知床しれとこ観光かんこう船せん沈没ちんぼつ 水中すいちゅうカメラ捜索そうさくも接近せっきん困難こんなん 手てがかり見みつからず

北海道ほっかいどうの知床しれとこ半島はんとう沖おきで観光かんこう船せんが沈没ちんぼつし14人にんが死亡しぼう、12人にんが行方ゆくえ不明ふめいになった事故じこで、第だい1管区かんく海上かいじょう保安ほあん本部ほんぶなどは、水中すいちゅうカメラを備そなえた無人むじん機きを使つかった捜索そうさくを試こころみていますが、潮しおの流ながれが速はやいことなどから沈没ちんぼつした船ふねに近ちかづくのが難むずかしく、これまでに行方ゆくえ不明ふめい者しゃや手てがかりは見みつかっていません。

4月つき23日にち、北海道ほっかいどうの知床しれとこ半島はんとうの沖合おきあいで乗客じょうきゃく・乗員じょういん26人にんを乗のせた観光かんこう船せん「KAZU 1」（19トン）が沈没ちんぼつした事故じこは、これまでに乗客じょうきゃく14人にんが死亡しぼう、12人にんが行方ゆくえ不明ふめいになっています。

第だい1管区かんく海上かいじょう保安ほあん本部ほんぶと海上かいじょう自衛隊じえいたい、それに警察けいさつは「カシュニの滝たき」付近ふきんの海底かいていで沈没ちんぼつしているのが見みつかった船体せんたいの中なかに取り残とりのこされた人ひとがいないか確認かくにんするため、水中すいちゅうカメラを備そなえた無人むじん機きを遠隔えんかく操作そうさして調しらべています。

1日にちの捜索そうさくでは、午前ごぜん中ちゅうから海上かいじょう保安ほあん本部ほんぶなどが交代こうたいで無人むじん機きを投入とうにゅうし、開ひらいている後方こうほうの客室きゃくしつのドアから船内せんないを確認かくにんできないか捜索そうさくを試こころみています。

しかし、潮しおの流ながれが速はやいうえ海底かいていの視界しかいも数すうメートル程度ていどと悪わるいため、警察けいさつと海上かいじょう保安ほあん本部ほんぶのカメラでは近ちかづくのが難むずかしく、午後ごご3時じ現在げんざいで船内せんないに入はいることはできておらず、行方ゆくえ不明ふめい者しゃや手てがかりが見みつかったという情報じょうほうはないということです。

海上かいじょう保安ほあん本部ほんぶなどは、2日にちも天候てんこうの状況じょうきょうを見みながら船内せんないの確認かくにん作業さぎょうと海上かいじょうでの捜索そうさくを並行へいこうして進すすめ、行方ゆくえ不明ふめい者しゃの発見はっけんを急いそぐことにしています。

海上かいじょう保安ほあん本部ほんぶ「潮流ちょうりゅう速はやく船ふねに近ちかづけず」

1日にち午後ごご5時じから行おこなわれた乗客じょうきゃくの家族かぞくへの説明せつめい会かいのあと、第だい1管区かんく海上かいじょう保安ほあん本部ほんぶ警備けいび救難きゅうなん部ぶの横内よこうち伸明のぶあき次長じちょうは「天候てんこうが悪わるく、行方ゆくえ不明ふめいになっている人ひとは発見はっけんできなかった」と述のべました。

そのうえで横内よこうち次長じちょうは、1日にちの捜索そうさくで水中すいちゅうカメラを備そなえた無人むじん機きを使つかった捜索そうさくを試こころみたことについて、「警察けいさつと海上かいじょう保安庁ほあんちょうのカメラを投入とうにゅうしたが、潮流ちょうりゅうが速はやくカメラを制御せいぎょできない状態じょうたいが続つづいていて、船ふねに近ちかづけることができなかった。具体ぐたい的てきな距離きょりは聞きいていないが、映像えいぞうが見みえるところまで近ちかづけていないようだ」と状況じょうきょうを明あきらかにしました。

また、2日にちも悪天候あくてんこうが予想よそうされることから、漁船ぎょせんや観光かんこう船せんによる捜索そうさくは難むずかしいとの見通みとおしを示しめしました。

船内せんないで救命きゅうめい胴衣どういのようなもの漂流ひょうりゅう 人ひとの姿すがたは確認かくにんできず

海底かいていにある船ふねの内部ないぶで、救命きゅうめい胴衣どういのようなものが漂流ひょうりゅうしているのが水中すいちゅうカメラにより確認かくにんされたことが関係かんけい者しゃへの取材しゅざいでわかりました。人ひとの姿すがたは確認かくにんできていないということです。
水中すいちゅうカメラが船体せんたい付近ふきんまで到達とうたつできないことが多おおいほか、船体せんたいが横よこに傾かたむいていて、限かぎられた方向ほうこうからしか船内せんないをうかがうことができないなど、捜索そうさくは難航なんこうしています。

