岸田きしだ首相しゅしょうが所信しょしん表明ひょうめい演説えんぜつ 所得しょとく税ぜい減税げんぜいを念頭ねんとうに具体ぐたい策さく検討けんとうの意向いこう

岸田きしだ総理そうり大臣だいじんは衆参しゅうさん両院りょういんの本ほん会議かいぎで所信しょしん表明ひょうめい演説えんぜつを行おこない、新あらたな経済けいざい対策たいさくをめぐり、物価ぶっか高だかの負担ふたんを緩和かんわするための一時いちじ的てきな措置そちとして税収ぜいしゅうの増加ぞうか分ぶんの一部いちぶを国民こくみんに還元かんげんすると強調きょうちょうし、所得しょとく税ぜいの減税げんぜいを念頭ねんとうに具体ぐたい策さくの検討けんとうを進すすめる意向いこうを示しめしました。

臨時りんじ国会こっかいの召集しょうしゅうを受うけ、岸田きしだ総理そうり大臣だいじんは23日にち、衆参しゅうさん両院りょういんの本ほん会議かいぎで所信しょしん表明ひょうめい演説えんぜつを行おこないました。

冒頭ぼうとう、岸田きしだ総理そうり大臣だいじんは、防衛ぼうえい力りょく強化きょうかや少子しょうし化か対策たいさくなど時代じだいの変化へんかに応おうじた課題かだいに取り組とりくみ、結果けっかを出だしてきたとしたうえで「今後こんごも物価ぶっか高だかをはじめ国民こくみんが直面ちょくめんする課題かだいに『先送さきおくりせず、必かならず答こたえを出だす』との不撓ふとう不屈ふくつの覚悟かくごをもって取り組とりくんでいく」と述のべました。

そして「30年来ねんらい続つづいてきた『コストカット経済けいざい』からの変化へんかが起おこりつつある。この変化へんかの流ながれをつかみ取とるために『経済けいざい、経済けいざい、経済けいざい』、何なによりも経済けいざいに重点じゅうてんを置おいていく」と述のべました。

そのうえで、近ちかく策定さくていする新あらたな経済けいざい対策たいさくについて、変革へんかくを力強ちからづよく進すすめる「供給きょうきゅう力りょくの強化きょうか」と、物価ぶっか高だかを乗り越のりこえるための「国民こくみんへの還元かんげん」を両輪りょうりんとした内容ないようにする方針ほうしんを示しめしました。

このうち「供給きょうきゅう力りょくの強化きょうか」では、今後こんご3年ねん程度ていどを「変革へんかく期間きかん」と位置いちづけ、◇半導体はんどうたいや脱だつ炭素たんそなどの先端せんたん分野ぶんやへの大型おおがた投資とうしを促進そくしんするとともに、◇賃上ちんあげや設備せつび投資とうしに取り組とりくむ企業きぎょうへの減税げんぜいを進すすめると説明せつめいしました。

また、◇供給きょうきゅうの要ようである労働ろうどう力りょくの拡大かくだいを念頭ねんとうに、いわゆる「106万まん円えんの壁かべ」を解消かいしょうするために必要ひつような予算よさんを確保かくほする考かんがえも示しめしました。

そして「国民こくみんへの還元かんげん」では、急激きゅうげきな物価ぶっか高だかに賃上ちんあげが追おいつかない現状げんじょうを踏ふまえ、負担ふたんを緩和かんわするための一時いちじ的てきな措置そちとして、税収ぜいしゅうの増加ぞうか分ぶんの一部いちぶを国民こくみんに還元かんげんすると強調きょうちょうし、所得しょとく税ぜいの減税げんぜいを念頭ねんとうに「近ちかく政府せいふ与党よとう政策せいさく懇談こんだん会かいを開催かいさいし、与党よとうの税制ぜいせい調査ちょうさ会かいでの早急そうきゅうな検討けんとうを指示しじする」と述のべました。

また、◇各かく自治体じちたいで低てい所得しょとく者しゃ世帯せたいへの給付きゅうふ措置そちなどに使つかわれている「重点じゅうてん支援しえん地方ちほう交付こうふ金きん」を拡大かくだいすることや、◇ガソリン価格かかくを抑おさえる補助ほじょ金きんや電気でんき・ガス料金りょうきんの負担ふたん軽減けいげん措置そちを来年らいねん春はるまで継続けいぞくする方針ほうしんも示しめしました。

さらに今後こんごの経済けいざい財政ざいせい運営うんえいについて、所得しょとくの増加ぞうかを先行せんこうさせ、税ぜい負担ふたんや社会しゃかい保障ほしょう負担ふたんを抑制よくせいすることに重おもきを置おく考かんがえを示しめしました。

一方いっぽう、人口じんこう減少げんしょうなどの社会しゃかいの変化へんかにも対応たいおうしていく必要ひつようがあるとして、◇アナログを前提ぜんていとした行財政ぎょうざいせいの仕組しくみを改革かいかくする「デジタル行財政ぎょうざいせい改革かいかく」を推進すいしんするとともに、◇マイナンバー制度せいどの信頼しんらい回復かいふくに向むけて、原則げんそく、来月らいげつ末まつをめどに総そう点検てんけんを終おえると説明せつめいしました。

また、◇地域ちいき交通こうつうの担い手にないて不足ふそくなどに対応たいおうするため、一般いっぱんのドライバーが自家用車じかようしゃを使つかって有料ゆうりょうで人ひとを運はこぶ「ライドシェア」の課題かだいにも取り組とりくむ方針ほうしんを明あきらかにしました。

