16日夜遅く、福島県沖を震源とするマグニチュード7.4の地震があり、宮城県と福島県で震度6強の揺れを観測しました。
気象庁は揺れの強かった地域では、今後1週間程度は最大震度6強程度の揺れに警戒するよう呼びかけています。
気象庁によりますと、16日午後11時36分ごろ、福島県沖の深さ57キロを震源とするマグニチュード7.4の地震が発生しました。
【震度6強】
▽宮城県:登米市、蔵王町
▽福島県:相馬市、南相馬市、国見町
【震度6弱】
宮城県:石巻市、名取市、角田市、岩沼市、栗原市、東松島市、大崎市、大河原町、川崎町、亘理町、山元町、涌谷町
福島県:福島市、二本松市、田村市、伊達市、桑折町、天栄村、楢葉町、富岡町、大熊町、双葉町、浪江町、新地町、飯舘村
このほか震度5強の揺れを岩手県と宮城県、山形県、福島県で、震度5弱の揺れを
青森県と岩手県、宮城県、秋田県、山形県、福島県、茨城県、栃木県、それに新潟県で観測しました。このほか、震度4から1の揺れを北海道から九州にかけての広い範囲で観測しました。
この地震で気象庁は宮城県と福島県の沿岸に津波注意報を発表しましたが、午前5時にすべて解除しました。
▽宮城県の石巻港で、午前2時14分に30センチ、
▽仙台港で、午前1時46分に20センチ、
▽福島県の相馬港で、午前3時15分に20センチの津波を観測しました。
岩手県から福島県にかけての沿岸では、多少の潮位の変化があるかもしれないものの、被害の心配はないということです。
福島県沖や宮城県沖ではその後も地震が相次いでいて、気象庁によりますと、17日午前11時までに震度1以上の地震が20回起きています。また、この地震の2分前には福島県沖を震源とする深さ57キロマグニチュード6.1の地震が発生しました。
気象庁は揺れの強かった地域では、今後1週間程度は最大震度6強程度の揺れに警戒するよう呼びかけています。激しい揺れにより建物やブロック塀などが損傷したり、地盤が緩んだりしているおそれもあります。
危険な場所には立ち入らないほか土砂災害や雪崩などにも十分注意してください。
松野官房長官「死者4名 負傷者107名」
松野官房長官は午前の記者会見で「原子力施設の被害は、東京電力福島第一原発と第二原発、東北電力女川原発は、現時点でプラントのデータに異常はなく、人的被害は現在のところ、災害との関連を調査中の死者4名、負傷者107名の報告を受けている。また宮城県、福島県、埼玉県で火災が11件発生したが、すべて鎮火したと報告を受けている」と述べました。
そのうえで、ライフラインについて「停電は東京電力管内はすでに解消し、東北電力管内はおよそ3万件がなお停電中だが、きょう中に大半が解消の見込みだ。水道は、岩手県、宮城県、福島県、埼玉県でおよそ4300戸が断水中で、通信障害は携帯電話が宮城県と福島県の一部のエリアで支障があるなどの報告を受けている」と述べました。
また交通機関について「新幹線は、東北新幹線の白石蔵王駅から福島駅の間で脱線が発生したが、けが人はなく、車両内の乗客は全員救助済みだ。東北新幹線は本日も始発から運転を見合わせており、復旧の見込みは立っていない。在来線はJR東日本などの一部で運転見合わせ中で、高速道路は常磐道や東北道などで路面の段差などの損傷が発生し、8つの路線で通行止めと報告を受けている」と述べました。
さらに「地震発生直後の総理からの指示を踏まえ、人命を第1とし、政府一体となって被災者の救命救助などの災害応急対策に全力で取り組んでいるところであり、けさも、警察、消防、自衛隊、 海上保安庁などが航空機による情報収集を行っている」と述べました。
そのうえで、福島県知事から給水支援に関する災害派遣要請があったとして、自衛隊の部隊を早急に派遣する考えを示しました。
また、「宮城県と福島県の全市町村に災害救助法の適用を決定している。引き続き被害状況の把握を進め、被災自治体と緊密に連携を図りながら警察、消防、自衛隊、海上保安庁を中心に情報収集に努め、被害の状況などに応じて必要な体制の確保など、万全な体制を敷いていく」と述べました。
そして、「今後1週間程度、特に地震発生から2、3日程度は規模の大きな地震が発生することが多くあることから、引き続き高い緊張感を持って対応に万全を期していく」と述べました。
斉藤国土交通相「被害の全容把握を」
国土交通省は16日夜の地震を受けて、17日午前9時半から2回目となる災害対策本部の会議を開きました。
この中で、斉藤国土交通大臣は「地震の発生直後から巡視船艇や航空機で沿岸部などの調査を行い、早朝からは防災ヘリコプターも調査を開始している。土砂崩れなども含めて早期の被害の全容把握にあたって欲しい」と述べました。
また、地震による脱線の影響で、運転を見合わせている東北新幹線の一部区間について運転の見合わせが長引くおそれがあるとして、代わりの移動手段の確保に努めるよう指示しました。
このほか斉藤大臣は、被災地の支援に向けて、震度6強を観測した宮城県と福島県の自治体を中心に緊急災害対策派遣隊=TECーFORCEの職員を派遣したと説明し、ニーズを聞き取ったうえで必要な支援を進めていく考えを示しました。