首相しゅしょう 衆参しゅうさんで施政しせい方針ほうしん演説えんぜつ 教育きょういく支援しえんに注力ちゅうりょく 憲法けんぽう論議ろんぎ進展しんてんに期待きたい

安倍あべ総理そうり大臣だいじんは、衆参しゅうさん両院りょういんの本ほん会議かいぎで施政しせい方針ほうしん演説えんぜつを行おこない、戦後せんごの次つぎの７なな０ぜろ年ねんを見据みすえ、未来みらいを生いきる世代せだいのために責任せきにんを果はたしたいとして、「給付きゅうふ型がた奨学しょうがく金きん」の創設そうせつなど、次世代じせだいの教育きょういく支援しえんに力ちからを入いれていく考かんがえを強調きょうちょうしました。また、憲法けんぽう改正かいせいをめぐって、国くにの姿すがたについて議論ぎろんを深ふかめるのは国会こっかい議員ぎいんの責任せきにんだとして、憲法けんぽう論議ろんぎの進展しんてんに期待きたいを示しめしました。

演説えんぜつの冒頭ぼうとう、安倍あべ総理そうり大臣だいじんは天皇てんのう陛下へいかの退位たいいなどについて、「現在げんざい、有識者ゆうしきしゃ会議かいぎで検討けんとうを進すすめており、ちかぢか論点ろんてん整理せいりが行おこなわれる。静しずかな環境かんきょうの中なかで、国民こくみん的てきな理解りかいの下したに成案せいあんを得える考かんがえだ」と述のべました。

退位たいい

演説えんぜつの冒頭ぼうとう、安倍あべ総理そうり大臣だいじんは天皇てんのう陛下へいかの退位たいいなどについて、「現在げんざい、有識者ゆうしきしゃ会議かいぎで検討けんとうを進すすめており、ちかぢか論点ろんてん整理せいりが行おこなわれる。静しずかな環境かんきょうの中なかで、国民こくみん的てきな理解りかいの下したに成案せいあんを得える考かんがえだ」と述のべました。

外交がいこう

続つづいて、安倍あべ総理そうり大臣だいじんは「『戦後せんご』のその先さきの時代じだいを拓ひらくため、新あたらしいスタートを切きる時ときだ。未来みらいを生いきる世代せだいのため、今いまこそ責任せきにんを果はたすべき時ときだ。次つぎなる７なな０ぜろ年ねんを見据みすえ、新あたらしい国くに創つくりを進すすめていく」と決意けついを示しめしたうえで、最初さいしょの政策せいさく課題かだいとして外交がいこうを取り上とりあげました。

そして、安倍あべ総理そうり大臣だいじんは「本年ほんねんは、さまざまな国くにのリーダーが交代こうたいし、大おおきな変化へんかが予想よそうされる。自由じゆう、民主みんしゅ主義しゅぎ、人権じんけん、法ほうの支配しはいといった基本きほん的てき価値かちを共有きょうゆうする国々くにぐにと連携れんけいし、地域ちいきの平和へいわと繁栄はんえいを確固かっこたるものにしていく」と述のべました。

そのうえで、安倍あべ総理そうり大臣だいじんは、アメリカのトランプ次期じき大統領だいとうりょうが日本にっぽん時間じかんの２に１いち日にち未明みめいに就任しゅうにんすることに関連かんれんし、「日にち米べい同盟どうめいは、外交がいこう・安全あんぜん保障ほしょう政策せいさくの基軸きじくである。これは不変ふへんの原則げんそくだ。できるだけ早期そうきに訪米ほうべいして、トランプ新しん大統領だいとうりょうと同盟どうめいの絆きずなをさらに強化きょうかする考かんがえだ」と述のべました。

さらに、沖縄おきなわのアメリカ軍ぐん北部ほくぶ訓練くんれん場じょうの半分はんぶん以上いじょうが返還へんかんされたことなどに触ふれたうえで、普天間ふてんま基地きちの返還へんかんに向むけ、辺野古へのこ沖おきへの移設いせつ工事こうじを進すすめていく考かんがえを強調きょうちょうしました。