1日にちは、午前ごぜんに北海ほっかい道警どうけい、午後ごごに海上かいじょう保安庁ほあんちょうが水中すいちゅうカメラを海中かいちゅうに投入とうにゅうしましたが、潮しおの流ながれが強つよく、海底かいていの船体せんたい付近ふきんに到達とうたつできなかったということです。

前日ぜんじつの30日にちは海上かいじょう自衛隊じえいたいの掃海そうかい艇ていの水中すいちゅうカメラで捜索そうさくを行おこない、関係かんけい者しゃによりますと、沈没ちんぼつした船体せんたいの内部ないぶで、救命きゅうめい胴衣どういのようなものが漂流ひょうりゅうしているのが水中すいちゅうカメラが捉とらえた映像えいぞうで確認かくにんされたということです。

ただ、人ひとの姿すがたは確認かくにんできず、船ふねに備え付そなえつけの救命きゅうめい胴衣どういが漂流ひょうりゅうしていただけなのか、船内せんないに取り残とりのこされた人ひとがいるのかわからないということです。

また、船体せんたいは、船首せんしゅを岸きし側がわに向むけ右みぎに30度どほど傾かたむいた状態じょうたいで沈没ちんぼつしていて、船ふねの左ひだりの側面そくめんにある窓まどや後うしろの開ひらいた扉とびらなど、限かぎられた方向ほうこうからしか船内せんないをうかがうことができないということです。

さらに、潮しおの流ながれに加くわえ、海中かいちゅうの視界しかいが1メートルから2メートル程度ていどと先さきが見通みとおせず、船内せんないは客室きゃくしつがぼんやりと見みえるものの、左ひだりの側面そくめんの窓まどからは手前てまえの座席ざせきしか確認かくにんできず、奥おくの船体せんたい右側みぎがわの座席ざせきは見みえないということで、厳きびしい環境かんきょうの中なか、捜索そうさくは難航なんこうしています。

水中すいちゅうカメラ備そなえた無人むじん機き 海上かいじょう保安庁ほあんちょうと海上かいじょう自衛隊じえいたいで違ちがいが

水中すいちゅうカメラを備そなえた無人むじん機きは、▼海上かいじょう保安庁ほあんちょうのものが、
▽長ながさおよそ40センチ、▽幅はばおよそ30センチ、▽高たかさおよそ20センチで、▽重おもさが40キロほどです。

これに対にたいし▼海上かいじょう自衛隊じえいたいのものは、
▽長ながさ2.7メートル▽幅はば1.2メートル▽高たかさ1.3メートルで、▽重おもさが800キロほどと、より大型おおがたのものとなっています。

このため、海上かいじょう保安庁ほあんちょうの無人むじん機きに比くらべると、海上かいじょう自衛隊じえいたいのものは潮しおの流ながれの中なかでも比較的ひかくてき安定あんていした状態じょうたいを保たもてると言いえ、30日にちは4回かいの海中かいちゅうへの投入とうにゅうのうち、海上かいじょう自衛隊じえいたいの水中すいちゅうカメラは3回かい、船体せんたい付近ふきんに到達とうたつした一方いっぽう、海上かいじょう保安庁ほあんちょうのものは到達とうたつできなかったということです。

届け出とどけでの「au」は不感ふかん地帯ちたい 船長せんちょうは知しっていたか

「KAZU 1」が陸上りくじょうとの通信つうしん設備せつびとして届け出とどけでていたのは「au」の携帯けいたい電話でんわだったことがこれまでの取材しゅざいでわかっています。

auを展開てんかいするKDDIのホームページによりますと、発着はっちゃくするウトロ港みなと付近ふきんはカバーエリアとなっていますが、カシュニの滝たきや知床岬しれとこみさき付近ふきんは電波でんぱが入はいらない「不感ふかん地帯ちたい」となっています。

携帯けいたい各社かくしゃはカバーしているエリアが異ことなり、ホームページによりますとNTTドコモは知床岬しれとこみさき付近ふきんまでカバーしています。

事故じこがあった海域かいいきではauの携帯けいたい電話でんわがつながらなかった可能かのう性せいがあり、第だい1管区かんく海上かいじょう保安ほあん本部ほんぶは、118番ばん通報つうほうには電波でんぱが通つうじる乗客じょうきゃくの携帯けいたい電話でんわが使つかわれたことを明あきらかにしました。

「知床しれとこ遊覧ゆうらん船せん」の元もと従業じゅうぎょう員いんはNHKの取材しゅざいに対にたいし、「コース上じょうの大半たいはんはドコモしかつながらない。ほかの会社かいしゃは全然ぜんぜんつながらない。私わたしは以前いぜんauを使つかっていたが圏外けんがいだった」と話はなしました。

