日にち豪ごう両国りょうこく 中国ちゅうごく念頭ねんとうに深ふかまる防衛ぼうえい協力きょうりょく “準じゅん同盟どうめい”の関係かんけいとも

G7広島ひろしまサミットの招待しょうたい国こくの一ひとつとして、オーストラリアのアルバニージー首相しゅしょうが来日らいにちし、21日にち午前ごぜんには岸田きしだ総理そうり大臣だいじんとの首脳しゅのう会談かいだんが行おこなわれました。

日本にっぽんとオーストラリアは、太平洋たいへいよう地域ちいきで海洋かいよう進出しんしゅつを強つよめる中国ちゅうごくを念頭ねんとうに、近年きんねん、安全あんぜん保障ほしょう面めんでの協力きょうりょくを強化きょうかしていて、2国こく間かんは「準じゅん同盟どうめい」と呼よばれるまでの関係かんけいになっています。

日にち豪ごう両国りょうこく 様々さまざまな協力きょうりょく

両国りょうこくの首脳しゅのうは去年きょねん1月つき、オーストラリア軍ぐんと自衛隊じえいたいが共同きょうどう訓練くんれんの際さいに互たがいに部隊ぶたいを派遣はけんしやすいよう、法的ほうてき地位ちいや手続てつづきなどをあらかじめ取り決とりきめておく「日にち・豪ごう円滑えんかつ化か協定きょうてい」に署名しょめいしました。

日にち豪ごう首脳しゅのう会談かいだん（2022年ねん10月つき）

また、去年きょねん10月つきには、日にち豪ごう両国りょうこくや周辺しゅうへん地域ちいきに影響えいきょうを及およぼしうる緊急きんきゅう事態じたいの際さいには相互そうごに協議きょうぎし、対応たいおう措置そちを検討けんとうすることなどを明記めいきした安全あんぜん保障ほしょう協力きょうりょくに関にかんする新あらたな共同きょうどう宣言せんげんに署名しょめいしました。

共同きょうどう訓練くんれんの規模きぼも拡大かくだいしていて、去年きょねん8月つきにはオーストラリア空軍くうぐんの多国たこく間かん演習えんしゅうに航空こうくう自衛隊じえいたいが初はじめて参加さんかし、アメリカ以外いがいへの国くにでは初はじめてオーストラリアにF2戦闘せんとう機きを派遣はけんしたほか、ことし8月つきにはオーストラリア軍ぐんがアメリカ軍ぐんとともに主導しゅどうする最大さいだい規模きぼの多国たこく間かん演習えんしゅうにも自衛隊じえいたいが参加さんかし、海上かいじょう自衛隊じえいたいの護衛ごえい艦かん「いずも」を派遣はけんする予定よていです。

自衛隊じえいたいの幹部かんぶとオーストラリア軍ぐんの相互そうご訪問ほうもんも相次あいついでいて、両国りょうこくは防衛ぼうえい協力きょうりょくを強化きょうかする姿勢しせいを前面ぜんめんに打ち出うちだしています。

幹部かんぶ自衛じえい官かんをオーストラリア陸軍りくぐんに派遣はけん

防衛ぼうえい協力きょうりょくが進すすむ中なか、陸上りくじょう自衛隊じえいたいは、オーストラリア陸軍りくぐんに幹部かんぶ自衛じえい官かんを派遣はけんして、さらなる連携れんけいを深ふかめています。

オーストラリア東部とうぶブリスベン郊外こうがいの陸軍りくぐん基地きちに去年きょねん4月つきから派遣はけんされている陸上りくじょう自衛隊じえいたいの多田ただ祥さち太朗たろう2等とう陸りく佐たすく（40）です。

陸上りくじょう自衛隊じえいたいでは日にち米べいの共同きょうどう訓練くんれんの計画けいかくの作成さくせいや、調整ちょうせいなどの任務にんむに従事じゅうじしていました。

初はじめての連絡れんらく官かんとして今いま、オーストラリア陸軍りくぐんの幹部かんぶと共同きょうどう訓練くんれんについて調整ちょうせいしたり、必要ひつような情報じょうほうを交換こうかんしたりするなどオーストラリア軍ぐんと自衛隊じえいたいの間までの連絡れんらく調整ちょうせいを担当たんとうしています。

陸上りくじょう自衛隊じえいたい 多田ただ祥さち太朗たろう2等とう陸りく佐たすく（40）

多田たださんは「オーストラリア軍ぐんと対面たいめんで一緒いっしょに仕事しごとをすることで訓練くんれんの計画けいかくが深ふかまります。人間にんげん関係かんけいも深ふかまって訓練くんれんの計画けいかくがより具体ぐたい化かされていきます。日本にっぽんとオーストラリアが互たがいに協力きょうりょくすることは大おおきな意義いぎがあり、そのつながりを連絡れんらく官かんとして現場げんばでしっかり実現じつげんさせていきたいです」と話はなしていました。

