめる西にし中川なかがわさん理由りゆう熱中ねっちゅうしょうふせためです。

オクラの収穫しゅうかく最盛さいせいは7つきから8つきにかけてで、西にし中川なかがわさんも5ねんほどまえまではあさ6ごろから収穫しゅうかく作業さぎょうをしていましたが、あつさがきびしさをなか危険きけんかんじるようになったといいます。

そこで近隣きんりん農家のうかからのアドバイスをけたことをきっかけに、にち出前でまえ収穫しゅうかくおこなようになりました。


ヘッドライトでオクラをらしながらヘタの部分ぶぶんにハサミをれ、おおきさやきず状態じょうたいなどを1つずつ確認かくにんするため、あかるい時間じかんたいくらべる作業さぎょう効率こうりつちますが、熱中ねっちゅうしょうふせためにはやむを得やむをえないかんがえています。

農林水産省のうりんすいさんしょうによりますと、おととしまでの10年間ねんかん農作業のうさぎょうちゅうに267にん熱中ねっちゅうしょう死亡しぼうしていて、そのうちの88%が70だい以上いじょうだということです。

農林水産省のうりんすいさんしょうなど農業のうぎょう熱中ねっちゅうしょう対策たいさく強化きょうか急務きゅうむだとして、ことしからすべての農業のうぎょうしゃ対象たいしょう熱中ねっちゅうしょう予防よぼう研修けんしゅうけるよううながしたり、対策たいさく役立やくだファンウェア」などのアイテムやチェックシートによる自己じこ点検てんけん方法ほうほうなどを紹介しょうかいしたりしています。またわか農業のうぎょうしゃ中心ちゅうしんに、作業さぎょうしている高齢こうれいしゃ積極せっきょくてきこえをかけてもらう運動うんどうにも取り組とりくんでいるとしています。



オクラ農家のうか 西にし中川なかがわさちなみさん
「ことしのなつあつさはとく異常いじょうだとかんじています。これ以上いじょうあつくなったら両親りょうしん高齢こうれい心配しんぱいなのではたけ面積めんせきらすことを検討けんとうしなければいけないとかんじています」


仕事しごとじょうでの熱中ねっちゅうしょう 7つき過去かこ5年間ねんかん最多さいた

連日れんじつ危険きけんあつさで、仕事しごとじょうでの熱中ねっちゅうしょうリスクがたかまっています。

厚生こうせい労働ろうどうしょうによりますと、仕事しごとじょうでの熱中ねっちゅうしょうによって死亡しぼうしたり休業きゅうぎょう余儀よぎなくされたりした死傷ししょうしゃすう月別つきべつ速報そくほうで、ことし1つきから5つきわせて19にん、6つきが40にん、7つきは188にんでこのうち10にん死亡しぼうしたということです。先月せんげつ死傷ししょうしゃはこの5年間ねんかんで7つきとしてはもっとおおくなりました。


また去年きょねんまでの10年間ねんかん仕事しごとじょう熱中ねっちゅうしょうによって死亡しぼうしたひとは223にんで、業種ぎょうしゅべつ建設けんせつぎょうもっとおお96にんいで警備けいびぎょうが30にん製造せいぞうぎょうが28にん農業のうぎょうが15にんなどとなっています。

一方いっぽう総務そうむしょう消防庁しょうぼうちょうがまとめている仕事しごとちゅう熱中ねっちゅうしょう病院びょういん搬送はんそうされたひと場所ばしょべつと、ことし4月末げつまつから今月こんげつ18にちまでに搬送はんそうされた8500にんあまうち道路どうろ工事こうじ現場げんば工場こうじょう作業さぎょうしょなどが7031にん田畑たはた森林しんりんうみなどで農業のうぎょう水産すいさんぎょうなどをおこなっていた事例じれいが1646にんとなっています。


死傷ししょうしゃ最多さいた 対応たいおうせまられる建設けんせつぎょう

仕事しごとじょうでの熱中ねっちゅうしょうによる死傷ししょうしゃもっとおお建設けんせつぎょうでは対応たいおうせまられています。

大手おおてゼネコン「大成たいせい建設けんせつ」の東京とうきょう新宿しんじゅくだい規模きぼさい開発かいはつ現場げんばでは、ビル解体かいたい作業さぎょう毎日まいにちおよそ500にん作業さぎょうたっています。


