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エルサレムに米大使館 きょう移転 パレスチナ反発強める
2018-05-13 19:13:48

中東のエルサレムをイスラエルの首都と認定したアメリカのトランプ政権は14日、大使館をエルサレムに移転します。これに対し、エルサレムを将来樹立する国家の首都と位置づけるパレスチナは、抗議デモを呼びかけていて、イスラエル軍と激しい衝突が起きることも予想されます。
アメリカのトランプ大統領は、去年12月、エルサレムをイスラエルの首都と認定し、14日のイスラエル建国70年に合わせて、現在別の場所にある大使館をエルサレムに移転します。
移転は、エルサレムにある総領事館を大使館に格上げする形で行われます。13日には、翌日の記念式典に出席するため、トランプ大統領の娘のイバンカ氏や娘婿のクシュナー上級顧問らが到着し、ネタニヤフ首相の歓迎を受けました。
ただ、エルサレムは、パレスチナ側も将来、樹立する国家の首都と位置づけていて、その帰属は、アメリカが仲介する交渉で決めることになっていました。
このため、トランプ政権の対応にパレスチナ側は失望するとともに、反発を強めていて、各地で抗議デモを続けています。
イスラエルの建国に伴って故郷を追われたパレスチナの人たちにとっては、難民となってから70年という節目にあたり、抗議デモが拡大してイスラエル軍と激しい衝突が起きることも予想されます。
移転は、エルサレムにある総領事館を大使館に格上げする形で行われます。13日には、翌日の記念式典に出席するため、トランプ大統領の娘のイバンカ氏や娘婿のクシュナー上級顧問らが到着し、ネタニヤフ首相の歓迎を受けました。
ただ、エルサレムは、パレスチナ側も将来、樹立する国家の首都と位置づけていて、その帰属は、アメリカが仲介する交渉で決めることになっていました。
このため、トランプ政権の対応にパレスチナ側は失望するとともに、反発を強めていて、各地で抗議デモを続けています。
イスラエルの建国に伴って故郷を追われたパレスチナの人たちにとっては、難民となってから70年という節目にあたり、抗議デモが拡大してイスラエル軍と激しい衝突が起きることも予想されます。
新大使館は中間地点
14日からはアメリカのフリードマン大使が、エルサレムで勤務に当たります。新たな大使館の場所は、ユダヤ人地区とパレスチナ人が暮らす地区のほぼ中間に位置し、かつてイスラエルとアラブ諸国の間で行われた中東戦争の停戦ライン上に位置しています。イスラエルの治安当局は、大使館を狙ったテロなどを警戒し、厳重な態勢を敷いています。
米のイスラエル支援 その背景は…
アメリカは1948年、イスラエルが建国された際、最初に国家として承認し、対立するアラブ諸国に囲まれたイスラエルを一貫して支援してきました。
アメリカでは、「イスラエル・ロビー」と呼ばれるユダヤ系の団体が政財界に強い影響力を持ち、「特別な関係の国」としてイスラエルに多額の軍事援助を続けています。
しかし、前のオバマ政権が、イスラエルが安全保障上最大の脅威と捉えるイランとの距離を縮め、核合意を妥結したことから、イスラエルはこれを公然と批判し、関係が冷え込みました。
しかし、トランプ大統領は大統領選挙期間中、エルサレムにアメリカ大使館を移転すると発言し、イスラエル寄りの姿勢を打ち出しました。
去年、大統領に就任したあとも、パレスチナに対して強硬な姿勢の人物をイスラエル大使に起用したほか、イスラエルと将来的なパレスチナ国家が共存する「2国家共存」には、必ずしもこだわらない考えを示しました。
そして、去年12月には、エルサレムをイスラエルの首都と認めると宣言したうえで、アメリカ大使館をエルサレムに移転する方針を明らかにしました。
トランプ大統領に近い娘婿のクシュナー上級顧問は敬けんなユダヤ教徒で、娘のイバンカ氏も、結婚を機にユダヤ教に改宗したことで知られています。
また、アメリカ国内で最大の宗教勢力と呼ばれるキリスト教福音派は、イスラエルを支援することが重要だと信仰しており、トランプ大統領がエルサレムを首都と認める判断をしたのは、秋の中間選挙もにらみ、キリスト教福音派の支持をつなぎとめたい狙いがあったとみられています。
さらに、先月、イスラエルのネタニヤフ首相は核兵器の開発を計画したことはないとしてきたイランの主張はうそだと証明する大量の資料を入手したとして公表し、トランプ大統領に対し核合意からの離脱を含む厳しい対応を呼びかけました。
