Hiện Furigana
各地の犯罪被害者支援センター 課題は運営資金確保
2016-11-25 21:40:56

事件の被害者や、犯罪に巻き込まれて家族を亡くした人たちを支えるため、全国各地に設置されている、「犯罪被害者支援センター」を対象に、専門家が調査したところ、回答したセンターの9割以上が、運営資金の確保を課題としていることがわかりました。
調査を行ったのは、犯罪被害者の支援を研究している上智大学の伊藤冨士江教授で、すべての都道府県に設置されている犯罪被害者支援センターを対象に、アンケート形式で聞き取りました。
それによりますと、「非常に力を入れたいこと」の質問に対して、「運営財源の確保」との回答が、調査に協力した9割以上のセンターに上り、運営資金の確保を課題としていることがわかりました。
中には、資金の不足から、十分な相談時間や必要な人員を確保できないケースもでているということです。
また、支援に当たるスタッフの80%近くは、ボランティアとして実費程度の報酬で活動していることもわかり、専門的な知識を学び、被害者や遺族を支える職責の重さと待遇が見合わないとして、途中で辞めてしまうケースもあるということです。
調査を行った伊藤教授は、「犯罪被害者への支援は民間のボランティアから始まった動きだが、高い専門性が求められる時代になっている。被害者に十分な支援ができるような新たな仕組みを検討する時期にきている」と話しています。
それによりますと、「非常に力を入れたいこと」の質問に対して、「運営財源の確保」との回答が、調査に協力した9割以上のセンターに上り、運営資金の確保を課題としていることがわかりました。
中には、資金の不足から、十分な相談時間や必要な人員を確保できないケースもでているということです。
また、支援に当たるスタッフの80%近くは、ボランティアとして実費程度の報酬で活動していることもわかり、専門的な知識を学び、被害者や遺族を支える職責の重さと待遇が見合わないとして、途中で辞めてしまうケースもあるということです。
調査を行った伊藤教授は、「犯罪被害者への支援は民間のボランティアから始まった動きだが、高い専門性が求められる時代になっている。被害者に十分な支援ができるような新たな仕組みを検討する時期にきている」と話しています。
相談は増加 資金も人手も足りず
全国の犯罪被害者支援センターに寄せられる相談は増加傾向にある一方で、対応する職員や運営資金の確保が課題となっています。
多くの支援センターでは、活動に賛同する市民や企業からの寄付や地元の自治体からの補助を主な財源としています。
「全国被害者支援ネットワーク」によりますと、加盟する全国48の支援センターの昨年度の平均の支出額は2560万円余りで、スタッフの人件費や支援に出向く交通費、それに施設の管理費などが多くを占めています。
これに対して、寄付や自治体からの補助などで受け取った額の平均は1800万円余りとなっています。
この差額を埋め合わせるため、平成25年度からは、振り込め詐欺に悪用された口座の残金の一部を「助成金」として支援センターに振り分ける取り組みが始まりました。ただ、これは、財源に限りがある一時的な助成と位置づけられていて、自力での十分な資金の確保に向けて取り組むよう求められています。
とはいえ、伊藤教授の調査でも明らかになったように、活動資金の確保は容易ではありません。
調査に回答したセンターの1つ、広島の支援センターは、民間からの寄付や自治体からの補助などで年間およそ4000万円の活動資金を捻出していますが、ギリギリの状況だと言います。
昨年度は、10年前の3倍に当たる761件の支援を実施し、44人のスタッフで担いましたが、その8割以上がボランティアです。
センターでは、専門的な知識を学び、被害者や遺族に寄り添って支援するスタッフを、職責の重さに見合った報酬が受け取れるような正職員として採用したいと考えています。しかし、今の活動資金では、そうした待遇は難しく、時給500円の手当を支払い、ボランティアスタッフとして協力してもらっています。
こうした状況の中で、若手を確保することは難しく、最高齢は81歳と、スタッフの多くが仕事を退職した高齢者です。
センターでは、今後、県内各地に相談窓口を設けたり、24時間態勢で相談に応じられたりするような手厚い支援を行いたいと考えていますが、資金やスタッフの面から、実現できるめどは立っていません。
広島被害者支援センターの岡野政義専務理事は、「相談件数が増えるにつれて、人手も資金もますます足りない状況です。スタッフが不足すると、被害者の要請を断らざるをえないおそれもあるので、そうならないよう、何とかやりくりしている状況です」と話していました。
多くの支援センターでは、活動に賛同する市民や企業からの寄付や地元の自治体からの補助を主な財源としています。
