News
Show Furigana

食事しょくじ睡眠すいみんもままならない…」“付き添つきそ入院にゅういん過酷かこく改善かいぜん

2023-06-01 07:16:52

avatar
まれてすぐ、病気びょうき入院にゅういんつづいたむすめ

病院びょういんのみなさんは本当ほんとう一生いっしょう懸命けんめいてくださっているし、つらいのはこのだから、おや自分じぶん弱音よわねわけにはいかないーーそうおもいながらも、プライバシーも十分じゅうぶんになく食事しょくじ睡眠すいみんもままならない日々ひびに、“戦場せんじょう”にような過酷かこくさをかんじていたとおやいます。

付き添つきそ入院にゅういん」の実態じったいとは?環境かんきょう改善かいぜんけたうごは?

当事者とうじしゃ医療いりょう現場げんば支援しえん団体だんたいうごきをまとめました。

付き添つきそ必須ひっす

冒頭ぼうとう写真しゃしんは、東京とうきょう都内とない露木つゆき貴子たかこさん次女じじょけいちゃん(4さい)です。じん不全ふぜん治療ちりょうまれてすぐのときから入院にゅういんつづき、治療ちりょうのために転院てんいんした病院びょういんで、おやまり付き添つきそ付き添つきそ入院にゅういん」をもとめられました。

病院びょういんからは夜間やかん人手ひとですくなく、看護かんごむずかしいことなど理由りゆうに、ちいさいども場合ばあいは「付き添つきそ必須ひっす」だと説明せつめいけたということです。
露木つゆきさんあたまにまっさきにかんだのは、当時とうじ5さい長女ちょうじょのことでした。

わたしが24時間じかん病院びょういん缶詰かんづめになれば、長女ちょうじょどうしたらいいの?」

あたま真っ白まっしろになったと振り返ふりかえります。
いざ付き添つきそ入院にゅういん」がはじまると、昼夜ちゅうやわずけいちゃんのケアにわれ、睡眠すいみん食事しょくじ満足まんぞくれないこともしばしばでした。

病院びょういんのみなさんには一生いっしょう懸命けんめいしてもらっていた」という露木つゆきさんが、制度せいどめんでひとつどうしても納得なっとくいかなかったことがあります。

それは、病院びょういんからもとめられたにもかかわらず、「付き添つきそ希望きぼうする」という申請しんせいしょを、2週間しゅうかんごとに提出ていしゅつしなければならなかったことです。
付き添つきそ申請しんせいしょ
おなことをやるのでも自分じぶんがいる前提ぜんていになっていて、それ了解りょうかいしているのと、本当ほんとうお願おねがされているのにこちらがわお願おねがいしたかたちになって許可きょかされているというのは、心理しんりてきなところがちがただかみ1まいのことですが、身体しんたいてきにも精神せいしんてきにもくるしい生活せいかつをしているなかで、『実態じったい』とっていない『建前たてまえ』として申請しんせいしょようもとめられたのが、すごくきつかったです」
また付き添つきそ病院びょういんからもとめられた露木つゆきさんは、「付き添つきそ入院にゅういん」は希望きぼうおうじて選択せんたくできるようにするなど改善かいぜん必要ひつようだとかんがえています。

仕事しごととの両立りょうりつなど家族かぞく生活せいかつちゆかなくなるども治療ちりょうもままならなくなるので、付き添つきそどうかは希望きぼうおうじてえらべるようにしてほしいです」

おやたちの環境かんきょう 実態じったい

支援しえん団体だんたい「NPO法人ほうじんキープ・ママ・スマイリング」は去年きょねん11つきから12つきにかけて、「付き添つきそ入院にゅういん」など病気びょうきどもに病院びょういん付き添つきそ経験けいけんしたひと対象たいしょうにインターネットじょうアンケート調査ちょうさおこない、やく3600にんから回答かいとうました。

おも項目こうもく結果けっかは、以下いかとおでした。

▽「付き添つきそ入院にゅういん」を希望きぼうしたかどう
希望きぼうするしないにかかわらず付き添つきそいが必須ひっすだった」…70.8%、
希望きぼうした」…27.7%

