衆院しゅういん憲法けんぽう審査しんさ会かい 立憲りっけん主義しゅぎをテーマに各党かくとうが議論ぎろん

衆議院しゅうぎいん憲法けんぽう審査しんさ会かいは「立憲りっけん主義しゅぎ」などをテーマに審議しんぎを行おこない、自民党じみんとうは国民こくみん主権しゅけんなど今いまの憲法けんぽうの三さん原則げんそくを維持いじする考かんがえを示しめしたうえで、「国民こくみん目線めせんで建設けんせつ的てきな憲法けんぽう改正かいせい論議ろんぎを進すすめていくことが肝要かんようだ」と強調きょうちょうしました。一方いっぽう、民進党みんしんとうは安全あんぜん保障ほしょう関連かんれん法ほうについて、「集団しゅうだん的てき自衛じえい権けんに関にかんする憲法けんぽう解釈かいしゃくを一方いっぽう的てきに変更へんこうした」と批判ひはんするとともに、自民党じみんとうの憲法けんぽう改正かいせい草案そうあんを「立憲りっけん主義しゅぎに反はんする」と指摘してきしました。

衆議院しゅうぎいん憲法けんぽう審査しんさ会かいは、安全あんぜん保障ほしょう関連かんれん法ほうなどの議論ぎろんが行おこなわれた去年きょねん６月ろくがつ以来いらい、およそ１いち年ねん５ごか月かげつぶりに先週せんしゅう、議論ぎろんを再開さいかいし、２に４よん日にちは立憲りっけん主義しゅぎなどをテーマに審議しんぎを行おこないました。

この中なかで、自民党じみんとうの上川かみかわ元もと法務ほうむ大臣だいじんは「『立憲りっけん主義しゅぎに反はんする』という抽象ちゅうしょう的てきな言葉ことばのみで、豊ゆたかな憲法けんぽう論議ろんぎが閉とざされてはならない」と述のべました。
そして、「国民こくみん主権しゅけんなど、憲法けんぽうの基本きほん原理げんりの変更へんこうは憲法けんぽう改正かいせいの限界げんかいを超こえるもので、それを堅持けんじするという共通きょうつう認識にんしきのうえで、国民こくみん目線めせんで建設けんせつ的てきな憲法けんぽう改正かいせい論議ろんぎを進すすめていくことが肝要かんようだ」と述のべました。

民進党みんしんとうの枝野えだの前ぜん幹事かんじ長ちょうは安全あんぜん保障ほしょう関連かんれん法ほうについて、「集団しゅうだん的てき自衛じえい権けんに関にかんする憲法けんぽう解釈かいしゃくを一方いっぽう的てきに変更へんこうした」と述のべました。
また、自民党じみんとうの憲法けんぽう改正かいせい草案そうあんについて、「立憲りっけん主義しゅぎに反はんし、憲法けんぽうを統治とうちの道具どうぐであるかのごとく考かんがえていると受け取うけとられてもしかたがない内容ないようだ」と述のべました。

公明党こうめいとうの斉藤さいとう幹事かんじ長ちょう代行だいこうは「日本にっぽん国こく憲法けんぽうは、権力けんりょくから国民こくみんの人権じんけんを保障ほしょうしようとする立憲りっけん主義しゅぎ憲法けんぽうであり、基本きほん的てき人権じんけんの尊重そんちょう、国民こくみん主権しゅけん、恒久こうきゅう平和へいわ主義しゅぎといった三さん原則げんそくは、立憲りっけん主義しゅぎと不可分ふかぶんの一体いったいのものだ。立憲りっけん主義しゅぎは、これからも憲法けんぽうの本質ほんしつとして維持いじしていかなければならない」と述のべました。

共産きょうさん党とうの大平おおひら喜信よしのぶ衆議院しゅうぎいん議員ぎいんは「安倍あべ政権せいけんは、歴代れきだい内閣ないかくが『憲法けんぽう９きゅう条じょうの下したで集団しゅうだん的てき自衛じえい権けんの行使こうしは認みとめられない』としてきた憲法けんぽう解釈かいしゃくを変更へんこうし、安全あんぜん保障ほしょう法制ほうせいを強行きょうこうした。これこそ立憲りっけん主義しゅぎに反はんするものだ。戦争せんそうをするための憲法けんぽう改正かいせいではなく、９きゅう条じょうを生いかした平和へいわ外交がいこうを行おこなうことこそが大切たいせつだ」と述のべました。

