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体罰たいばつ人生じんせいえる”17さい女子じょしだかせいうった

2023-06-09 10:07:02

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彼女かのじょ当初とうしょ、「体罰たいばつ」だとはおもいませんでした。

「たたかれたときいたよりも試合しあいのことやチーム雰囲気ふんいきわるくしたことが心配しんぱいでした」

兵庫ひょうごけん姫路ひめじ高校こうこうのソフトボールで、部員ぶいん女子じょし生徒せいと顧問こもん男性だんせい教諭きょうゆ平手ひらてでほおをたたかれる体罰たいばつ発覚はっかくしました。

お前おまえなんかいらん」など暴言ぼうげんび、みずからいのちとうとかんがえるまで追い詰おいつめられたといいます。

大好だいすだったソフトボール用品ようひんは、いま押し入おしいにしまったまま。
活動かつどう学校がっこうめざるをえませんでした。

神戸こうべ放送ほうそうきょく 記者きしゃ 武田たけだ麻里子まりこ

「ソフトボール生活せいかつでした」

ソフトボールをはじめたのは中学ちゅうがく進学しんがくしたとききっかけ両親りょうしん影響えいきょうでした。

多彩たさいたましゅをどのように組み合くみあわせてバッターにたいするか。素早すばや判断はんだんためされる投打とうだ駆け引かけひ魅力みりょくかんじ、つづけてきたといいます。
中学校ちゅうがっこう時代じだい練習れんしゅう試合しあい
女子じょし生徒せいと
「”中学ちゅうがく生活せいかつ イコール ソフトボール“というくらい3年間ねんかんはソフトボール生活せいかつでした。新型しんがたコロナウイルスの感染かんせん拡大かくだい時期じきおもって練習れんしゅう機会きかいすくなかったですが、メンバーめぐまれて、きびしい練習れんしゅう頑張がんばことができました。もっとうえ目指めざしたいとおもい、高校こうこうでもソフトボールをつづけようとかんがえるようになりました」
高校こうこう進学しんがくにあたって参考さんこうにしたのが、中学校ちゅうがっこう時代じだいのソフトボール先輩せんぱいはなしでした。

部活ぶかつ環境かんきょうととのっていて、全国ぜんこく大会たいかい目指めざして頑張がんばっているよ」

あこがれの先輩せんぱいと、おな高校こうこうおなゆめいかけたいと決意けつい去年きょねんはる兵庫ひょうごけん姫路ひめじある姫路ひめじ女学院じょがくいん高校こうこうスポーツ特待とくたいせいとして入学にゅうがくしました。

そしてそのゆめけて練習れんしゅう打ち込うちこ日々ひびささえてくれたのが両親りょうしんたち家族かぞくでした。
女子じょし生徒せいと
高校こうこうでも全国ぜんこく大会たいかい目標もくひょう毎日まいにち練習れんしゅうをしていました。中学ちゅうがく時代じだいおとうといもうとまだおさなくてコロナの影響えいきょうもあったので、両親りょうしん試合しあい会場かいじょうることはあまりくて、もっと自分じぶんがソフトボールをしているところを家族かぞくてもらいたいとおもっていました」

ユニフォームをわすれたら

しかし、ある事件じけん”がきます。
去年きょねん9つき地区ちく大会たいかい試合しあい会場かいじょうでのことでした。

ユニフォーム自宅じたくわすれたとことに気付きづき、あわてて母親ははおや電話でんわ相談そうだん
一方いっぽう、いきさつを母親ははおやかららされた顧問こもんはらてます。そのさい顧問こもん母親ははおやに「いちはつどつきますよ」と“通告つうこく”したということです。
試合しあい会場かいじょうのイメージ
そして生徒せいと平手ひらてでほおをたたかれました。
ほか部員ぶいんらもいるまえでのことでした。

これまでも顧問こもんによるきびしい指導しどうえてきたこともあり、当時とうじ、これが体罰たいばつなのだという自覚じかくかったといいます。
女子じょし生徒せいと
自分じぶん一番いちばんわるおもっていたので、おこられることは覚悟かくごていましたし、たたかれて当然とうぜんだとかんがえていました。たたかれたときいたというより、このあとの試合しあいへの影響えいきょうや、自分じぶんのせいでチーム空気くうきわるくしてしまったことへの申し訳もうしわけなさであたまいっぱいでした」

お母おかあさん、わたし部活ぶかつやめたい」

たたかれたあとも顧問こもんそばって謝罪しゃざいつづけました。しかし受け入うけいれてもらえず、暴言ぼうげん繰り返くりかえされたといいます。
女子じょし生徒せいと
「『えろ』とか『お前おまえがいなくても試合しあい成り立なりた』ってずっとわれつづけました。かえっている途中とちゅういろいろかんがえて、このまま顧問こもんのもとで部活ぶかつつづけることは無理むりかもしれない。でもここでやめたら応援おうえんしてくれている家族かぞくやチームメイトの期待きたい裏切うらぎことにならないかとなやんで、部活ぶかつをやめるくらいなら電車でんしゃ飛び込とびこもうというへんなことをかんがえてしまいました。帰宅きたくお母おかあさんに『部活ぶかつをやめたい』とつたえました」