現場げんば周辺しゅうへんの海域かいいきでauがつながりにくいことを豊田とよだ船長せんちょう自身じしん、認識にんしきしていたかについては、「当然とうぜん知しっていたと思おもう」と述のべました。

この元もと従業じゅうぎょう員いんは事故じこ当日とうじつ、事務所じむしょの無線むせんのアンテナが故障こしょうしていたこともあり、電波でんぱが通つうじにくい携帯けいたい電話でんわしかなくて大丈夫だいじょうぶかと豊田とよだ船長せんちょうに指摘してきしたということですが、その後そのご、出航しゅっこうしてしまったということです。

別べつの漁業ぎょぎょう関係かんけい者しゃはNHKの取材しゅざいに対にたいし、「事前じぜん検査けんさの際さい、なぜ認みとめられたのか疑問ぎもんだ」と話はなしていました。

斜里しゃり町まちの献花けんか台だいには花はなを手向たむけに多おおくの人ひとが

北海道ほっかいどうの知床しれとこ半島はんとう沖おきで観光かんこう船せんが沈没ちんぼつした事故じこから1週間しゅうかん以上いじょうがたった1日にちも、斜里しゃり町内ちょうないに設もうけられた献花けんか台だいには、多おおくの人ひとたちが花はなを手向たむけに訪おとずれています。

知床しれとこ半島はんとう沖おきで観光かんこう船せん「KAZU 1」が沈没ちんぼつした事故じこで、亡なくなった人ひとが安置あんちされている斜里しゃり町まちの運動うんどう施設しせつの入り口いりくちには献花けんか台だいが設もうけられ、多おおくの花はなとともにお菓子おかしや飲み物のみものが添そえられています。

事故じこから1週間しゅうかん以上いじょうがたった1日にちも、午前ごぜん中ちゅうから地元じもとの住民じゅうみんや観光かんこう客きゃくなど多おおくの人ひとが花はなを手向たむけに訪おとずれていました。

近ちかくに住すむ20代だいの男性だんせいは「地元じもとの住民じゅうみんとして悔くやしかったり切せつなかったり、いろいろな感情かんじょうを感かんじています。今いまは花はなを手向たむけることしかできません」と声こえを震ふるわせながら話はなしていました。

北海道ほっかいどう名寄なよせ市しから友人ゆうじんと観光かんこうで訪おとずれた60代だいの男性だんせいは、「言葉ことばになりません。かわいそうという気持きもちで献花けんかしました。乗のっていた人ひと全員ぜんいんが見みつかってほしいと思おもいます」と話はなしていました。

町まちによりますと、これまでに亡なくなっているのが確認かくにんされた乗客じょうきゃく14人にんは、2日にちまでに全員ぜんいんが家族かぞくに引き取ひきとられる見通みとおしだということです。

献花けんか台だい近ちかくの生花せいか店てん 観光かんこう客きゃくも花はなを買い求かいもとめる

献花けんか台だいが置おかれている運動うんどう施設しせつの近ちかくにある生花せいか店てんでは、大型おおがた連休れんきゅうの前日ぜんじつにあたる4月つき28日にちから、手向たむける花はなを買い求かいもとめる人ひとが増ふえているということです。

1日にちも地元じもとの人ひとだけでなく、大阪おおさかや関東かんとうなどからの観光かんこう客きゃくが訪おとずれて次々つぎつぎに花はなを購入こうにゅうし、小ちいさな子こどもを連つれた人ひとや若わかい夫婦ふうふの姿すがたも見みられます。

献花けんかをしようと4歳さいと8歳さいの子こどもらと生花せいか店てんを訪おとずれた母親ははおやは「自分じぶんの子こどもたちと同おなじくらいの年齢ねんれいの子こが亡なくなっていて、献花けんかしようと思おもいました。漁業ぎょぎょう者しゃの父ちちと弟おとうとは捜索そうさく活動かつどうに協力きょうりょくしています。早はやく全員ぜんいんが見みつかってほしいと思おもいます」と話はなしていました。

この店みせでは、町まちから依頼いらいを受うけ、献花けんかされた花束はなたばのラッピングをほどいて、直径ちょっけい1メートルほどのフラワーアレンジメントに作り替つくりかえて、献花けんか台だいの脇わきに飾かざっています。

生花せいか店てんを営いとなむ坂井さかい昌あきら斉ひとしさんは「亡なくなったかたのご家族かぞくの悲かなしみを少すこしでも和やわらげられるのがお花はなだと思おもいます。ご家族かぞくは各地かくちから初はじめての場所ばしょを訪おとずれた不安ふあんもあると思おもうので、ほんの一瞬いっしゅんでもお花はなを見みて、心こころを和やわらげてもらえたらありがたいです」と話はなしていました。

ソース：NHK ニュース