「全国被害者支援ネットワーク」によりますと、加盟する全国48の支援センターの昨年度の平均の支出額は2560万円余りで、スタッフの人件費や支援に出向く交通費、それに施設の管理費などが多くを占めています。
これに対して、寄付や自治体からの補助などで受け取った額の平均は1800万円余りとなっています。
この差額を埋め合わせるため、平成25年度からは、振り込め詐欺に悪用された口座の残金の一部を「助成金」として支援センターに振り分ける取り組みが始まりました。ただ、これは、財源に限りがある一時的な助成と位置づけられていて、自力での十分な資金の確保に向けて取り組むよう求められています。
とはいえ、伊藤教授の調査でも明らかになったように、活動資金の確保は容易ではありません。
調査に回答したセンターの1つ、広島の支援センターは、民間からの寄付や自治体からの補助などで年間およそ4000万円の活動資金を捻出していますが、ギリギリの状況だと言います。
昨年度は、10年前の3倍に当たる761件の支援を実施し、44人のスタッフで担いましたが、その8割以上がボランティアです。
センターでは、専門的な知識を学び、被害者や遺族に寄り添って支援するスタッフを、職責の重さに見合った報酬が受け取れるような正職員として採用したいと考えています。しかし、今の活動資金では、そうした待遇は難しく、時給500円の手当を支払い、ボランティアスタッフとして協力してもらっています。
こうした状況の中で、若手を確保することは難しく、最高齢は81歳と、スタッフの多くが仕事を退職した高齢者です。
センターでは、今後、県内各地に相談窓口を設けたり、24時間態勢で相談に応じられたりするような手厚い支援を行いたいと考えていますが、資金やスタッフの面から、実現できるめどは立っていません。
広島被害者支援センターの岡野政義専務理事は、「相談件数が増えるにつれて、人手も資金もますます足りない状況です。スタッフが不足すると、被害者の要請を断らざるをえないおそれもあるので、そうならないよう、何とかやりくりしている状況です」と話していました。
遺族「支援センターは一筋の光」
事件に遭遇したあと、犯罪被害者支援センターの支えがきっかけとなり、立ち直ったという遺族も多くいます。
広島市でお好み焼き店を経営する谷口実さん(41)は、5年前、強盗目的で自宅兼店舗に押し入った男に、父親の忠男さんと母親の英子さんを殺害されました。
この事件で、両親の遺体を最初に見つけたのは谷口さんでした。現場を目の当たりにした衝撃や両親を突然失った悲しみ、それに加え、犯人に心当たりがないかなど警察に繰り返し聞かれたことで、精神的に追い詰められていったと言います。
そうした中、紹介されたのが被害者支援センターでした。
谷口さんは、センターに電話をかけたり、直接出向いて相談したりするうちに、スタッフに自分の不安を打ち明けられるようになりました。
支援センターからのアドバイスで始めた取り組みも、立ち直りを後押ししました。両親への思いや犯人に訴えたいことなど、自分の思いや感情を書き留めていったのです。ノートには、「恐怖、痛み、苦しみ」といった感情や、「日常を取り戻す努力」などといった言葉が走り書きされています。
谷口さんは、これを見返すことで、徐々に自分の気持ちを整理できるようになったと言い、「両親が殺害され、自分が遺族の立場になるとは考えてもいなかったので、当初は心の整理ができず、気持ちの持って行き場がありませんでした。先の見えない不安に襲われ、暗闇にいたような私にとって、支援センターは一筋の光でした」と話していました。
広島市でお好み焼き店を経営する谷口実さん(41)は、5年前、強盗目的で自宅兼店舗に押し入った男に、父親の忠男さんと母親の英子さんを殺害されました。
この事件で、両親の遺体を最初に見つけたのは谷口さんでした。現場を目の当たりにした衝撃や両親を突然失った悲しみ、それに加え、犯人に心当たりがないかなど警察に繰り返し聞かれたことで、精神的に追い詰められていったと言います。
そうした中、紹介されたのが被害者支援センターでした。
谷口さんは、センターに電話をかけたり、直接出向いて相談したりするうちに、スタッフに自分の不安を打ち明けられるようになりました。
支援センターからのアドバイスで始めた取り組みも、立ち直りを後押ししました。両親への思いや犯人に訴えたいことなど、自分の思いや感情を書き留めていったのです。ノートには、「恐怖、痛み、苦しみ」といった感情や、「日常を取り戻す努力」などといった言葉が走り書きされています。
谷口さんは、これを見返すことで、徐々に自分の気持ちを整理できるようになったと言い、「両親が殺害され、自分が遺族の立場になるとは考えてもいなかったので、当初は心の整理ができず、気持ちの持って行き場がありませんでした。先の見えない不安に襲われ、暗闇にいたような私にとって、支援センターは一筋の光でした」と話していました。
ソース:NHK ニュース