Hiện Furigana
東京五輪・パラ延期から半年 どうする新型コロナ対策
2020-09-24 07:12:01

東京オリンピック・パラリンピックの1年延期が決まってから24日で半年になりました。大会開催への最大の課題は、感染が続く新型コロナウイルス対策ですが、安全をどのように確保し、経費も抑え込んでいくのか、大会は難しい課題に直面しています。
東京オリンピック・パラリンピックは、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大を受けて、ことし3月24日に大会史上初めて1年程度の延期が決まりました。
この半年でオリンピックは来年7月23日、パラリンピックは8月24日に開幕し、競技会場と競技スケジュールはことしと同じ計画にすることが決まりましたが、新型コロナウイルスの感染が世界で続く中、世界中から人が集まる大規模な総合大会を来年の夏にどうすれば開催できるのか、注目が集まっています。
最大の課題の新型コロナウイルス対策は、IOC=国際オリンピック委員会と組織委員会などが議論を開始し、国内では、政府が主導する対策会議で、選手や関係者の入国管理や選手村や競技会場での予防など、主要な対策を年内をめどにまとめる方針です。
また運営やサービスを見直す簡素化を行い、1兆3500億円の大会経費から延期でさらに増える分をできるだけ抑えたい考えです。
一方で観客をどの程度入れられるかは、感染状況に左右されるため現時点では不透明な状況で、観客の数によって取るべき感染対策や輸送やチケットの対応など準備が変わっていくことになります。
延期となった大会は、安全をどのように確保し、経費も抑え込んでいくのか、難しい課題に直面しています。






この半年でオリンピックは来年7月23日、パラリンピックは8月24日に開幕し、競技会場と競技スケジュールはことしと同じ計画にすることが決まりましたが、新型コロナウイルスの感染が世界で続く中、世界中から人が集まる大規模な総合大会を来年の夏にどうすれば開催できるのか、注目が集まっています。
最大の課題の新型コロナウイルス対策は、IOC=国際オリンピック委員会と組織委員会などが議論を開始し、国内では、政府が主導する対策会議で、選手や関係者の入国管理や選手村や競技会場での予防など、主要な対策を年内をめどにまとめる方針です。
また運営やサービスを見直す簡素化を行い、1兆3500億円の大会経費から延期でさらに増える分をできるだけ抑えたい考えです。
一方で観客をどの程度入れられるかは、感染状況に左右されるため現時点では不透明な状況で、観客の数によって取るべき感染対策や輸送やチケットの対応など準備が変わっていくことになります。
延期となった大会は、安全をどのように確保し、経費も抑え込んでいくのか、難しい課題に直面しています。
陸上競技の感染対策は

今月18日から埼玉県熊谷市で行われた陸上の全日本実業団選手権は、国内で行われる社会人の陸上の大会では最大規模となるおよそ1400人の選手がエントリーして3日間にわたって行われ、選手やスタッフに対して徹底した感染対策がとられました。
この大会は無観客で行われましたが、大会主催者が注意したのはチーム関係者が観戦するスタンドの“密対策”です。
巡回役のスタッフが繰り返しスタンドを見回る「密チェック」を行いました。
大会1日目にはスタンドの見回りで密になっている状況を発見すると、その場で注意を促すとともにすぐに無線で放送室に報告して、その後、密を避けるよう場内アナウンスが行われる徹底ぶりでした。
またスタッフの感染リスクを減らそうと、大会前に行う「監督会議」を3回に分けて行いました。
競技の注意事項などを説明する「監督会議」は、すべてのスタッフを同じ場所に集めて行うのが慣例です。しかしこの大会は参加チーム数がおよそ450と多く、関係者が会議室に同時に集まるといわゆる“3密”を避けられなくなります。
そのため競技ごとに3回にわけて会議を行ったほか、部屋の出入りを一方通行にすることで可能なかぎり接触を減らしました。
このほか選手と報道陣が接触するレース後のインタビューは原則、パソコンを使ったオンラインで行われ、選手はパソコンの前に座って画面越しに記者の質問に答えました。
1日の終わりには、スタッフがタオルと消毒液をもってスタンド席や柵を隅々までふくなど、大会を通して徹底した感染対策がとられていました。
大会を主催した日本実業団陸上競技連合の酒井勝充強化委員長は、「手探りの状態で心配もあったが安全・安心をテーマに細かなところまで感染対策を行うことができた。さまざまな大会の対策を見習いながらやってきたが、新たな形の大会が定着してきていると思う。今回の大会のノウハウを今後に生かしていきたい」と話していました。
この大会は無観客で行われましたが、大会主催者が注意したのはチーム関係者が観戦するスタンドの“密対策”です。
巡回役のスタッフが繰り返しスタンドを見回る「密チェック」を行いました。
大会1日目にはスタンドの見回りで密になっている状況を発見すると、その場で注意を促すとともにすぐに無線で放送室に報告して、その後、密を避けるよう場内アナウンスが行われる徹底ぶりでした。
またスタッフの感染リスクを減らそうと、大会前に行う「監督会議」を3回に分けて行いました。
競技の注意事項などを説明する「監督会議」は、すべてのスタッフを同じ場所に集めて行うのが慣例です。しかしこの大会は参加チーム数がおよそ450と多く、関係者が会議室に同時に集まるといわゆる“3密”を避けられなくなります。
そのため競技ごとに3回にわけて会議を行ったほか、部屋の出入りを一方通行にすることで可能なかぎり接触を減らしました。
このほか選手と報道陣が接触するレース後のインタビューは原則、パソコンを使ったオンラインで行われ、選手はパソコンの前に座って画面越しに記者の質問に答えました。
1日の終わりには、スタッフがタオルと消毒液をもってスタンド席や柵を隅々までふくなど、大会を通して徹底した感染対策がとられていました。
大会を主催した日本実業団陸上競技連合の酒井勝充強化委員長は、「手探りの状態で心配もあったが安全・安心をテーマに細かなところまで感染対策を行うことができた。さまざまな大会の対策を見習いながらやってきたが、新たな形の大会が定着してきていると思う。今回の大会のノウハウを今後に生かしていきたい」と話していました。
輸送担うバス業界の苦悩

