オーストリアで日ひ中ちゅうも外出がいしゅつを大幅おおはばに制限せいげん 新型しんがたコロナ

オーストリアでは、新型しんがたコロナウイルスの感染かんせんが急増きゅうぞうしているため、17日にちから、生活せいかつ必需ひつじゅ品ひんを取り扱とりあつかう店みせを除のぞくすべての店みせについて、店舗てんぽでの営業えいぎょうを禁止きんししたほか、日にち中ちゅうも外出がいしゅつを大幅おおはばに制限せいげんするなど規制きせいの強化きょうかが始はじまりました。

オーストリアでは、今月こんげつ3日にちから全土ぜんどを対象たいしょうに飲食いんしょく店てんの店内てんないでの営業えいぎょう禁止きんしなどの措置そちを取とってきましたが、感染かんせん拡大かくだいに歯止はどめがかからないため、17日にちから規制きせいが強化きょうかされました。

新あらたな措置そちは、夜間やかんだけでなく日にち中ちゅうも、通勤つうきんや通院つういん、健康けんこう目的もくてきの散歩さんぽなどを除のぞく外出がいしゅつや、人ひととの面会めんかいを大幅おおはばに制限せいげんするほか、スーパーや薬局やっきょく、銀行ぎんこうといった生活せいかつ必需ひつじゅ品ひんを取り扱とりあつかう店みせを除のぞくすべての店みせについて、店舗てんぽでの営業えいぎょうが禁止きんしされます。

こうした厳きびしい規制きせいが全土ぜんどで課かされるのは、ことし3月つき以来いらいで、規制きせいが始はじまった17日にち、ウィーンの繁華はんか街がいでは、ほとんどの店みせが閉しめられ、通とおりを行き交いきかう人ひとも大おおきく減へっていました。

繁華はんか街がいで、名物めいぶつの焼やき栗くりを露店ろてんで販売はんばいする男性だんせいからは、「破滅はめつ的てきな状況じょうきょうだ。例年れいねんと比くらべて人ひとの数かずも1割わりほどしかいない。客きゃくが来くる期待きたいが全まったくもてない」と不安ふあんの声こえが聞きかれる一方いっぽうで、別べつの男性だんせいは、「外出がいしゅつ制限せいげんはやるべきだ。警察けいさつがもっと厳きびしく取り締とりしまることを願ねがっている」と話はなしていました。

新あらたな外出がいしゅつ規制きせいは来月らいげつ6日にちまで実施じっしされる予定よていで、オーストリア政府せいふとしては、消費しょうひ活動かつどうが1年ねんで最もっとも活発かっぱつだとされる本格ほんかく的てきなクリスマスシーズンを前まえに、感染かんせん拡大かくだいに歯止はどめをかけたい考かんがえです。

オーストリアの感染かんせん状況じょうきょう

人口じんこうおよそ890万まんのオーストリアでは、先月せんげつ以降いこう、感染かんせん者しゃの数かずが急増きゅうぞうしていて、先月せんげつ下旬げじゅんには1日にちの感染かんせん者しゃの数かずが5000人にんを超こえました。

こうした状況じょうきょうを受うけ、オーストリア政府せいふは、今月こんげつ3日にちから、飲食いんしょく店てんの店内てんない営業えいぎょうの禁止きんしなどの措置そちを始はじめましたが、その後そのごも、感染かんせん者しゃの数かずは増ふえていて、今月こんげつ11日にちには、1日にちの感染かんせん者しゃの数かずが9000人にんを超こえてこれまでで最もっとも多おおくなっています。

医師いしたちが訴うったえ「ICUが限界げんかい」

オーストリアは、比較的ひかくてき、医療いりょう体制たいせいが充実じゅうじつしているとされていますが、新型しんがたコロナウイルスの感染かんせん者しゃの数かずが急増きゅうぞうするなか、政府せいふは病院びょういんのICU＝集中しゅうちゅう治療ちりょう室しつの収容しゅうよう能力のうりょくを超こえるおそれがあると懸念けねんを強つよめています。

