Hiện Furigana
トランプ大統領 就任1か月 波乱の船出に
2017-02-19 20:08:15

アメリカでドナルド・トランプ氏が大統領に就任してから20日で1か月になります。「アメリカ第一主義」を掲げて経済では保護主義的な姿勢を打ち出す一方で、一部の外国人の入国を禁じた大統領令や人事で混乱を招くなど波乱の船出となりました。
トランプ大統領は、就任から1か月になるのを前に週末恒例のビデオ演説を公表し、「われわれは、必要のない規制を撤廃して国民の雇用を取り戻す措置を最初の数週間で行った」と述べるなど、経済面での成果を強調しました。
トランプ大統領は、就任後、TPP=環太平洋パートナーシップ協定からの離脱を表明したほか、17日にはアメリカ企業が外国に工場を移転した場合「重い罰を受ける」と述べて、輸入製品に高い税をかける方針を改めて強調するなど保護主義的な姿勢を打ち出しています。
また外交では、これまでにイギリス、日本、カナダ、それにイスラエルの首脳をホワイトハウスに招いて会談し、同盟国との関係を重視する方針を示しました。中でも安倍総理大臣にはみずからの別荘に招待し、ゴルフ外交も交えた異例の厚遇ぶりが目立ちました。
一方、中東など7か国の人の入国を禁止した大統領令をめぐっては、イスラム教徒を対象にした差別的な措置だとして抗議デモや提訴が相次ぎ、裁判所の決定を受けて執行が停止された状況です。
さらに、トランプ大統領の側近で安全保障政策の要となるフリン大統領補佐官が、ロシアの駐米大使との会話をめぐって辞任に追い込まれるなど、アメリカメディアは、混乱を招いた1か月だったと伝えています。
大半の世論調査でトランプ大統領の支持率は歴代政権に比べて低く、世論調査会社ギャラップは「平均より20ポイントも低い。特に野党・民主党支持者からの支持がほとんどない」と分析していて、波乱の船出となっています。
トランプ大統領は、就任後、TPP=環太平洋パートナーシップ協定からの離脱を表明したほか、17日にはアメリカ企業が外国に工場を移転した場合「重い罰を受ける」と述べて、輸入製品に高い税をかける方針を改めて強調するなど保護主義的な姿勢を打ち出しています。
また外交では、これまでにイギリス、日本、カナダ、それにイスラエルの首脳をホワイトハウスに招いて会談し、同盟国との関係を重視する方針を示しました。中でも安倍総理大臣にはみずからの別荘に招待し、ゴルフ外交も交えた異例の厚遇ぶりが目立ちました。
一方、中東など7か国の人の入国を禁止した大統領令をめぐっては、イスラム教徒を対象にした差別的な措置だとして抗議デモや提訴が相次ぎ、裁判所の決定を受けて執行が停止された状況です。
さらに、トランプ大統領の側近で安全保障政策の要となるフリン大統領補佐官が、ロシアの駐米大使との会話をめぐって辞任に追い込まれるなど、アメリカメディアは、混乱を招いた1か月だったと伝えています。
大半の世論調査でトランプ大統領の支持率は歴代政権に比べて低く、世論調査会社ギャラップは「平均より20ポイントも低い。特に野党・民主党支持者からの支持がほとんどない」と分析していて、波乱の船出となっています。
大統領令 政策転換の一方で混乱も
トランプ大統領は就任から1か月間、次々と大統領令に署名し、オバマ前政権からの政策転換を前面に打ち出す一方、混乱も起きました。
大統領令のなかには、TPP=環太平洋パートナーシップ協定からの離脱を命じたものや、オバマ前大統領が推進した医療保険制度改革、いわゆるオバマケアの見直しを指示したもの、さらにはメキシコとの国境沿いに壁を築くよう命じたものもあるなど、選挙中に議論を呼んだ公約を実行に移す目的のものが目立ちます。
このうちメキシコとの国境沿いに壁を築くよう命じた大統領令をめぐっては、トランプ大統領がその建設費用をメキシコに負担させる考えを改めて主張したこともあり、メキシコ側が反発して両国の首脳会談は中止されました。
また、とりわけ大きな混乱を引き起こしたのが、就任から1週間後に署名された、テロ対策として中東やアフリカの7か国の人の入国を一時的に禁止するとともに、すべての国からの難民の受け入れを一時的に停止する大統領令でした。
