かんぽ生命せいめい 保険ほけんの不ふ適切てきせつ販売はんばいの疑うたがい１いち万まん2800件けん余よ 特別とくべつ調査ちょうさ委い

かんぽ生命せいめいの保険ほけんの不適切ふてきせつな販売はんばい問題もんだいを調査ちょうさしてきた外部がいぶの弁護士べんごしによる特別とくべつ調査ちょうさ委員いいん会かいが18日にち調査ちょうさ報告ほうこく書しょを公表こうひょうし、この中なかで、法令ほうれいや社内しゃないルールに違反いはんする疑うたがいのある販売はんばいがこれまでに１いち万まん2800件けん余あまり確認かくにんされたことを明あきらかにしました。

かんぽ生命せいめいの保険ほけんの不適切ふてきせつな販売はんばい問題もんだいを調査ちょうさしてきた外部がいぶの弁護士べんごしによる特別とくべつ調査ちょうさ委員いいん会かいは18日にち午後ごご３さん時じから都内とないで記者きしゃ会見かいけんし、この問題もんだいの調査ちょうさ報告ほうこく書しょを公表こうひょうしました。

この中なかでは、顧客こきゃくに不ふ利益りえきを与あたえた可能かのう性せいがあるとして会社かいしゃ側がわが内部ないぶ調査ちょうさを進すすめてきたおよそ18万まん3000件けんのうち、これまでに14万まん8000件けんについて顧客こきゃくの意向いこう確認かくにんが終おわったとしています。この中なかで、法令ほうれいや社内しゃないルールに違反いはんする疑うたがいのある販売はんばいが１いち万まん2836件けん確認かくにんされたということです。

このうち、販売はんばい担当たんとう者しゃへの調査ちょうさも踏ふまえて法令ほうれい違反いはんが認みとめられた事例じれいは今月こんげつ15日にち時点じてんで48件けん、社内しゃないルール違反いはんが認みとめられた事例じれいは622件けんで、合あわせて670件けんの不正ふせいな販売はんばいが確認かくにんされたとしています。

販売はんばい方法ほうほうに問題もんだいある社員しゃいんを厚遇こうぐう

調査ちょうさ報告ほうこく書しょでは、今回こんかいの問題もんだいの原因げんいんとして、営業えいぎょう目標もくひょうの達成たっせいのために保険ほけんの販売はんばい手法しゅほうに問題もんだいがある社員しゃいんを厚遇こうぐうしてきたため、不ふ適正てきせいな募集ぼしゅうが黙認もくにんされる風潮ふうちょうが形成けいせいされ、不適切ふてきせつな販売はんばい手法しゅほうが各地かくちに広ひろまったことなどを挙あげています。

また、営業えいぎょう目標もくひょうの必達たち主義しゅぎを背景はいけいにした厳きびしい営業えいぎょう推進すいしん管理かんりが行おこなわれていたこと、一部いちぶの社員しゃいんに対にたいして達成たっせい困難こんなんな営業えいぎょう目標もくひょうが課かされていたこと、さらに不ふ適正てきせいな販売はんばいを防ふせぐ態勢たいせいの整備せいびが不十分ふじゅうぶんだったことや、日本にっぽん郵政ゆうせいグループのガバナンス、企業きぎょう統治とうちの在り方ありかたにも問題もんだいがあったと指摘してきしています。

契約けいやく者しゃの７なな割わり余あまりが60歳さい以上いじょう

18日にち公表こうひょうされた特別とくべつ調査ちょうさ委員いいん会かいによる調査ちょうさの報告ほうこく書しょでは、法令ほうれいや社内しゃないルールに違反いはんした疑うたがいがある販売はんばいが6300件けん余あまり確認かくにんされていたことし９月くがつの中間ちゅうかん報告ほうこく段階だんかいでの数字すうじをもとに、不適切ふてきせつな販売はんばいの実態じったいを分析ぶんせきしています。

それによりますと、法令ほうれいや社内しゃないルールに違反いはんした疑うたがいのある販売はんばいに関かかわった社員しゃいんは、保険ほけんの販売はんばい実績じっせきのあるおよそ９きゅう万まん人にんのうち、１いち％から２に％程度ていどだったとしています。

また、法令ほうれいなどに違反いはんする疑うたがいのある販売はんばいのうち、優秀ゆうしゅうだとされる、年間ねんかんの販売はんばい実績じっせきが500万まん円えん以上いじょうの渉外しょうがい社員しゃいんと200万まん円えん以上いじょうの窓口まどぐち社員しゃいんが関かかわった事例じれいはおよそ26％にのぼったとしています。

さらに、法令ほうれいなどに違反いはんする疑うたがいのある販売はんばいの契約けいやく者しゃをみると、およそ32％が60代だい、およそ30％が70代だい、およそ10％が80代だいなどと、全体ぜんたいの70％余あまりが60歳さい以上いじょうだったとしています。

