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地方ちほう鉄道てつどう “JR 輸送ゆそう密度みつど1000にん未満みまん区間くかん バス転換てんかんふく協議きょうぎを”

2022-07-25 04:02:15

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赤字あかじつづ地方ちほう鉄道てつどう在り方ありかた議論ぎろんしているくに検討けんとうかいひらかれ、JRについては、いちにち平均へいきんなんにんはこんだかをしめ輸送ゆそう密度みつど」が1000にん未満みまん区間くかんなど対象たいしょうに、バスなどへの転換てんかんふく協議きょうぎすすめるべきとする提言ていげんあんしめされました。

全国ぜんこく地方ちほう鉄道てつどうは、人口じんこう減少げんしょうくわえて新型しんがたコロナの感染かんせん拡大かくだい利用りようきゃく落ち込おちこんでおお事業じぎょうしゃ赤字あかじつづき、存続そんぞくあやぶまれる路線ろせんています。

国土こくど交通こうつうしょうは、ことし2つき有識ゆうしきしゃなどでつくる検討けんとうかい設置せっちして地方ちほう鉄道てつどう在り方ありかたについて議論ぎろんつづけてきて、25にち提言ていげんあんしめされました。

それによりますと、JRについては目安めやすとして1キロたりいちにち平均へいきんなんにんはこんだかをしめ輸送ゆそう密度みつどが「1000にん未満みまん」の区間くかん対象たいしょうに、くに中心ちゅうしんとなって沿線えんせん自治体じちたい鉄道てつどう事業じぎょうしゃなど参加さんかするあら協議きょうぎかい設置せっちすべきだとしています。

協議きょうぎかいでの議論ぎろん路線ろせんの「存続そんぞく」や「廃止はいし」を前提ぜんていとはしないものの、利便りべんせい持続じぞく可能かのうせい向上こうじょう見込みこまれる場合ばあいには、はいせんによるバスやBRTなどへの転換てんかんや、自治体じちたい線路せんろえき保有ほゆうし、鉄道てつどう会社かいしゃ運行うんこうにな上下じょうげ分離ぶんり方式ほうしき」など、運営うんえい方式ほうしき見直みなおふくめて検討けんとうするようもとめています。

ただ輸送ゆそう密度みつど「1000にん未満みまん」の区間くかんでも、通勤つうきん通学つうがく時間じかんたい利用りよう集中しゅうちゅうするケース想定そうていし、ピーク1時間じかん乗客じょうきゃくが、のぼくだいずれかで500にん上回うわまわっている場合ばあい対象たいしょうからはずとしています。

また特急とっきゅう列車れっしゃ都道とどう府県ふけんちょう所在地しょざいちなど拠点きょてん都市としをつなぐ区間くかん貨物かもつ列車れっしゃ重要じゅうよう役割やくわりたす区間くかん対象たいしょうとしないということです。

そのうえで、議論ぎろんはじめてから3ねん以内いない自治体じちたい鉄道てつどう事業じぎょうしゃ合意ごういのうえ、対策たいさく決定けっていすべきだとしています。

検討けんとうかいでは「鉄道てつどう必要ひつようどうかんがえるおおきなきっかけになれば」とか「鉄道てつどう事業じぎょうしゃ自治体じちたいがまずははなしをする姿勢しせい大切たいせつだ」といった意見いけんていました。

提言ていげん有識者ゆうしきしゃらの意見いけんまえ、25にち午後ごごにも正式せいしきりまとめられる見通みとおです。

検討けんとうかい 背景はいけいは?4つのポイント

くに検討けんとうかいげた背景はいけいには、人口じんこう減少げんしょうやマイカー利用りよう増加ぞうかなどにより、地方ちほう鉄道てつどう利用りようしゃすう大幅おおはばなか新型しんがたコロナウイルスがそれ拍車はくしゃをかけて危機ききてき状況じょうきょうおちいっていること、さらにそうした状況じょうきょうに、鉄道てつどう事業じぎょうしゃだけでなく、くに地方ちほう自治体じちたい適切てきせつ対応たいおうしてきたのかという問題もんだい意識いしきがあります。
輸送ゆそう密度みつど推移すいい