アメリカでは安全確保につながるなどとして支持する意見もありますが、各地の空港で入国禁止の対象となった人が拘束されるケースが相次ぎ混乱が広がったほか、抗議デモも起きるなど賛否が分かれ、社会の分断が深まりました。そして西部ワシントン州の連邦地方裁判所は大統領令の即時停止を命じる仮処分の決定を出し、高等裁判所にあたる連邦控訴裁判所も今月9日、政権側の不服申し立てを退け、現在、大統領令は執行されていません。
このためトランプ大統領は、16日の記者会見で「ひどい法廷だ。国の安全にとって悪い決定だった」と批判し、「国を包括的に守る新しい大統領令を出す」と述べ、今週、新たな大統領令に署名する考えを示しました。
トランプ大統領としては大統領選挙で訴えたとおりテロ対策の強化を実行に移す姿勢をアピールしたい考えと見られますが、新たな大統領令の内容によっては再び混乱が起きることも予想されます。
大統領令のなかには、TPP=環太平洋パートナーシップ協定からの離脱を命じたものや、オバマ前大統領が推進した医療保険制度改革、いわゆるオバマケアの見直しを指示したもの、さらにはメキシコとの国境沿いに壁を築くよう命じたものもあるなど、選挙中に議論を呼んだ公約を実行に移す目的のものが目立ちます。
このうちメキシコとの国境沿いに壁を築くよう命じた大統領令をめぐっては、トランプ大統領がその建設費用をメキシコに負担させる考えを改めて主張したこともあり、メキシコ側が反発して両国の首脳会談は中止されました。
また、とりわけ大きな混乱を引き起こしたのが、就任から1週間後に署名された、テロ対策として中東やアフリカの7か国の人の入国を一時的に禁止するとともに、すべての国からの難民の受け入れを一時的に停止する大統領令でした。
アメリカでは安全確保につながるなどとして支持する意見もありますが、各地の空港で入国禁止の対象となった人が拘束されるケースが相次ぎ混乱が広がったほか、抗議デモも起きるなど賛否が分かれ、社会の分断が深まりました。そして西部ワシントン州の連邦地方裁判所は大統領令の即時停止を命じる仮処分の決定を出し、高等裁判所にあたる連邦控訴裁判所も今月9日、政権側の不服申し立てを退け、現在、大統領令は執行されていません。
このためトランプ大統領は、16日の記者会見で「ひどい法廷だ。国の安全にとって悪い決定だった」と批判し、「国を包括的に守る新しい大統領令を出す」と述べ、今週、新たな大統領令に署名する考えを示しました。
トランプ大統領としては大統領選挙で訴えたとおりテロ対策の強化を実行に移す姿勢をアピールしたい考えと見られますが、新たな大統領令の内容によっては再び混乱が起きることも予想されます。
人事で難航するケースも
トランプ大統領は選挙で勝利してからみずからの政策を実行に移すための態勢作りに取り組んできましたが、就任から1か月間、人事ではつまずいたり、難航したりするケースもありました。
このうち政権の安全保障政策の要となる安全保障担当の大統領補佐官をめぐっては、トランプ大統領の側近のフリン氏が就任前の去年12月、ロシアの駐米大使とロシアに対する制裁について協議し、それを隠していたことが発覚して今月13日、辞任に追い込まれました。
後任としてトランプ大統領から打診を受けた海軍の退役中将は就任を拒否したと伝えられ、野党・民主党が「ホワイトハウスは混乱に陥っている」と非難するなどさらなる痛手となっています。
また労働長官をめぐっては、実業家のパズダー氏が不法移民を自宅で雇っていたことや、元妻を虐待していたことなどが報じられて議会上院の承認を得る見通しが立たなくなったため、本人が今月15日に指名を辞退しました。
一方、アメリカ政府の倫理局は、コンウェイ大統領顧問がトランプ大統領の長女のイバンカさんのブランドの商品を購入するよう呼びかけたことについて倫理規定に違反するとしてホワイトハウスに対し、今月中に調査して処分を検討するよう求めています。
そしてトランプ大統領はホワイトハウスのスパイサー報道官の報道対応や、実務を取りしきるプリーバス大統領首席補佐官について不満を漏らしていると報じられるなどトランプ政権内では早くも不協和音が生じている可能性もあります。