▽「付き添つきそいを病院びょういんから要請ようせいされたか」
要請ようせいされた」…79.1%
要請ようせいされていない」…20.9%

付き添つきそいが必須ひっす」が7わり、「付き添つきそいを要請ようせいされた」も8わりちかと、希望きぼうかかわらず医療いりょう機関きかんからの要請ようせいおうじて付き添つきそおやおお状況じょうきょうがうかがえます。

付き添つきそちゅうどものケアについやした時間じかん(1にちあたり)
「21~24時間じかん」…25.5%
「15~18時間じかん未満みまん」…12.7%
「12~15時間じかん未満みまん」…11.7%

「12時間じかん以上いじょう」とこたえたひとはあわせて61.3%にのぼりました。

▽「付き添つきそちゅうったケアの内容ないよう
食事しょくじ介助かいじょなど身の回みのまわ世話せわほか、「吸引きゅういん吸入きゅうにゅう」や「バイタル確認かくにん」、「心電図しんでんずモニター取り付とりつ」、「かん交換こうかん」など、医療いりょうてきケアをふくさまざまなケアをになったとの回答かいとうがありました。

こうしたケアのなかには、「療養りょうようじょう世話せわ」として原則げんそく看護かんごなどおこな業務ぎょうむ位置いちづけられているものもふくまれ、現場げんば人手ひとで不足ふそく付き添つきそおやおぎなっている現状げんじょううかがえるということです。

▽「付き添つきそ入院にゅういんちゅう食事しょくじ調達ちょうたつさき
おも院内いんないのコンビニや売店ばいてん」…65.1%
おも院外いんがいのコンビニや売店ばいてん、スーパー」…8.5%
おも病院びょういんから付き添つきそしゃ提供ていきょうされる食事しょくじ」…5.6%

付き添つきそおやへの病院びょういんから食事しょくじ提供ていきょうは、実施じっしされている病院びょういん一部いちぶあるものの、まだすくないことがうかがえます。

▽「病室びょうしつでの睡眠すいみんについて」
どもおなベッドでていた」…51.8%
病院びょういんからレンタルした簡易かんいベッド」…32.9%
ソファーいす」…6.4%

自由じゆう記述きじゅつには、モニターのアラームおん看護かんご巡回じゅんかいおとおな病室びょうしつどもの泣き声なきごえなどでゆっくりねむれないとの回答かいとうもあったということです。

また、「付き添つきそちゅう体調たいちょうくずしたことがある」と回答かいとうしたひとは51.3%にのぼったということです。

医師いしからも環境かんきょう改善かいぜんもとめるこえ

医療いりょう現場げんばからも環境かんきょう改善かいぜんもとめるこえがあがっています。

佐賀さがある佐賀さが大学だいがく医学部いがくぶ附属ふぞく病院びょういんでは、入院にゅういんちゅうども付き添つきそ保護ほごしゃに対にたいして支援しえん団体だんたいから提供ていきょうされるカレースープ缶詰かんづめ衛生えいせい用品ようひんなどはいったセット毎月まいつきくばっていて、この看護かんごそれぞれ病室びょうしつとどけていました。
受け取うけとった母親ははおやは「入院にゅういんながくなる自分じぶん食事しょくじこまし、経済けいざいてきにも負担ふたんになるので、こうした支援しえんとてもうれしいです。応援おうえんしてもらっているとかんじてはげになります」とはなしていました。

この病院びょういんでは▽家族かぞくための簡易かんいベッド有料ゆうりょう貸し出かしだしているほか、▽おや負担ふたん軽減けいげんするため保育ほいくども一時いちじてきあずかるなど対応たいおうをとっています。
一方いっぽう看護かんご配置はいち付き添つきそ環境かんきょう大幅おおはばえることは病院びょういんだけではむずかしく、制度せいどそのものの改善かいぜん必要ひつようだということです。

いま制度せいどだと存在そんざいことに」

小児しょうに松尾まつお宗明むねあき医師いしは「入院にゅういんちゅうどもたちにとって付き添つきそ家族かぞくかせない存在そんざいにもかかわらず、いま制度せいどだとその存在そんざいいことになっているのが問題もんだいではないか」と指摘してきしています。

そのうえで「付き添つきそ家族かぞく食事しょくじ提供ていきょうするなど病院びょういん環境かんきょうえていく必要ひつようある一方いっぽうどうしても付き添つきそえない家族かぞくもいるので、そういうどもには付き添つきそがなくても安心あんしんして入院にゅういんできる体制たいせいととのえていくべきで、くに対策たいさくかんがえていただきたい」とはなしていました。

