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自己破産7万超 増加傾向続く キャッシュレス化の影響も
2020-02-18 11:06:16

借金が返済できなくなった人が自己破産した件数は、去年1年間におよそ7万3000件と、2年連続で7万件を超え増加傾向が続いています。専門家は「返済能力が不十分なのに安易にカードローンなどを利用するケースがあるほか、キャッシュレス化で家計の状況をきちんと把握できていない人も多くなっている」と分析しています。
最高裁判所によりますと、借金を返済できなくなった人などが全国の裁判所に自己破産を申し立てた件数は、このほどまとまった速報値で去年1年間に7万3095件と2年連続で7万件を超えました。
自己破産の件数は、景気の低迷が続き違法なヤミ金融が多かった2003年におよそ24万件とピークに達し、その後、消費者金融に対する規制などで減少が続いていましたが、2016年から増加に転じています。
要因の1つとして、返済能力が不十分にもかかわらず安易に銀行のカードローンなどを利用するケースがあり、多重債務につながっていると指摘されています。
ニッセイ基礎研究所の井上智紀主任研究員は「一部の銀行のカードローンで過剰な融資が行われていることや、キャッシュレス化が進んで家計の状況を十分把握せずに借金をする人が多くなっていることが背景にある。さらに、働き方改革の影響で給料の手取り額が減り生活費の足しに借金をするケースもある」と分析しています。
自己破産の件数は、景気の低迷が続き違法なヤミ金融が多かった2003年におよそ24万件とピークに達し、その後、消費者金融に対する規制などで減少が続いていましたが、2016年から増加に転じています。
要因の1つとして、返済能力が不十分にもかかわらず安易に銀行のカードローンなどを利用するケースがあり、多重債務につながっていると指摘されています。
ニッセイ基礎研究所の井上智紀主任研究員は「一部の銀行のカードローンで過剰な融資が行われていることや、キャッシュレス化が進んで家計の状況を十分把握せずに借金をする人が多くなっていることが背景にある。さらに、働き方改革の影響で給料の手取り額が減り生活費の足しに借金をするケースもある」と分析しています。
自己破産した男性「スマホはお金を借りやすい」
借金が返せなくなり去年、自己破産をした50代の男性は、スマートフォンでローンを申し込んだのをきっかけに多重債務に陥ったといいます。
男性は「直接、担当者と会うこともなく、ボタンを押せば手続きができるのでスマートフォンの場合は、お金を借りやすい。深夜でも借り入れの申し込みが可能なので、つい手を出してしまった」と話しています。
また別の30代の男性は、銀行のカードローンを利用して借金が膨らんでいったといいます。
男性は「もともとカードローンを申し込んだわけではなく『使わなくてもいいので契約しませんか』と銀行の担当者に言われて契約した。ちょっとしたことでお金が必要になり、少し借りては返すということを繰り返して最終的に返せなくなった。審査が簡単だという印象はあった」と話していました。
男性は「直接、担当者と会うこともなく、ボタンを押せば手続きができるのでスマートフォンの場合は、お金を借りやすい。深夜でも借り入れの申し込みが可能なので、つい手を出してしまった」と話しています。
また別の30代の男性は、銀行のカードローンを利用して借金が膨らんでいったといいます。
男性は「もともとカードローンを申し込んだわけではなく『使わなくてもいいので契約しませんか』と銀行の担当者に言われて契約した。ちょっとしたことでお金が必要になり、少し借りては返すということを繰り返して最終的に返せなくなった。審査が簡単だという印象はあった」と話していました。
個人向けカードローン「収益性高い」
ある地方銀行で個人向けのローンを担当していた現役の銀行員が匿名を条件にNHKの取材に応じました。
個人向けカードローンについて「収益性が高く力を入れてきた商品だ」としたうえで「法人に貸し付けても金利が安いので利益率が低く、個人向けの融資を増やすという方針のもとでやっていた」と話してます。
この銀行員は口座を持っている人に電話をかけたりパンフレットを送ったりしてカードローンの申し込みをしてもらったほか、他社で借りた借金を借り換えてもらっていたということで「業績を上げるためには個人への融資を増やす必要があり、積極的にカードローンを勧めていた」と話していました。
個人向けカードローンについて「収益性が高く力を入れてきた商品だ」としたうえで「法人に貸し付けても金利が安いので利益率が低く、個人向けの融資を増やすという方針のもとでやっていた」と話してます。
この銀行員は口座を持っている人に電話をかけたりパンフレットを送ったりしてカードローンの申し込みをしてもらったほか、他社で借りた借金を借り換えてもらっていたということで「業績を上げるためには個人への融資を増やす必要があり、積極的にカードローンを勧めていた」と話していました。
銀行カードローンめぐる改善の取り組みは…
銀行カードローンをめぐっては、過剰な融資を行っているとして批判が高まったことから、金融庁は3年前、一部の金融機関に立ち入り検査を行い、融資の態勢を改善するよう指導しました。
これを受けて業界団体の全国銀行協会は広告や宣伝を控えたりほかの銀行などからいくら借り入れているかをしっかりと把握したうえで、利用者の返済能力を確認したりするよう各銀行に呼びかけました。
金融庁がその後、カードローンを取り扱っている全国の120の銀行を対象に審査の実態を調査したところ、去年3月の時点で102の銀行が「ほかの銀行からの借り入れ額も考慮に入れて融資額に上限を設けた」と回答しました。
こうした対応をとる銀行は徐々に増えていることから、金融庁は改善に向けた取り組みが進んでいるとしています。
一方で金融庁は「借りた人の収入の状況に変化がないか、積極的に把握しようという動きは鈍い」とも指摘し、引き続き審査や融資後の対応の改善を促す方針です。
これを受けて業界団体の全国銀行協会は広告や宣伝を控えたりほかの銀行などからいくら借り入れているかをしっかりと把握したうえで、利用者の返済能力を確認したりするよう各銀行に呼びかけました。
金融庁がその後、カードローンを取り扱っている全国の120の銀行を対象に審査の実態を調査したところ、去年3月の時点で102の銀行が「ほかの銀行からの借り入れ額も考慮に入れて融資額に上限を設けた」と回答しました。
こうした対応をとる銀行は徐々に増えていることから、金融庁は改善に向けた取り組みが進んでいるとしています。
一方で金融庁は「借りた人の収入の状況に変化がないか、積極的に把握しようという動きは鈍い」とも指摘し、引き続き審査や融資後の対応の改善を促す方針です。
ソース:NHK ニュース