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くるま走行そうこうタイヤ摩耗まもうによるふんじん 欧州おうしゅうあら規制きせいするうご

2023-08-11 06:17:18

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自動車じどうしゃ走行そうこうちゅうタイヤ道路どうろ摩擦まさつ排出はいしゅつされる、タイヤの摩耗まもうによるふんじんについて、ヨーロッパでは環境かんきょうへの影響えいきょう懸念けねんされるとしてあら規制きせいするうごています。

イギリスの大学だいがく、インペリアル・カレッジ・ロンドンがことし2つき発表はっぴょうした報告ほうこくしょによりますと、タイヤ摩耗まもうによるふんじんは、世界せかい全体ぜんたい年間ねんかん600まんトンおよ推計すいけいしています。

そのおおきさはえるサイズからナノレベルの粒子りゅうしまでさまざまだということです。

そのうえで、ふんじんおおきさによって大気たいきちゅうただよったり、道路どうろから側溝そっこうなどを通をつうじてかわうみ流れ出ながれだしたりする可能かのうせいがあり、ひと健康けんこう生態せいたいけいへの影響えいきょう懸念けねんされるものの、長期ちょうきてきにどんな影響えいきょうをもたらすか十分じゅうぶん調査ちょうさができていないと指摘してきしています。

懸念けねんたかまり背景はいけいに、EU=ヨーロッパ連合れんごう執行しっこう機関きかんにあたるヨーロッパ委員いいんかいは、去年きょねん11つき、タイヤの摩耗まもうによるふんじんについてあら規制きせいする方針ほうしんしめしました。

ヨーロッパ委員いいんかいは、規制きせい策定さくていけて来年らいねんちゅうタイヤ摩耗まもう測定そくてい方法ほうほうなど検討けんとうすることにしています。


タイヤふんじんについて研究けんきゅうしているインペリアル・カレッジ・ロンドンのステファニー・ライト博士はかせは、「タイヤの摩耗まもう問題もんだいなのは、タイヤ自体じたいがさまざまな化学かがく物質ぶっしつわさってできているからだ。こうした化学かがく物質ぶっしつ環境かんきょう放出ほうしゅつされる可能かのうせいがあり、一部いちぶきわめて毒性どくせいつよ」と指摘してきしています。

そのうえで「環境かんきょうにとって問題もんだいなることは最近さいきんわかってきたばかりだ。人々ひとびと健康けんこうまもためにもってもらうことがかせない」と強調きょうちょうしています。


イギリス 「ふんじん」の問題もんだいいち早いちはや取り組とりく企業きぎょう

タイヤ摩耗まもうによるふんじんの問題もんだいいち早いちはや取り組とりく企業きぎょうが、イギリス ロンドンにあります。

この企業きぎょうでは、自動車じどうしゃ走行そうこうちゅうタイヤ道路どうろ摩擦まさつ発生はっせいする静電気せいでんき利用りようしてふんじん回収かいしゅうする装置そうち開発かいはつしています。

装置そうち車体しゃたいタイヤちか場所ばしょ取り付とりつけられ、ふんじん静電気せいでんき引き寄ひきよせられます。

さらに、企業きぎょうでは、回収かいしゅうしたタイヤふんじんあたらしいタイヤの材料ざいりょうなどさい利用りようすることも目指めざしているということです。


この企業きぎょう設立せつりつしたメンバーの1にんで、技術ぎじゅつ部門ぶもんトップつとめるヒューゴ・リチャードソンさん(28)は、大学院だいがくいん研究けんきゅう過程かていタイヤふんじん問題もんだいについてったといいます。

ロンドンのもっとなが路線ろせんバスは、いちにちでおよそ300グラムタイヤふんじん排出はいしゅつしているということで、おおきさはグレープフルーツ1ぶん相当そうとうするということです。

そのりょう衝撃しょうげきけたというリチャードソンさんは、いまくるまこうできる装置そうち開発かいはつすることで、即効そっこうせいのある解決かいけつさくにつなげようと、3ねんまえ、2にんのメンバーと共ととも起業きぎょうしました。