オーストラリア陸軍りくぐん第だい1師団しだん マーク・マンカウスキ大佐たいさ

多田たださんが派遣はけんされているオーストラリア陸軍りくぐん第だい1師団しだんのマーク・マンカウスキ大佐たいさは「連絡れんらく官かんが導入どうにゅうされたことで、太平洋たいへいよう地域ちいきでの両国りょうこく間かんの連携れんけいが強化きょうかされたと感かんじている。今後こんご、トンガでの火山かざん噴火ふんかの時ときのように、太平洋たいへいようの島とうしょ国こくで災害さいがいが起おきた際さいは、両国りょうこくがより強つよく連携れんけいして対応たいおうすることができるようになるだろう」と話はなし、災害さいがい支援しえんでも連携れんけいを深ふかめることに期待きたいを示しめしました。

背景はいけいにあるのは中国ちゅうごくの存在そんざい

日本にっぽんとオーストラリアの防衛ぼうえい協力きょうりょくは、二に国こく間かんにとどまらず、オーストラリアに隣接りんせつする太平洋たいへいよう島とうしょ国こくも見据みすえています。

海上かいじょう自衛隊じえいたいはことし4月つきから9月つきまでの日程にっていで、インド太平洋たいへいよう地域ちいきに部隊ぶたいを派遣はけんし、オーストラリアだけでなくキリバスやソロモン諸島しょとう、トンガなどの南みなみ太平洋たいへいようの島国しまぐにも訪問ほうもんすることになっています。

背景はいけいにあるのは、巨額きょがくの支援しえんや投資とうしをてこにこの地域ちいきで影響えいきょう力りょくを拡大かくだいさせている中国ちゅうごくの存在そんざいです。

中国ちゅうごくは去年きょねん、ソロモン諸島しょとうと安全あんぜん保障ほしょうに関にかんする協定きょうていを結むすんだほか、当時とうじの王おう毅あつし外相がいしょうが太平洋たいへいよう島とうしょ国こくを歴訪れきほうして、気候きこう変動へんどうや防災ぼうさいなどの分野ぶんやで各国かっこくへの支援しえんを進すすめる方針ほうしんを示しめしました。

こうした中なか、オーストラリアは安全あんぜん保障ほしょう面めんで中国ちゅうごくへの警戒けいかいを高たかめていて、専門せんもん家かは太平洋たいへいよう地域ちいきでの連携れんけい相手あいてとして日本にっぽんが重要じゅうような存在そんざいだと強調きょうちょうします。

ローウィー研究所けんきゅうじょ リチャード・マグレガー氏し

オーストラリアの安全あんぜん保障ほしょう政策せいさくに詳くわしいシドニーのシンクタンク「ローウィー研究所けんきゅうじょ」のリチャード・マグレガー氏しは「日にち豪ごう関係かんけいはかつては貿易ぼうえきが中心ちゅうしんだったが、今いまは安全あんぜん保障ほしょう面めんでの連携れんけいが急速きゅうそくに強化きょうかされ、ここ10年ねんで関係かんけいは大おおきく変化へんかした」とした上うえで、「オーストラリアは自国じこくだけで中国ちゅうごくに対抗たいこうすることはできず、太平洋たいへいよう地域ちいきにおける中国ちゅうごくへの抑止よくし力りょくをアメリカに頼たよることもできない。価値かち観かんを共有きょうゆうする信頼しんらいできるパートナーとして、オーストラリアは日本にっぽんを高たかく評価ひょうかしている」と指摘してきしています。

一方いっぽう、島とうしょ国こく側がわからは、「大国たいこく間かんの争あらそいに巻き込まきこまれたくない」という声こえも出でています。

クック諸島しょとう ブラウン首相しゅしょう

太平洋たいへいよう島とうしょ国こくなど18の国くにと地域ちいきで作つくる枠組わくぐみ「太平洋たいへいよう諸島しょとうフォーラム」の議長ぎちょう国こくとしてG7広島ひろしまサミットに参加さんかしているクック諸島しょとうのブラウン首相しゅしょうは、NHKのインタビューに対にたいし「各かく島国しまぐにはそれぞれ異ことなる支援しえんを必要ひつようとしている。クック諸島しょとうに必要ひつようなのは、経済けいざい成長せいちょうや気候きこう変動へんどう対策たいさく、人的じんてき交流こうりゅうの分野ぶんやでの協力きょうりょくだ」と述のべ、日本にっぽんとオーストラリアの連携れんけいが太平洋たいへいよう地域ちいきの人々ひとびとの生活せいかつ環境かんきょうの向上こうじょうにつながることへの期待きたいを示しめしました。

ソース：NHK ニュース