大会関係者の輸送を担うバス業界も、この半年間、大きな影響を受けていて、大会の見通しについても不安を抱えています。
東京のバス会社、「東都観光バス」は組織委員会などからの依頼で大会期間中、所有する観光バスの半分にあたる100台を、競技審判や報道関係者、それにスポンサー関係者の送迎のため提供する予定でした。
ところが、大会延期を受けて依頼はいったんキャンセルされました。
この間、新型コロナウイルスの影響で会社の売り上げは落ち込み、ことし3月から先月までのバスの売り上げは、去年のわずか2%。200人いる運転手のほとんども休業で自宅待機になっています。
一方で、仕事がない中でも車両に感染防止のシートを設置するなど対応に追われて来ました。
そんな中、来年の大会期間中も同じ規模の台数を確保できないかと先月から今月にかけて口頭で打診されましたが、正式な契約には至っていません。
この会社では、大会が開かれるか確信を持てない上、開催されたとしても大会の簡素化によって必要とされるバスの台数が減るおそれがあるとして不安を感じています。
宮本克彦社長は「予定どおりの大会になればまとまった仕事が入ると期待しているので、できれば規模を減らさずに開催してほしい」と話しています。
業界団体によりますと、貸し切りバスの業界では、さらに深刻な経営状態に陥っている企業も珍しくなく、来年の大会開催まで経営が持たないと懸念する企業もあるということです。
仕事がない中で、多くの企業が国の雇用調整助成金で運転手の給与を支払っていますが、雇用調整助成金の特例措置はことし12月に期限を迎えます。
このまま仕事がない状態が続き、雇用調整助成金の特例措置の延長も行われなければ、運転手の雇用を維持できず、倒産するバス会社も出てくるおそれがあります。
そうなると、大会期間中に必要なバスや運転手を確保することも難しくなります。
東京バス協会の貸切部会長も務める「東都観光バス」の宮本社長は「業界全体は、大会に協力したいという思いを持っているが、コロナの影響は深刻で瀕死状態にあり、このままでは立ちゆかなくなるおそれがある。国の支援策のさらなる充実を求めたい」と話していました。
東京のバス会社、「東都観光バス」は組織委員会などからの依頼で大会期間中、所有する観光バスの半分にあたる100台を、競技審判や報道関係者、それにスポンサー関係者の送迎のため提供する予定でした。
ところが、大会延期を受けて依頼はいったんキャンセルされました。
この間、新型コロナウイルスの影響で会社の売り上げは落ち込み、ことし3月から先月までのバスの売り上げは、去年のわずか2%。200人いる運転手のほとんども休業で自宅待機になっています。
一方で、仕事がない中でも車両に感染防止のシートを設置するなど対応に追われて来ました。
そんな中、来年の大会期間中も同じ規模の台数を確保できないかと先月から今月にかけて口頭で打診されましたが、正式な契約には至っていません。
この会社では、大会が開かれるか確信を持てない上、開催されたとしても大会の簡素化によって必要とされるバスの台数が減るおそれがあるとして不安を感じています。
宮本克彦社長は「予定どおりの大会になればまとまった仕事が入ると期待しているので、できれば規模を減らさずに開催してほしい」と話しています。
業界団体によりますと、貸し切りバスの業界では、さらに深刻な経営状態に陥っている企業も珍しくなく、来年の大会開催まで経営が持たないと懸念する企業もあるということです。
仕事がない中で、多くの企業が国の雇用調整助成金で運転手の給与を支払っていますが、雇用調整助成金の特例措置はことし12月に期限を迎えます。
このまま仕事がない状態が続き、雇用調整助成金の特例措置の延長も行われなければ、運転手の雇用を維持できず、倒産するバス会社も出てくるおそれがあります。
そうなると、大会期間中に必要なバスや運転手を確保することも難しくなります。
東京バス協会の貸切部会長も務める「東都観光バス」の宮本社長は「業界全体は、大会に協力したいという思いを持っているが、コロナの影響は深刻で瀕死状態にあり、このままでは立ちゆかなくなるおそれがある。国の支援策のさらなる充実を求めたい」と話していました。
JR東日本 ロボット活用した接客へ