このほか、女性じょせいや若者わかもの、高齢こうれい者しゃの力ちからを引き出ひきだすため、◇子こども1人にん当あたりの支援しえん規模きぼをOECD＝経済けいざい協力きょうりょく開発かいはつ機構きこうのトップの水準すいじゅんに引き上ひきあげるのに加くわえ、◇介護かいご職しょくなどの賃上ちんあげに向むけた公定こうてい価格かかくの見直みなおしや、◇認知にんち症しょう対策たいさくなどにも力ちからを入いれる考かんがえを示しめしました。

さらに、パビリオン建設けんせつの遅おくれなどが課題かだいとなっている大阪おおさか・関西かんさい万博ばんぱくについては「強つよい危機きき感かんを持もって、オールジャパンで進すすめていく」と述のべました。

外交がいこう・安全あんぜん保障ほしょうでは、ロシアによるウクライナ侵攻しんこうやイスラエル・パレスチナ情勢じょうせいなどを踏ふまえ、安全あんぜん保障ほしょう環境かんきょうは戦後せんご最もっとも厳きびしい状況じょうきょうにあるとして、「人間にんげんの尊厳そんげん」という根源こんげん的てきな価値かちを中心ちゅうしんに、分断ぶんだんや対立たいりつではなく、世界せかいを協調きょうちょうへと促うながす取り組とりくみを続つづける姿勢しせいを示しめしました。

中国ちゅうごくとの関係かんけいについては、建設けんせつ的てきで安定あんてい的てきな関係かんけい構築こうちくのため対話たいわを継続けいぞくするとした一方いっぽう、東京とうきょう電力でんりょく福島ふくしま第だい一いち原発げんぱつの処理しょり水すい放出ほうしゅつを受うけた中国ちゅうごくによる日本にっぽん産さん水産物すいさんぶつの輸入ゆにゅう停止ていし措置そちの即時そくじ撤廃てっぱいを求もとめ、中国ちゅうごく市場しじょうに依存いぞんしないよう販路はんろ拡大かくだいを図はかる考かんがえを示しめしました。

また、韓国かんこくとの関係かんけいについては、ユン・ソンニョル（尹いん錫すず悦えつ）大統領だいとうりょうとの個人こじん的てきな信頼しんらい関係かんけいをてこに幅広はばひろい連携れんけいを深ふかめているとして、経済けいざい安全あんぜん保障ほしょうを含ふくめた日にち米べい韓かん3か国かこくの連携れんけいに加くわえ、日にち中ちゅう韓かんの枠組わくぐみも前進ぜんしんさせる方針ほうしんを示しめしました。

北朝鮮きたちょうせんによる拉致らち問題もんだいについては、早期そうき解決かいけつに向むけて、キム・ジョンウン（金きむ正ただし恩おん）総そう書記しょきとの会談かいだんを実現じつげんするため、自みずからが直轄ちょっかつするハイレベル協議きょうぎを進すすめていくとしたうえで「日にち朝間あさまの実みのりある関係かんけいを築きずいていくために、大局たいきょく観かんに基もとづく判断はんだんをしていく」と述のべました。

このほか、防衛ぼうえい力りょくの抜本ばっぽん的てきな強化きょうかに向むけて「2024年ねん以降いこうの適切てきせつな時期じき」としている税制ぜいせい措置そちの実施じっし時期じきについては、行財政ぎょうざいせい改革かいかくを含ふくめた財源ざいげん調達ちょうたつの見通みとおしや、景気けいき・賃金ちんぎんの動向どうこうなどを踏ふまえて判断はんだんしていくと説明せつめいしました。

一方いっぽう、憲法けんぽう改正かいせいについては、先送さきおくりのできない重要じゅうような課題かだいだとして「国会こっかいの発議ほつぎに向むけた手続てつづきを進すすめるためにも、条文じょうぶん案あんの具体ぐたい化かなど、これまで以上いじょうに積極せっきょく的てきな議論ぎろんが行おこなわれることを心こころから期待きたいする」と述のべました。

また、安定あんてい的てきな皇位こうい継承けいしょうの確保かくほに向むけて「皇族こうぞく数すうの減少げんしょうへの対応たいおうも、国くにの基本きほんに関かかわる重要じゅうような課題かだいだ」として、国会こっかいで積極せっきょく的てきな議論ぎろんが行おこなわれることに期待きたいを示しめしました。

旧きゅう統一とういつ教会きょうかいをめぐっては、先さきに宗教しゅうきょう法人ほうじん法ほうに基もとづく解散かいさん命令めいれいを請求せいきゅうしたことを踏ふまえ、裁判さいばんの対応たいおうに万全ばんぜんを期きすとともに、被害ひがい者しゃ救済きゅうさいに適切てきせつに対応たいおうする考かんがえを示しめしました。

そして、演説えんぜつの最後さいごに「日本にっぽん国民こくみんが『あすはきょうより良よくなる』と信しんじられる時代じだいを実現じつげんする。歴史れきし的てきな転換てんかん点てんの中なかで変化へんかの流ながれをつかみ、変化へんかを力ちからにしていく。その先頭せんとうに立たって、職しょくを賭として粉骨砕身ふんこつさいしん取り組とりくむ覚悟かくごだ」と強調きょうちょうしました。

ソース：NHK ニュース