気象庁きしょうちょう「洪水こうずい警報けいほうの危険きけん度ど分布ぶんぷ」情報じょうほうを避難ひなんの目安めやすに

気象庁きしょうちょうが去年きょねんから始はじめた、中小ちゅうしょう河川かせんの洪水こうずいの危険きけん性せいを予測よそくし地図ちず上じょうで５ご段階だんかいに色分いろわけして示しめす情報じょうほうについて、「九州きゅうしゅう北部ほくぶ豪雨ごうう」など去年きょねんの大雨おおあめのデータを基もとに検証けんしょうしたところ、「最もっとも危険きけん性せいが高たかい」と表示ひょうじされた川かわの７なな割わり近ちかくで氾濫はんらんなどの被害ひがいが実際じっさいに出でていたことがわかりました。気象庁きしょうちょうは、遅おそくとも「２に番目ばんめに危険きけん性せいが高たかい」と表示ひょうじされた時点じてんで避難ひなんを検討けんとうしてほしいと呼よびかけています。

この情報じょうほうは「洪水こうずい警報けいほうの危険きけん度ど分布ぶんぷ」と呼よばれ、気象庁きしょうちょうが去年きょねん７月しちがつ４よん日にちからホームページで公開こうかいしています。中小ちゅうしょう河川かせんを中心ちゅうしんとした全国ぜんこくのおよそ２に万まんの川かわについて、洪水こうずいや氾濫はんらんの危険きけん性せいが高たかいほうから濃こい紫むらさき、薄紫うすむらさき、赤あか、黄色きいろ、それに水色みずいろの５ご段階だんかいに色分いろわけし、地図ちず上じょうで１いちキロ四方しほうごとに表示ひょうじします。

このうち、最もっとも危険きけん性せいが高たかい「濃こい紫むらさき」は、洪水こうずいや氾濫はんらんなどの重大じゅうだいな災害さいがいがすでに発生はっせいしていてもおかしくない「極きわめて危険きけん」な状況じょうきょうを、２に番目ばんめに危険きけん性せいが高たかい「薄紫うすむらさき」は、３さん時間じかん後ごまでに洪水こうずい警報けいほうの基準きじゅんを大おおきく超こえ洪水こうずいや氾濫はんらんが起おきる可能かのう性せいが高たかい「非常ひじょうに危険きけん」な状況じょうきょうをそれぞれ示しめしています。

この情報じょうほうについて、気象庁きしょうちょうが発表はっぴょう開始かいし後ごに起おきた去年きょねん７月しちがつの「九州きゅうしゅう北部ほくぶ豪雨ごうう」と秋田あきた県けんの大雨おおあめのデータを分析ぶんせきしたところ、「濃こい紫むらさき」が表示ひょうじされた97の川かわのうち69％に当にあたる67の川かわで氾濫はんらんや堤防ていぼうの一部いちぶが壊こわれるなどの被害ひがいが実際じっさいに出でていたことがわかりました。

さらに、「濃こい紫むらさき」が表示ひょうじされる前まえに氾濫はんらんが発生はっせいし、すでに避難ひなんが困難こんなんになっていたケースが複数ふくすうあった一方いっぽう、「薄紫うすむらさき」になった時点じてんではまだ氾濫はんらんや浸水しんすいが始はじまっていなかったケースも複数ふくすうあったことがわかりました。

このため気象庁きしょうちょうは、遅おそくとも「薄紫うすむらさき」が表示ひょうじされた時点じてんで避難ひなんを検討けんとうしてほしいと呼よびかけています。

気象庁きしょうちょう業務ぎょうむ課かの高木たかぎ康伸やすのぶ調査ちょうさ官かんは、「水位すいい計けいがないような中小ちゅうしょう河川かせんでは、この情報じょうほうが危険きけん度どを知しるための唯一ゆいいつの手段しゅだんだ。『薄紫うすむらさき』が命いのちを守まもるための重要じゅうような情報じょうほうなので、避難ひなんの目安めやすとしてほしい」と話はなしていました。

気象庁きしょうちょうが検証けんしょう 「九州きゅうしゅう北部ほくぶ豪雨ごうう」では？

気象庁きしょうちょうは、水位すいい計けいが設置せっちされておらず、去年きょねん７月しちがつの「九州きゅうしゅう北部ほくぶ豪雨ごうう」で氾濫はんらんした複数ふくすうの川かわについて、当時とうじ、撮影さつえいされた写真しゃしんなどを基もとに「洪水こうずい警報けいほうの危険きけん度ど分布ぶんぷ」の表示ひょうじと当時とうじの状況じょうきょうを照てらし合あわせ、検証けんしょうしました。

このうち大分おおいた県けん日田にった市しを流ながれる小野おの川がわでは、７月しちがつ５ご日にちの午後ごご３さん時じに「洪水こうずい警報けいほうの危険きけん度ど分布ぶんぷ」で「薄紫うすむらさき」が表示ひょうじされ始はじめました。この直後ちょくご、午後ごご３さん時じ５ご分ふんに川かわのすぐそばの住宅じゅうたくから撮影さつえいされた写真しゃしんでは、小野おの川がわはふだんより水位すいいは上昇じょうしょうしているものの浸水しんすいは始はじまっておらず、川かわに架かかる橋はしも通とおれるため、避難ひなんできる状態じょうたいだったということです。

