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エルサレムにべい大使館たいしかん きょう移転いてん パレスチナ反発はんぱつつよめる

2018-05-13 19:13:48

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中東ちゅうとうのエルサレムをイスラエルの首都しゅと認定にんていしたアメリカトランプ政権せいけんいちよんにち大使館たいしかんをエルサレムに移転いてんします。これに対にたいし、エルサレムを将来しょうらい樹立じゅりつする国家こっか首都しゅと位置いちづけるパレスチナは、抗議こうぎデモびかけていて、イスラエルぐんはげしい衝突しょうとつきることも予想よそうされます。
アメリカトランプ大統領だいとうりょうは、去年きょねん12月じゅうにがつ、エルサレムをイスラエルの首都しゅと認定にんていし、いちよんにちのイスラエル建国けんこくななぜろねんわせて、現在げんざいべつ場所ばしょある大使館たいしかんをエルサレムに移転いてんします。

移転いてんは、エルサレムにある総領事館そうりょうじかん大使館たいしかん格上かくあげするかたちおこなわれます。いちさんにちには、翌日よくじつ記念きねん式典しきてん出席しゅっせきするため、トランプ大統領だいとうりょうむすめのイバンカむすめ婿むこのクシュナー上級じょうきゅう顧問こもんらが到着とうちゃくし、ネタニヤフ首相しゅしょう歓迎かんげいけました。

ただ、エルサレムは、パレスチナがわ将来しょうらい樹立じゅりつする国家こっか首都しゅと位置いちづけていて、その帰属きぞくは、アメリカ仲介ちゅうかいする交渉こうしょうめることになっていました。

このため、トランプ政権せいけん対応たいおうにパレスチナがわ失望しつぼうするとともに、反発はんぱつつよめていて、各地かくち抗議こうぎデモつづけています。

イスラエルの建国けんこくともなって故郷こきょうわれたパレスチナのひとたちにとっては、難民なんみんとなってからななぜろねんという節目ふしめにあたり、抗議こうぎデモ拡大かくだいしてイスラエルぐんはげしい衝突しょうとつきることも予想よそうされます。

しん大使館たいしかん中間ちゅうかん地点ちてん

いちよんにちからはアメリカのフリードマン大使たいしが、エルサレムで勤務きんむたります。あらたな大使館たいしかん場所ばしょは、ユダヤじん地区ちくとパレスチナじんらす地区ちくほぼ中間ちゅうかん位置いちし、かつてイスラエルとアラブ諸国しょこくおこなわれた中東ちゅうとう戦争せんそう停戦ていせんラインじょう位置いちしています。イスラエルの治安ちあん当局とうきょくは、大使館たいしかんねらったテロなど警戒けいかいし、厳重げんじゅう態勢たいせいいています。

べいのイスラエル支援しえん その背景はいけいは…

アメリカいちきゅうよんはちねん、イスラエルが建国けんこくされたさい最初さいしょ国家こっかとして承認しょうにんし、対立たいりつするアラブ諸国しょこくかこまれたイスラエルを一貫いっかんして支援しえんしてきました。

アメリカでは、「イスラエル・ロビー」とばれるユダヤけい団体だんたい政財界せいざいかいつよ影響えいきょうりょくち、「特別とくべつ関係かんけいくに」としてイスラエルに多額たがく軍事ぐんじ援助えんじょつづけています。

しかしまえのオバマ政権せいけんが、イスラエルが安全あんぜん保障ほしょうじょう最大さいだい脅威きょういとらえるイランとの距離きょりちぢめ、かく合意ごうい妥結だけつしたことから、イスラエルはこれ公然こうぜん批判ひはんし、関係かんけい冷え込ひえこみました。

しかしトランプ大統領だいとうりょう大統領だいとうりょう選挙せんきょ期間きかんちゅう、エルサレムにアメリカ大使館あめりかたいしかん移転いてんすると発言はつげんし、イスラエルりの姿勢しせい打ち出うちだしました。