くに要請ようせい改善かいぜんけて検討けんとうかい設置せっちを」

実態じったい調査ちょうさ結果けっかをふまえ「NPO法人ほうじんキープ・ママ・スマイリング」は1にちおや生活せいかつ環境かんきょうなど改善かいぜん取り組とりくよう厚生こうせい労働ろうどうしょうとこども家庭かていちょう要請ようせいしました。
要望ようぼうしょでは、▽厚生こうせい労働ろうどうしょうとこども家庭かていちょう協力きょうりょくのもと、医療いりょう機関きかんやNPO団体だんたいなどとも連携れんけいし、おや生活せいかつ支援しえん経済けいざいてき支援しえん取り組とりくことや、▽入院にゅういん付き添つきそ環境かんきょう改善かいぜんけた検討けんとうかいげることなどをもとめています。

要望ようぼうしょ受け取うけとった、こども家庭かていちょう母子ぼし保健ほけん山本やまもと圭子けいこ課長かちょうは「調査ちょうさ要望ようぼう内容ないようしっかり確認かくにんし、厚生こうせい労働ろうどうしょうとこども家庭かていちょう連携れんけいしながら、なにができるのか検討けんとうしたい」とべました。
要請ようせいのあと会見かいけんした「NPO法人ほうじんキープ・ママ・スマイリング」のひかりはらゆき理事りじちょうは、「入院にゅういんするども付き添つきそおや環境かんきょう過酷かこくで、きびしい状況じょうきょうにあります。くにがリーダーシップをとり、病院びょういんわたしたち支援しえん団体だんたい一緒いっしょになって、おや安心あんしんしてども見守みまも付き添つきそえる環境かんきょうつくっていければとおもいます」とはなしていました。

海外かいがい現状げんじょう

一方いっぽう海外かいがい病院びょういんでの付き添つきそ経験けいけんをもとに「ども入院にゅういん生活せいかつよいものにするためにも、保護ほごしゃ安心あんしんして付き添つきそえる環境かんきょうづくりが必要ひつようだ」と指摘してきするひともいます。
佐藤さとう麻弥まやさんは、去年きょねん5つき小児しょうにがんの1つ、神経しんけいしゅ長男ちょうなんれいおんくんを9さいくしました。

こうやって写真しゃしんながめていると、きのうのことのように思い出おもいだしますね」

れいおんくんの治療ちりょうのため、国内こくない複数ふくすう病院びょういんほか、ベルギーやフランスの病院びょういんでも付き添つきそ経験けいけんしました。フランスの病院びょういんでは、付き添つきそおやにも無料むりょう朝食ちょうしょく提供ていきょうされ、昼食ちゅうしょく夕食ゆうしょく必要ひつようおうじて注文ちゅうもんできたほか病室びょうしつにはおやのための備え付そなえつベッドもあったということです。

また病院びょういんないおやがマッサージやカウンセリングをけられるなどどもからはなれてからだやすめたり気分きぶん転換てんかんしたりするための環境かんきょう整備せいびされていたということです。

付き添つきそわたしたちの健康けんこうめん食事しょくじめん一緒いっしょかんが大事だいじにしてくれているとかんじられて配慮はいりょがありがたかったし、カルチャーショックでした」
そのうえでいまおや笑顔えがおどもささえられる環境かんきょうづくりは、どもの療養りょうよう環境かんきょうをよりよいものにするためにも大切たいせつなことだと佐藤さとうさんはいいます。

その理由りゆうについて、かつてれいおんくんにわれたことばを思い出おもいだしながらはなしてくれました。
わたしもはじめのころ息子むすこに『ママわらって』って、『かなしいかおしていないでもっとわらって』ってわれたときに、いけないっておもって。自分じぶんしずんでる場合ばあいじゃないっておもったので。そこでこの病室びょうしつとき息子むすこときはなるべくわらっていよう、元気げんきでいようってずっとそれだけはおもってきていました。それささえられる環境かんきょうって、あったほうが絶対ぜったいにいいとおもんですよ。そのほうが子供こどもも、保護ほごしゃがリラックスしているのをて、わらっているのを安心あんしんする。それ息子むすこわたしに『わらって』ってったことだとおもんですよね」
ソース:NHK ニュース