開発かいはつした装置そうち去年きょねん環境かんきょう問題もんだい対策たいさくちかられる当時とうじ皇太子こうたいしだったチャールズ国王こくおう設立せつりつしたしょうにもえらばれ、リチャードソンさんたちはタイヤふんじん問題もんだい自分じぶんたちの装置そうちについて、直接ちょくせつ、チャールズ国王こくおう説明せつめいしました。

また去年きょねん、3か月かげつかんにわたり、ロンドンに拠点きょてん物流ぶつりゅう会社かいしゃ実証じっしょう実験じっけん実施じっしするなどふんじん回収かいしゅうりつたかめ、さい来年らいねん実用じつよう目指めざしています。

リチャードソンさんは「タイヤ摩耗まもうすることはだれもがっているのに、そのふんじんどこかをかんがえているひとはいませんでした。わたしたちの長期ちょうきてき目標もくひょうは、自動車じどうしゃメーカー協力きょうりょくして、すべての車両しゃりょう自分じぶんたちの製品せいひん装着そうちゃくさせることです」とはなしていました。


EVにとって課題かだいなるとの指摘してき

タイヤふんじんは、環境かんきょうやさしいとして利用りようひろがっているEV=電気でんき自動車じどうしゃにとって課題かだいになるとも指摘してきされています。

自動車じどうしゃ環境かんきょうへの影響えいきょう分析ぶんせきする調査ちょうさ会社かいしゃ「エミッションズ・アナリティクス」によりますと、EVは、ガソリンしゃなどくらべてよりおおきいバッテリーを搭載とうさいし、車体しゃたいおもため、タイヤ摩耗まもうによるふんじん排出はいしゅつりょうおよそ20%おおとしています。

調査ちょうさ会社かいしゃのニック・モールデンCEOは、「よりおおきく、よりおもEVへ移行いこうすることで、タイヤふんじん排出はいしゅつりょうえ、問題もんだいおおきくなる安全あんぜんせいそこなうことなく環境かんきょうへの影響えいきょう低減ていげんさせるのは、技術ぎじゅつてき非常ひじょうむずかしい有害ゆうがい化学かがく物質ぶっしつ利用りようらしてタイヤ製造せいぞうすることが重要じゅうようだ」とはなしています。


日本にっぽんでも対策たいさくすすめられる

タイヤ摩耗まもうによるふんじんについては、日本にっぽんでも対策たいさくすすめられています。

日本にっぽん国内こくない主要しゅようタイヤメーカーなど構成こうせいする「日本にっぽん自動車じどうしゃタイヤ協会きょうかい」によりますと、日本にっぽんでも安全あんぜんせい確保かくほしつつ、摩耗まもうしにくいタイヤの開発かいはつ長年ながねんすすめられているということです。

また規制きせい導入どうにゅう視野しやタイヤどのくらい摩耗まもうしやすいかを計測けいそくする国際こくさいてき試験しけん方法ほうほう確立かくりつけて、各国かっこく政府せいふ協議きょうぎはじまっていて、タイヤメーカー参加さんかしているとしています。

日本にっぽん自動車じどうしゃタイヤ協会きょうかい」の倉田くらた健児けんじ専務せんむ理事りじは、「国際こくさいてき規制きせい導入どうにゅうするとしたら、試験しけん方法ほうほうどうするかということは、非常ひじょうおおきな議論ぎろん対象たいしょうなるぜん世界せかい納得なっとくする試験しけん方法ほうほう開発かいはつすすめたい」とはなし、積極せっきょくてきかかわっていくかんがしめしました。

そのうえで「環境かんきょう負荷ふかのひとつとなるふんじんらしていくことは、以前いぜんからおおきな課題かだいだ。タイヤ製造せいぞう利用りよう廃棄はいきのプロセスで発生はっせいする環境かんきょう負荷ふか低減ていげんすることは、規制きせい有無うむにかかわらずたしていかなければならない」とはなし、ふんじんの対策たいさく取り組とりくんでいくとしています。

ソース:NHK ニュース