物価ぶっか高だか “困窮こんきゅう家庭かていへの食糧しょくりょう支援しえんは限界げんかいに” フードバンク協議きょうぎ会かい

物価ぶっか高だかの影響えいきょうが深刻しんこく化かする中なか、NHKが困窮こんきゅう家庭かていなどに食料しょくりょう支援しえんを行おこなう関東かんとう地方ちほうの13のフードバンクに取材しゅざいしたところ、12の団体だんたいで支援しえんの要請ようせいが増加ぞうかしている一方いっぽうで、およそ半数はんすうで寄付きふが減少げんしょうし、食料しょくりょう品ひんの確保かくほが難むずかしい状態じょうたいになっていることが分わかりました。

フードバンクの協議きょうぎ会かいは「需給じゅきゅうバランスの崩くずれは全国ぜんこく的てきに広ひろがっていて、われわれができる支援しえんは限界げんかいにきている」と危機きき感かんを募つのらせています。

フードバンクは生活せいかつが困窮こんきゅうする家庭かていなどに食料しょくりょう支援しえんを行おこなう活動かつどうで、NHKは全国ぜんこくフードバンク推進すいしん協議きょうぎ会かいに加盟かめいする関東かんとう地方ちほうの13の団体だんたいに取材しゅざいしました。

その結果けっか、12の団体だんたいで支援しえんの要請ようせいが増加ぞうかしている一方いっぽうで、これまでと比くらべて企業きぎょうや個人こじんからの食料しょくりょう品ひんの寄付きふが減少げんしょうしていると答こたえた団体だんたいが、およそ半数はんすうの6つに上のぼりました。

このうち埼玉さいたま県けんのフードバンクでは、今月こんげつ新あらたに支援しえんの要請ようせいがあった世帯せたいが、去年きょねんのおよそ1.6倍ばいに増加ぞうかし、用意よういした130世帯せたい分ぶんの食料しょくりょう配布はいふの申し込もうしこみも去年きょねんは定員ていいんが埋うまるまで4日にちほどかかりましたが、ことしは3時間じかんで定員ていいんに達たっしたということです。

支援しえんの要請ようせいが増ふえた理由りゆうについて多おおくのフードバンクは、物価ぶっか高だかによって生活せいかつの厳きびしさが増ましている人ひとが増ふえていることをあげていて、最近さいきんは若わかい世代せだいや外国がいこく人じん、生活せいかつ保護ほごの受給じゅきゅう者しゃなど支援しえんを必要ひつようとする人ひとの広ひろがりもみられるということです。

一方いっぽうで神奈川かながわ県けんのフードバンクでは、子こどもたち向むけのお菓子おかしの寄付きふを募つのると、これまでは大量たいりょうに寄よせられていましたが、ことしは集あつまらない状態じょうたいとなっているほか、千葉ちば県けんのフードバンクでは夏なつ以降いこう、パスタや小麦粉こむぎこなどの寄付きふが減少げんしょうしているということです。

寄付きふが減へった理由りゆうについて、企業きぎょうが原材料げんざいりょう価格かかくの高騰こうとうなどで生産せいさん調整ちょうせいを行おこない、余剰よじょう在庫ざいこが減へっていることなどが影響えいきょうしているとみられ、食料しょくりょう品ひんの確保かくほが課題かだいとなっている現状げんじょうが浮き彫うきぼりになりました。

全国ぜんこくフードバンク推進すいしん協議きょうぎ会かいの米山よねやま広明ひろあき代表だいひょう理事りじ
「需給じゅきゅうバランスの崩くずれは全国ぜんこく的てきに広ひろがっていて、これまででも初はじめての事態じたいだ。支援しえんを必要ひつようとする人ひとは増ふえ続つづけているものの食料しょくりょう品ひんが増ふえず、それぞれの団体だんたいが支援しえんできる限界げんかいまできている。困窮こんきゅうする人ひとが増ふえる年末ねんまつ年始ねんしにかけて支援しえんが緊急きんきゅう的てきに必要ひつようなのは間違まちがいないが、物価ぶっか高騰こうとうが収束しゅうそくに向むかっても困窮こんきゅうの問題もんだいは残のこっていくと思おもうので、国くにには中ちゅう長期ちょうき的てきな支援しえんにつながるような施策しさくを求もとめたい」

生活せいかつ不安ふあんを抱いだくひとり親おや家庭かていも

フードバンクを利用りようしているひとり親おや家庭かていの中なかには、物価ぶっか高だかで食料しょくりょう品ひんを買かうのを控ひかえたり電気でんき代だいの上昇じょうしょうなどで今後こんごの生活せいかつに不安ふあんを抱だいていたりする家庭かていもあります。

都内とないで長男ちょうなんと2人にんで暮くらしている大森おおもりさとみさん（46）は、人工じんこう呼吸こきゅう器きを付つけている駿しゅん之の介かいさん（15）のケアのため常勤じょうきんでは働はたらけず、特別とくべつ児童じどう扶養ふよう手当てあてなど月つき18万まん円えん余あまりの収入しゅうにゅうで生活せいかつしています。

駿しゅん之の介かいさんは医師いしからの栄養えいよう指導しどうを受うけて、料理りょうりをすりつぶしたミキサー食しょくをとっていますが、物価ぶっか高だかによって野菜やさいや果物くだものが高たかいと感かんじ、買かうのを諦あきらめることもあるといいます。