東京オリンピック・パラリンピックの開催に向けては新型コロナウイルスへの対策が最大の課題となります。人との接触を避ける「非接触」型サービスのニーズが高まるなか、JR東日本はロボットを活用した接客を導入するため実証実験を進めています。
このうちJR山手線の「高輪ゲートウェイ駅」では、ことし3月に開業した当初から駅構内でさまざまなロボットが稼働しています。
改札内のコンコースには、AI=人工知能を活用し人の声に反応して駅の施設などを説明する「案内ロボット」が設置されたほか、自律移動型の「警備ロボット」は駅の利用者が歩く中で巡回を行っていました。
警備ロボットは目が不自由で「白じょう」を持った人をセンサーで感知し、警備員のタブレットに場所を通知することができ、効率的な介助や警備に役立つということです。
JR東日本は、ロボットによる接客は感染拡大を受けてニーズが高まる「非接触」のおもてなしや人手不足の解消につながるとして、高輪ゲートウェイ駅を中心に実証実験を進め、今後、本格的に導入する方針です。
このうちJR山手線の「高輪ゲートウェイ駅」では、ことし3月に開業した当初から駅構内でさまざまなロボットが稼働しています。
改札内のコンコースには、AI=人工知能を活用し人の声に反応して駅の施設などを説明する「案内ロボット」が設置されたほか、自律移動型の「警備ロボット」は駅の利用者が歩く中で巡回を行っていました。
警備ロボットは目が不自由で「白じょう」を持った人をセンサーで感知し、警備員のタブレットに場所を通知することができ、効率的な介助や警備に役立つということです。
JR東日本は、ロボットによる接客は感染拡大を受けてニーズが高まる「非接触」のおもてなしや人手不足の解消につながるとして、高輪ゲートウェイ駅を中心に実証実験を進め、今後、本格的に導入する方針です。
各メーカー ロボット開発進める

東京オリンピック・パラリンピックの開催に向けて、各メーカーでは新型コロナウイルス対策に活用できるロボットの技術開発を進めています。
今月14日から17日まで東京・港区で行われた実証実験には、6社が参加しました。
このうちソフトバンクが開発したのが自律走行ロボット、「Cuboidくん」に紫外線照射ユニットを搭載したロボットです。
メーカーによりますと、強い紫外線を照射することで、半径2メートル以内の壁や床の殺菌効果が期待できるとしていて、国内外の研究などから新型コロナウイルスにも効果があるとみて、検証を進めることにしています。
地図データや移動ルートなどを設定しておくことで自律走行し、人を検知すると紫外線の照射を自動で止めたり障害物を避けて移動したりできるということです。
また、みずからエレベーターを呼んで別の階に荷物を運ぶこともでき、今後、ホテルや飲食店などへの導入も目指しているということです。
ソフトバンクAIロボット開発課の古谷智彦課長は、「コロナ禍でも、宿泊施設やイベント会場などで夜間に殺菌を済ませ、安心してお客様に楽しんでいただけるように、スピード感をもって実験を進めていきたいです」と話していました。
今月14日から17日まで東京・港区で行われた実証実験には、6社が参加しました。
このうちソフトバンクが開発したのが自律走行ロボット、「Cuboidくん」に紫外線照射ユニットを搭載したロボットです。
メーカーによりますと、強い紫外線を照射することで、半径2メートル以内の壁や床の殺菌効果が期待できるとしていて、国内外の研究などから新型コロナウイルスにも効果があるとみて、検証を進めることにしています。
地図データや移動ルートなどを設定しておくことで自律走行し、人を検知すると紫外線の照射を自動で止めたり障害物を避けて移動したりできるということです。
また、みずからエレベーターを呼んで別の階に荷物を運ぶこともでき、今後、ホテルや飲食店などへの導入も目指しているということです。
ソフトバンクAIロボット開発課の古谷智彦課長は、「コロナ禍でも、宿泊施設やイベント会場などで夜間に殺菌を済ませ、安心してお客様に楽しんでいただけるように、スピード感をもって実験を進めていきたいです」と話していました。

一方、「非接触」型のロボットも相次いで開発されています。
電通テックが開発に携わった道案内のロボット「Cruzr」は、日本語、英語、中国語、韓国語の4か国語で会話でき、目的地を伝えると方向を手で示したうえで地図を画面に出せるほか、目的地まで誘導してくれます。
今後は、指で触らずに操作できるよう、音声認識などの強化を急ぎたいとしています。
電通テックが開発に携わった道案内のロボット「Cruzr」は、日本語、英語、中国語、韓国語の4か国語で会話でき、目的地を伝えると方向を手で示したうえで地図を画面に出せるほか、目的地まで誘導してくれます。
今後は、指で触らずに操作できるよう、音声認識などの強化を急ぎたいとしています。

機械部品メーカーTHKが開発した広告を表示するロボットは、自律走行し、人が近づくとセンサーで認識して止まります。表示する広告を遠隔操作で切り替えたり、テレビ電話を使ってオペレーターがモニター越しに説明したりできるということです。
ソース:NHK ニュース