また、ロシアとの間まで、北方ほっぽう領土りょうどでの共同きょうどう経済けいざい活動かつどうの交渉こうしょう開始かいしで合意ごういしたことについて、「この機運きうんに弾はずみをつけるため、本年ほんねんの早はやい時期じきにロシアを訪問ほうもんする」と述のべ、平和へいわ条約じょうやくの締結ていけつに向むけた協議きょうぎの前進ぜんしんに意欲いよくを示しめしました。

一方いっぽう、慰安いあん婦ふ問題もんだいを象徴しょうちょうする少女しょうじょ像ぞうが新あらたに設置せっちされたことを受うけて停滞ていたいする韓国かんこくとの関係かんけいについて、「両国りょうこく間かんの国際こくさい約束やくそく、相互そうごの信頼しんらいの積み重つみかさねの上うえに、未来みらい志向しこうで新あたらしい時代じだいの協力きょうりょく関係かんけいを深化しんかさせていく」と述のべ、関係かんけい改善かいぜんを図はかるためにも、慰安いあん婦ふ問題もんだいを最終さいしゅう的てきかつ不ふ可逆かぎゃく的てきに解決かいけつすることを確認かくにんした日にち韓かん合意ごういの履行りこうを求もとめていく考かんがえを示しめしました。

さらに、安倍あべ総理そうり大臣だいじんは中国ちゅうごくとの関係かんけいについても、「戦略せんりゃく的てき互恵ごけい関係かんけい」の原則げんそくのもと、関係かんけい改善かいぜんに向むけて努力どりょくを重かさねる考かんがえを示しめしました。

「壁かべ」への挑戦ちょうせん

次つぎに、安倍あべ総理そうり大臣だいじんは、第だい２に次じ安倍あべ内閣ないかく発足ほっそく後ごの４よん年間ねんかんを振り返ふりかえり、「『未来みらいを創つくる』ため、３さん本ほんの矢やを放はなち、『壁かべ』への挑戦ちょうせんを続つづけてきた」として、賃金ちんぎんや有効ゆうこう求人きゅうじん倍率ばいりつの上昇じょうしょう、格差かくさの是正ぜせいなどの成果せいかを強調きょうちょうし、「今後こんごも、立たちはだかる『壁かべ』を、次々つぎつぎと打ち破うちやぶっていく」と述のべました。

そして、地方ちほう創そう生せいの「壁かべ」となる過疎かそ化かへの対策たいさくとして、空き家あきやなどの活用かつように関にかんする制限せいげんを緩和かんわすることや、農業のうぎょうに立たちはだかる高齢こうれい化かの「壁かべ」を打ち破うちやぶるため、農家のうかの所得しょとく向上こうじょうに向むけた、農業のうぎょう版ばんの『競争きょうそう力りょく強化きょうか法ほう』の制定せいていや、全農ぜんのう改革かいかくに取り組とりくむこと、それに、技術ぎじゅつ革新かくしんを阻はばむ「壁かべ」を打ち破うちやぶるため、規制きせい改革かいかくを進すすめる考かんがえを示しめしました。

福島ふくしま復興ふっこう

また、安倍あべ総理そうり大臣だいじんは福島ふくしまの復興ふっこうに向むけ、原発げんぱつ事故じこのあと原則げんそくとして立ち入たちいりが禁止きんしされている「帰還きかん困難こんなん区域くいき」に「復興ふっこう拠点きょてん」を設もうけて、５ご年ねんをめどに避難ひなん指示しじの解除かいじょを目指めざし、国くにの負担ふたんで除じょ染そめやインフラ整備せいびを一体いったい的てきに進すすめる考かんがえを示しめしました。

働はたらき方かた改革かいかく

さらに、安倍あべ総理そうり大臣だいじんは、働はたらき方かた改革かいかくをめぐりアベノミクスによって雇用こよう情勢じょうせいが好転こうてんしている今いまこそ改革かいかくを進すすめるチャンスだとして、３月さんがつに「働はたらき方かた改革かいかく実行じっこう計画けいかく」を決定けっていし、改革かいかくを加速かそくする考かんがえを示しめしました。

