小池こいけ都知事とちじ 緊急きんきゅう事態じたい宣言せんげん時じの都との対応たいおうを説明せつめい

東京とうきょう都との小池こいけ知事ちじは、今後こんご、仮かりに、新型しんがたコロナウイルス対策たいさくの特別とくべつ措置そち法ほうに基もとづく「緊急きんきゅう事態じたい宣言せんげん」が出だされた場合ばあいに都とがとる対応たいおうについて、３さん日にちの記者きしゃ会見かいけんで説明せつめいしました。

このなかで、小池こいけ知事ちじは「緊急きんきゅう事態じたい宣言せんげん」が出だされた場合ばあいは、都ととして、
▽都民とみんに外出がいしゅつの自粛じしゅくなどを要請ようせいし、
▽各かく施設しせつやイベントの主催しゅさい者しゃには施設しせつの使用しよう停止ていしなどを要請ようせいするなどとしています。

個別こべつの要請ようせい内容ないようは今後こんご、国くにから出だされる方針ほうしんなどを受うけて決定けっていすると説明せつめいしました。

そのうえで、食料しょくりょう品ひんや医薬品いやくひんなどの生活せいかつ必需ひつじゅ品ひんの販売はんばいや、銀行ぎんこうや証券しょうけん取引とりひき所しょなどをはじめとする金融きんゆうサービスなど、社会しゃかいや経済けいざい生活せいかつを維持いじするうえで必要ひつようなサービスは、必要ひつような衛生えいせい管理かんりなどを行おこなったうえで、引き続ひきつづき営業えいぎょうしてもうらうと説明せつめいしました。

さらに、都民とみんや事業じぎょう者しゃが抱いだく疑問ぎもんや不安ふあんに答こたえるため、新あらたにコールセンターを設置せっちして、相談そうだん体制たいせいを強化きょうかするということです。

また、感染かんせんの拡大かくだいが続つづく今いまの状況じょうきょうについて、小池こいけ知事ちじは「感染かんせん爆発ばくはつの重大じゅうだい局面きょくめんと何なん度ども申し上もうしあげているが、この局面きょくめんは変かわっておらず、より深刻しんこくになっている」と述のべ、感染かんせんリスクが高たかまるいわゆる３みっつの密みつを避さけるよう呼よびかけました。

このほか、４よん日にちからの週末しゅうまつは、引き続ひきつづき不要ふよう不急ふきゅうの外出がいしゅつを控ひかえるよう協力きょうりょくを呼よびかけました。

小池こいけ知事ちじは「不要ふよう不急ふきゅう」の意味いみについて「きょう行いかなければならない用事ようじなのか、あした行いかなければならないのかといった観点かんてんからの仕分しわけもある」と述のべました。

ただ、「いのちに関かかわる事ことなどで病院びょういんに行いく方ほう、薬くすりがないとだめな方ほうもいると思おもう。

また、例たとえばスーパーやコンビニ行いってその日ひの食材しょくざいを買かうのは普通ふつうに行いっていただきたい」と述のべ、それぞれで判断はんだんするよう呼よびかけました。

緊急きんきゅう事態じたい宣言せんげん

「緊急きんきゅう事態じたい宣言せんげん」を行おこなう際さいは、国民こくみんの生命せいめいや健康けんこうに著いちじるしく重大じゅうだいな被害ひがいを与あたえるおそれがある場合ばあいと、全国ぜんこく的てきかつ急速きゅうそくな、まん延まんえんによって国民こくみん生活せいかつと経済けいざいに甚大じんだいな影響えいきょうを及およぼすおそれがある場合ばあいの２ふたつの要件ようけんをいずれも満みたす必要ひつようがあると定さだめられています。

さらに、感染かんせん症しょうの専門せんもん家かでつくる「諮問しもん委員いいん会かい」に意見いけんを聞きくなどの手続てつづきも必要ひつようです。

また「緊急きんきゅう事態じたい宣言せんげん」を行おこなう場合ばあい、総理そうり大臣だいじんは緊急きんきゅう的てきな措置そちを取とる期間きかんや区域くいきを指定していし宣言せんげんを出だします。

緊急きんきゅう事態じたい宣言せんげんについて菅かん官房かんぼう長官ちょうかんは、3日にちの閣議かくぎのあとの記者きしゃ会見かいけんで「今いまがまさに国内こくないの急速きゅうそくな感染かんせん拡大かくだいを回避かいひするために重要じゅうような時期じきであり、現状げんじょうでは、ぎりぎり持もちこたえていると思おもわれ、緊急きんきゅう事態じたい宣言せんげんが必要ひつような状態じょうたいにはないという認識にんしきに変かわりはない」と述のべました。

緊急きんきゅう事態じたい宣言せんげんが出だされると、小池こいけ都知事とちじが述のべていたロックダウン＝都市としの封鎖ふうさは、そもそもできるのでしょうか。

ロックダウン

厚生こうせい労働ろうどう省しょうなどによりますと、日本にっぽんで「ロックダウン」＝都市としの封鎖ふうさを行おこなうには、根拠こんきょとなる法律ほうりつが必要ひつようですが、施行しこうされた「新型しんがたコロナウイルス対策たいさく特別とくべつ措置そち法ほう」には、「ロックダウン」ということばは、どこにも書かかれておらず明確めいかくな定義ていぎもないということです。