1キロたりいちにち平均へいきんなんにん利用りようきゃく輸送ゆそうしているかをしめ「※輸送ゆそう密度みつど」。
(※文末ぶんまつに「輸送ゆそう密度みつど」について詳細しょうさい説明せつめいあり)

国鉄こくてつからJRに分割ぶんかつ民営みんえいした1987年度ねんど新幹線しんかんせんのぞいた輸送ゆそう密度みつどが「4000にん未満みまん」の路線ろせん割合わりあいは、JR6しゃ全体ぜんたいで36%でした。
それが、人口じんこう減少げんしょうやマイカー利用りよう増加ぞうかなど利用りようきゃく減少げんしょうすすみ、新型しんがたコロナの感染かんせん拡大かくだいまえの2019年度ねんどには41%に拡大かくだい
さらに、感染かんせん拡大かくだい外出がいしゅつ自粛じしゅくやテレワークの普及ふきゅうなど移動いどうおさえられ、観光かんこうきゃく利用りよう大幅おおはば落ち込おちこなどした結果けっか、2020年度ねんどは57%にまで急増きゅうぞうしました。

なかでも輸送ゆそう密度みつどが「2000にん未満みまん」の路線ろせんおおめ、
▽1987年度ねんどはJR6しゃ全体ぜんたいで16%でしたが、
▽2019年度ねんどは30%、
▽2020年度ねんどには39%となっています。

輸送ゆそう密度みつどが「2000にん未満みまん」になると、鉄道てつどう事業じぎょうしゃ経営けいえい努力どりょくのみでは利便りべんせいたか鉄道てつどうサービスたもことが困難こんなんになるとされています。
都市とし収益しゅうえき地方ちほう路線ろせん赤字あかじおぎなビジネスモデル

都市とし路線ろせんでも利用りようきゃくり、JRひがし西にし東海とうかいといった経営けいえい体力たいりょくあるとされてきた事業じぎょうしゃ赤字あかじおちいり、都市とししん幹線かんせん収益しゅうえきで、地方ちほう路線ろせん赤字あかじおぎなうという従来じゅうらいのビジネスモデルが持続じぞくできないそれてきたのです。
鉄道てつどう事業じぎょうしゃ コスト削減さくげんなどで「まけのスパイラル」に

検討けんとうかいでは、地方ちほう路線ろせん運行うんこうする鉄道てつどう事業じぎょうしゃは、運行うんこう本数ほんすうげん便びんえき無人むじんといったコスト削減さくげんさく投資とうし抑制よくせいなどで対応たいおうしてきたが、それによって利便りべんせいいちじるしく低下ていかし、さらなる利用りようしゃばなというまけのスパイラルをこしている路線ろせんある指摘してきしています。
くに地方ちほう自治体じちたい 事業じぎょうしゃまかせにしてきたか

一方いっぽうくに地方ちほう自治体じちたいについても地方ちほう鉄道てつどう現状げんじょう直視ちょくしせずに事業じぎょうしゃまかせにしてきたのではないかと指摘してきしていて、問題もんだいこれ以上いじょう先送さきおくせずに、くに沿線えんせん自治体じちたい鉄道てつどう事業じぎょうしゃ危機きき意識いしき共有きょうゆうしたうえで、利便りべんせい持続じぞくせいたか公共こうきょう交通こうつうさい構築こうちくする必要ひつようあるとして検討けんとうかい設置せっちしました。

これまでの議論ぎろん経緯けいい

検討けんとうかい議論ぎろんは、ことし2つきはじまりました。

<2つき14にち
はつ会合かいごうでは、有識者ゆうしきしゃから「たん鉄道てつどうのこ』ということではなく、地域ちいき利便りべんせいたかめることが重要じゅうようだ」とか「乗客じょうきゃくっていて、このままのかたち鉄道てつどう維持いじすることは非常ひじょうむずかしい」といった意見いけんされました。

