Hiện Furigana
御嶽山噴火 死亡の5人の遺族が国と長野県を提訴
2017-01-25 09:17:04

58人が死亡、5人が行方不明となった、3年前の御嶽山の噴火災害で、亡くなった5人の遺族が、噴火前に噴火警戒レベルを引き上げなかったほか、山頂付近にある地震計の故障を放置していたとして、25日、国と長野県に対し、合わせて1億4000万円の損害賠償を求める訴えを、長野地方裁判所松本支部に起こしました。
平成26年9月に起きた御嶽山の噴火では、山頂付近を中心に58人が死亡、5人が今も行方不明になっています。
この噴火災害で、亡くなった5人の遺族合わせて11人が25日、国と長野県に対して、合わせて1億4000万円の損害賠償を求める訴えを、長野地方裁判所松本支部に起こしました。
訴えによりますと、気象庁は、噴火前の2日間にわたって1日50回以上の火山性地震を観測し、山頂の火口周辺およそ1キロを立ち入り規制とする「噴火警戒レベル2」に引き上げる基準を超えていたにもかかわらず、引き上げを怠ったと主張しています。
また、長野県は、山頂周辺などに設置していた3つの地震計のうち、2つが故障しているのを知りながら放置したと指摘し、観測が適切に行われていれば、噴火前に警戒レベルが引き上げられたと主張しています。
弁護団によりますと、御嶽山の噴火災害で遺族が訴えを起こすのは初めてだということです。
この噴火災害で、亡くなった5人の遺族合わせて11人が25日、国と長野県に対して、合わせて1億4000万円の損害賠償を求める訴えを、長野地方裁判所松本支部に起こしました。
訴えによりますと、気象庁は、噴火前の2日間にわたって1日50回以上の火山性地震を観測し、山頂の火口周辺およそ1キロを立ち入り規制とする「噴火警戒レベル2」に引き上げる基準を超えていたにもかかわらず、引き上げを怠ったと主張しています。
また、長野県は、山頂周辺などに設置していた3つの地震計のうち、2つが故障しているのを知りながら放置したと指摘し、観測が適切に行われていれば、噴火前に警戒レベルが引き上げられたと主張しています。
弁護団によりますと、御嶽山の噴火災害で遺族が訴えを起こすのは初めてだということです。
遺族「きちんとこの災害を検証する裁判に」
長野県東御市の伊藤ひろ美さん(55)は、夫の保男さん(当時54)を亡くしました。
伊藤さんは「噴石で折れてしまった足をベルトで固定し、何とか生きて帰ろうとした夫の最期の姿を見て、なぜ、こんなことになったのか、噴火警戒レベルが引き上げられていれば助かったのにという思いが、頭から離れませんでした」と、提訴に至った思いを語りました。
そのうえで、「火山性地震が50回以上起きるなど噴火の兆候があったのに、気象庁や長野県が対策をしなかったのは、怠慢そのものです。遺族に残された検証の場は裁判しかなく、同じことが再び起きないよう、きちんとこの災害を検証する、歴史に残る裁判にしたい」と訴えました。
また、長男の英樹さん(当時37)を亡くした、岡山県赤磐市の堀口純一さん(70)は、「息子は、ほかの火山への登山を計画した際には、『噴火警戒レベルが2になったから中止にしよう』などと仲間にメールするような、慎重な性格でした。それにもかかわらず、御嶽山の噴火で亡くなったのは無念です」と述べました。
そのうえで、「裁判で、当時の火山防災の態勢や、真相を明らかにしたうえで、国や長野県には責任を取ってほしいです。二度とこのような災害でたくさんの命が犠牲にならないようにしてほしい」と訴えました。
伊藤さんは「噴石で折れてしまった足をベルトで固定し、何とか生きて帰ろうとした夫の最期の姿を見て、なぜ、こんなことになったのか、噴火警戒レベルが引き上げられていれば助かったのにという思いが、頭から離れませんでした」と、提訴に至った思いを語りました。
そのうえで、「火山性地震が50回以上起きるなど噴火の兆候があったのに、気象庁や長野県が対策をしなかったのは、怠慢そのものです。遺族に残された検証の場は裁判しかなく、同じことが再び起きないよう、きちんとこの災害を検証する、歴史に残る裁判にしたい」と訴えました。
また、長男の英樹さん(当時37)を亡くした、岡山県赤磐市の堀口純一さん(70)は、「息子は、ほかの火山への登山を計画した際には、『噴火警戒レベルが2になったから中止にしよう』などと仲間にメールするような、慎重な性格でした。それにもかかわらず、御嶽山の噴火で亡くなったのは無念です」と述べました。
そのうえで、「裁判で、当時の火山防災の態勢や、真相を明らかにしたうえで、国や長野県には責任を取ってほしいです。二度とこのような災害でたくさんの命が犠牲にならないようにしてほしい」と訴えました。
気象庁「コメント差し控える」
気象庁は「現時点で訴状が届いておりませんので、コメントは差し控えさせていただきます」としています。
長野県知事「遺族の思いに寄り添えるよう 対策強化」
長野県の阿部知事は「まだ訴状が届いていないので、現段階で具体的にコメントはできませんが、ご遺族の思いに寄り添うことができるよう、引き続き火山防災対策の強化に全力で取り組みます」としています。
噴火前の状況 気象庁の説明は