去年きょねん大統領だいとうりょう就任しゅうにんしたあとも、パレスチナに対にたいして強硬きょうこう姿勢しせい人物じんぶつをイスラエル大使たいし起用きようしたほか、イスラエルと将来しょうらいてきなパレスチナ国家こっか共存きょうぞんする「国家こっか共存きょうぞん」には、かならずしもこだわらないかんがしめしました。

そして去年きょねん12月じゅうにがつには、エルサレムをイスラエルの首都しゅとみとめる宣言せんげんしたうえで、アメリカ大使館あめりかたいしかんをエルサレムに移転いてんする方針ほうしんあきらかにしました。

トランプ大統領だいとうりょうちかむすめ婿むこのクシュナー上級じょうきゅう顧問こもんけいけんなユダヤ教徒きょうとで、むすめのイバンカも、結婚けっこんにユダヤきょう改宗かいしゅうしたことでられています。

またアメリカ国内こくない最大さいだい宗教しゅうきょう勢力せいりょくばれるキリスト教きりすときょう福音ふくいんは、イスラエルを支援しえんすることが重要じゅうようだと信仰しんこうしており、トランプ大統領だいとうりょうがエルサレムを首都しゅとみとめる判断はんだんをしたのは、あき中間ちゅうかん選挙せんきょもにらみ、キリストきょう福音ふくいん支持しじをつなぎとめたいねらがあったとみられています。

さらに、先月せんげつ、イスラエルのネタニヤフ首相しゅしょう核兵器かくへいき開発かいはつ計画けいかくしたことはないとしてきたイランの主張しゅちょうはうそだと証明しょうめいする大量たいりょう資料しりょう入手にゅうしゅしたとして公表こうひょうし、トランプ大統領だいとうりょうに対にたいかく合意ごういからの離脱りだつふくきびしい対応たいおうびかけました。

これ後押あとおしとなり、トランプ大統領だいとうりょうは、ヨーロッパなど関係かんけいこく反対はんたい押し切おしきかたちで、今月こんげつはちにち、イランかく合意ごういからの離脱りだつ表明ひょうめいし、歴代れきだい大統領だいとうりょうもっとイスラエルりの政策せいさく取り続とりつづけています。

大使館たいしかん移転いてん 追随ついずいするくに

アメリカトランプ政権せいけん追随ついずいして、イスラエルにある大使館たいしかんをエルサレムに移転いてんすることをめたくにもあり、イスラエルは、歓迎かんげいする一方いっぽう、パレスチナは国際こくさいほう違反いはんだとして反発はんぱつつよめています。

このうち中米ちゅうべいのグアテマラは今月こんげついちろくにち、エルサレムに大使館たいしかん移転いてんし、モラレス大統領だいとうりょうが、現地げんち記念きねん式典しきてん出席しゅっせきする予定よていです。

グアテマラの大使館たいしかん移転いてんは、イスラエルへの支援しえん信仰しんこうはしらとするキリスト教きりすときょう福音ふくいん影響えいきょうによるもので、ななにちにエルサレムで講演こうえんしたグアテマラのソリス大使たいしは、「わたし福音ふくいんのひとりであり、かみから大使館たいしかん移転いてん役割やくわりさずかり、大変たいへん光栄こうえいかんじている」とべました。

イスラエル政府せいふによりますと、伝統でんとうてき友好国ゆうこうこくある南米なんべいパラグアイも、今月こんげつまつまでに大使館たいしかんをエルサレムに移転いてんする見通みとおです。

エルサレム ふるくから紛争ふんそう火種ひだね

エルサレムは、ユダヤきょう、キリストきょうそれにイスラム教いすらむきょう重要じゅうよう聖地せいちがあり、ふるくから紛争ふんそう火種ひだねとなってきました。

それぞれ聖地せいちある東エルサレムひがしえるされむ」は、イスラエルが、いちきゅうろくななねんだいさん中東ちゅうとう戦争せんそう占領せんりょうし、もともとユダヤじん地区ちくだった「西にしエルサレム」に一方いっぽうてき併合へいごうしました。

イスラエルにとって、エルサレムは、ユダヤじん祖先そせんあるダビデおうが、およそさんぜろぜろぜろねんまえいたところで、イスラエルは「永遠えいえんかつ可分かぶん首都しゅと」だとしていますが、国際こくさい社会しゃかいみとめていません。