そして、同どう一いち労働ろうどう同どう一いち賃金ちんぎんの実現じつげんに向むけ、正せい社員しゃいんと非ひ正規せいきの労働ろうどう者しゃの不合理ふごうりな待遇たいぐう差さを是正ぜせいするための法案ほうあんを早期そうきに国会こっかいに提出ていしゅつするとともに、長時間ちょうじかん労働ろうどうの是正ぜせいに向むけ、罰則ばっそく付つきの時間じかん外がい労働ろうどうの限度げんどを定さだめる法ほう改正かいせいに向むけた作業さぎょうを加速かそくする方針ほうしんを示しめしました。

社会しゃかい保障ほしょうの充実じゅうじつ・改革かいかく

また、安倍あべ総理そうり大臣だいじんは、「待機たいき児童じどうゼロ」、「介護かいご離職りしょくゼロ」に向むけて、保育ほいく所しょや介護かいご施設しせつを増ふやすための規制きせい緩和かんわを全国ぜんこくに広ひろげるとともに、保育ほいく士しと介護かいご職員しょくいんの処遇しょぐう改善かいぜんをさらに進すすめる方針ほうしんを示しめしました。

さらに、社会しゃかい保障ほしょう改革かいかくについて、年金ねんきんの受給じゅきゅう資格しかくを得えるための加入かにゅう期間きかんの短縮たんしゅくなど充実じゅうじつを図はかる一方いっぽうで、薬価やっか制度せいどの抜本ばっぽん改革かいかくなどを進すすめる考かんがえを示しめし、「経済けいざい再生さいせいと財政ざいせい再建さいけん、社会しゃかい保障ほしょう改革かいかくの３みっつを同時どうじに実現じつげんしながら、一いち億おく総そう活躍かつやくの未来みらいを切きり拓ひらいていく」と述のべました。

教育きょういく支援しえん

また、安倍あべ総理そうり大臣だいじんは、次世代じせだいの教育きょういく支援しえんについて、「どんなに貧まずしい家庭かていで育そだっても、夢ゆめをかなえることができる。そのためには、誰だれもが希望きぼうすれば進学しんがくできる環境かんきょうを整ととのえなければならない」と述のべました。そのうえで、返済へんさいの必要ひつようがない「給付きゅうふ型がた奨学しょうがく金きん」を新しん年度ねんどから経済けいざい的てきに特とくに厳きびしい学生がくせいを対象たいしょうに先行せんこう実施じっししたうえで、再来さいらい年度ねんどからは１いち学年がくねん２に万まん人にんを対象たいしょうに、月額げつがく２に万まん円えんから４よん万まん円えんを支給しきゅうする考かんがえを示しめしました。

さらに、幼稚園ようちえんや保育ほいく所しょに通かよう際さいの保育ほいく料りょうについて、新しん年度ねんどから所得しょとくの低ひくい世帯せたいを対象たいしょうに、第だい３さん子し以降いこうに加くわえ、第だい２に子しも無償むしょうにする方針ほうしんを示しめしました。

野党やとう側がわに呼よびかけ

一方いっぽう、安倍あべ総理そうり大臣だいじんは、国会こっかい審議しんぎについて、「未来みらいは変かえられる。ただ批判ひはんに明け暮あけくれたり、言論げんろんの府ふである国会こっかいの中なかでプラカードを掲かかげても、何なにも生うまれない。意見いけんの違ちがいはあっても真摯しんし（しんし）かつ建設けんせつ的てきな議論ぎろんをたたかわせ、結果けっかを出だしていこう」と、野党やとう側がわに呼よびかけました。

憲法けんぽう改正かいせい

そして最後さいごに、安倍あべ総理そうり大臣だいじんは憲法けんぽう改正かいせいをめぐって、「憲法けんぽう施行しこう７なな０ぜろ年ねんの節目ふしめにあたり、次つぎなる７なな０ぜろ年ねんに向むかって、日本にっぽんをどのような国くににしていくのか。その案あんを国民こくみんに提示ていじするため、憲法けんぽう審査しんさ会かいで具体ぐたい的てきな議論ぎろんを深ふかめようではないか。未来みらいを拓ひらくのはすべての国会こっかい議員ぎいんの責任せきにんだ」と述のべ、憲法けんぽう論議ろんぎの進展しんてんに期待きたいを示しめしました。

