気象庁によりますと、24日午後8時すぎ、桜島の南岳山頂火口で爆発的な噴火が発生し、弾道を描いて飛散する大きな噴石が火口の東から南東方向に飛び、2.5キロ付近まで達しました。
気象庁は、桜島の火山活動が非常に活発化しているとして噴火警報を発表し、噴火警戒レベルを最も高いレベル5の「避難」に引き上げました。
気象庁は、南岳山頂火口と昭和火口から3キロ以内の鹿児島市の有村町や古里町の一部で大きな噴石に厳重に警戒し、自治体からの情報に従い避難などの対応をするよう呼びかけています。
また、火口からおよそ2キロの範囲では火砕流に警戒が必要だとしています。
一方、気象庁によりますと、桜島の地殻変動などの観測データを分析した結果、1914年の大正噴火のように島内の広い範囲に影響を及ぼすような大規模な噴火が切迫している状況ではないということです。
今回の噴火の前には山体の膨張を示す地殻変動が観測されていて、この噴火のあとも山体が膨張した状態は続いているため、気象庁は注意深く監視していくことにしています。
気象庁が全国の火山で平成19年に噴火警戒レベルを導入して以降、レベルを5に引き上げたのは、平成27年に鹿児島県の口永良部島に発表して以来2回目で、桜島では初めてです。
Show Furigana
桜島で噴火 噴火警戒レベル5に引き上げ 33世帯に避難指示
2022-07-25 03:16:44

24日夜、鹿児島県の桜島で爆発的な噴火が起き、大きな噴石が火口から2.5キロ付近まで飛びました。
気象庁は桜島に噴火警報を発表して噴火警戒レベルを最も高いレベル5の「避難」に引き上げ、火口からおおむね3キロ以内の居住地域で大きな噴石に厳重に警戒するよう呼びかけています。
鹿児島市は、桜島で噴火警戒レベルが最も高いレベル5の「避難」に引き上げられたことを受けて、24日午後10時20分、桜島の有村町と古里町の一部の合わせて33世帯51人に避難指示を出しました。
気象庁は桜島に噴火警報を発表して噴火警戒レベルを最も高いレベル5の「避難」に引き上げ、火口からおおむね3キロ以内の居住地域で大きな噴石に厳重に警戒するよう呼びかけています。
鹿児島市は、桜島で噴火警戒レベルが最も高いレベル5の「避難」に引き上げられたことを受けて、24日午後10時20分、桜島の有村町と古里町の一部の合わせて33世帯51人に避難指示を出しました。

桜島の有村町と古里町の一部に避難指示
鹿児島市は、桜島で噴火警戒レベルが最も高いレベル5の「避難」に引き上げられたことを受けて、午後10時20分、桜島の有村町と古里町の一部の合わせて33世帯51人に避難指示を出しました。
20世帯30人が避難 (25日午前10時時点)
鹿児島市によりますと、25日午前10時の時点で、20世帯30人が、南岳山頂火口から4キロ余り離れた避難所の高齢者福祉センター東桜島に避難しているということです。
市は、桜島の有村町と古里町の一部の合わせて33世帯51人に避難指示を出していて、24日夜、対象となっているすべての世帯の避難を確認したと発表しています。
避難所以外に身を寄せた人もいるということです。
これまでに市に被害の連絡も入っていないということです。
市は、桜島の有村町と古里町の一部の合わせて33世帯51人に避難指示を出していて、24日夜、対象となっているすべての世帯の避難を確認したと発表しています。
避難所以外に身を寄せた人もいるということです。
これまでに市に被害の連絡も入っていないということです。
専門家「大規模噴火の兆候見られていない」
桜島の噴火活動に詳しい京都大学火山活動研究センターの井口正人教授は「南岳山頂火口の噴火で大きな噴石が火口の東方向に2.4キロほど飛散するのは、これまでも桜島の活動が活発だった1970年代や1980年代にたびたび起きていた」としたうえで、「先週ごろから続く山体膨張を示す地殻変動はまだ解消されていないが、これまでの観測データから大正噴火のような大規模噴火の兆候は見られていない」と指摘しています。
専門家「今後の活動に警戒」
桜島の噴火について、京都大学の石原和弘名誉教授は「最近の桜島の火山活動の中では規模の大きいクラスの噴火で、噴石が2.5キロ付近を超えたことから気象庁は噴火警戒レベルを『5』に上げたと思われるが、桜島ではこれまでも同様の噴火は過去にも発生している」と述べました。
また、桜島で今月に入り、山体膨張を示す地殻変動が観測されていたことについて「今回の噴火で山体がある程度、収縮するものと考えられるが、噴煙が収まったあとに再び山体が膨張するようであれば今回と同じ程度の規模の噴火が起きるおそれがあるため、今後の活動に警戒が必要だ」と話していました。
また、桜島で今月に入り、山体膨張を示す地殻変動が観測されていたことについて「今回の噴火で山体がある程度、収縮するものと考えられるが、噴煙が収まったあとに再び山体が膨張するようであれば今回と同じ程度の規模の噴火が起きるおそれがあるため、今後の活動に警戒が必要だ」と話していました。
