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退位 専門家ヒアリング終了 賛成8人 反対5人
2016-11-30 06:37:50

天皇陛下の退位などを検討する政府の有識者会議は30日、法制度に詳しい大学教授などからヒアリングを行い、3回に分けて行ったヒアリングを終えました。招かれた16人のうち、退位に8人が賛成、5人が反対を明確に示したほか、残る3人は条件付きで容認する姿勢を示しながらも、退位できる制度を設けることに慎重な考えを示しました。
天皇陛下の退位などを検討する政府の有識者会議は、30日に総理大臣官邸で3回目となる専門家からのヒアリングを行い、憲法など法制度に詳しい大学教授など5人から個別に意見を聞きました。
この中で、百地章国士舘大学大学院客員教授は、「高齢化社会の到来に対応すべく例外的に譲位を認めるべきだ。皇室典範に根拠規定を置き、それに基づいて特別法を制定し、高齢により公務をみずから行えないときには、その意思に基づき皇室会議の議を経て譲位を認めるべきだ」と述べました。
大石眞京都大学大学院教授は、「高齢社会を迎えたこんにち、天皇の終身在位制は公務の遂行とは両立しがたい状況に至っており退位を認めるべきだ。特例法では憲法の趣旨に合致しないおそれがあり、恒久的な制度に改正すべきだ」と述べ、皇室典範の改正で退位ができるようにすべきだという考えを示しました。
高橋和之東京大学名誉教授は、「憲法は、象徴的行為が困難となった場合に退位を認めることを想定していないが、現天皇のみ対象とした特例法を定めることも憲法上は可能だ。憲法論で言えば天皇の地位を退位すれば象徴ではなくなるので二重性は生じない」と述べ、退位を容認する考えを示しました。
園部逸夫元最高裁判所判事は、「高齢を理由とした摂政や国事行為の臨時代行の設置は、長期間にわたる可能性があり権威が低下するおそれがある。まずは今上天皇の退位を特別法で行い、引き続き皇室典範の改正による退位制度の導入を検討すべきだ」と述べました。
一方、八木秀次麗澤大学教授は、「高齢でご公務ができない事態には、国事行為の臨時代行など現行法制で十分対応できる。自由意思による退位を認めると皇室制度の存立を脅かす。退位を実現すれば、憲法上のかしが生じ、皇位の正統性に憲法上の疑義を生じさせる」と述べました。
有識者会議は30日の会合で、3回に分けて行ってきた専門家からのヒアリングを終えました。この結果、招かれた16人のうち、天皇の退位に8人が賛成、5人が反対の考えを明確に示したほか、残る3人は国民の意志や国会の議決など条件付きで退位を容認する姿勢を示しながらも、退位できる制度を設けることに慎重な考えを示しました。
また、退位を認める場合の法整備の在り方についても賛否が分かれました。政府内で有力視されている、いまの天皇陛下に限って退位を認める『特別法』の制定について、退位に賛成した8人のうち、5人が理解を示す一方、2人は皇室典範を改正して恒久的な制度とするよう求めたほか、残る1人は特別法で恒久的な制度を設けるよう主張しました。
これに対して、退位に反対や慎重な考えを示した8人のうち、法整備の在り方に言及した6人はいずれも、「世間の同情に乗じ特例法で対応することは、憲法違反にかなり近い」などと、特別法の制定に反対しました。有識者会議は、来月7日に開く次回の会合から、論点整理の取りまとめに向けた議論を行うことにしています。
この中で、百地章国士舘大学大学院客員教授は、「高齢化社会の到来に対応すべく例外的に譲位を認めるべきだ。皇室典範に根拠規定を置き、それに基づいて特別法を制定し、高齢により公務をみずから行えないときには、その意思に基づき皇室会議の議を経て譲位を認めるべきだ」と述べました。
大石眞京都大学大学院教授は、「高齢社会を迎えたこんにち、天皇の終身在位制は公務の遂行とは両立しがたい状況に至っており退位を認めるべきだ。特例法では憲法の趣旨に合致しないおそれがあり、恒久的な制度に改正すべきだ」と述べ、皇室典範の改正で退位ができるようにすべきだという考えを示しました。
高橋和之東京大学名誉教授は、「憲法は、象徴的行為が困難となった場合に退位を認めることを想定していないが、現天皇のみ対象とした特例法を定めることも憲法上は可能だ。憲法論で言えば天皇の地位を退位すれば象徴ではなくなるので二重性は生じない」と述べ、退位を容認する考えを示しました。