新型しんがたコロナウイルスの患者かんじゃを治療ちりょうする集中しゅうちゅう治療ちりょう室しつの使用しよう状況じょうきょうが85％以上いじょうになっている国内こくないで最もっとも深刻しんこくな地域ちいきの1つ、西部せいぶチロル州しゅうでは、医師いしたちがSNS上じょうに動画どうがを投稿とうこうし、市民しみんに呼よびかける取り組とりくみを始はじめています。

動画どうがでは、医師いしたちが、ICUの収容しゅうよう能力のうりょくを超こえ医療いりょう体制たいせいが崩壊ほうかいする危機ききにあるとして、市民しみんにマスクを着用ちゃくようしたり人ひとと人ひととの距離きょりをとったりするよう協力きょうりょくを呼よびかけています。

呼よびかけている1人にん、シュテファン・エシェルツフーバー医師いしは、NHKのインタビューに対にたいし、「このままでは、ICUに入はいる必要ひつようがある患者かんじゃの数かずが次つぎの1週間しゅうかんで倍増ばいぞうするおそれがある。今いま、状況じょうきょうを改善かいぜんしないと、患者かんじゃの治療ちりょうができなくなる」と危機きき感かんをにじませたうえで、そうした事態じたいに備そなえ、患者かんじゃを移送いそうするために隣国りんごくドイツの保健ほけん当局とうきょくや医師いしと連絡れんらくを取とり始はじめていると明あきらかにしました。

欧州おうしゅうの感染かんせんと規制きせいの状況じょうきょう

ヨーロッパでは各国かっこくで新型しんがたコロナウイルスの感染かんせんが急速きゅうそくに広ひろがり、先月せんげつ以降いこう外出がいしゅつ制限せいげんなどの措置そちを取とる国くにが相次あいついでいます。

＜フランス＞
ヨーロッパで最もっとも感染かんせん者しゃ数すうが多おおいフランスでは、1日にちの感染かんせん者しゃ数すうが9月つきには1万まん人にんを超こえ、今月こんげつ6日にちには6万まん人にんを超こえて、最もっとも多おおくなりました。
政府せいふは、先月せんげつ17日にちからパリなど一部いちぶの地域ちいきで午後ごご9時じ以降いこうの夜間やかんの外出がいしゅつを禁止きんしし、30日にちからは、全国ぜんこくで日にち中ちゅうの外出がいしゅつも制限せいげんするなど段階だんかい的てきに厳きびしい措置そちをとってきました。この結果けっか、1日にちの感染かんせん者しゃ数すうは今月こんげつ16日にちには1万まん人にんを下回したまわるなど減少げんしょう傾向けいこうになり、政府せいふは一連いちれんの措置そちによる効果こうかが出でてきているとしています。
しかし、重症じゅうしょう化かする患者かんじゃは減へっておらず、16日にちの時点じてんで全国ぜんこくで4900人にん余あまりがICU＝集中しゅうちゅう治療ちりょう室しつで治療ちりょうを受うけていて、感染かんせん拡大かくだい前まえの集中しゅうちゅう治療ちりょう室しつのベッド数すう、およそ5000床しょうのほとんどを新型しんがたコロナウイルスの患者かんじゃが占しめています。

＜イギリス＞
イギリスでは、ウイルスに感染かんせんして死亡しぼうした人ひとが累計るいけいで5万まん人にんを超こえ、ヨーロッパで最もっとも多おおくなっています。ロンドンのあるイングランドでは、今月こんげつ5日にちから市民しみんの外出がいしゅつを制限せいげんしているほか、生活せいかつ必需ひつじゅ品ひんを扱あつかう店みせを除のぞいて小売こうり店てんの営業えいぎょうを原則げんそくとして禁止きんしするなど厳きびしい対策たいさくをとっています。

