日弁連にちべんれん 死刑しけい廃止はいし目指めざす宣言せんげん採択さいたく 反対はんたい意見いけんで紛糾ふんきゅうも

日弁連にちべんれん・日本にっぽん弁護士べんごし連合れんごう会かいは福井ふくい市しで開ひらいた大会たいかいで、初はじめて死刑しけい制度せいどの廃止はいしを目指めざすという宣言せんげんを採択さいたくしました。一方いっぽう、反対はんたい意見いけんが相次あいついだため大会たいかいは一時いちじ紛糾ふんきゅうし、全会ぜんかい一致いっちの採択さいたくには至いたりませんでした。

日弁連にちべんれんの執行しっこう部ぶは福井ふくい市しで開ひらいた人権じんけん擁護ようご大会たいかいで、「２に０ぜろ２に０ぜろ年ねんまでに死刑しけい制度せいどの廃止はいしを目指めざし、代かわりに終身しゅうしん刑けいなどの導入どうにゅうを検討けんとうする」という宣言せんげんを提案ていあんしました。カメラ撮影さつえいが認みとめられない中なかで行おこなわれた審議しんぎでは、日弁連にちべんれんの委員いいんが、えん罪えんざいによって死刑しけいが執行しっこうされると取り返とりかえしがつかないことや世界せかいでは死刑しけいを廃止はいしする国くにが増ふえていることなどを提案ていあんの理由りゆうとして説明せつめいしました。

これに対にたいして犯罪はんざい被害ひがい者しゃを支援しえんする弁護士べんごしから「被害ひがい者しゃや遺族いぞくの前まえで死刑しけいはいらないと言いえるのか」といった意見いけんや、「日弁連にちべんれんは特定とくていの正義せいぎ感かんを押おしつけるべきではない」といった意見いけんが相次あいつぎ、大会たいかいは一時いちじ紛糾ふんきゅうしました。

その後そのご、採決さいけつが行おこなわれ、出席しゅっせきした弁護士べんごしの賛成さんせい多数たすうで宣言せんげんが採択さいたくされました。死刑しけい制度せいどをめぐって、日弁連にちべんれんはこれまで、刑けいの執行しっこう停止ていしや社会しゃかい的てきな議論ぎろんを呼よびかけていましたが、４よん年ねん後ごに司法しほう制度せいどに関にかんする国連こくれんの会議かいぎが日本にっぽんで開ひらかれることなどから、初はじめて制度せいどの廃止はいしを掲かかげました。今後こんごは、政府せいふに対にたいして死刑しけい制度せいどの廃止はいしを含ふくめた法ほう整備せいびを求もとめていくとしています。

犯罪はんざい被害ひがい者しゃ団体だんたい 宣言せんげん反対はんたいを呼よびかけ

死刑しけい制度せいどの存続そんぞくを訴うったえている犯罪はんざい被害ひがい者しゃの団体だんたいなどは、７なな日にちの大会たいかいが始はじまる前まえに、参加さんか者しゃに対にたいして、宣言せんげんに反対はんたいするよう呼よびかけました。

呼よびかけは日弁連にちべんれん＝日本にっぽん弁護士べんごし連合れんごう会かいの人権じんけん擁護ようご大会たいかいが開ひらかれた福井ふくい市し体育館たいいくかんの周辺しゅうへんで午前ごぜん９きゅう時じごろから行おこなわれました。「全国ぜんこく犯罪はんざい被害ひがい者しゃの会かい・あすの会かい」のメンバーは「あなたの家族かぞくが殺ころされても死刑しけい廃止はいしと言いいますか？」と書かかれたビラを参加さんか者しゃに配くばり、死刑しけいは被害ひがい者しゃにとって必要ひつような刑罰けいばつで、悲惨ひさんな事件じけんが繰り返くりかえされるのを防ふせぐ効果こうかもあると訴うったえました。

「あすの会かい」の代表だいひょう幹事かんじの松村まつむら恒夫つねおさんは「遺族いぞくが家族かぞくを殺ころされた苦くるしみに整理せいりをつけるための刑罰けいばつとして死刑しけいは必要ひつようです。弁護士べんごしは被害ひがい者しゃの気持きもちに寄り添よりそってほしい」と話はなしていました。また、犯罪はんざい被害ひがい者しゃを支援しえんする弁護士べんごしでつくる団体だんたいも「日弁連にちべんれんは弁護士べんごしが強制きょうせい的てきに加入かにゅうさせられる組織そしきなのに一方いっぽう的てきな立場たちばで死刑しけい廃止はいしを宣言せんげんするのは不当ふとうだ」として反対はんたいを呼よびかけました。団体だんたいの事務じむ局長きょくちょうの高橋たかはし正人まさと弁護士べんごしは「一部いちぶの弁護士べんごししか参加さんかしていない大会たいかいで、なぜ日弁連にちべんれんの意思いし決定けっていが行おこなわれるのか非常ひじょうに疑問ぎもんで、一方いっぽう的てきな考え方かんがえかたの押おしつけだ」と話はなしていました。

世界せかいの動うごきと国内こくないの世論せろんは

死刑しけい制度せいどをめぐっては、世界せかいで廃止はいしの動うごきが広ひろがる一方いっぽう、国内こくないの世論せろん調査ちょうさでは８はち０ぜろ％が制度せいどの存続そんぞくを容認ようにんしています。

国際こくさい的てきな人権じんけん団体だんたい「アムネスティ・インターナショナル」によりますと、死刑しけい制度せいどを廃止はいしする動うごきは１いち９きゅう９きゅう０ぜろ年代ねんだいごろから広ひろがり、去年きょねん１２月じゅうにがつの時点じてんで廃止はいしした国くにや地域ちいきは１いち０ぜろ２にと、２に０ぜろ年ねん前まえの１いち．７なな倍ばいに増ふえたということです。このほか、３さん８はちか国かこくは一定いっていの期間きかん、死刑しけいの執行しっこうがなく、事実じじつ上じょう、停止ていししているとしています。

一方いっぽう、国内こくないでは死刑しけい制度せいどの存続そんぞくを容認ようにんする意見いけんが多おおく、内閣ないかく府ふがおととし１１月じゅういちがつに行いった世論せろん調査ちょうさでは、「死刑しけいもやむをえない」と答こたえた人ひとは８はち０ぜろ．３さん％、「死刑しけいは廃止はいしすべきだ」と答こたえた人ひとは９きゅう．７なな％でした。終身しゅうしん刑けいを新あらたに導入どうにゅうした場合ばあいの死刑しけい制度せいどの存続そんぞくの是非ぜひを聞きくと、「廃止はいししないほうがよい」と答こたえた人ひとは５ご１いち．５ご％、「廃止はいしするほうがよい」は３さん７なな．７なな％という結果けっかになりました。

ソース：NHK ニュース