園部逸夫元最高裁判所判事は、「高齢を理由とした摂政や国事行為の臨時代行の設置は、長期間にわたる可能性があり権威が低下するおそれがある。まずは今上天皇の退位を特別法で行い、引き続き皇室典範の改正による退位制度の導入を検討すべきだ」と述べました。
一方、八木秀次麗澤大学教授は、「高齢でご公務ができない事態には、国事行為の臨時代行など現行法制で十分対応できる。自由意思による退位を認めると皇室制度の存立を脅かす。退位を実現すれば、憲法上のかしが生じ、皇位の正統性に憲法上の疑義を生じさせる」と述べました。
有識者会議は30日の会合で、3回に分けて行ってきた専門家からのヒアリングを終えました。この結果、招かれた16人のうち、天皇の退位に8人が賛成、5人が反対の考えを明確に示したほか、残る3人は国民の意志や国会の議決など条件付きで退位を容認する姿勢を示しながらも、退位できる制度を設けることに慎重な考えを示しました。
また、退位を認める場合の法整備の在り方についても賛否が分かれました。政府内で有力視されている、いまの天皇陛下に限って退位を認める『特別法』の制定について、退位に賛成した8人のうち、5人が理解を示す一方、2人は皇室典範を改正して恒久的な制度とするよう求めたほか、残る1人は特別法で恒久的な制度を設けるよう主張しました。
これに対して、退位に反対や慎重な考えを示した8人のうち、法整備の在り方に言及した6人はいずれも、「世間の同情に乗じ特例法で対応することは、憲法違反にかなり近い」などと、特別法の制定に反対しました。有識者会議は、来月7日に開く次回の会合から、論点整理の取りまとめに向けた議論を行うことにしています。
16人の専門家へのヒアリングでは、焦点となっている天皇の退位と退位できるようにする場合の法整備の在り方以外の項目でも意見は分かれました。
このうち、天皇の役割については退位に賛成する専門家から、「国家と国民統合のため、可能な限り積極的に『お務め』を果たすことだ」などいう意見が出された一方、退位に反対する専門家からは、「天皇の仕事の第一は昔から国民のために祈ることだ」などと、必ずしも公的行為を行う必要はないという指摘が出されました。
天皇の公務の在り方や負担軽減策については、「天皇以外の皇族で分担し、軽減を図るべきだ」という意見の一方、「工夫により相当な軽減が可能だと考えるが、陛下のご意向を尊重して進めるべきだ」という指摘も出されました。
また、「摂政」の設置や国事行為の委任、それに天皇が退位した場合のご身分については、退位に反対や慎重な立場の専門家から、「退位した天皇を、過去と同じように『上皇』とすると、新たな天皇との間で権威が分裂するおそれがある」として、摂政の設置などの対応を求める意見が相次ぎました。
これに対し、退位に賛成の専門家からは「天皇と摂政の並立でも『象徴の二重性』の弊害があり、摂政が長引けば皇室の機能不全が深刻化するおそれがある」として、摂政の設置などに反対し、退位後は天皇に次ぐ位置づけの『上皇』とすべきだという意見が出されました。
このうち、天皇の役割については退位に賛成する専門家から、「国家と国民統合のため、可能な限り積極的に『お務め』を果たすことだ」などいう意見が出された一方、退位に反対する専門家からは、「天皇の仕事の第一は昔から国民のために祈ることだ」などと、必ずしも公的行為を行う必要はないという指摘が出されました。
天皇の公務の在り方や負担軽減策については、「天皇以外の皇族で分担し、軽減を図るべきだ」という意見の一方、「工夫により相当な軽減が可能だと考えるが、陛下のご意向を尊重して進めるべきだ」という指摘も出されました。
また、「摂政」の設置や国事行為の委任、それに天皇が退位した場合のご身分については、退位に反対や慎重な立場の専門家から、「退位した天皇を、過去と同じように『上皇』とすると、新たな天皇との間で権威が分裂するおそれがある」として、摂政の設置などの対応を求める意見が相次ぎました。
これに対し、退位に賛成の専門家からは「天皇と摂政の並立でも『象徴の二重性』の弊害があり、摂政が長引けば皇室の機能不全が深刻化するおそれがある」として、摂政の設置などに反対し、退位後は天皇に次ぐ位置づけの『上皇』とすべきだという意見が出されました。
