日本の南にある台風5号は29日夜には鹿児島県の奄美地方に接近する見込みです。湿った空気が流れ込むため奄美地方のほか、九州から東北の広い範囲で大気の状態が不安定になって非常に激しい雨が降るおそれがあり、大雨に警戒が必要です。台風の接近が予想される地域では雨や風が強まる前に備えを進めてください。
気象庁の観測によりますと、台風5号は正午には鹿児島県種子島の南東およそ340キロを1時間に55キロの速さで北西へ進んでいます。
中心の気圧は1002ヘクトパスカル、最大風速は18メートル、最大瞬間風速は25メートルで中心の北側560キロ以内と南側370キロ以内では風速15メートル以上の強い風が吹いています。
台風は29日夜には奄美地方にかなり接近する見込みです。
さらに、台風や太平洋高気圧の影響で暖かく湿った空気が流れ込むため奄美地方に加え九州から東北にかけての広い範囲で大気の状態が不安定になる見込みです。
各地で雷を伴って激しい雨となり、局地的には1時間に50ミリ以上の非常に激しい雨が降るおそれがあります。
30日昼までの24時間に降る雨の量はいずれも多いところで
▽九州南部で250ミリ、
▽四国で200ミリ、
▽奄美地方で150ミリ、
▽関東甲信で100ミリ、
▽東北で80ミリなどと予想されています。
さらに31日昼までの24時間には
▽九州南部と四国で100ミリから200ミリ、
▽奄美地方で100ミリから150ミリの雨が降る見込みです。
風も強まり、30日にかけての最大風速は奄美地方で20メートル、九州南部で18メートル、最大瞬間風速はいずれも30メートルと予想され、沖縄・奄美や九州の海上はうねりを伴ってしける見込みです。
気象庁は土砂災害や川の増水、低い土地の浸水に警戒するとともに、強風や高波、落雷、竜巻などの激しい突風にも十分注意するよう呼びかけています。
最新の気象情報を確認するとともに、台風の接近が予想される地域では雨や風が強まる前に備えを進めてください。
一方、29日も西日本や東日本で気温が上がり、猛烈な暑さとなっているところがあります。
午後0時半までの最高気温は
▽佐賀県唐津市で36.7度、
▽大阪府堺市で36.6度、
▽兵庫県淡路市と鳥取県米子市で36.3度
▽岐阜県多治見市で35.7度、
▽千葉県市原市の牛久で35.4度などと猛暑日となっていて、
▽東京の都心でも33.9度と厳しい暑さとなっています。
各地に熱中症警戒アラートが発表されていて、午後も気温が上がると予想されています。
日中の最高気温は
▽兵庫県豊岡市で37度、
▽福岡市や広島市、大阪市、福井市、埼玉県熊谷市で36度、
▽東京の都心で34度などと予想されています。
こまめに水分を補給し、冷房を適切に使うなど熱中症に十分な注意が必要です。
ハザードマップ 今のうちに確認を
災害から身を守るには自分がいる場所のリスクを知っておくことが大切です。
自治体が発表する避難指示は土砂災害や氾濫の危険性がある地域を指定することが多く、あらかじめ把握しておくことで万が一の際にも慌てず対応できます。
2019年の台風19号(東日本台風)では大雨の特別警報や自治体の避難情報が発表されてからインターネットでハザードマップを調べる人が相次ぎました。
アクセスの集中でウェブサイトを閲覧できなくなった自治体もあり、台風が近づいたり雨が強まって状況が悪化したりする前に確認しておきましょう。
ハザードマップを見るポイントをまとめました。
●土砂災害警戒区域をチェック
まずは土砂災害の危険性について。
自分のいる場所が「土砂災害警戒区域」に指定されていないか確認してください。
警戒区域に指定されている場合、崖崩れや地すべり、土石流などが発生すると建物の中にいても危険が迫るおそれがあるため、その場を離れて安全な場所へ移動することが重要です。
避難先とルートを想定し、避難指示などが出たらすぐに行動できるようにしてください。
土砂災害がどのタイミングで起こるかを正確に予測することはできません。
避難指示がなくても雨の降り方に不安を感じる場合や暗くなると避難が難しくなりそうな場合は自主的な早めの移動が有効です。
雨や風が強く、移動するのが危険な場合は2階以上の斜面から離れた部屋で過ごすと安全な場合があります。
●氾濫で家屋流出のおそれも 浸水の深さをチェック
近年の台風や大雨では川の氾濫も相次いでいます。
浸水想定エリアに自宅がある人は「家屋倒壊等氾濫想定区域」に指定されていないか確認してください。
「家屋倒壊等氾濫想定区域」は川から溢れた大量の水で家が倒壊したり流出したりするおそれがあるエリアで、その場にとどまることは非常に危険です。
大雨の際などには安全な場所へ移動するようにしてください。
ハザードマップを利用する際には避難先までのルートに浸水のおそれがないかや崖や用水路など危険な場所がないかも確認しておくと安心です。
「家屋倒壊等氾濫想定区域」以外の浸水エリアでは想定される浸水の深さと自分のいる部屋の高さを比較してください。
例えば浸水の深さが3メートル未満の場合では、平屋なら水没して危険な状態となるおそれがありますが、2階以上ならその場にとどまって安全を確保できる場合があります。
ただし、浸水後に水がなかなか引かず孤立するおそれがあります。
あらかじめ食料や飲み水などの備蓄をしておきましょう。
避難所や高台に住む親戚や知人などの家に移動しておくと安心です。
●最低限のリスクを把握
主な河川の氾濫による洪水や土砂災害のリスクについては「NHK全国ハザードマップ」で紹介しています。
⇒NHK全国ハザードマップ
全国を見渡せるハザードマップとしては現状で最も多いおよそ5000河川のマップを確認できます。
自治体のハザードマップと合わせて活用してください。
ただ、排水が追いつかずに浸水が起きる「内水氾濫」や、浸水の想定が整備されていない「中小河川」の災害リスクは一部をのぞきマップに記載していません。
ハザードマップは最低限のリスクの確認と考えてください。
大雨の際は周囲の状況が急激に悪化する事態を想定して早めの避難を心がけましょう。