ことしは31以上いじょうで「危険きけん」とされるあつ指数しすうが32をえるもあり、屋外おくがいでの朝礼ちょうれい時間じかん通常つうじょう半分はんぶん短縮たんしゅくしておこない、現場げんば責任せきにんしゃが「あつさと湿気しっけから自分じぶんいのちまも行動こうどうをとってほしい」とびかけていました。


この現場げんばでは冷房れいぼういた「クーリングルーム」やミスト扇風機せんぷうき水分すいぶん補給ほきゅうのサーバーを設置せっちかき氷かきごおり配布はいふおこなわれ、さらに、熱中ねっちゅうしょう症状しょうじょうさいにはすぐに対応たいおうできるよう看護かんご常駐じょうちゅうする部屋へや完備かんびされています。


大成たいせい建設けんせつでは去年きょねん熱中ねっちゅうしょう発生はっせいおととしからおよそ2ばいになったことから、ことしはじめてあつ指数しすうによる社内しゃない独自どくじ行動こうどう指針ししんめました。

指針ししんではあつ指数しすう予測よそくが28以上いじょう場合ばあい原則げんそくとして通常つうじょう休憩きゅうけいくわえて1時間じかんに1かい、10ふん程度ていど休憩きゅうけいとこまめな水分すいぶん塩分えんぶん補給ほきゅう、31以上いじょう場合ばあい昼休ひるやす延長えんちょうして最高さいこう気温きおんでの作業さぎょうけることなどとしています。

そして、「あつ指数しすう」をだれもが確認かくにんしやくするため、通路つうろにプロジェクターであつ指数しすう危険きけん度合どあ映し出うつしだし、はいりやすくする工夫くふうや、かく作業さぎょうじょうをまとめる担当たんとうしゃあつ指数しすうけい携帯けいたいし、基準きじゅんえるとアラームが設定せっていにしているほか担当たんとうしゃのタブレット端末たんまつに、1にちに3かい気温きおんあつ指数しすうなどメッセージおくり、まわ作業さぎょういんへの注意ちゅうい喚起かんきうながしています。

作業さぎょうじょう担当たんとうしゃは「解体かいたい現場げんば重機じゅうきうごいているので熱気ねっきもあってあつうえ、からだうごかすことによってあせため、気温きおんたかのかどうかがわかりづらい。そのため、計測けいそく数値すうち確認かくにんしたりアラームがったりすることで気温きおんあつ指数しすうがわかるので、休憩きゅうけいをとるようにしている」とはなしていました。



統括とうかつ所長しょちょう八須はちす智紀ともきさん
とくはたらいていると作業さぎょう没頭ぼっとうするなかなか自分じぶんタイミングやすめないことがあるので、数値すうちでの確認かくにんや、アラームがことで啓発けいはつすることが非常ひじょう重要じゅうようだ。さらに気温きおん上昇じょうしょうしてくると作業さぎょう能率のうりつがるだけでなくいのちにもかかわるので、建設けんせつぎょうにとってはおおきな課題かだい作業さぎょう時間じかんをずらしたり、直射ちょくしゃ日光にっこうびる時間じかん制限せいげんしたりするなどあらゆる観点かんてんから対策たいさく検討けんとうしなくてはいけない」


過酷かこくしょう規模きぼ現場げんば現状げんじょう

東京とうきょう神奈川かながわけん埼玉さいたまけんなどで小規模しょうきぼ建設けんせつぎょう組合くみあいいんおお所属しょぞくする「首都しゅとけん建設けんせつ産業さんぎょうユニオン」によりますと、『町場ちょうば建築けんちく現場げんば』とばれる小規模しょうきぼ現場げんばはたら組合くみあいいんからは休憩きゅうけいしようにも休憩きゅうけいする場所ばしょがないというこえせられているということです。