このうち政権の安全保障政策の要となる安全保障担当の大統領補佐官をめぐっては、トランプ大統領の側近のフリン氏が就任前の去年12月、ロシアの駐米大使とロシアに対する制裁について協議し、それを隠していたことが発覚して今月13日、辞任に追い込まれました。
後任としてトランプ大統領から打診を受けた海軍の退役中将は就任を拒否したと伝えられ、野党・民主党が「ホワイトハウスは混乱に陥っている」と非難するなどさらなる痛手となっています。
また労働長官をめぐっては、実業家のパズダー氏が不法移民を自宅で雇っていたことや、元妻を虐待していたことなどが報じられて議会上院の承認を得る見通しが立たなくなったため、本人が今月15日に指名を辞退しました。
一方、アメリカ政府の倫理局は、コンウェイ大統領顧問がトランプ大統領の長女のイバンカさんのブランドの商品を購入するよう呼びかけたことについて倫理規定に違反するとしてホワイトハウスに対し、今月中に調査して処分を検討するよう求めています。
そしてトランプ大統領はホワイトハウスのスパイサー報道官の報道対応や、実務を取りしきるプリーバス大統領首席補佐官について不満を漏らしていると報じられるなどトランプ政権内では早くも不協和音が生じている可能性もあります。
経済政策は
トランプ大統領は、アメリカ国内の雇用が奪われるなどとして、TPP=環太平洋パートナーシップ協定から離脱したことを受けて、2国間の貿易協定の締結に向けて各国と交渉を進めたい考えですが、これまで協議の開始には至っていません。
また、メキシコやカナダと結んでいるNAFTA=北米自由貿易協定についても見直しに向けた協議を進めていく考えを示しています。しかしメキシコとの国境沿いに建設するとしている壁の費用をめぐってメキシコとの首脳会談が中止となったことなどからNAFTAの再交渉の道筋も明確には示されていません。
こうした背景には、トランプ政権発足から1か月となっても、通商交渉を担うとされる商務長官に指名されたロス氏が議会上院で承認されていないなど、態勢が整っていないこともありそうです。ただ、中国から輸入された製品が不当に安く売られているとして、反ダンピング税などの適用が相次いでいて、中国の反発が強まることも予想されます。
トランプ大統領は、国内の雇用創出のため国外に移転した工場からアメリカへ輸入される製品には35%の税をかけるなどと訴えています。また、与党・共和党は、アメリカの輸出を促すため、法人税の仕組みを見直して、輸出の際の税負担を軽くする一方、輸入の際の税を重くする案を検討しています。この案に対しては、日本企業の間で、アメリカへ輸出する製品の価格が上昇して、売り上げが落ち込むことを懸念する声が出ているほか、アメリカ国内でも輸入が多い企業を中心に、反発が広がっています。
一方で、トランプ大統領は、法人税の大型減税など企業を支援する法人税の大型減税を実施する考えも示しており、数週間以内に税制改革案を取りまとめるとしていますが、共和党内でも意見が集約されておらず、難しい調整を迫られそうです。
アメリカは、「強いドル」こそ国益だとする為替政策をとってきましたが、トランプ大統領は、多額の貿易赤字を問題視して、輸出に不利なドル高へのけん制を続けています。今月10日に行われた日米首脳会談では、為替政策については日米の通貨当局間で緊密な議論を行うことを確認しており、日本の金融・為替政策について円安誘導を行ってきたと指摘したトランプ大統領の今後の出方が注目されます。
また、メキシコやカナダと結んでいるNAFTA=北米自由貿易協定についても見直しに向けた協議を進めていく考えを示しています。しかしメキシコとの国境沿いに建設するとしている壁の費用をめぐってメキシコとの首脳会談が中止となったことなどからNAFTAの再交渉の道筋も明確には示されていません。
こうした背景には、トランプ政権発足から1か月となっても、通商交渉を担うとされる商務長官に指名されたロス氏が議会上院で承認されていないなど、態勢が整っていないこともありそうです。ただ、中国から輸入された製品が不当に安く売られているとして、反ダンピング税などの適用が相次いでいて、中国の反発が強まることも予想されます。