これに対にたいし、イスラム教徒きょうととキリスト教徒きょうとおおパレスチナがわは、エルサレムを将来しょうらい樹立じゅりつする国家こっか首都しゅとにするとしてゆずらず、エルサレムの帰属きぞくは、和平わへい交渉こうしょう解決かいけつさくいだすのがもっとむずかしい問題もんだいとなっています。

イスラエルによる占領せんりょうつづなかで、ことなる宗教しゅうきょう聖地せいちとなエルサレムは、暴力ぼうりょく応酬おうしゅう引き金ひきがねともなってきました。

ぜろぜろぜろ年代ねんだい前半ぜんはんには、パレスチナの住民じゅうみんらが蜂起ほうきして、双方そうほうおおくの犠牲ぎせいしゃほか、ことし7月しちがつにはイスラム教いすらむきょう聖地せいち周囲しゅういにイスラエルが、安全あんぜん検査けんさよう機器きき設置せっちしたのをきっかけに、だい規模きぼ衝突しょうとつ発展はってんしました。

去年きょねん12月じゅうにがつアメリカトランプ大統領だいとうりょうが、エルサレムをイスラエルの首都しゅと認定にんていすると、パレスチナがわ一斉いっせい抗議こうぎデモりだし、各地かくちでイスラエルぐんとの衝突しょうとつつづき、多数たすう死傷ししょうしゃました。

べい大統領だいとうりょう補佐ほさかん現実げんじつありのままみとめた」

アメリカがエルサレムをイスラエルの首都しゅと認定にんていし、大使館たいしかんをエルサレムに移転いてんすることについて、トランプ政権せいけん安全あんぜん保障ほしょう政策せいさく担当たんとうするボルトン大統領だいとうりょう補佐ほさかんいちさんにちABCえいび-し-テレビインタビューで「現実げんじつをありのままにみとめたにすぎない」とべました。

そして、「現実げんじつみとめることによって、和平わへい実現じつげんはより容易よういなる」とべ、大使館たいしかん移転いてんによってパレスチナの反発はんぱつつよまり、暗礁あんしょう乗り上のりあげている中東ちゅうとう和平わへい実現じつげん一層いっそうとおのくという見方みかた反論はんろんしました。

国連こくれん特使とくしべい政権せいけん批判ひはん

国連こくれん中東ちゅうとう和平わへい担当たんとうするニコライ・マルデノブ特使とくしは、アメリカ大使館あめりかたいしかんのエルサレム移転いてんについて、「エルサレムの帰属きぞく問題もんだいは、当事者とうじしゃのイスラエルとパレスチナの交渉こうしょう解決かいけつすべきだ。アメリカ一方いっぽうてき大使館たいしかん移転いてんは、もっと重要じゅうよう問題もんだい解決かいけつむずかしくするものだ」とべて、トランプ政権せいけん対応たいおう批判ひはんしました。

また、マルデノブ特使とくしは、ガザ地区ちくでパレスチナのデモたいとイスラエルぐん衝突しょうとつつづき、多数たすう死傷ししょうしゃていることについて、「イスラエルぐんは、実弾じつだん射撃しゃげきをするのをめて、慎重しんちょう対処たいしょすべきだ。デモたいが、イスラエルとの境界きょうかいフェンスをこわしたり、侵入しんにゅうしようとしたりする場合ばあい逮捕たいほして司法しほう手続てつづおこなって送り返おくりかえすべきだ。残念ざんねんながら、イスラエルぐんは、安易あんい即座そくざ実弾じつだん発砲はっぽうし、大勢たいせい犠牲ぎせいしゃている」とべ、イスラエルは、過剰かじょう武力ぶりょく行使こうしをしていると非難ひなんしました。

一方いっぽう、ガザ地区ちく実効じっこう支配しはいするハマスに対にたいしては「イスラエルぐんたれるそれある場所ばしょで、抗議こうぎデモおこなべきではない」とべて、故意こい住民じゅうみん危険きけんにさらしているとして批判ひはんしました。
ソース:NHK ニュース