＜イタリア＞
イタリアでは先月せんげつから急速きゅうそくに感染かんせんが拡大かくだいし、今月こんげつ6日にちから全土ぜんどで夜間やかんの外出がいしゅつが制限せいげんされています。また、北部ほくぶミラノのあるロンバルディア州しゅうや南部なんぶナポリのあるカンパーニャ州しゅうなど7つの地域ちいきは感染かんせんが最もっとも深刻しんこくだとする「レッドゾーン」に指定していされ、夜間やかんだけでなく日にち中ちゅうも外出がいしゅつが制限せいげんされ、生活せいかつ必需ひつじゅ品ひんを取り扱とりあつかう店みせ以外いがいの小売こうり店てんや飲食いんしょく店てんは原則げんそくとして営業えいぎょうが禁止きんしされます。

＜ベルギー＞
ベルギーは、ヨーロッパの中なかで感染かんせん拡大かくだいが最もっとも深刻しんこくな国くにの1つで、人口じんこうのおよそ20人にんに1人にんが感染かんせんしています。夜間やかんや早朝そうちょうの外出がいしゅつ禁止きんしや飲食いんしょく店てんの原則げんそく営業えいぎょう停止ていしの措置そちに加くわえ、今月こんげつ2日にちからは生活せいかつ必需ひつじゅ品ひんを取り扱とりあつかう店みせを除のぞいてすべての店舗てんぽの営業えいぎょうが禁止きんしされています。

東京とうきょう医科いか大学だいがく 濱田はまだ教授きょうじゅ「感染かんせん抑おさえる強つよい対策たいさく 少すこし遅おくれ」

新型しんがたコロナウイルスの感染かんせんが欧米おうべいなどで急速きゅうそくに拡大かくだいしていることについて、海外かいがいの感染かんせん症しょうに詳くわしい東京とうきょう医科いか大学だいがくの濱田はまだ篤郎とくろう教授きょうじゅは、「ヨーロッパやアメリカ、中東ちゅうとうなど、北きた半球はんきゅうの温帯おんたい地域ちいきで寒さむくなった秋あき以降いこう、感染かんせんが急速きゅうそくに拡大かくだいしている。特とくにヨーロッパでは、ことし春はるの第だい1波はを乗り越のりこえたという気持きもちや、流行りゅうこうが長ながく続つづいていることで気きの緩ゆるみもあったのか、政府せいふが感染かんせんを抑おさえる強つよい対策たいさくを行おこなうのが少すこし遅おくれ、感染かんせん拡大かくだいにつながったのではないかと考かんがえている」と話はなしています。

さらに、欧米おうべいの感染かんせん拡大かくだいの規模きぼについて、「アメリカでは、日本にっぽんのこれまでの累計るいけいと同おなじくらいの10万まんを超こえる感染かんせん者しゃ数すうが1日にちで報告ほうこくされ、感染かんせん拡大かくだいの規模きぼは桁けたが異ことなる。欧米おうべいでは必かならずしも、マスクの着用ちゃくようや密みつを避さけるなどの基本きほん的てきな感染かんせん対策たいさくが徹底てっていされているわけではなく、こうしたことなどが日本にっぽんや東アジアひがしあじあの国々くにぐにとの感染かんせん状況じょうきょうの差さになって現あらわれてきているのではないか」と話はなしています。

そのうえで日本にっぽんでの対策たいさくについて、濱田はまだ教授きょうじゅは「海外かいがいから持ち込もちこまれるウイルスが広ひろがらないよう、検疫けんえきなどの水際みずぎわ対策たいさくとともに、企業きぎょうや個人こじんレベルでも帰国きこく者しゃの健康けんこう観察かんさつを徹底てっていして行おこなう必要ひつようがある。また今後こんご、本格ほんかく的てきな冬ふゆになり、感染かんせんが拡大かくだいすることが考かんがえられるので、3密みつの回避かいひやマスクの着用ちゃくよう、手洗てあらいや消毒しょうどくの徹底てっていを続つづけることが何なにより重要じゅうようだ」と述のべ、警戒けいかいを緩ゆるめないよう呼よびかけました。

ソース：NHK ニュース