これも後押しとなり、トランプ大統領は、ヨーロッパなど関係国の反対を押し切る形で、今月8日、イラン核合意からの離脱を表明し、歴代の大統領で最もイスラエル寄りの政策を取り続けています。
アメリカでは、「イスラエル・ロビー」と呼ばれるユダヤ系の団体が政財界に強い影響力を持ち、「特別な関係の国」としてイスラエルに多額の軍事援助を続けています。
しかし、前のオバマ政権が、イスラエルが安全保障上最大の脅威と捉えるイランとの距離を縮め、核合意を妥結したことから、イスラエルはこれを公然と批判し、関係が冷え込みました。
しかし、トランプ大統領は大統領選挙期間中、エルサレムにアメリカ大使館を移転すると発言し、イスラエル寄りの姿勢を打ち出しました。
去年、大統領に就任したあとも、パレスチナに対して強硬な姿勢の人物をイスラエル大使に起用したほか、イスラエルと将来的なパレスチナ国家が共存する「2国家共存」には、必ずしもこだわらない考えを示しました。
そして、去年12月には、エルサレムをイスラエルの首都と認めると宣言したうえで、アメリカ大使館をエルサレムに移転する方針を明らかにしました。
トランプ大統領に近い娘婿のクシュナー上級顧問は敬けんなユダヤ教徒で、娘のイバンカ氏も、結婚を機にユダヤ教に改宗したことで知られています。
また、アメリカ国内で最大の宗教勢力と呼ばれるキリスト教福音派は、イスラエルを支援することが重要だと信仰しており、トランプ大統領がエルサレムを首都と認める判断をしたのは、秋の中間選挙もにらみ、キリスト教福音派の支持をつなぎとめたい狙いがあったとみられています。
さらに、先月、イスラエルのネタニヤフ首相は核兵器の開発を計画したことはないとしてきたイランの主張はうそだと証明する大量の資料を入手したとして公表し、トランプ大統領に対し核合意からの離脱を含む厳しい対応を呼びかけました。
これも後押しとなり、トランプ大統領は、ヨーロッパなど関係国の反対を押し切る形で、今月8日、イラン核合意からの離脱を表明し、歴代の大統領で最もイスラエル寄りの政策を取り続けています。
大使館移転 追随する国も
アメリカのトランプ政権に追随して、イスラエルにある大使館をエルサレムに移転することを決めた国もあり、イスラエルは、歓迎する一方、パレスチナは国際法違反だとして反発を強めています。
このうち、中米のグアテマラは今月16日、エルサレムに大使館を移転し、モラレス大統領が、現地で記念式典に出席する予定です。
グアテマラの大使館移転は、イスラエルへの支援を信仰の柱とするキリスト教福音派の影響によるもので、7日にエルサレムで講演したグアテマラのソリス大使は、「私も福音派のひとりであり、神から大使館移転の役割を授かり、大変光栄に感じている」と述べました。
イスラエル政府によりますと、伝統的な友好国である南米パラグアイも、今月末までに大使館をエルサレムに移転する見通しです。
このうち、中米のグアテマラは今月16日、エルサレムに大使館を移転し、モラレス大統領が、現地で記念式典に出席する予定です。
グアテマラの大使館移転は、イスラエルへの支援を信仰の柱とするキリスト教福音派の影響によるもので、7日にエルサレムで講演したグアテマラのソリス大使は、「私も福音派のひとりであり、神から大使館移転の役割を授かり、大変光栄に感じている」と述べました。
イスラエル政府によりますと、伝統的な友好国である南米パラグアイも、今月末までに大使館をエルサレムに移転する見通しです。
エルサレム 古くから紛争の火種
エルサレムは、ユダヤ教、キリスト教、それにイスラム教の重要な聖地があり、古くから紛争の火種となってきました。
それぞれの聖地がある「東エルサレム」は、イスラエルが、1967年の第3次中東戦争で占領し、もともとユダヤ人地区だった「西エルサレム」に一方的に併合しました。
イスラエルにとって、エルサレムは、ユダヤ人の祖先であるダビデ王が、およそ3000年前に都を置いたところで、イスラエルは「永遠かつ不可分の首都」だとしていますが、国際社会は認めていません。
これに対し、イスラム教徒とキリスト教徒が多いパレスチナ側は、エルサレムを将来樹立する国家の首都にするとして譲らず、エルサレムの帰属は、和平交渉で解決策を見いだすのが最も難しい問題となっています。