日本にっぽん維新いしんの会かいの足立あだち康史やすし衆議院しゅうぎいん議員ぎいんは「安全あんぜん保障ほしょう法制ほうせいの制定せいてい過程かていで明あきらかになったことがあるとすれば、安倍あべ政権せいけんによる立憲りっけん主義しゅぎの破壊はかいではなく、現行げんこう憲法けんぽうの違憲いけん審査しんさ制度せいどが機能きのう不全ふぜんに陥おちいっていることだ。われわれは機能きのう不全ふぜんを起おこしている違憲いけん審査しんさ制度せいどを見直みなおし、憲法けんぽう裁判所さいばんしょの創設そうせつを提案ていあんしている」と述のべました。

社民しゃみん党とうの照屋てるや国会こっかい対策たいさく委員いいん長ちょうは「立憲りっけん主義しゅぎとは、憲法けんぽうによって権力けんりょくを制限せいげんし、憲法けんぽうを権力けんりょく者しゃに順守じゅんしゅさせ、統治とうちを憲法けんぽうに基もとづき行おこなうという原理げんりだ。安倍あべ総理そうり大臣だいじんの言動げんどうには、立憲りっけん主義しゅぎの危機ききと国家こっかの危機ききを強つよく感かんじる」と述のべました。

衆議院しゅうぎいん憲法けんぽう審査しんさ会かいの次つぎの日程にっていは来週らいしゅう３さん０ぜろ日にちに会期かいき末まつを迎むかえることから決きまっておらず、今後こんご、与野党よやとうの幹事かんじの間まで調整ちょうせいが進すすめられる見通みとおしです。

安全あんぜん保障ほしょう関連かんれん法ほうをめぐる議論ぎろんで注目ちゅうもく集あつめる

「立憲りっけん主義しゅぎ」が注目ちゅうもくを集あつめたのは去年きょねん、成立せいりつした安全あんぜん保障ほしょう関連かんれん法ほうをめぐる議論ぎろんの中なかでした。

参考さんこう人じんとして出席しゅっせきした学識がくしき経験けいけん者しゃ３さん人にんが、法案ほうあんは「憲法けんぽう違反いはん」と指摘してき。さらに、法案ほうあんに反対はんたいした人ひとたちは、政府せいふが憲法けんぽう解釈かいしゃくを変かえて法案ほうあんを成立せいりつさせようとする姿勢しせいは「立憲りっけん主義しゅぎに反はんしている」と主張しゅちょうしました。

これに対にたいして、政府せいふは「これまでの憲法けんぽう解釈かいしゃくとの論理ろんり的てき整合せいごう性せいと法的ほうてき安定あんてい性せいは保たもたれている」として、立憲りっけん主義しゅぎに反はんするという指摘してきは当あたらないと反論はんろんしました。

立憲りっけん主義しゅぎは、「憲法けんぽうは政府せいふの権力けんりょくを制限せいげんし、国民こくみんの権利けんりを守まもるもの」と考かんがえられています。これに対にたいし、安倍あべ総理そうり大臣だいじんはおととし２月にがつの衆議院しゅうぎいん予算よさん委員いいん会かいで、「今いま、憲法けんぽうというのは、日本にっぽんという国くにの形かたち、そして理想りそうと未来みらいを語かたるものではないか」、「憲法けんぽうは権力けんりょくを縛しばるためだけのものであるという考え方かんがえかたについては、古ふるいものではないか」と述のべています。

女性じょせい誌しで憲法けんぽうや政治せいじをテーマにする動うごき

憲法けんぽうへの関心かんしんが高たかまる中なか、女性じょせい誌しの中なかには、このところ憲法けんぽうや政治せいじをテーマにする動うごきが広ひろがっています。

４よん０ぜろ代だいの女性じょせいをターゲットにしたファッション誌しは、今月こんげつ発売はつばいされた号ごうで憲法けんぽう改正かいせいについての特集とくしゅう記事きじを掲載けいさいしました。憲法けんぽうの制定せいてい過程かていなどについて、母親ははおやと娘むすめが会話かいわする形かたちでわかりやすく解説かいせつしています。立憲りっけん主義しゅぎについては漫画まんがを交まじえながら、憲法けんぽうは「国民こくみんが国くにや政府せいふに守まもらせるものだ」という立憲りっけん主義しゅぎの基本きほん的てきな考え方かんがえかたや、自民党じみんとうの憲法けんぽう改正かいせい草案そうあんなどについて説明せつめいしています。

この雑誌ざっしの為田ためだ敬たかし編集へんしゅう長ちょうは「憲法けんぽうを変かえるべきかどうかは、立憲りっけん主義しゅぎのような基本きほん的てきな知識ちしきがなければ正ただしい判断はんだんができないと考かんがえて特集とくしゅうした。女性じょせいにとって身近みぢかなファッション誌しがこういう企画きかくをやることで、憲法けんぽうについて家族かぞくやママ友ともと気軽きがるに話はなすきっかけになれば」と話はなしていました。

ソース：NHK ニュース