仮かりに「ロックダウン」のようなことをするにしても、まずは政府せいふが「緊急きんきゅう事態じたい宣言せんげん」を出だすことが前提ぜんていになるということです。

外出がいしゅつ

ただ仮かりに「緊急きんきゅう事態じたい宣言せんげん」が出だされても、特措法とくそほうでは外出がいしゅつ禁止きんしを強制きょうせいすることはできないということです。

特措法とくそほうの45条じょうでは「都道とどう府県ふけん知事ちじは生活せいかつの維持いじに必要ひつような場合ばあいを除のぞき、みだりに当該とうがい者しゃの居宅きょたく、または、これに相当そうとうする場所ばしょから外出がいしゅつしないこと、その他そのたの感染かんせんの防止ぼうしに必要ひつような協力きょうりょくを要請ようせいすることができる」と書かかれていて、あくまで外出がいしゅつ自粛じしゅくの「要請ようせい」にとどまり、外出がいしゅつした際さいの罰則ばっそくはないということです。

東京とうきょう都とが先月せんげつ末まつに要請ようせいした外出がいしゅつ自粛じしゅくと、緊急きんきゅう事態じたい宣言せんげん後ごの外出がいしゅつ自粛じしゅくは、どちらも「要請ようせい」で差異さいはないとしています。

交通こうつう

交通こうつう機関きかんについても、都市とし封鎖ふうさするために公共こうきょう交通こうつう機関きかんを止とめることは法律ほうりつに書かかれていません。

特措法とくそほうの20条じょうと24条じょうには、総理そうり大臣だいじんや都道とどう府県ふけん知事ちじは、鉄道てつどう会社かいしゃなどの「指定してい公共こうきょう機関きかん」と、総合そうごう調整ちょうせいを行おこなうことができると書かかれています。

これはストップさせるというよりも逆ぎゃくで、感染かんせんが拡大かくだいした際さいでも公共こうきょう機関きかんの職員しょくいんは働はたらかなければいけないので「最低さいてい限げんは交通こうつう機関きかんを動うごかしてください」というもので、鉄道てつどうなどを止とめることは想定そうていしていません。

また道路どうろについても、特措法とくそほうで道路どうろを封鎖ふうさできるという規定きていはありません。

一方いっぽう、感染かんせん症しょう法ほう33条じょうでは、感染かんせんした場所ばしょが十分じゅうぶんに消毒しょうどくできていない場合ばあい、そこに人ひとが集あつまらないように72時間じかん以内いないで局所きょくしょ的てきに閉鎖へいさしたり、そこに向むかう交通こうつう手段しゅだんを遮断しゃだんしたりできますが、それは消毒しょうどくのためであって広域こういき的てきに人ひとの動うごきを止とめるために使つかえる条文じょうぶんではありません。

このように仮かりに緊急きんきゅう事態じたい宣言せんげんが出でたとしても、外出がいしゅつ自粛じしゅくは「要請ようせい」ベースで強制きょうせい力りょくはなく、これまでの自粛じしゅく要請ようせいと、ほとんど変かわらない見通みとおしです。

今いまの特措法とくそほうでは、海外かいがいのような「ロックダウン」はできず、徹底てってい的てきに実施じっしするならば、諸しょ外国がいこくのように罰則ばっそく付つきの法律ほうりつを別途べっと整備せいびすることが必要ひつようだということです。

東京とうきょう都との小池こいけ知事ちじは、先週せんしゅう末まつの不要ふよう不急ふきゅうの外出がいしゅつを控ひかえるよう呼よびかけましたが「皆みなさんの協力きょうりょくを得えて、かなりの部分ぶぶんの外出がいしゅつをお控ひかえいただいた」と述のべるなど、効果こうかが見みられたという例れいもある。

それを踏ふまえると、強制きょうせい力りょくはないが心理しんり的てきな効果こうかがあるのではないかという見方みかたもあります。

イベント

イベントについては、特措法とくそほうの45条じょう２に項こうに基もとづき、イベントを開催かいさいしないよう知事ちじがまず「要請ようせい」して、それでも応おうじない場合ばあいは「指示しじ」できます。

指示しじには罰則ばっそくはないものの、公権力こうけんりょくを背景はいけいとした指示しじは、事実じじつ上じょうの強制きょうせい力りょくを持もつと考かんがえられます。

さらに「指示しじ」を行おこなったら、事業じぎょう者しゃ名めいなどを知事ちじがホームページなどに「公表こうひょう」することになります。

休校きゅうこう

学校がっこうの休校きゅうこうについても、特措法とくそほうの45条じょう２に項こうが根拠こんきょとなり、休校きゅうこうを「要請ようせい」または「指示しじ」できるようになります。