桜島 最近の活動は
気象庁によりますと、桜島では今月18日から島内に設置している傾斜計と伸縮計で山体の膨張を示すわずかな地殻変動が観測されていて、今月20日午後3時ごろからは変化がおおむね停滞した状態が続いていたということです。
このため鹿児島地方気象台は、多量の噴煙を伴ったり、やや規模の大きな爆火的な噴火が発生する可能性があるとして、火口からおおむね2キロの範囲では大きな噴石や火砕流に警戒するよう注意を呼びかけていました。
このため鹿児島地方気象台は、多量の噴煙を伴ったり、やや規模の大きな爆火的な噴火が発生する可能性があるとして、火口からおおむね2キロの範囲では大きな噴石や火砕流に警戒するよう注意を呼びかけていました。
桜島 レベル5は2つの噴火を想定
桜島では噴火警戒レベルの導入以降、初めて5に引き上げられましたが、桜島のレベル5は規模の異なる2つの噴火を想定していて、それぞれ警戒の範囲が異なります。
このうち1つが、島内の広い範囲に影響を及ぼすような大規模な噴火で、想定されるのは、100年余り前、1914年の大正噴火クラスの噴火です。
地下から大量のマグマが入り込むことで山腹などから噴火が起きて島内の広い範囲に影響を及ぼすと予想されていて、桜島のある鹿児島市の地域防災計画では住民を島外へ避難させることにしています。
もう一つの想定は「ふだんの火山活動の延長」による噴火です。
山頂で噴火が発生し、噴石や火砕流が人が住んでいる地域やその近くに到達した場合にはその距離に応じてレベル5に引き上げて警戒範囲を拡大することにしています。
このケースでは鹿児島市は全島避難は行わずに、火口に近い一部の地域の住民に島内避難を呼びかけることにしています。
気象庁によりますと、桜島の周辺の地震計や地殻変動などの観測データを分析した結果、今回、島内の広い範囲に影響を及ぼすような大規模な噴火が切迫している状況ではないということです。
このうち1つが、島内の広い範囲に影響を及ぼすような大規模な噴火で、想定されるのは、100年余り前、1914年の大正噴火クラスの噴火です。
地下から大量のマグマが入り込むことで山腹などから噴火が起きて島内の広い範囲に影響を及ぼすと予想されていて、桜島のある鹿児島市の地域防災計画では住民を島外へ避難させることにしています。
もう一つの想定は「ふだんの火山活動の延長」による噴火です。
山頂で噴火が発生し、噴石や火砕流が人が住んでいる地域やその近くに到達した場合にはその距離に応じてレベル5に引き上げて警戒範囲を拡大することにしています。
このケースでは鹿児島市は全島避難は行わずに、火口に近い一部の地域の住民に島内避難を呼びかけることにしています。
気象庁によりますと、桜島の周辺の地震計や地殻変動などの観測データを分析した結果、今回、島内の広い範囲に影響を及ぼすような大規模な噴火が切迫している状況ではないということです。
おととしには噴石が3キロ超飛び落下
桜島で噴火警戒レベルが5に引き上げられたのは今回が初めてですが、過去にはレベル5に該当するような噴火も起きています。
おととし6月4日に起きた噴火では、大きな噴石が火口から3キロを超えて飛びました。
噴石は人の住む地域から100メートル余りしか離れていない場所に落下していました。
当時の噴火警戒レベルは3で、噴石が飛んだ地点はレベル5への引き上げの基準に該当する範囲でしたが、気象庁が噴石が3キロを超えて飛んでいることを確認したのは噴火から4日後でした。
気象庁はこの噴火で警戒レベル5に引き上げていませんでしたが、その理由については当初、「噴火そのものがレベル5にあたらず、見逃しでは無い」と説明していました。
しかし、後日に説明を修正し、「噴火直後に噴石を確認していれば、レベル5に引き上げる事例だった」と述べています。
おととし6月4日に起きた噴火では、大きな噴石が火口から3キロを超えて飛びました。
噴石は人の住む地域から100メートル余りしか離れていない場所に落下していました。
当時の噴火警戒レベルは3で、噴石が飛んだ地点はレベル5への引き上げの基準に該当する範囲でしたが、気象庁が噴石が3キロを超えて飛んでいることを確認したのは噴火から4日後でした。
気象庁はこの噴火で警戒レベル5に引き上げていませんでしたが、その理由については当初、「噴火そのものがレベル5にあたらず、見逃しでは無い」と説明していました。
しかし、後日に説明を修正し、「噴火直後に噴石を確認していれば、レベル5に引き上げる事例だった」と述べています。
岸田首相 早急な被害状況把握などを指示
