安倍あべ首相しゅしょう まもなく米べい到着とうちゃく トランプ大統領だいとうりょうと会談かいだんへ

安倍あべ総理そうり大臣だいじんは、アメリカのトランプ大統領だいとうりょうとの初はじめての日にち米べい首脳しゅのう会談かいだんに臨のぞむためまもなくワシントンに到着とうちゃくします。首脳しゅのう会談かいだんで安倍あべ総理そうり大臣だいじんは日にち米べい同盟どうめいの重要じゅうよう性せいや、双方そうほうに有益ゆうえきな経済けいざい関係かんけいの構築こうちくを目指めざす方針ほうしんを確認かくにんしたい考かんがえですが、日本にっぽんの金融きんゆう・為替かわせ政策せいさくなどを批判ひはんしてきたトランプ大統領だいとうりょうが経済けいざい分野ぶんやでどのような姿勢しせいを示しめすのかが最大さいだいの焦点しょうてんです。

安倍あべ総理そうり大臣だいじんは、アメリカのトランプ大統領だいとうりょうとの初はじめての日にち米べい首脳しゅのう会談かいだんに臨のぞむため、９きゅう日にち夜よる、羽田はた空港くうこうを政府せいふ専用せんよう機きで出発しゅっぱつし、まもなくワシントンに到着とうちゃくします。
今回こんかいの首脳しゅのう会談かいだんで、安倍あべ総理そうり大臣だいじんは、首脳しゅのう間かんの信頼しんらい関係かんけいの構築こうちくを進すすめるとともに、日にち米べい同盟どうめいの重要じゅうよう性せいを確認かくにんし、世界せかいやアジア太平洋たいへいよう地域ちいきの平和へいわと安定あんていに協力きょうりょくして取り組とりくんでいく方針ほうしんを確認かくにんしたい考かんがえです。

さらに沖縄おきなわ県けんの尖閣せんかく諸島しょとうが、アメリカによる防衛ぼうえい義務ぎむを定さだめた日にち米べい安全あんぜん保障ほしょう条約じょうやくの適用てきよう範囲はんいであることを明確めいかくにしたいとしています。

また安倍あべ総理そうり大臣だいじんは、マクロ経済けいざい政策せいさくや通商つうしょう政策せいさく、それにインフラ整備せいびを含ふくむ共同きょうどうプロジェクトなどを協議きょうぎする閣僚かくりょうレベルの新あらたな枠組わくぐみの創設そうせつを提案ていあんし、双方そうほうに有益ゆうえきな経済けいざい関係かんけいの構築こうちくを目指めざす方針ほうしんを確認かくにんしたい考かんがえです。

ただトランプ大統領だいとうりょうは、安倍あべ総理そうり大臣だいじんが重視じゅうししてきたＴＰＰ＝環太平洋かんたいへいようパートナーシップ協定きょうていからの離脱りだつを決きめ、２に国こく間かんの貿易ぼうえき協定きょうていの締結ていけつを目指めざす姿勢しせいを示しめしているほか、日本にっぽんの金融きんゆう・為替かわせ政策せいさくや自動車じどうしゃ市場しじょうを批判ひはんしており、経済けいざい分野ぶんやでトランプ大統領だいとうりょうがどのような姿勢しせいを示しめすのかが最大さいだいの焦点しょうてんです。

焦点しょうてんの１ひとつは対たい日にち貿易ぼうえき赤字あかじ

アメリカ第だい一いち主義しゅぎを掲かかげ、国内こくないの雇用こようの拡大かくだいを目指めざすトランプ大統領だいとうりょうは、日本にっぽんとの間まの貿易ぼうえき赤字あかじを問題もんだい視ししていて、今回こんかいの首脳しゅのう会談かいだんで貿易ぼうえきの不ふ均衡きんこうの是正ぜせいを求もとめてくる可能かのう性せいもあります。

アメリカ商務省しょうむしょうによりますと、モノに限かぎった取り引とりひきによる去年きょねんのアメリカの貿易ぼうえき赤字あかじは国くに別べつに見みると、最もっとも多おおい中国ちゅうごくが３さん４よん７なな０ぜろ億おくドル、次ついで日本にっぽんが６ろく８はち９きゅう億おくドル、ドイツが６ろく４よん８はち億おくドル、そしてメキシコが６ろく３さん１いち億おくドルでした。アメリカの貿易ぼうえき赤字あかじのおよそ４よん７なな％は中国ちゅうごくで、日本にっぽんとの間まの赤字あかじは全体ぜんたいの９きゅう％となっています。