県立けんりつ高校こうこうは、県けんが所管しょかんしているので知事ちじの判断はんだんで休校きゅうこうできます。

私立しりつ学校がっこうや市町しちょう村立そんりつの小中しょうちゅう学校がっこうは、知事ちじが休校きゅうこうを「要請ようせい」し、応おうじない場合ばあいには「指示しじ」できるという建たて付づけになっていますが、罰則ばっそくはありません。

店舗てんぽや施設しせつ

店舗てんぽの営業えいぎょうについても、特措法とくそほうの45条じょう２に項こうで「多数たすうの者ものが利用りようする施設しせつ」は、使用しよう制限せいげんや停止ていしを「要請ようせい」できるとなっていて「多数たすうの者ものが利用りようする施設しせつ」は政令せいれいで定さだめられています。

主おもなものは、映画えいが館かんや展示てんじ場じょう、百貨店ひゃっかてんやスーパーマーケットのほか、ホテル、美術館びじゅつかん、キャバレー、理髪りはつ店てん、学習がくしゅう塾じゅくなどとなっています。

ただしスーパーマーケットのうち、食品しょくひん、医薬品いやくひん、衛生えいせい用品ようひん、燃料ねんりょうなど、生活せいかつ必需ひつじゅ品ひんの売り場うりばだけは営業えいぎょうを続つづけることができます。

ただ、民間みんかん企業きぎょうを強制きょうせい的てきに休業きゅうぎょうさせる直接ちょくせつ的てきな規定きていはありません。

企業きぎょうが活動かつどうを休止きゅうししたり、イベントを中止ちゅうししたりした場合ばあいの損失そんしつ補償ほしょうについては、そもそも強制きょうせい的てきに店舗てんぽを閉しめたり、イベント中止ちゅうしを命めいじることはできないため、特措法とくそほうには直接ちょくせつの規定きていはないということです。

マスク

マスクについては、特措法とくそほうの55条じょうでマスクなど、必要ひつような物資ぶっしの売り渡うりわたしの要請ようせいができるほか、応おうじないときには、知事ちじが強制きょうせい的てきに収用しゅうようできるようになります。

また特措法とくそほうとは別べつに、すでに政府せいふは国民こくみん生活せいかつ安定あんてい緊急きんきゅう措置そち法ほうなどに基もとづいて、マスクを買い上かいあげるなどして北海道ほっかいどうや医療いりょう機関きかんなどに配くばっています。

強制きょうせい的てきにできること

緊急きんきゅう事態じたい宣言せんげんが出でたときに行政ぎょうせいが強制きょうせい的てきにできることは、都道とどう府県ふけん知事ちじが、臨時りんじの医療いりょう施設しせつをつくるために必要ひつようがある場合ばあいに、土地とちや建物たてものを所有しょゆう者しゃの同意どういを得えないで使用しようできることと、知事ちじが医薬品いやくひんや食品しょくひんなど、必要ひつような物資ぶっしの保管ほかんを命めいじることです。

命令めいれいに従したがわず、物資ぶっしを隠かくしたり廃棄はいきしたりした場合ばあいは、６ろくか月かげつ以下いかの懲役ちょうえきまたは30万まん円えん以下いかの罰金ばっきんが科かされます。

保管ほかん場所ばしょの立ち入たちいり検査けんさを拒否きょひした場合ばあいも30万まん円えん以下いかの罰金ばっきんとなります。

罰則ばっそくがあるのはこの２ふたつだけです。

政府せいふ「ロックダウン 確立かくりつした定義ていぎ承知しょうちせず」

新型しんがたコロナウイルスの感染かんせん拡大かくだいを受うけ、海外かいがいで行おこなわれている「ロックダウン」＝都市とし封鎖ふうさについて、政府せいふは、３さん日にちの閣議かくぎで「確立かくりつした定義ていぎがあるとは承知しょうちしていない」とする答弁とうべん書しょを決定けっていしました。

「ロックダウン」について、政府せいふの専門せんもん家か会議かいぎの提言ていげんでは「数すう週間しゅうかんの間ま、都市としを封鎖ふうさしたり、強制きょうせい的てきな外出がいしゅつ禁止きんしの措置そちや生活せいかつ必需ひつじゅ品ひん以外いがいの店舗てんぽ閉鎖へいさなどを行おこなう」などと記述きじゅつされています。

これを踏ふまえ、国民こくみん民主みんしゅ党とうの後藤ごとう祐一ゆういち衆議院しゅうぎいん議員ぎいんは、質問しつもん主意しゅい書しょで、「ロックダウン」の定義ていぎや法的ほうてきに可能かのうか、政府せいふの見解けんかいをただしました。

これについて、政府せいふは、３さん日にちの閣議かくぎで、「『ロックダウン』については、確立かくりつした定義ていぎがあるとは承知しょうちしていないため、お答おこたえすることは困難こんなんだ」とする答弁とうべん書しょを決定けっていしました。

「ロックダウン」をめぐっては、安倍あべ総理そうり大臣だいじんが参議院さんぎいん決算けっさん委員いいん会かいで、「さまざまな要請ようせいはすることになるかもしれないが、フランスなどで行おこなっているものとは、やや性格せいかくは違ちがうものだ」と述のべています。

ソース：NHK ニュース