御嶽山では3年前の平成26年9月27日、山頂付近に新たに出来た複数の火口で水蒸気噴火が発生しました。
当時は秋の行楽シーズンで多くの登山客が訪れていて、噴火で飛び散った噴石などで58人が死亡、5人が行方不明になりました。
気象庁によりますと、噴火が起きる2週間ほど前までは、御嶽山で発生していた火山性地震の回数は1日に数回程度でしたが、9月10日に山頂付近を震源とする火山性地震が52回発生して急激に増加し、翌11日にはさらに増加して85回発生しました。
また、地下の火山活動によって発生する低周波の地震も、14日と16日、それに24日に観測されました。
このため気象庁は、9月11日と12日、それに16日の3回にわたって「火山の状況に関する解説情報」を発表し、平成19年にごく小規模な噴火が発生した火口内とその近くに影響する程度の火山灰の噴出の可能性があるとして警戒を呼びかけるとともに、地震活動が活発になっていることから、火山活動の推移に注意するよう呼びかけていました。
一方、噴火警戒レベルは、噴火が起きるまでは当時「平常」としていた「レベル1」のままで、噴火が起きたあと、気象庁は「火口周辺警報」を発表し、噴火警戒レベルを「入山規制」を示す「レベル3」に引き上げました。
噴火が起きる前に、「レベル1」から、「火口周辺規制」を示す「レベル2」に引き上げなかったことについて、気象庁はこれまで、「レベル2」に引き上げる基準のうち、「火山性地震が増加し1日に50回以上発生している」という基準は満たしていたものの、地殻変動や噴気の状況に変化が見られなかったことや、火山性微動が観測されなかったこと、さらに、火山性地震の回数が9月12日以降は減少したことなどを踏まえて、引き上げには至らなかったなどと説明していました。
気象庁の橋田俊彦長官は今月19日の記者会見で、「特に水蒸気噴火なので、観測や予測がたいへん難しい中で、当時の観測データを見て判断した結果で、レベルを引き上げるのは難しかったのではないかと思う」と述べています。
当時は秋の行楽シーズンで多くの登山客が訪れていて、噴火で飛び散った噴石などで58人が死亡、5人が行方不明になりました。
気象庁によりますと、噴火が起きる2週間ほど前までは、御嶽山で発生していた火山性地震の回数は1日に数回程度でしたが、9月10日に山頂付近を震源とする火山性地震が52回発生して急激に増加し、翌11日にはさらに増加して85回発生しました。
また、地下の火山活動によって発生する低周波の地震も、14日と16日、それに24日に観測されました。
このため気象庁は、9月11日と12日、それに16日の3回にわたって「火山の状況に関する解説情報」を発表し、平成19年にごく小規模な噴火が発生した火口内とその近くに影響する程度の火山灰の噴出の可能性があるとして警戒を呼びかけるとともに、地震活動が活発になっていることから、火山活動の推移に注意するよう呼びかけていました。
一方、噴火警戒レベルは、噴火が起きるまでは当時「平常」としていた「レベル1」のままで、噴火が起きたあと、気象庁は「火口周辺警報」を発表し、噴火警戒レベルを「入山規制」を示す「レベル3」に引き上げました。
噴火が起きる前に、「レベル1」から、「火口周辺規制」を示す「レベル2」に引き上げなかったことについて、気象庁はこれまで、「レベル2」に引き上げる基準のうち、「火山性地震が増加し1日に50回以上発生している」という基準は満たしていたものの、地殻変動や噴気の状況に変化が見られなかったことや、火山性微動が観測されなかったこと、さらに、火山性地震の回数が9月12日以降は減少したことなどを踏まえて、引き上げには至らなかったなどと説明していました。
気象庁の橋田俊彦長官は今月19日の記者会見で、「特に水蒸気噴火なので、観測や予測がたいへん難しい中で、当時の観測データを見て判断した結果で、レベルを引き上げるのは難しかったのではないかと思う」と述べています。
情報発信や監視体制 大きく見直す
御嶽山の噴火は、予測が難しい火山災害の情報発信の在り方や監視体制を大きく見直すきっかけとなり、気象庁はおととしから、噴火をいち早く伝える「噴火速報」の運用を始めたほか、噴火警戒レベルの「レベル1」に使っていた「平常」という表現を「活火山であることに留意」に変更しました。
また、24時間体制で監視している「常時観測火山」の火口周辺に新たに観測機器を設置して、観測体制の強化を進めています。
さらに去年、気象庁火山課と各地の管区気象台に「火山監視・警報センター」を設置し、火山の監視や観測を行う職員の数をそれまでの1.5倍に増やしたほか、先月末から、「常時観測火山」の火山性地震や火山性微動の回数などの火山活動のデータをホームページで公開していて、日々の活動状況を伝えています。
また、24時間体制で監視している「常時観測火山」の火口周辺に新たに観測機器を設置して、観測体制の強化を進めています。
さらに去年、気象庁火山課と各地の管区気象台に「火山監視・警報センター」を設置し、火山の監視や観測を行う職員の数をそれまでの1.5倍に増やしたほか、先月末から、「常時観測火山」の火山性地震や火山性微動の回数などの火山活動のデータをホームページで公開していて、日々の活動状況を伝えています。
ソース:NHK ニュース