生徒せいとは、ほおをたたかれた影響えいきょうくちけたり食事しょくじをしたりするのがむずかしくなり、医療いりょう機関きかんからは全治ぜんちやく1か月かげつの「外傷がいしょうせい開口かいこう障害しょうがい」との診断しんだんけました。

学校がっこう体罰たいばつについて調査ちょうさおこない、生徒せいとがわ謝罪しゃざい顧問こもん懲戒ちょうかい免職めんしょくとなりました

学校がっこうってもしんどいなら」

試合しあいのあと、使い込つかいこんだグローブやバットなどはすべて部屋へや押し入おしいにしまいみました。
暴言ぼうげん暴力ぼうりょくによる精神せいしんてきなショックはおおきく、生徒せいと学校がっこうかよえない状態じょうたいつづいていました。

医師いしからは「うつ状態じょうたい」の診断しんだんけ、試合しあいやく1か月かげつ、みずから学校がっこうめることを決断けつだんしました。
女子じょし生徒せいと
自分じぶんわるだっていうのを繰り返くりかえかんがえる生活せいかつでした。学校がっこうってもしんどい気持きもつづだけなら、めたほう立ち直たちなおにはいいかなとおもって。でもおな目標もくひょう共有きょうゆうする友達ともだちとの学校がっこう生活せいかつは、半年はんとしかんでもたくさん思い出おもいでがあります。そんな友達ともだち先輩せんぱい一緒いっしょにいられなくなることは、学校がっこうをやめるときいちばんあたまをよぎりました」
いまべつ通信つうしんせい高校こうこうかよ生徒せいと
ソフトボール毎日まいにちから、自宅じたくパソコン画面がめんまえ授業じゅぎょう課題かだい取り組とりく日常にちじょうへとわり、複雑ふくざつおもかかえています。

女子じょし生徒せいと
あのもう少もうすこちがった指導しどうをしてくれていたら、いまはこうはなってはいなかったとおもいます。これまで活動かつどうをしていたともだや先輩せんぱいわたしのいない場所ばしょ活躍かつやくしているのをていると、一緒いっしょにできたらたのしかったんだろうなとおもことがあります」

体罰たいばつ人生じんせいえる」

自宅じたくふさぎ込ふさぎこ毎日まいにちから抜け出ぬけだそうと、雑貨ざっかてんでのアルバイトもはじめましたが、「学校がっこうめるという選択せんたくがよかったのだろうか」と思い返おもいかえすこともあるといいます。

生徒せいとは、指導しどうりた暴力ぼうりょく暴言ぼうげんは、被害ひがいしゃその後そのご人生じんせいおおきな影響えいきょうあたえることをってほしいとうったえます。
記者きしゃ女子じょし生徒せいと
女子じょし生徒せいと
これわたし顧問こもんだけの問題もんだいではないとおもいます。今回こんかいわたしだっただけで、ほか生徒せいと被害ひがいけていた可能かのうせいもあります、いまもほかの学校がっこうでもきているかもしれません。体罰たいばつはたとえ1かいでも、たたかれてけがをするだけじゃなくて、そのひと人生じんせいえてしまいます。これだけ人生じんせいわりやすい時期じき指導しどうしていることを、指導しどうしゃひとたちはちゃんとかんがえてほしいです。そして生徒せいととはことばで丁寧ていねいコミュニケーションをとってほしいとおもいます」
生徒せいとへの体罰たいばつ発覚はっかくした当初とうしょ学校がっこう聞き取ききとに対にたい顧問こもんつぎのようにかたっていました。
顧問こもん男性だんせい教諭きょうゆ
「けがをさせたことはふか反省はんせいしています。大変たいへん申し訳もうしわけないことをしてしまいました」

その後そのご傷害しょうがいなどつみ略式りゃくしき起訴きそされ、裁判所さいばんしょから罰金ばっきん30まんえん略式りゃくしき命令めいれいけています。

暴力ぼうりょく暴言ぼうげんに関にかんする相談そうだん 過去かこ最多さいた

不適切ふてきせつ指導しどうは、活動かつどうなどスポーツ現場げんばでいまも根強ねづよのこっています。

「レスリングの道場どうじょう監督かんとくからだ吹っ飛ふっとほどの平手打ひらてうをした」
「ハンドボールの監督かんとく選手せんしゅに、ころぞ、かえれと大声おおごえ怒鳴どなっているのを目撃もくげきした」