「天皇制度を決定的に毀損する懸念ある」
八木秀次麗澤大学教授は、総理大臣官邸で記者団に対し、「退位の容認は天皇制度を決定的に毀損する懸念があり反対だ。自由意思による退位の容認は次の世代の即位拒否や短期間での退位を容認することになり皇室制度の存立を脅かす」と指摘しました。
そのうえで、八木氏は「特例法であろうが、皇室典範の改正であろうが、立法としてかなり無理筋であり、天皇陛下のご意向を受けて政府が動くことになれば憲法に抵触する。退位を強行すれば、憲法上問題のある退位となり、次の天皇の即位にも問題が生じる」と述べました。
そして八木氏は「憲法には、国事行為の臨時代行と摂政の制度が明記されており、もっとも現実的なのが国事行為の臨時代行だ。要件に『高齢』という部分を入れて少し緩和し、国事行為の臨時代行を運用すれば、天皇陛下がご高齢である中で、かなりのご負担は軽減できる」と述べました。
そのうえで、八木氏は「特例法であろうが、皇室典範の改正であろうが、立法としてかなり無理筋であり、天皇陛下のご意向を受けて政府が動くことになれば憲法に抵触する。退位を強行すれば、憲法上問題のある退位となり、次の天皇の即位にも問題が生じる」と述べました。
そして八木氏は「憲法には、国事行為の臨時代行と摂政の制度が明記されており、もっとも現実的なのが国事行為の臨時代行だ。要件に『高齢』という部分を入れて少し緩和し、国事行為の臨時代行を運用すれば、天皇陛下がご高齢である中で、かなりのご負担は軽減できる」と述べました。
「特別措置法で退位容認が望ましい」
百地章国士舘大学大学院客員教授は「超高齢化社会の到来に伴って例外的にご譲位を認めることはあってもいい。制度としては、皇室典範の中に例外的な譲位を認める旨の規定を置いて、それを元に特別措置法を作る方法が憲法2条の趣旨にも反しないし望ましい」と述べました。
そのうえで、百地氏は、特別措置法の制定が望ましいとする理由について、「皇室典範の本則の改正となると、譲位規定を置くにしても関連するさまざまな諸規定すべてに目を通さなくてはならず時間がかかる」などと述べました。
また百地氏は、天皇陛下が退位された後のご活動について、「象徴の二重性や国民統合の象徴が事実上、分裂する事態を避ける必要があるので、国事行為はもちろんできないし、公的行為も理論的にはできない」と述べました。
そのうえで、百地氏は、特別措置法の制定が望ましいとする理由について、「皇室典範の本則の改正となると、譲位規定を置くにしても関連するさまざまな諸規定すべてに目を通さなくてはならず時間がかかる」などと述べました。
また百地氏は、天皇陛下が退位された後のご活動について、「象徴の二重性や国民統合の象徴が事実上、分裂する事態を避ける必要があるので、国事行為はもちろんできないし、公的行為も理論的にはできない」と述べました。
「皇室典範の改正で退位できるように」
大石眞京都大学大学院教授は「高齢社会を迎えた今日、(こんにち)天皇の終身在位制は広範囲にわたる公務の遂行とは両立しがたい状況に至っており退位を認めるべきである」とする意見書を提出しました。
また意見書には、「退位は、どの天皇にも適用できる恒久的なものに制度改正すべきだ。特例的な立法措置で対応するという議論もあるが、高齢を理由とする職務不能という事態は今後も十分に起こりうるから、そのつど特例を設けるのは妥当ではない」などとして、皇室典範の改正で退位ができるようにすべきだという考えが明記されています。
また意見書には、「退位は、どの天皇にも適用できる恒久的なものに制度改正すべきだ。特例的な立法措置で対応するという議論もあるが、高齢を理由とする職務不能という事態は今後も十分に起こりうるから、そのつど特例を設けるのは妥当ではない」などとして、皇室典範の改正で退位ができるようにすべきだという考えが明記されています。
憲法に反しない退位制度作ること可能だが…
高橋和之東京大学名誉教授は「憲法は退位制度を禁止しておらず、憲法に反しないような制度をつくることは可能だ。ただ天皇に自分で辞めたい時に辞めるという権限を与えたり、天皇の意向と関係なく、皇室会議の決定や国会の議決によって退位させたりする制度は、憲法上問題になる」と述べました。
