【随時更新】ガザ地区 人道支援物資搬入 21日以降か
2023-10-20 23:35:36

※21日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。
《人質解放をめぐる動き》
米 国務長官 ハマスに残りの人質の解放求める
アメリカのブリンケン国務長官は20日、記者会見で、アメリカ国籍の人質2人が解放されたとした上で、いまなおアメリカ人10人の行方がわからず、一部は、人質としてとらわれていると明らかにしました。
一方、イスラム組織ハマスが即時停戦を条件に人質の一部解放を提案していると伝えられていることに関連しブリンケン長官は「わたしはハマスの主張を額面どおりには受け取らない」と述べました。その上で「すべての人質をただちに解放しなければならない」と述べ、ハマスに対し残りの人質全員を解放するよう求めました。
仲介役を務めたカタール「継続した対話の結果だ」
イスラム組織ハマスの人質となっていたアメリカ国籍の親子2人が解放されたことについて仲介役を務めたカタールの外務省報道官は20日、ロイター通信に対し「すべての関係者との数日間にわたる継続した対話の結果だ」と述べました。そのうえで「対話がすべての国籍の人質の解放につながる」として引き続き交渉を続ける考えを示しました。
ハマス「米国籍の母親と娘を解放」SNSで発表
イスラム組織ハマスは20日、SNSで「人道的な理由からアメリカ国籍の母親と娘を解放した」と発表しました。
発表では、カタールによる仲介努力に応えたものだとしています。
イスラエル首相府はこのあとに発表した声明で、2人がガザ地区の境界で保護され、家族が待つイスラエル中部にある軍の基地に向かっているとした上で、人質全員の解放に向けて取り組むとしています。
アメリカのCNNテレビは外交筋などの話として、母親の健康状態が悪かったため人道的な理由で解放されたと伝えています。
人質解放への対応をめぐってアメリカのメディア、ブルームバーグは20日、複数の関係者の話として、アメリカやヨーロッパ各国がカタールを介して進めている交渉の時間を稼ぐため、イスラエルに対してガザ地区への地上侵攻を遅らせるよう迫っていると伝えています。
また、イギリスの公共放送BBCは20日、ハマスが即時停戦を条件に人質の一部を解放するとイスラエル側に提案したものの、イスラエル側は今のところ、これに合意していないと報じています。
イスラエル軍はガザ地区でとらわれている人質はおよそ200人に上るとしていて、複数の外国人も含まれる中、各国が解放を呼びかけています。
《人道支援物資をめぐる動き》
英 スナク首相「優先すべきは人道支援を人々に届けること」
中東を訪れているイギリスのスナク首相は20日、エジプトの首都カイロでシシ大統領やパレスチナ暫定自治政府のアッバス議長と相次いで会談を行った後、空港で記者団のインタビューに応じました。
その中で「この危機が発生したとき、われわれが一貫して優先してきたことの一つは、人道支援物資のラファ検問所の通過を可能にすることだった。今、優先すべきことは、ガザ地区で人道支援を必要としている人々に届けることだ」と述べました。
そのうえで「長期的には、パレスチナの人々が尊厳を持ち、自由で安全に暮らせる未来というビジョンをわれわれ全員が共有しており、その実現に向けて努力する必要がある」と強調しました。
また、多くの犠牲者が出たガザ地区の病院での爆発について「何が起こったかという事実を確定するためには時間をかける必要がある」と述べ、イギリス政府の情報部門に証拠の検証を行うよう要請し、すでに調査に取りかかっていることを明らかにしました。
米 バイデン大統領 物資搬入「24時間から48時間以内に」
アメリカのバイデン大統領は20日、ホワイトハウスでガザ地区への人道支援物資の搬入について「イスラエル側とエジプトのシシ大統領から確約を得ている。道路を舗装し直さなければならず、非常にひどい状態だ。これから24時間から48時間以内に最初の20台のトラックが通過するだろう」と述べました。
OCHA “人道支援物資の搬入は21日以降の見通し”
OCHA=国連人道問題調整事務所の広報官は20日、スイスで開いた記者会見で、人道支援物資の搬入についてイスラエルやエジプトなどとの交渉が続いているとしたうえで、搬入が始まるのは21日以降になるという見通しを示しました。
交渉では国連が支援物資の一環として発電機などに使用する燃料の搬入を求めているのに対し、イスラエル側は認めない姿勢を示しているということで、搬入する支援物資の量や条件などについて、交渉が続いているとみられます。
一方、イスラエルのガラント国防相は20日、議会の外交防衛委員会の議員への説明のなかで、ガザ地区への軍事作戦の目的について3つの段階があると説明しました。
まずはハマスを壊滅させる段階、そして残りの抵抗勢力を排除する段階、さらに新たな安全保障上の現実をうち立てる段階があるとしています。
ガラント氏は第3の段階では「ガザ地区での生活についてイスラエルは責任を負わなくなる」としていますが、具体的に何を意味するかは明らかにしていません。イスラエルは近くガザ地区への地上侵攻に乗り出す構えを崩しておらず、ハマスの壊滅だけでなくイスラエルへの脅威を徹底して排除する姿勢を示したものといえます。
エジプト外務省 “物資搬入を拒んでいるのはイスラエル”
ガザ地区への支援物資の搬入が遅れる中、エジプト外務省の広報官はSNS上にラファ検問所のエジプト側はイスラエルとハマスの一連の衝突後も常に開いていたという認識を示した上で「西洋のメディアはエジプトに検問所閉鎖の責任を押しつけようとしているが、検問所を4回も攻撃し、物資の搬入を拒んでいるのはイスラエルだ。さらに外国人の出国を阻んでいるのもエジプトではない」と投稿しました。
エジプト政府はこれまでもガザ地区に人道支援物資を運び入れる準備はできているとしていますが、関係国の間で調整に時間がかかる中、改めて政府の立場を主張したものとみられます。
一方で、エジプト政府はガザ地区からの住民の受け入れについては、自国の治安の悪化につながるなどとして否定的な考えを示しています。
パレスチナ暫定自治区 各地でイスラエルへの抗議デモ
パレスチナ暫定自治区では20日、ガザ地区への連帯を示し、イスラエルに抗議するデモが各地で行われました。
このうちヨルダン川西岸のベツレヘムでは、金曜礼拝のあと大規模な抗議デモが行われました。
街の中心部に集まった数百人のパレスチナ人たちは、パレスチナの旗を掲げながら市街地を行進し、ハマスやガザ地区の人々への連帯を訴えていました。
このあとデモの参加者の一部が街の入り口にあるイスラエル側が設置した検問所に向けて投石を行うなどしたため、イスラエル側の治安部隊が催涙弾を発射するなどして対応していました。
パレスチナの保健当局によりますと、ヨルダン川西岸地区では今月7日以降、イスラエルの治安部隊やユダヤ人入植者との衝突で死亡したパレスチナ人が81人にのぼっていて、イスラエル側はガザ地区での衝突がヨルダン川西岸でも広がらないか、警戒を強めています。