トランプ大統領は、国内の雇用創出のため国外に移転した工場からアメリカへ輸入される製品には35%の税をかけるなどと訴えています。また、与党・共和党は、アメリカの輸出を促すため、法人税の仕組みを見直して、輸出の際の税負担を軽くする一方、輸入の際の税を重くする案を検討しています。この案に対しては、日本企業の間で、アメリカへ輸出する製品の価格が上昇して、売り上げが落ち込むことを懸念する声が出ているほか、アメリカ国内でも輸入が多い企業を中心に、反発が広がっています。
一方で、トランプ大統領は、法人税の大型減税など企業を支援する法人税の大型減税を実施する考えも示しており、数週間以内に税制改革案を取りまとめるとしていますが、共和党内でも意見が集約されておらず、難しい調整を迫られそうです。
アメリカは、「強いドル」こそ国益だとする為替政策をとってきましたが、トランプ大統領は、多額の貿易赤字を問題視して、輸出に不利なドル高へのけん制を続けています。今月10日に行われた日米首脳会談では、為替政策については日米の通貨当局間で緊密な議論を行うことを確認しており、日本の金融・為替政策について円安誘導を行ってきたと指摘したトランプ大統領の今後の出方が注目されます。
世論調査「野党支持者の支持 極めて低い」
トランプ大統領が就任してから1か月になるのを前に行われた世論調査では、一部で支持率が50%を超えた結果がある一方、大半の調査は支持率が40%台と歴代政権よりも低い結果で、ばらつきが見られます。
このうちラスムセン社が先週、およそ1500人を対象に行った調査では、トランプ大統領を支持すると答えた人は55%だったのに対し、支持しないと答えた人は45%でした。
大統領に就任した1か月前と比べてほとんど変わらず、ラスムセン社は「アメリカの主要メディアはトランプ政権が大混乱の真っただ中にあると否定的に報じているが、有権者は違う見方をしている」と分析しています。
一方、ギャラップ社が、同じく先週、1500人余りを対象に行った調査では、トランプ氏を支持すると答えた人は40%で、支持しないと答えた人は55%でした。ギャラップ社は「アイゼンハワー大統領以来の歴代政権の中でこの時期の支持率としては最も低く、平均よりも21ポイント低い」と指摘しています。また、「就任から100日の間は通常ハネムーン期間と呼ばれ、野党からもある程度は支持を得るものだが、今回は野党・民主党の支持者からの支持が8%と極めて低いのが特徴だ」と分析しています。
さらに、ピュー・リサーチセンターが今月7日から12日におよそ1500人を対象に行った調査では、トランプ氏を支持する人は39%で、支持しない人は56%でした。ピュー・リサーチセンターもギャラップ社と同様、「野党・民主党の支持者からの支持が極めて低い」と指摘し、国内の世論の分断が深まっていると分析しています。
このうちラスムセン社が先週、およそ1500人を対象に行った調査では、トランプ大統領を支持すると答えた人は55%だったのに対し、支持しないと答えた人は45%でした。
大統領に就任した1か月前と比べてほとんど変わらず、ラスムセン社は「アメリカの主要メディアはトランプ政権が大混乱の真っただ中にあると否定的に報じているが、有権者は違う見方をしている」と分析しています。
一方、ギャラップ社が、同じく先週、1500人余りを対象に行った調査では、トランプ氏を支持すると答えた人は40%で、支持しないと答えた人は55%でした。ギャラップ社は「アイゼンハワー大統領以来の歴代政権の中でこの時期の支持率としては最も低く、平均よりも21ポイント低い」と指摘しています。また、「就任から100日の間は通常ハネムーン期間と呼ばれ、野党からもある程度は支持を得るものだが、今回は野党・民主党の支持者からの支持が8%と極めて低いのが特徴だ」と分析しています。
さらに、ピュー・リサーチセンターが今月7日から12日におよそ1500人を対象に行った調査では、トランプ氏を支持する人は39%で、支持しない人は56%でした。ピュー・リサーチセンターもギャラップ社と同様、「野党・民主党の支持者からの支持が極めて低い」と指摘し、国内の世論の分断が深まっていると分析しています。
ソース:NHK ニュース