Hiện Furigana
News Up 電通で何が 現役社員が語る電通の今
2016-11-04 09:27:09

大手広告会社、電通がいま揺れています。新入社員だった女性が去年、過労のため自殺した問題をきっかけに厚生労働省の調査を受け、新たな長時間労働対策も打ち出しました。電通で何が起きているのか。電通の現役社員たちの証言から探ります。
10月24日夜10時、東京・汐留にそびえ立つ48階建ての電通本社ビルの明かりが一斉に消えました。新入社員だった高橋まつりさん(当時24)が去年、過労のため自殺した問題などを受けて電通は、夜10時以降の深夜勤務を原則、認めないことを決め、この日から本社や支社などを夜10時に消灯することにしたのです。電通本社では消灯時間を前に足早に帰宅する社員の姿が見られました。



一斉に消える電通本社ビルの明かり
10月24日夜10時、東京・汐留にそびえ立つ48階建ての電通本社ビルの明かりが一斉に消えました。新入社員だった高橋まつりさん(当時24)が去年、過労のため自殺した問題などを受けて電通は、夜10時以降の深夜勤務を原則、認めないことを決め、この日から本社や支社などを夜10時に消灯することにしたのです。電通本社では消灯時間を前に足早に帰宅する社員の姿が見られました。
「今こそ、全社一丸」
電通は、このほか労働組合との間で結んでいる取り決めを見直し、所定外の残業時間の上限を月70時間から65時間に引き下げるなどしました。
こうした対応について電通は10月28日、社内のシステムに文書を掲載し、全社員に向けて通知しました。その社内文書は「逆風を乗り越える」として「難局を変革の機会に。社を取り巻く環境は厳しい。今こそ、全社一丸となろう。働き方を変える契機としよう」と締めくくられていました。
こうした対応について電通は10月28日、社内のシステムに文書を掲載し、全社員に向けて通知しました。その社内文書は「逆風を乗り越える」として「難局を変革の機会に。社を取り巻く環境は厳しい。今こそ、全社一丸となろう。働き方を変える契機としよう」と締めくくられていました。

一連の問題の受け止めは
電通では、高橋さんの過労による自殺が明らかになって以降、3年前に亡くなった当時30歳の男性社員についてもことし、労災が認められていたことや、おととしと去年、関西支社と本社がそれぞれ社員に違法な長時間の残業をさせていたとして労働局から是正勧告を受けていたことが分かっています。
電通の社員は一連の問題をどう受け止めているのか。取材に応じた男性社員の1人は、「社会から想像以上の厳しい目が向けられたことで今までの自分たちの認識がずれていたということをみんな、少なからず実感している」と話します。
電通の社員は一連の問題をどう受け止めているのか。取材に応じた男性社員の1人は、「社会から想像以上の厳しい目が向けられたことで今までの自分たちの認識がずれていたということをみんな、少なからず実感している」と話します。
「鬼十則」に象徴される企業体質
相次ぐ問題を受け、電通の企業体質にも批判が向けられています。
ある女性社員は電通の社風について「絶対的な上下関係が支配する『超体育会系』だ」と話し、「上司からのパワハラも恒常的にある」と訴えます。
電通の中興の祖とされる4代目社長、吉田秀雄氏が昭和26年に作った社員の心得、「鬼十則」には「『難しい仕事』を狙え、そしてこれを成し遂げるところに進歩がある」、「取り組んだら『放すな』、殺されても放すな」、「周囲を『引きずり回せ』」などの言葉が並んでいます。
ある女性社員は電通の社風について「絶対的な上下関係が支配する『超体育会系』だ」と話し、「上司からのパワハラも恒常的にある」と訴えます。
電通の中興の祖とされる4代目社長、吉田秀雄氏が昭和26年に作った社員の心得、「鬼十則」には「『難しい仕事』を狙え、そしてこれを成し遂げるところに進歩がある」、「取り組んだら『放すな』、殺されても放すな」、「周囲を『引きずり回せ』」などの言葉が並んでいます。