そのうえで、高橋氏は、退位を認める場合の法制度について、「特例法や恒久法で対応することを憲法は禁止しておらず、どちらにするのかは政策問題だ。天皇陛下は『退位制度を作って欲しい』と考えておられるようなので、1度やってみて、その効果をみるというアプローチも可能ではないか」と述べました。
また高橋氏は、天皇陛下のご公務の在り方について、「憲法上、公務と言えるのは国事行為だけであり、象徴的行為は憲法上の公務ではない」と述べました。
そのうえで、高橋氏は、退位を認める場合の法制度について、「特例法や恒久法で対応することを憲法は禁止しておらず、どちらにするのかは政策問題だ。天皇陛下は『退位制度を作って欲しい』と考えておられるようなので、1度やってみて、その効果をみるというアプローチも可能ではないか」と述べました。
また高橋氏は、天皇陛下のご公務の在り方について、「憲法上、公務と言えるのは国事行為だけであり、象徴的行為は憲法上の公務ではない」と述べました。
「もっと頑張れ」では人情が薄い
園部逸夫元最高裁判所判事は記者団に対し、「陛下の訴えに対して、知らぬ存ぜぬで、『もっと頑張れ、摂政をおけ』というのでは、少し人情が薄いのではないか。『譲位を認める特別措置法をこしらえてはどうか』という話をした」と述べました。
また園部氏は、特別措置法の制定を推す理由について、「皇室典範の改正には相当の時間がかかる。それは今の天皇陛下のお気持ちに沿わないので、特別措置法で今の天皇に限って、そういう制度を認めるというのではどうかというのが私の持論だ」と述べました。
さらに園部氏は、退位を認めず摂政で対応すべきという意見があることについて、「摂政は本来、たまたま病気になられた時に置くものであって、いつまで続くかわからない長い長い摂政の期間というのはありえない」と述べました。
また園部氏は、特別措置法の制定を推す理由について、「皇室典範の改正には相当の時間がかかる。それは今の天皇陛下のお気持ちに沿わないので、特別措置法で今の天皇に限って、そういう制度を認めるというのではどうかというのが私の持論だ」と述べました。
さらに園部氏は、退位を認めず摂政で対応すべきという意見があることについて、「摂政は本来、たまたま病気になられた時に置くものであって、いつまで続くかわからない長い長い摂政の期間というのはありえない」と述べました。
御厨座長代理「意見集約は可能」
座長代理の御厨貴東京大学名誉教授は、会合のあとの記者会見で「本当にさまざまな意見があることを改めて実感した。皇室制度や歴史などの専門家から行った1回目と2回目のヒアリングでは論点が拡大したが、3回目のきょうは憲法上の観点から論点を掘り下げた印象だ」と述べました。
そのうえで、御厨氏は「次回の会合で初めて16人のヒアリングを総合的に検討する場を設けるので、ようやく議論すべきスタート地点に立ったという印象だ。意見を集約できるかどうかは、論点をうまく出していけば、寄せていくことはかなり可能ではないか」と述べました。また、御厨氏は「われわれとしては、『賛成と反対が何対何』という受け止め方はしておらず、何対何というのはわかりやすいが間違えやすい。とにかく論点が平台に乗ったので、これから議論していきたい」と述べました。
そのうえで、御厨氏は「次回の会合で初めて16人のヒアリングを総合的に検討する場を設けるので、ようやく議論すべきスタート地点に立ったという印象だ。意見を集約できるかどうかは、論点をうまく出していけば、寄せていくことはかなり可能ではないか」と述べました。また、御厨氏は「われわれとしては、『賛成と反対が何対何』という受け止め方はしておらず、何対何というのはわかりやすいが間違えやすい。とにかく論点が平台に乗ったので、これから議論していきたい」と述べました。
官房長官「議論を見守る」
菅官房長官は午前の記者会見で、「ヒアリングをきょう終えたあと、有識者が議論するので、政府としてはそのことを見守っていくことが大事だ。有識者会議の議論が一定の段階に至った時点で、与野党も交えた議論も考えていきたい。具体的なやり方はまだ何も決まっていないが、例えば、衆参両院の議長・副議長と相談しながら進めることも1つの考え方だ」と述べました。
ソース:NHK ニュース