各党かくとうの反応はんのう

自民党じみんとうの二に階かい幹事かんじ長ちょうは、国会こっかい内ないで記者きしゃ団だんに対にたいし、「安倍あべ総理そうり大臣だいじん自身じしん、大変たいへん張り切はりきって、『未来みらいをひらく国会こっかい』という思おもいを込こめて述のべていた。トランプ次期じき大統領だいとうりょうが正式せいしきに就任しゅうにんし、日にち米べい関係かんけいが大おおきく躍進やくしんしなければならないときに、きょうの演説えんぜつは極きわめてタイムリーで、的まとを射いたものだった。すべての点てんで安倍あべ総理そうり大臣だいじんの方針ほうしんを支持しじしたい」と述のべました。

民進党みんしんとうの蓮はちす舫代表だいひょうは、記者きしゃ団だんに対にたいし、「『天下あまくだり』や『共謀きょうぼう罪ざい』など、国民こくみんが関心かんしんを持もっていることには全まったく触ふれず、自画じが自賛じさんと民主党みんしゅとう時代じだいの批判ひはんばかりだった。誰だれかの悪口わるぐちを言いわなければ自分じぶんたちの成果せいかを誇ほこれないというのは、総理そうり大臣だいじんとして美うつくしい姿勢しせいではない。『働はたらき方かた改革かいかく』や子育こそだて支援しえんなどは中身なかみがすべて中途ちゅうと半端はんぱで、われわれは、その中身なかみや手段しゅだんの違ちがいについてしっかりと提案ていあんをしていきたい」と述のべました。

公明党こうめいとうの山口やまぐち代表だいひょうは、国会こっかい内ないで記者きしゃ団だんに対にたいし、「今後こんごの７なな０ぜろ年ねんを展望てんぼうしたうえで、『国くに創つくり』の名なの下したに、外交がいこう安全あんぜん保障ほしょうや経済けいざい成長せいちょう、社会しゃかい保障ほしょう、教育きょういくなどに大おおきなウエイトを割さいていた。これから展開てんかいする新あたらしい時代じだいに向むけての政策せいさくをしっかりと訴うったえていたと思おもう」と述のべました。

共産きょうさん党とうの志位しい委員いいん長ちょうは、記者きしゃ会見かいけんで、「安倍あべ総理そうり大臣だいじんは、自分じぶんにとって都合つごうのいいことだけを並ならべ、都合つごうの悪わるい事実じじつには触ふれない、不誠実ふせいじつな演説えんぜつだった。『新あたらしい国くに創つくり』と言いっていたが、安倍あべ総理そうり大臣だいじんが求もとめたのは憲法けんぽう改定かいていにほかならない。安倍あべ政権せいけんの下したでの憲法けんぽう改悪かいあくは、野党やとうが結束けっそくして断固だんこ阻止そししていきたい」と述のべました。

日本にっぽん維新いしんの会かいの馬場ばば幹事かんじ長ちょうは、記者きしゃ団だんに対にたいし、「安倍あべ総理そうり大臣だいじんの施政しせい方針ほうしん演説えんぜつでは、公務員こうむいん給与きゅうよの削減さくげんなど『身みを切きる改革かいかく』を行おこない、国民こくみんの負担ふたんをできるだけ減へらしていくという観点かんてんの打ち出うちだしが全まったくなかった。また、教育きょういくの無償むしょう化かに向むけて、中途ちゅうと半端はんぱにぼちぼちやっていくよりも、一気いっきに進すすめるべきだが、そうした演説えんぜつもなかった。さらに、憲法けんぽう改正かいせいに向むけて、自民党じみんとうなどは、どの項目こうもくを改正かいせいすべきなのかを絞り込しぼりこむ作業さぎょうを早はやく進すすめるべきだ」と述のべました。

ソース：NHK ニュース