男性社員は「『鬼十則』をそのまま実行している人なんてほとんどいないが、猛烈な働き方で生き残ってきた会社なので、上の年次の社員ほどそうした価値観が染みついている」と話します。そして、「体育会的な文化というのはわかったうえで、みんな入社しているので、残業時間が多かったり、パワハラ的なことがあったりしても乗り越えていけると思っていた」と述べたうえで、「いままでの電通では生き残っていけないことがわかった」と話していました。
残業時間の過少申告も
働いた時間を実際より少なく申告し、残業時間を意図的に減らしていたことも複数の社員が証言しています。
ある若手の男性社員は「暗黙の了解で自主的に残業時間を過少申告し、月50時間程度は削っている」と話します。
また、女性社員は「朝から次の日の朝まで24時間連続で働いたとき、上司の指示で深夜から早朝にかけての勤務時間を減らされた」といいます。
働いた時間の一部を「自己啓発」や「私的な用事」にあてたなどとして残業時間を減らし、労働組合と取り決めた上限を超えないようにしていたということです。
ある若手の男性社員は「暗黙の了解で自主的に残業時間を過少申告し、月50時間程度は削っている」と話します。
また、女性社員は「朝から次の日の朝まで24時間連続で働いたとき、上司の指示で深夜から早朝にかけての勤務時間を減らされた」といいます。
働いた時間の一部を「自己啓発」や「私的な用事」にあてたなどとして残業時間を減らし、労働組合と取り決めた上限を超えないようにしていたということです。
究極のサービス業
なぜ、そうまでして長時間、働き続けるのか。
社員の1人は「われわれは究極のサービス業で、クライアント(客)に言われたことはなんでもやるという仕事なので、労働時間といった概念はあまり関係ない」と話し、広告を出す客の要望に応えた結果だと説明します。この社員は「どれだけクライアントに貢献できたか、プライドを持って働いている人が多い」と話します。
夜10時以降の深夜勤務が禁じられて以降、仕事の時間を確保しようと朝5時から働いている人もいるということです。
社員の1人は「われわれは究極のサービス業で、クライアント(客)に言われたことはなんでもやるという仕事なので、労働時間といった概念はあまり関係ない」と話し、広告を出す客の要望に応えた結果だと説明します。この社員は「どれだけクライアントに貢献できたか、プライドを持って働いている人が多い」と話します。
夜10時以降の深夜勤務が禁じられて以降、仕事の時間を確保しようと朝5時から働いている人もいるということです。
亡くなった高橋さんは“激務”のネット広告担当
そうした電通の社内でも亡くなった高橋さんが所属していたインターネットの広告を扱う部署は「激務で有名だった」といいます。
電通の複数の社員によりますと、インターネットの広告はテレビや新聞の広告とは違い、すぐに効果が見えるため、客からの要望などで細かい手直しを毎日のように行う必要があり、テレビ広告などとは比較にならないほど業務量が多くなるということです。
高橋さんのツイッターには午前5時半すぎに「今から帰宅だよ」とか、「22時前に帰れるなんて...奇跡だ」といった書き込みがあり、連日、長時間の勤務が続いていたことがうかがえます。
電通の複数の社員によりますと、インターネットの広告はテレビや新聞の広告とは違い、すぐに効果が見えるため、客からの要望などで細かい手直しを毎日のように行う必要があり、テレビ広告などとは比較にならないほど業務量が多くなるということです。
高橋さんのツイッターには午前5時半すぎに「今から帰宅だよ」とか、「22時前に帰れるなんて...奇跡だ」といった書き込みがあり、連日、長時間の勤務が続いていたことがうかがえます。
改革は正念場

電通は一連の問題を受けて、11月1日に新たな長時間労働対策を発表しました。社長や執行役員8人で作る「電通労働環境改革本部」を発足させ、若手社員からの意見も集めて、事業の内容や人事制度などを抜本的に見直す改革案を作るとしています。
さらに11月7日にはこうした取り組みについて社長が全社員に説明することにしています。
電通は「社員の健康と法令順守のために労働環境の改善に全力で取り組んでまいります」としています。
厳しい批判にさらされている電通が、逆風の中、変わることができるのか。取材を続けたいと思います。
さらに11月7日にはこうした取り組みについて社長が全社員に説明することにしています。
電通は「社員の健康と法令順守のために労働環境の改善に全力で取り組んでまいります」としています。
厳しい批判にさらされている電通が、逆風の中、変わることができるのか。取材を続けたいと思います。
ソース:NHK ニュース