その後そのご、午後ごご３さん時じ30分ふんに「濃こい紫むらさき」が表示ひょうじされます。このほぼ同おなじ時刻じこくに同おなじ場所ばしょから撮影さつえいされた写真しゃしんでは、川かわから水みずがあふれて河川敷かせんしきや住宅じゅうたくのすぐそばが浸水しんすいしているほか、橋はしに濁流だくりゅうが打うちつけて通とおれなくなっていて、情報じょうほうが示しめすとおりに氾濫はんらんが発生はっせいし、安全あんぜんに避難ひなんするのは難むずかしくなったことがわかります。

このほか、福岡ふくおか県けん朝倉あさくら市しを流ながれる赤あか谷川たにがわでは当時とうじの記録きろくと照てらし合あわせた結果けっか「薄紫うすむらさき」が表示ひょうじされてからおよそ１いち時間じかん後ごに「川かわの水みずがあふれている」という通報つうほうが住民じゅうみんから市役所しやくしょに寄よせられたということです。そのおよそ１いち時間じかん後ごに「濃こい紫むらさき」が表示ひょうじされ始はじめたということです。

このため気象庁きしょうちょうは、「濃こい紫むらさき」が表示ひょうじされてから避難ひなんするのはかえって危険きけんだとして、遅おそくとも「薄紫うすむらさき」が表示ひょうじされた時点じてんで自治体じちたいは避難ひなん勧告かんこくを出だすことを検討けんとうしてほしいとしています。また、仮かりに避難ひなん勧告かんこくなどが出でていない場合ばあいでも、川かわの近ちかくの住民じゅうみんは「薄紫うすむらさき」になった時点じてんで自主じしゅ的てきに避難ひなんを検討けんとうしてほしいと話はなしています。

「洪水こうずい危険きけん度ど分布ぶんぷ」早期そうき避難ひなんに役立やくだてる自治体じちたいも

避難ひなん勧告かんこくなどを素早すばやく出だすために「洪水こうずい警報けいほうの危険きけん度ど分布ぶんぷ」を役立やくだてようとする自治体じちたいも出でてきています。

このうち岩手いわて県けん宮古みやふる市しは、おととし８月はちがつ、東北とうほくの太平洋たいへいよう側がわに観測かんそく史上しじょう初はじめて上陸じょうりくした台風たいふう10号ごうによる大雨おおあめで中小ちゅうしょうの河川かせんが氾濫はんらんし、多おおくの住宅じゅうたくが浸水しんすいする被害ひがいを受うけました。

これを教訓きょうくんに市しは、去年きょねん８月はちがつ、水位すいい計けいが設置せっちされていない中小ちゅうしょう河川かせんについて、「洪水こうずい警報けいほうの危険きけん度ど分布ぶんぷ」で「赤あか」が表示ひょうじされた場合ばあいには川かわの周辺しゅうへんの地域ちいきに「避難ひなん準備じゅんび・高齢こうれい者しゃ等とう避難ひなん開始かいし」を発表はっぴょうすることや、「薄紫うすむらさき」が表示ひょうじされた場合ばあいには「避難ひなん勧告かんこく」を発表はっぴょうするという基準きじゅんを新あらたに設もうけました。

また、広島ひろしま県けんはことし３月さんがつから、あらかじめ登録とうろくした住民じゅうみんに防災ぼうさいメールで知しらせる取り組とりくみを始はじめました。具体ぐたい的てきには、登録とうろくした市区しく町村ちょうそんを流ながれる川かわで「薄紫うすむらさき」や「濃こい紫むらさき」が表示ひょうじされた場合ばあい、メールで「洪水こうずい警報けいほうの危険きけん度ど分布ぶんぷ」を見みるよう促うながします。

一方いっぽう、この情報じょうほうをまだ詳くわしく知しらない自治体じちたいもあることから、気象庁きしょうちょうはさらに周知しゅうちを進すすめることにしています。

気象庁きしょうちょうホームページに「バナー」

「洪水こうずい警報けいほうの危険きけん度ど分布ぶんぷ」は、気象庁きしょうちょうのホームページで見みることができますが、本格ほんかく的てきな梅雨つゆの時期じきに入はいったことなどを受うけて、気象庁きしょうちょうは、６月ろくがつ14日にち、トップページの右側みぎがわに「この雨あめ大丈夫だいじょうぶ？そんな時とき危険きけん度ど分布ぶんぷ」という「バナー」を新あらたに設もうけました。

ここをクリックすると地図ちずが表示ひょうじされ、拡大かくだいすると、川かわの名前なまえや現在げんざいの危険きけん性せいを示しめす色いろが表示ひょうじされます。

地図ちずの右側みぎがわには色いろの示しめす意味いみが示しめされていて、危険きけん性せいが高たかい順じゅんに「濃こい紫むらさき」、「薄紫うすむらさき」、「赤あか」、「黄色きいろ」が表示ひょうじされ、危険きけん性せいの高たかまりが見みられない場合ばあいは、「今後こんごの情報じょうほう等とうに留意りゅうい」を示しめす「水色みずいろ」が表示ひょうじされます。

ソース：NHK ニュース