節約せつやくのため、価格かかくが安定あんていしているキノコ類るいを多用たようしたり豆腐とうふやこんにゃくで量りょうを増ふやしたりして食事しょくじを準備じゅんびしていて、フードバンクからの食材しょくざいも活用かつようしているといいます。

大森おおもりさんは「プラスアルファの食材しょくざいになるので、自分じぶんでは買かうかは迷まよってしまうものももう1つ、添そえられるというのは本当ほんとうにありがいです」と話はなしていました。

さらに電気でんき代だいはことし8月つきには去年きょねんより7000円えんほど増ふえて1万まん7000円えん余あまりに、ガソリン代だいもこれまでより3000円えん以上いじょう増ふえ1万まん円えんほどになったということです。

今後こんご、冬ふゆにかけて暖房だんぼう代だいが上あがると予想よそうしていますが、体温たいおん調整ちょうせいが苦手にがてな息子むすこのために設定せってい温度おんどを下さげるわけにはいかず、収入しゅうにゅうを増ふやせない中なかで、生活せいかつ費ひが増ふえていく現状げんじょうに不安ふあんを募つのらせています。

大森おおもりさんは「暖房だんぼうは息子むすこの体調たいちょうをよい状態じょうたいに保たもつためにもずっとつける必要ひつようがあります。削けずれない部分ぶぶんなので、どうなっていくのかなというのは不安ふあんです」と話はなしていました。

食料しょくりょう品ひんの確保かくほが追おいつかない

生活せいかつが困窮こんきゅうする家庭かていなどに食料しょくりょう品ひんを配布はいふするフードバンクでは、物価ぶっか高だかの影響えいきょうで支援しえんの要請ようせいが急増きゅうぞうする一方いっぽうで、原材料げんざいりょう価格かかくの高騰こうとうなどによってこれまでどおりの寄付きふができなくなる企業きぎょうも出でてきていて、食料しょくりょう品ひんの確保かくほに苦心くしんしています。

東京とうきょう 多摩たま地域ちいきで、困窮こんきゅう家庭かていを支援しえんする団体だんたいなどに食料しょくりょうを提供ていきょうしているフードバンクTAMAでは、ことし4月つきごろから支援しえんの要請ようせいが増ふえ始はじめています。

最もっとも多おおかった7月つきには、去年きょねんの同おなじ時期じきの4倍ばいを超こえる25トンの食料しょくりょうを配布はいふしたということです。

配布はいふ先さきもこれまではひとり親おや家庭かていが多おおかったということですが、最近さいきんは非ひ正規せいきで働はたらく人ひとや2～30代だいの若わかい世代せだい、外国がいこく人じんなども増ふえているということです。

この日ひも東京とうきょう 日野ひの市しの事務所じむしょでは、4人にんのスタッフが倉庫そうこに入はいっていた野菜やさいや冷凍れいとう食品しょくひんなどを車くるまに積つむと手分てわけをして配布はいふに向むかいました。

そして、医療いりょう的てきケア児じを支援しえんしている団体だんたいや親おやと離はなれた子こどもたちが暮くらす自立じりつ援助えんじょホームなどを回まわって食料しょくりょう品ひんを届とどけていました。

事務所じむしょに直接ちょくせつ、食料しょくりょうを取とりに来くる団体だんたいもあり、卵たまごや野菜やさい、菓子かしなどが入はいった段ボールだんぼ-るを車くるまの後部こうぶ座席ざせきいっぱいに詰め込つめこんでいました。

運営うんえいする無料むりょうの学習がくしゅう塾じゅくで食料しょくりょうを配布はいふしている女性じょせいは、「大変たいへん助たすかっています。生理せいり用品ようひんなどの日ひ用品ようひんをいただくこともあって、シングルマザーの家庭かていで喜よろこばれました」と話はなしていました。

一方いっぽうで、これまで寄付きふを続つづけてきた企業きぎょうの中なかには、原材料げんざいりょう価格かかくの高騰こうとうなどによってこれまでどおりに寄付きふできなくなるところも出でてきています。

特とくに小麦こむぎの価格かかく高騰こうとうの影響えいきょうを受うけているパン店てんやギョーザ店てんなどが目立めだっていて、増加ぞうかする支援しえんの要請ようせいに食料しょくりょう品ひんの確保かくほが追おいつかない状態じょうたいになりつつあるということです。

フードバンクでは連日れんじつ、新あらたに企業きぎょうを探さがして寄付きふを求もとめるメールを送おくったり、電話でんわで追加ついかの寄付きふができないか依頼いらいしたりする作業さぎょうに追おわれています。

フードバンクTAMAの芝田しばた晴はれ一朗いちろう事務じむ局長きょくちょう
「物価ぶっかの高騰こうとうはひとり親おや家庭かていや非ひ正規せいき雇用こよう、国民こくみん年金ねんきんだけの家庭かてい、外国がいこく人じんなど特とくに弱よわい立場たちばの人ひとを直撃ちょくげきしている。寄付きふする側がわも小麦粉こむぎこを使つかっているようなところや地元じもと企業きぎょうが影響えいきょうを受うけているのではないかと思おもう。これから年末ねんまつに向むけて冬休ふゆやすみに入はいるので、子こどもたちも寒さむい中なか、お腹はらいっぱい食たべられないと大変たいへんなので、できるかぎりの支援しえんをしていきたい」

ソース：NHK ニュース