これらは、スポーツ現場げんばでの暴力ぼうりょく暴言ぼうげんに関にかんする相談そうだん受け付うけつけている「日本にっぽんスポーツ協会きょうかい」にせられたうったです。
相談そうだん件数けんすうは、2022年度ねんどは373けん過去かこ最多さいたとなりました。
ただこれについて協会きょうかいは、被害ひがいしゃこえをあげやすい環境かんきょうひろがっていることなど増加ぞうか背景はいけいある分析ぶんせきしていますが、まだまだ氷山ひょうざん一角いっかく可能かのうせいもあります。
日本にっぽんスポーツ協会きょうかいインテグリティ推進すいしん しな恵子えこ係長かかりちょう
しな係長かかりちょう
新型しんがたコロナウイルスの影響えいきょう一時いちじてき相談そうだんりましたが、スポーツの現場げんば活動かつどう本格ほんかくてき再開さいかいしたためか件数けんすうえています。しかしこれ実態じったい反映はんえいした数字すうじなのか、まだまだ潜在せんざいてき被害ひがいかくれているのかは分析ぶんせき必要ひつようです。近年きんねんは、指導しどうしゃから『あたまわる』とか、『お前おまえなんか使つかわない』などといった人格じんかく否定ひていするような暴言ぼうげんに関にかんする相談そうだんえているのが特徴とくちょうです」

ただ情報じょうほう相談そうだんせたひと内訳うちわけてみるとやく6わり被害ひがいしゃ保護ほごしゃからでした。このため協会きょうかいでは、当事者とうじしゃ安心あんしんして窓口まどぐち活用かつようできるよう、去年きょねん7つきにはども専用せんようサイトも開設かいせつして対応たいおうにあたっています。

生徒せいとファースト”の対応たいおう

活動かつどう現場げんば指導しどうしゃによる暴力ぼうりょく暴言ぼうげんあきらかになった場合ばあい学校がっこうがわはどのような対応たいおうもとめられるのか。

スポーツ危機きき管理かんりがく専門せんもんで、指導しどうしゃによる体罰たいばつなど問題もんだいくわしい日本にっぽん体育たいいく大学だいがく南部なんぶさおり教授きょうじゅは、つぎのようにはなしています。
日本にっぽん体育たいいく大学だいがくスポーツ文化ぶんか学部がくぶ 南部なんぶさおり教授きょうじゅ
南部なんぶ教授きょうじゅ
暴力ぼうりょく暴言ぼうげんによる被害ひがいけた生徒せいと自尊心じそんしんきずつけられ、学校がっこうけなくなるケースすくなくありません。体罰たいばつなど発覚はっかくした場合ばあい学校がっこうがわはまず被害ひがいしゃである生徒せいとはなしやすい環境かんきょうつくり、こころのケアもふくめた支援しえんをするなど“生徒せいとファースト”の対応たいおうもとめられるとおもいます」

しかしども場合ばあい暴力ぼうりょく暴言ぼうげんによる被害ひがいけていても、それ不適切ふてきせつ指導しどうだと気付きづいていなかったり、気付きづのに時間じかんがかかったりするケースもあります。

またスポーツ強豪きょうごうこうなどでは、保護ほごしゃ指導しどうしゃ依存いぞんし、どものSOSがうずもれていないか注意ちゅうい必要ひつようです。
このため南部なんぶ教授きょうじゅは、ども保護ほごしゃうったえやすい環境かんきょう整備せいびすることが重要じゅうようだといいます。

南部なんぶ教授きょうじゅ
被害ひがいけても自覚じかくケースあるため、なに体罰たいばつにあたるかのただしい知識ちしき啓発けいはつども保護ほごしゃにもおこなことが必要ひつようです。そのためにも、学校がっこうがわ内部ないぶだけで対策たいさく検討けんとうするのではなく、としに1かい程度ていど外部がいぶ講師こうしまねいた講習こうしゅうかいひらなどして、体罰たいばつ容認ようにんしない体制たいせい構築こうちくしていくべきだとおもいます」

NO!スポハラ

提供ていきょう:日本にっぽんスポーツ協会きょうかい
体罰たいばつ根絶こんぜつには、指導しどうしゃをはじめ、どもたちにかかわるすべての大人おとな関与かんよすることが重要じゅうようです。

日本にっぽんスポーツ協会きょうかいはことし4つき、スポーツの現場げんばでの暴力ぼうりょく暴言ぼうげんなど“スポーツハラスメント”にあたる不適切ふてきせつ指導しどう根絶こんぜつするため「NO!スポハラ(スポーツ・ハラスメント)」をスローガンに活動かつどうあらはじめ、保護ほごしゃ対象たいしょうにした研修けんしゅうかい開催かいさいや、SNSをつうじた啓発けいはつ活動かつどうなどにもちかられているということです。

青春せいしゅんをささげてスポーツ取り組とりくどもたちから、スポーツだけでなく、こころ尊厳そんげんまでもうば体罰たいばつ現実げんじつ

そうした現実げんじつ生み出うみださないように、勇気ゆうきして取材しゅざいおうじた女子じょしだかせいうったを、おも受け止うけとめなければいけないとかんじます。

相談そうだん窓口まどぐち

子供こども相談そうだんフォーム
日本にっぽんスポーツ協会きょうかい 「スポーツにおける暴力ぼうりょく行為こういとう相談そうだん窓口まどぐち
電話でんわ番号ばんごう 03-6910-5827
     毎週まいしゅう  午後ごご1午後ごご5
    (年末ねんまつ年始ねんし祝日しゅくじつのぞ
ソース:NHK ニュース