アメリカの貿易ぼうえき収支しゅうしは、日本にっぽんとの間まの赤字あかじが１いち９きゅう８はち０ぜろ年代ねんだいから増ふえて貿易ぼうえき摩擦まさつを引き起ひきおこし、１いち９きゅう９きゅう１いち年ねんには対たい日にち赤字あかじが全体ぜんたいの６ろく５ご％に達たっしてピークを迎むかえます。その後そのご、対たい日にち赤字あかじの割合わりあいは縮小しゅくしょうしていきましたが、代かわって中国ちゅうごくとの間まで貿易ぼうえき赤字あかじが急きゅう拡大かくだいし、２に０ぜろ０ぜろ０ぜろ年ねんには中国ちゅうごくが日本にっぽんを上回うわまわりました。

貿易ぼうえき赤字あかじを問題もんだい視しするトランプ大統領だいとうりょうは、今回こんかいの首脳しゅのう会談かいだんで日本にっぽんに貿易ぼうえきの不ふ均衡きんこうの是正ぜせいを求もとめてくる可能かのう性せいもありますが、日本にっぽん政府せいふは、赤字あかじの割合わりあいはピークの時ときに比くらべて大おおきく低下ていかしていることを強調きょうちょうし批判ひはんをかわしたい考かんがえです。

一方いっぽう、財務省ざいむしょうの国際こくさい収支しゅうしによると、日本にっぽんがアメリカにどれだけ工場こうじょう建設けんせつなどの投資とうしをしているかを示しめす「対たい米べい直接ちょくせつ投資とうし」の残高ざんだかは、おととし年末ねんまつの時点じてんで５ご０ぜろ兆ちょう４よん３さん１いち２に億おく円えんで、日本にっぽんの直接ちょくせつ投資とうしの残高ざんだかを国くに別べつで見みますと、アメリカが最もっとも大おおきく、投資とうし全体ぜんたいのおよそ３さん分ぶんの１いちを占しめています。
日本にっぽん政府せいふは、自動車じどうしゃメーカーをはじめとする日本にっぽん企業きぎょうがアメリカで巨額きょがくの投資とうしをし、多おおくの雇用こようを生み出うみだしているとしてトランプ大統領だいとうりょうに理解りかいを求もとめることにしています。

２に国こく間かん交渉こうしょうでは懸念けねんも

日本にっぽんとアメリカとの通商つうしょう交渉こうしょうは、最近さいきんではＴＰＰ＝環太平洋かんたいへいようパートナーシップ協定きょうていの交渉こうしょうを通をつうじて行おこなわれてきました。ＴＰＰ交渉こうしょうで日にち米べいは農産物のうさんぶつや工業こうぎょう製品せいひんの関税かんぜいをめぐって利害りがいが激はげしく対立たいりつしました。一方いっぽうで、知的ちてき財産ざいさん権けんの分野ぶんやなど貿易ぼうえきのルールづくりでは立場たちばが近ちかい分野ぶんやも多おおく、両国りょうこくが協力きょうりょくして参加さんか国こくを説得せっとくすることもありました。

ＴＰＰは、ベトナムやマレーシアなど新しん興国こうこくも交まじえた１いち２にか国かこくでの協議きょうぎだったため、交渉こうしょうは複雑ふくざつになる一方いっぽう、話はなしをまとめるためにはそれぞれの国くにが一定いってい程度ていど、譲歩じょうほしなければなりませんでした。アメリカも当初とうしょは日本にっぽんに対にたいして原則げんそく、すべての品目ひんもくで関税かんぜいを撤廃てっぱいするよう強硬きょうこうに主張しゅちょうしていましたが、農産物のうさんぶつをめぐっては譲歩じょうほする場面ばめんもみられ、一部いちぶの品目ひんもくで関税かんぜいが残のこったものや、セーフガードなど輸入ゆにゅうが急増きゅうぞうした場合ばあいの対応たいおう策さくが盛り込もりこまれることになりました。

これに対にたいして２に国こく間かんの交渉こうしょうは、利害りがいの対立たいりつがより鮮明せんめいになりやすいという指摘してきがあります。
かつて日本にっぽんは自動車じどうしゃや半導体はんどうたいをめぐるアメリカとの２に国こく間かん交渉こうしょうで大幅おおはばな譲歩じょうほを余儀よぎなくされました。仮かりに今後こんご、日にち米べい間かんで新あらたな貿易ぼうえき協定きょうていに向むけた交渉こうしょうを始はじめた場合ばあい、アメリカは日本にっぽんに対にたいしてＴＰＰで合意ごういした内容ないよう以上いじょうの厳きびしい条件じょうけんを突つきつけてくるのではないかと懸念けねんを抱いだく政府せいふ関係かんけい者しゃは少すくなくありません。