気象庁が桜島に噴火警報を発表したうえで、噴火警戒レベルを最も高いレベル5の「避難」に引き上げたことなどを受け、岸田総理大臣は、早急に被害状況を把握すること、地方自治体とも緊密に連携し、人命第一の方針のもと、政府一体となって、登山者や住民の避難など被害防止の措置を徹底すること、それに火山活動の状況について観測を強化し、登山者や住民に対する適時的確な情報提供を行うことを指示しました。

斉藤国土交通大臣は、25日の災害対策本部の会議で、現地に国と自治体の連絡調整にあたる「リエゾンチーム」を派遣し、情報収集にあたっているが、現時点では現地の施設などへの被害は確認されていないと述べました。
そのうえで「海上保安庁や緊急災害対策派遣隊=「TEC-FORCE」は、いつでも追加派遣などができるよう、即応態勢の確保をしてほしい。災害対応に万全を期すようお願いしたい」と述べました。
磯崎官房副長官は25日午前の記者会見で「人的・物的被害は確認中だが、現在のところ被害報告は受けておらず、ライフラインや交通機関の被害報告も受けていない」と述べました。
そのうえで「政府としては引き続き、被害状況の把握に努め、自治体と緊密に連携を図りながら、災害応急対応に全力で取り組んでいきたい。警戒地域の住民は、自治体や気象庁からの情報、テレビ・ラジオ・インターネットなどの情報に注意して命を守る行動をとり、今後も、噴火に伴う大きな噴石や火砕流に警戒してほしい。風下側では火山灰だけでなく、小さな噴石が風に流されて降るおそれもあるので、注意してほしい」と呼びかけました。
そのうえで「海上保安庁や緊急災害対策派遣隊=「TEC-FORCE」は、いつでも追加派遣などができるよう、即応態勢の確保をしてほしい。災害対応に万全を期すようお願いしたい」と述べました。
磯崎官房副長官は25日午前の記者会見で「人的・物的被害は確認中だが、現在のところ被害報告は受けておらず、ライフラインや交通機関の被害報告も受けていない」と述べました。
そのうえで「政府としては引き続き、被害状況の把握に努め、自治体と緊密に連携を図りながら、災害応急対応に全力で取り組んでいきたい。警戒地域の住民は、自治体や気象庁からの情報、テレビ・ラジオ・インターネットなどの情報に注意して命を守る行動をとり、今後も、噴火に伴う大きな噴石や火砕流に警戒してほしい。風下側では火山灰だけでなく、小さな噴石が風に流されて降るおそれもあるので、注意してほしい」と呼びかけました。
鹿児島県 塩田知事「関係機関と緊密に連携を」
桜島の爆発的な噴火を受けて、鹿児島県は25日朝、災害対策本部会議を開きました。
この中では、現時点で被害の情報は入っていないことや、避難指示の区域内にあるホテルの宿泊客や従業員は24日夜までに避難を終えたことなどが報告されました。
そして、塩田知事が、関係機関と緊密に連携を取り、被害が確認された場合には迅速に対応を取ることを指示しました。
会議のあと塩田知事は「引き続き、情報収集に努めていきたい。火口から3キロ以内では大きな噴石に厳重な警戒が必要なので住民には近づかないようにしてほしい」と述べました。
この中では、現時点で被害の情報は入っていないことや、避難指示の区域内にあるホテルの宿泊客や従業員は24日夜までに避難を終えたことなどが報告されました。
そして、塩田知事が、関係機関と緊密に連携を取り、被害が確認された場合には迅速に対応を取ることを指示しました。
会議のあと塩田知事は「引き続き、情報収集に努めていきたい。火口から3キロ以内では大きな噴石に厳重な警戒が必要なので住民には近づかないようにしてほしい」と述べました。
鹿児島市 下鶴市長「避難生活が問題なく送れるよう全力」
鹿児島市の下鶴市長は25日朝、報道陣の取材に対し「深夜にもかかわらず円滑に避難を行うことができ、現在のところ、被害も入っておらず、胸をなで下ろしている。避難指示の対象になっている住民については、一定の期間避難が続くことになるので、避難生活が問題なく送れるよう全力を尽くしたい」と述べました。
避難の女性「噴火の音も聞こえず においもせず」
避難している女性は「噴火の音も聞こえず、外を見ましたが、においもせず何も見えませんでした。テレビを見てひどい爆発だったのだと思いました」と話していました。
別の男性は「避難生活は疲れます。一日でも早く自宅に帰りたいです」と話していました。
桜島から鹿児島市街地側の病院に通うためフェリーで移動してきた80代の女性は「長いこと大きな噴火はありませんでしたが、今回に続いて大きな噴火が来ないか少し不安です。ただ、噴火には慣れているし、備えもしているので今は落ち着いています」と話していました。
別の男性は「避難生活は疲れます。一日でも早く自宅に帰りたいです」と話していました。
桜島から鹿児島市街地側の病院に通うためフェリーで移動してきた80代の女性は「長いこと大きな噴火はありませんでしたが、今回に続いて大きな噴火が来ないか少し不安です。ただ、噴火には慣れているし、備えもしているので今は落ち着いています」と話していました。
ソース:NHK ニュース