国の来年度予算案の編成に向け、各省庁が財務省に提出する概算要求は30日に締め切られます。社会保障や防衛など多くの分野で要求が増えることから、一般会計の総額は4年連続で110兆円を超え、過去最大となる見通しです。
来年度予算案の概算要求は、30日が各省庁からの提出期限で、要求を受け付ける財務省主計局では文部科学省などの担当者とオンライン会議で結び、内容の確認作業を行っていました。
今回の概算要求で、
▽文部科学省は、教員の処遇改善や働き方改革などへの対応として、今年度予算より6100億円余り多い5兆9530億円を要求します。
▽厚生労働省は、医療や年金など社会保障の費用が増えるとして、今年度予算を4500億円以上、上回る34兆2763億円を要求します。
▽防衛省は、防衛力の抜本的な強化を進めるため、要求額は8兆円を超えて過去最大となる見通しです。
一方、
▽財務省は、日銀の金融政策の転換で長期金利が上昇し、国債の利払い費が増えると見込んで、「国債費」の要求額を今年度予算を1兆9000億円余り上回る28兆9116億円としています。
各省庁の概算要求の一般会計の総額は、4年連続で110兆円を超え、去年の114兆円も上回って過去最大となる見通しです。
さらに、賃上げや少子化対策など政府が重要政策と位置づける事業では、具体的な金額を示さない「事項要求」が相次ぐと予想され、実質的な要求額はさらに膨らむ見通しです。
鈴木財務相「
経済成長と
財政健全化の
両立を
進めたい」
来年度予算案の概算要求について、鈴木財務大臣は閣議のあとの記者会見で「来年度の予算編成では持続的、構造的な賃上げの実現や、官民連携による投資の拡大、少子化対策や子ども政策の取り組みの加速、防衛力の抜本的な強化をはじめとしたわが国を取り巻く環境変化への対応を進めていくことが重要だ」と述べました。
そのうえで「国債の利払い費の増加や人件費や調達価格の上昇などについて適切に対応しながら、これまでの歳出改革の努力を継続することで経済成長と財政健全化の両立をしっかりと進めていきたい」と述べました。
また、金額を示さない事項要求が認められていることで歳出が拡大するのではないかと問われたのに対し、鈴木大臣は「財政規律が緩むことにならないよう予算編成過程でしっかりと査定していきたい」と述べました。