日本にっぽん政府せいふは、あくまでＴＰＰを発効はっこうさせることが最さい優先ゆうせんだという姿勢しせいを崩くずしていませんが、２に国こく間かん交渉こうしょうを目指めざすトランプ大統領だいとうりょうとどのようなやり取やりとりが行おこなわれるのかが注目ちゅうもくされます。

為替かわせ政策せいさくめぐっても

日にち米べい首脳しゅのう会談かいだんでは、為替かわせ政策せいさくをめぐり、どのようなやり取やりとりが行おこなわれるかも焦点しょうてんの１ひとつです。トランプ大統領だいとうりょうはアメリカ第だい一いち主義しゅぎを掲かかげ保護ほご主義しゅぎ的てきな姿勢しせいを鮮明せんめいにしており、中国ちゅうごくや日本にっぽん、メキシコからの輸出ゆしゅつでアメリカの雇用こようが奪うばわれていると問題もんだい視ししています。

トランプ大統領だいとうりょうは先月せんげつ３さん１いち日にちの会合かいごうで、「中国ちゅうごくが何なにをしているか、そして日本にっぽんが何なん年ねんも何なにをしてきたか見みてみろ。かれらは、為替かわせを操作そうさして通貨つうか安やすに誘導ゆうどうしている」と述のべ、日本にっぽんを名指なざしして意図いと的てきに円えん安やすに誘導ゆうどうして輸出ゆしゅつを増ふやしていると批判ひはんしました。

さらにトランプ大統領だいとうりょうは、「ほかの国々くにぐには、資金しきん供給きょうきゅうと通貨つうか安やすへの誘導ゆうどうで有利ゆうりになっている」とも述のべており、市場しじょうでは、円えん安やすにつながる日銀にちぎんの大だい規模きぼな金融きんゆう緩和かんわをけん制けんせいしたという受け止うけとめもでています。

こうした批判ひはんに対にたいして日本にっぽん政府せいふは、為替かわせレートは市場しじょうでの自由じゆうな取り引とりひきで決きまるものだとしたうえで、Ｇ７じ-せぶん＝主要しゅよう７ななか国かこくやＧ２じ-つ-０ぜろ＝主要しゅよう２に０ぜろか国かこくの合意ごういを順守じゅんしゅし、輸出ゆしゅつなどが有利ゆうりになるような意図いと的てきな円えん安やす誘導ゆうどうはしていないとしています。

また、日銀にちぎんの金融きんゆう緩和かんわは、あくまでもデフレ脱却だっきゃくを目的もくてきにした政策せいさくで、アメリカのＦＲＢえふあ-るび-＝連邦れんぽう準備じゅんび制度せいど理事りじ会かいやヨーロッパ中央ちゅうおう銀行ぎんこうが実施じっしする金融きんゆう緩和かんわと何なんら変かわりがなく、通貨つうかを安やすく誘導ゆうどうするのが狙ねらいではないとしています。

政府せいふ・日銀にちぎんは、円えん高だかを是正ぜせいするために外国がいこく為替かわせ市場しじょうで円えん売うりドル買かいをする市場しじょう介入かいにゅうを東日本ひがしにっぽん大震災だいしんさいのあとの歴史れきし的てきな円えん高だか水準すいじゅんだった平成へいせい２に３さん年ねん１１月じゅういちがつ以降いこう、実施じっししておらず、日本にっぽん政府せいふは首脳しゅのう会談かいだんで、トランプ大統領だいとうりょうが為替かわせ政策せいさくをめぐって日本にっぽんを批判ひはんした場合ばあい、日本にっぽんは適切てきせつに対応たいおうしているとして批判ひはんはあたらないことを明確めいかくに説明せつめいする考かんがえです。

一方いっぽう、トランプ大統領だいとうりょうは、ＴＰＰ＝環太平洋かんたいへいようパートナーシップ協定きょうていから離脱りだつし２に国こく間かんの貿易ぼうえき協定きょうていの締結ていけつに向むけ交渉こうしょうを進すすめる考かんがえで、今後こんご、貿易ぼうえき協定きょうていの中なかに、輸出ゆしゅつを有利ゆうりにしようと通貨つうか安やすへの誘導ゆうどうを制限せいげんする強力きょうりょくな措置そちを盛り込もりこむ考かんがえを示しめしています。

これについても日本にっぽん政府せいふは、為替かわせレートは、市場しじょうで決きまるもので、貿易ぼうえき協定きょうていに制限せいげん措置そちを盛り込もりこむのは望のぞましくないとして、これまでと同様どうよう、通貨つうか当局とうきょくの間まで議論ぎろんしていくべきだという立場たちばを明確めいかくにする方針ほうしんです。

ソース：NHK ニュース