原発げんぱつ事故じこ賠償ばいしょう費用ひよう 新規しんき参入さんにゅうの事業じぎょう者しゃも負担ふたんへ 国くにの委員いいん会かいが方針ほうしん

東京とうきょう電力でんりょく福島ふくしま第だい一いち原子力げんしりょく発電はつでん所しょの廃はい炉ろや事故じこの賠償ばいしょうなどの費用ひようの総額そうがくが２に１いち兆ちょう円えん余あまりに膨ふくらむ見通みとおしとなりました。こうした費用ひようを賄まかなうための制度せいどの見直みなおしを検討けんとうしてきた国くにの委員いいん会かいは９きゅう日にち、賠償ばいしょう費用ひようの一部いちぶは電力でんりょく自由じゆう化かで新あらたに参入さんにゅうした事業じぎょう者しゃにも負担ふたんを求もとめるなどの方針ほうしんを示しめしました。

経済けいざい産業さんぎょう省しょうの委員いいん会かいは、東京とうきょう電力でんりょく福島ふくしま第だい一いち原発げんぱつの廃はい炉ろや事故じこの賠償ばいしょう費用ひようを賄まかなうための制度せいどの見直みなおしを検討けんとうしていて、９きゅう日にちの会合かいごうで今後こんごの方針ほうしんを示しめしました。

それによりますと、廃はい炉ろの費用ひようについては、国くにが管理かんりする基金ききんを新あらたに設もうけることにします。東京とうきょう電力でんりょくがあげた収益しゅうえきからお金おかねを積み立つみたて廃はい炉ろ費用ひように充あてることにしています。その際さい、本来ほんらい、電気でんき料金りょうきんの値下ねさげにつながる分ぶんも廃はい炉ろ費用ひようの支払しはらいに回まわす制度せいど変更へんこうを行おこなうことにしています。

また、賠償ばいしょうの費用ひようについては、一部いちぶを送電そうでん線せんの利用りよう料りょうである「託送たくそう料りょう」に上乗うわのせすることで、大手おおて電力でんりょくだけでなく、電力でんりょく自由じゆう化かで新あらたに参入さんにゅうした事業じぎょう者しゃにも負担ふたんしてもらう仕組しくみに見直みなおすとしています。

一方いっぽう、負担ふたんが増ふえる新規しんきの事業じぎょう者しゃに配慮はいりょして大手おおて電力でんりょく会社かいしゃから安やすく電気でんきを調達ちょうたつできるよう、新あらたな電力でんりょくの取引とりひき市場しじょうをつくることも盛り込もりこんでいます。

経済けいざい産業さんぎょう省しょうは、この方針ほうしんに沿そって必要ひつような法律ほうりつや省令しょうれいの改正かいせいを行おこなうことにしていますが、原発げんぱつを保有ほゆうしない新規しんき事業じぎょう者しゃの電気でんきを利用りようする消費しょうひ者しゃなどからは費用ひよう負担ふたんに反発はんぱつする意見いけんも出でていて、どう理解りかいを得えていくかが課題かだいとなりそうです。

ほとんどの利用りよう者しゃが負担ふたん増ぞうに

原発げんぱつ事故じこ関連かんれんの一連いちれんの制度せいど見直みなおしによって電気でんきの利用りよう者しゃは、電気でんき料金りょうきんの支払しはらいを通をつうじて負担ふたんが増ふえることになります。まず、廃はい炉ろにかかる費用ひようは、一義いちぎ的てきには東京とうきょう電力でんりょくが負担ふたんします。しかし、費用ひようが巨額きょがくに膨ふくらんだことで東京とうきょう電力でんりょくと契約けいやくしている利用りよう者しゃにも負担ふたんが及およぶことになります。

東京とうきょう電力でんりょくは今後こんご、コスト削減さくげんなどの経営けいえい改革かいかくを進すすめることで送配そうはい電でん部門ぶもんでより多おおくの利益りえきをあげることを目指めざすとしています。本来ほんらいは利益りえきが増ふえれば電気でんき料金りょうきんの値下ねさげにつながりますが、今回こんかいの制度せいどの見直みなおしでは、そのまま値下ねさげには使つかわず、廃はい炉ろ費用ひようにまわすことができるようにします。主おもに東京とうきょう電力でんりょくと契約けいやくしている人ひとは、これまでのようには値下ねさげのメリットを受うけられないことになります。

一方いっぽう、原発げんぱつ事故じこの賠償ばいしょう費用ひようについては、今いまの仕組しくみでも東京とうきょう電力でんりょくだけでなく、原発げんぱつを保有ほゆうしている大手おおて電力でんりょく会社かいしゃが原発げんぱつ事業じぎょうの規模きぼに応おうじて費用ひようを一部いちぶ負担ふたんしています。この仕組しくみで、例たとえば昨年度さくねんどは東京とうきょう電力でんりょくは１いち２に０ぜろ０ぜろ億おく円えん余あまり、関西かんさい電力でんりょくは３さん１いち５ご億おく円えん、九州きゅうしゅう電力でんりょくは１いち６ろく９きゅう億おく円えん負担ふたんしています。中国ちゅうごく電力でんりょく、北陸電力ほくりくでんりょく、沖縄おきなわ電力でんりょくを除のぞく大手おおて電力でんりょく各社かくしゃと契約けいやくしている人ひとは、こうした費用ひようがそれぞれ電気でんき料金りょうきんに上乗うわのせされているのです。

一方いっぽう、ことし４月しがつの電力でんりょく小売こうりの自由じゆう化か以降いこう、新規しんきの事業じぎょう者しゃと契約けいやくしている人ひとは賠償ばいしょう費用ひようは負担ふたんしていませんでした。この制度せいどが大おおきく変かわります。電気でんきの利用りよう者しゃの間まで不公平ふこうへいが生しょうじるのは問題もんだいだとして、今回こんかいの制度せいど見直みなおしによって新規しんき参入さんにゅうした電力でんりょく事業じぎょう者しゃも新あらたに負担ふたんすることになります。

経済けいざい産業さんぎょう省しょうの試算しさんでは、新規しんき事業じぎょう者しゃと契約けいやくしている人ひとは、４よん年ねん後ごの平成へいせい３さん２に年ねんから４よん０ぜろ年ねんにわたって電気でんきの使用しよう量りょうが平均へいきん的てきな家庭かていでひと月ひとつき当あたり１いち８はち円えん上乗うわのせされる見通みとおしです。また、沖縄おきなわ電力でんりょくを除のぞくほかの大手おおて電力でんりょく会社かいしゃと契約けいやくしている人ひとも今後こんご、同おなじくひと月ひとつき当あたり１いち８はち円えんが電気でんき料金りょうきんに上乗うわのせされることになり、ほとんどの電気でんきの利用りよう者しゃが負担ふたん増ぞうとなる形かたちです。

ソース：NHK ニュース