<3つき3にち
2かい検討けんとうかいでは、赤字あかじ経営けいえいつづ鉄道てつどうとお自治体じちたいへのヒアリングがおこなわれ、このなかで、広島ひろしまけん湯崎ゆざき知事ちじは「一部いちぶのローカルせん収支しゅうしのみを問題もんだいすることは地方ちほう切り捨きりす直結ちょっけつする。新幹線しんかんせん特急とっきゅうおとずれる観光かんこうきゃくちゅう山間さんかん呼び込よびこためにはすべての路線ろせん維持いじすることが重要じゅうようだ」など主張しゅちょうしました。
こうしたなか、JR西日本にしにほんは、ことし4つき11にち人口じんこう減少げんしょうくわえ、コロナ利用りようしゃとくすくなくなっている地方ちほう路線ろせんの30の線区せんくについて個別こべつ収支しゅうしはじめて公表こうひょうしました。
30の線区せんく、すべてで赤字あかじとなっていて、会社かいしゃは、バス路線ろせんへの転換てんかんなどふく沿線えんせん自治体じちたいなどと今後こんごあり方ありかた議論ぎろんすすめたいとしました。

<4つき18にち
このあと3かい検討けんとうかいでは、有識者ゆうしきしゃから、地方ちほう赤字あかじ路線ろせんについてこれまで議論ぎろんけてきたとして「今回こんかい議論ぎろんしなければ鉄道てつどう大変たいへんなことになる」、「路線ろせんをこのまますべてのこことはつぎ世代せだい責任せきにんになる」といった意見いけんがりました。
そのうえで、有識者ゆうしきしゃからは鉄道てつどう事業じぎょうしゃがわきびしい経営けいえい事情じじょうしめしたうえで、沿線えんせん自治体じちたいがわからも地域ちいきでの鉄道てつどう必要ひつようせいについて丁寧ていねい意見いけん聞き取ききとり、路線ろせん維持いじすべきか、はいせんやバスなどへの転換てんかんはかべきか、議論ぎろんしていくべきだという意見いけんされました。

<5つき13にち
そして前回ぜんかい、4かい検討けんとうかいでは、有識者ゆうしきしゃから鉄道てつどう路線ろせん維持いじについて「なぜ地域ちいき鉄道てつどう必要ひつようか」理由りゆう明確めいかくできるどうかが今後こんご論点ろんてんなるという認識にんしきしめされ、事業じぎょうしゃ自治体じちたい双方そうほう問題もんだい意識いしき共有きょうゆうして協議きょうぎしていくためにも、くに積極せっきょくてきかかわっていくべきだとする意見いけんされました。

※「輸送ゆそう密度みつど」とは

今回こんかい検討けんとうかい目安めやすとされたのが「輸送ゆそう密度みつど」です。

輸送ゆそう密度みつどは、鉄道てつどう利用りよう状況じょうきょうあらわデータで、1キロメートルたり、いちにち平均へいきんなんにん乗客じょうきゃくはこんだかをしめします。

おな路線ろせんでもなが区間くかんひともいれば、みじか区間くかんしからないひともいることから、すべての乗客じょうきゃくった距離きょりし1キロたりなんにん乗車じょうしゃしたかを計算けいさんします。

たとえばそう延長えんちょう5キロ路線ろせんを10にん乗客じょうきゃく利用りようする場合ばあいいちにちだけでかんがえると、
いち全員ぜんいん始点してんから終点しゅうてんまでの5キロの区間くかん乗車じょうしゃすると、10にん乗車じょうしゃした距離きょりわせて50キロとなり、1キロたり輸送ゆそう密度みつどは「10にん」となります。

(2)一方いっぽう、5にん始点してんから終点しゅうてんまでの5キロほかの5にんが1キロの区間くかんしか乗車じょうしゃしなかった場合ばあい、10にん乗車じょうしゃした距離きょりわせて30キロとなり、1キロたり輸送ゆそう密度みつどは「6にん」となります。

実際じっさい輸送ゆそう密度みつど算出さんしゅつする場合ばあいは、1年間ねんかんきゃくった区間くかんをすべてした距離きょりを、そう延長えんちょう距離きょりり、さらに1年間ねんかん営業えいぎょう日数にっすうります。

路線ろせんながさや列車れっしゃ運行うんこう本数ほんすうちがってもおな尺度しゃくど比較ひかくでき、過去かこきゅう国鉄こくてつ民営みんえいさいには「4000にん未満みまん」がバス転換てんかん目安めやすの1つとされました。

また輸送ゆそう密度みつどが「2000にん未満みまん」になると、利益りえきげることが非常ひじょうむずかしいとされています。
ソース:NHK ニュース