たとえば住宅じゅうたく建築けんちく現場げんばや、外壁がいへき塗装とそう屋根やね修復しゅうふくそれ道路どうろ舗装ほそう工事こうじなど作業さぎょうは、住宅じゅうたくがい道路どうろじょうのため休憩きゅうけい場所ばしょ確保かくほむずかしく、ちかくるまめるスペースや日陰ひかげもなく、車内しゃないすずもうとしても機材きざい荷物にもつなどがかれたり、作業さぎょういん複数ふくすういるとはいりきれない場合ばあいあるということです。

またマンション室内しつないのリノベーションなど冷房れいぼう設置せっちされるまえ内装ないそう工事こうじでは、屋内おくない作業さぎょうねつげないため蒸し暑むしあつさであせにくくなり、うしなってたおれたという事例じれいもあったということです。


専門せんもん熱中ねっちゅうしょう対策たいさくふせげる災害さいがい


労働ろうどう安全あんぜん衛生えいせい総合そうごう研究所けんきゅうじょ」の齊藤さいとう宏之ひろゆき ばく評価ひょうか研究けんきゅう部長ぶちょう
熱中ねっちゅうしょうふせためには水分すいぶん塩分えんぶん補給ほきゅうくわえて、仕事しごとじょうからだやすめてやすことができる休憩きゅうけいしょを、出来でき範囲はんい設置せっちすることが重要じゅうようだ。だい規模きぼ建設けんせつ現場げんばでは、ほとんど熱中ねっちゅうしょう対策たいさくルームなど冷房れいぼういていてつめたい飲み物のみもの用意よういされたかたち休憩きゅうけいしょ整備せいびされ、死亡しぼう重症じゅうしょうふせいでいるのでひとつの理想りそうかたちだ。建設けんせつぎょうなかでも個人こじん住宅じゅうたく道路どうろ工事こうじなど小規模しょうきぼ現場げんば警備けいびぎょう農業のうぎょうなど屋外おくがいでなおかつ休憩きゅうけいしょ設置せっちむずかしいところでは、重症じゅうしょうするケースがたない。たとえば農業のうぎょう場合ばあい自宅じたくから農地のうちまでがとおかったりちか休憩きゅうけいしょがなかったりすると熱中ねっちゅうしょうのリスクはがってしまう


そのうえで、こうした小規模しょうきぼ現場げんばでも、できるかぎり休憩きゅうけいしょ設置せっち重要じゅうようだとして、トラック自家用車じかようしゃ車内しゃない冷房れいぼうをかけて休憩きゅうけいしたり、建設けんせつ現場げんばでは足場あしばざい防水ぼうすいシートなど資材しざい使つかって簡易かんいてき休憩きゅうけいしょつくったりするケースあるとしています。


農業のうぎょう自然しぜん相手あいてなので、夏場なつば時期じき作業さぎょう完全かんぜんけるということはむずかしいため、夜間やかん早朝そうちょう作業さぎょう時間じかんをずらしていくことは現実げんじつてき必要ひつようになってくるとおも一方いっぽう建設けんせつぎょうでは、なつ期間きかんはフルタイムではたらかなくても間に合まにあ納期のうきにするなど発注はっちゅうがわ意識いしきえてもらうことも必要ひつようだ。また、フルタイムではたらけないと作業さぎょういん収入しゅうにゅう問題もんだい発生はっせいするため、こうした課題かだいくに全体ぜんたいかんがえていかなければならない」


熱中ねっちゅうしょう非常ひじょうこわ災害さいがいだが、きちんとした対策たいさくによって、かならふせげる災害さいがいだ。熱中ねっちゅうしょう死亡しぼうするひと年間ねんかん1000にん状態じょうたいここすうねんつづき、職場しょくばよりも自宅じたくなど死亡しぼうするひとおお仕事しごとでも、自宅じたくでも、学校がっこうでも対策たいさく着実ちゃくじつおこなことが重要じゅうようだ」


応急おうきゅう処置しょち」と「病院びょういん搬送はんそう」のタイミング

どのような症状しょうじょう場合ばあい熱中ねっちゅうしょううたがあるのか、応急おうきゅう処置しょちそして病院びょういん搬送はんそうするべき状況じょうきょうは…。した保存ほぞんしておいてください。


ソース:NHK ニュース