イスラエルによる占領が続く中で、異なる宗教の聖地が隣り合うエルサレムは、暴力の応酬の引き金ともなってきました。
2000年代前半には、パレスチナの住民らが蜂起して、双方に多くの犠牲者が出たほか、ことし7月にはイスラム教の聖地の周囲にイスラエルが、安全検査用の機器を設置したのをきっかけに、大規模な衝突に発展しました。
去年12月アメリカのトランプ大統領が、エルサレムをイスラエルの首都と認定すると、パレスチナ側は一斉に抗議デモに乗りだし、各地でイスラエル軍との衝突が続き、多数の死傷者が出ました。
それぞれの聖地がある「東エルサレム」は、イスラエルが、1967年の第3次中東戦争で占領し、もともとユダヤ人地区だった「西エルサレム」に一方的に併合しました。
イスラエルにとって、エルサレムは、ユダヤ人の祖先であるダビデ王が、およそ3000年前に都を置いたところで、イスラエルは「永遠かつ不可分の首都」だとしていますが、国際社会は認めていません。
これに対し、イスラム教徒とキリスト教徒が多いパレスチナ側は、エルサレムを将来樹立する国家の首都にするとして譲らず、エルサレムの帰属は、和平交渉で解決策を見いだすのが最も難しい問題となっています。
イスラエルによる占領が続く中で、異なる宗教の聖地が隣り合うエルサレムは、暴力の応酬の引き金ともなってきました。
2000年代前半には、パレスチナの住民らが蜂起して、双方に多くの犠牲者が出たほか、ことし7月にはイスラム教の聖地の周囲にイスラエルが、安全検査用の機器を設置したのをきっかけに、大規模な衝突に発展しました。
去年12月アメリカのトランプ大統領が、エルサレムをイスラエルの首都と認定すると、パレスチナ側は一斉に抗議デモに乗りだし、各地でイスラエル軍との衝突が続き、多数の死傷者が出ました。
米大統領補佐官「現実ありのまま認めた」
アメリカがエルサレムをイスラエルの首都と認定し、大使館をエルサレムに移転することについて、トランプ政権で安全保障政策を担当するボルトン大統領補佐官は13日、ABCテレビのインタビューで「現実をありのままに認めたにすぎない」と述べました。
そして、「現実を認めることによって、和平の実現はより容易になる」と述べ、大使館の移転によってパレスチナの反発が強まり、暗礁に乗り上げている中東和平の実現が一層遠のくという見方に反論しました。
そして、「現実を認めることによって、和平の実現はより容易になる」と述べ、大使館の移転によってパレスチナの反発が強まり、暗礁に乗り上げている中東和平の実現が一層遠のくという見方に反論しました。
国連特使は米政権を批判
国連で中東和平を担当するニコライ・マルデノブ特使は、アメリカ大使館のエルサレム移転について、「エルサレムの帰属問題は、当事者のイスラエルとパレスチナの交渉で解決すべきだ。アメリカの一方的な大使館移転は、最も重要な問題の解決を難しくするものだ」と述べて、トランプ政権の対応を批判しました。
また、マルデノブ特使は、ガザ地区でパレスチナのデモ隊とイスラエル軍の衝突が続き、多数の死傷者が出ていることについて、「イスラエル軍は、実弾射撃をするのを止めて、慎重に対処すべきだ。デモ隊が、イスラエルとの境界フェンスを壊したり、侵入しようとしたりする場合、逮捕して司法手続きを行って送り返すべきだ。残念ながら、イスラエル軍は、安易に即座に実弾を発砲し、大勢の犠牲者が出ている」と述べ、イスラエルは、過剰な武力行使をしていると非難しました。
一方、ガザ地区を実効支配するハマスに対しては「イスラエル軍に撃たれるおそれのある場所で、抗議デモを行うべきではない」と述べて、故意に住民を危険にさらしているとして批判しました。
また、マルデノブ特使は、ガザ地区でパレスチナのデモ隊とイスラエル軍の衝突が続き、多数の死傷者が出ていることについて、「イスラエル軍は、実弾射撃をするのを止めて、慎重に対処すべきだ。デモ隊が、イスラエルとの境界フェンスを壊したり、侵入しようとしたりする場合、逮捕して司法手続きを行って送り返すべきだ。残念ながら、イスラエル軍は、安易に即座に実弾を発砲し、大勢の犠牲者が出ている」と述べ、イスラエルは、過剰な武力行使をしていると非難しました。
一方、ガザ地区を実効支配するハマスに対しては「イスラエル軍に撃たれるおそれのある場所で、抗議デモを行うべきではない」と述べて、故意に住民を危険にさらしているとして批判しました。
ソース:NHK ニュース