性別せいべつでは、およそ85％が女性じょせい、およそ15％が男性だんせいだったということです。このほか、営業えいぎょうを担当たんとうする社員しゃいんに対にたいし不適切ふてきせつな保険ほけんの保険ほけんについてアンケートを行おこなった結果けっか、「職場しょくばで不適切ふてきせつな募集ぼしゅうを見聞みききしたことがある」という回答かいとうが、半数はんすう程度ていどにのぼったことも明あきらかにしました。

特別とくべつ調査ちょうさ委い 再発さいはつ防止ぼうし策さくを提言ていげん

一方いっぽう、特別とくべつ調査ちょうさ委員いいん会かいは再発さいはつ防止ぼうし策さくとして、
▽保険ほけんの営業えいぎょうの際さいに顧客こきゃくに説明せつめいする場面ばめんを録音ろくおんや録画ろくがして可視かし化かすること
▽新規しんき契約けいやくの獲得かくとくに偏かたよった手当てあてや人事じんじ評価ひょうかの体系たいけいを見直みなおすこと
▽不適切ふてきせつな営業えいぎょうを行おこなった社員しゃいんやその管理かんり者しゃに対にたいして処分しょぶんを徹底てっていすること
などを提言ていげんしています。

伊藤いとう委員いいん長ちょう「再発さいはつ防止ぼうし徹底てっていを」

かんぽ生命せいめいの保険ほけんの不適切ふてきせつな販売はんばい問題もんだいを調査ちょうさしてきた弁護士べんごしで、特別とくべつ調査ちょうさ委員いいん会かいの伊藤いとう鉄男てつお委員いいん長ちょうは、18日にちの記者きしゃ会見かいけんで、「会社かいしゃが詳くわしい調査ちょうさの対象たいしょうとしている乗り換のりかえ契約けいやくだけで不適切ふてきせつな販売はんばいがあったわけではないことは明あきらかだ。今回こんかい提言ていげんした対策たいさくを本当ほんとうに実行じっこうすれば不適切ふてきせつな募集ぼしゅうは解決かいけつすると思おもっている」と述のべ再発さいはつ防止ぼうし策さくの徹底てっていを求もとめました。

そのうえで、特別とくべつ調査ちょうさ委員いいん会かいとして今年度こんねんど末まつまで追加ついかの調査ちょうさを進すすめる考かんがえを示しめしました。

寺脇てらわき委員いいん「苦情くじょう対策たいさく 成功せいこうとは言いい難がたい」

特別とくべつ調査ちょうさ委員いいん会かいの寺脇てらわき一いち峰みね委員いいんは記者きしゃ会見かいけんで、会社かいしゃ側がわの苦情くじょうの対応たいおうについて「対策たいさくを策定さくていして苦情くじょうを減へらそうとしたが、残念ざんねんなことは苦情くじょうを減へらすということが目的もくてきになってしまった。苦情くじょうを分析ぶんせきして、背後はいごの原因げんいんを解明かいめいして対応たいおうしていくというところまで到達とうたつできずに苦情くじょうを減へらそうと集中しゅうちゅうしたため、総合そうごう的てきには成功せいこうしたとは言いい難がたかった」と述のべました。

調査ちょうさできたのは全体ぜんたいの４よん割わり 営業えいぎょう活動かつどう再開さいかいも困難こんなん

かんぽ生命せいめいの保険ほけんをめぐっては、ことし６月ろくがつ以降いこう、古ふるい契約けいやくから新あたらしい契約けいやくに移うつる「乗り換のりかえ」の際さいに、顧客こきゃくが新あらたな保険ほけんに入いれず無む保険ほけんの状態じょうたいになったり、新旧しんきゅう両方りょうほうの保険ほけんで保険ほけん料りょうを二に重じゅうに支払しはらったりといった不適切ふてきせつな販売はんばいが多数たすうに上のぼっていることが分わかりました。

保険ほけんの販売はんばいを担になう日本にっぽん郵便ゆうびんは、顧客こきゃくからの問い合といあわせ対応たいおうを優先ゆうせんさせるため、７月しちがつ半なかば以降いこう、保険ほけんの営業えいぎょう活動かつどうを自粛じしゅく。

７月しちがつ24日にちには問題もんだいの原因げんいんを調しらべるため、外部がいぶの弁護士べんごしによる特別とくべつ調査ちょうさ委員いいん会かいを設置せっちしました。

そして７月しちがつ31日にち、過去かこ５ご年ねん分ぶんの契約けいやくについて調査ちょうさを進すすめた結果けっか、不適切ふてきせつな販売はんばいだった可能かのう性せいのある契約けいやくがおよそ18万まん3000件けんに上のぼることを明あきらかにし、個別こべつに顧客こきゃくを訪問ほうもんするなどして詳くわしく調査ちょうさすることを決きめました。

さらにおよそ3000万まん件けんの契約けいやくすべてを対象たいしょうに、顧客こきゃくが意向いこうに沿そわず不ふ利益りえきを被こうむったものがないか検証けんしょうすることにしたほか、過剰かじょうだと指摘してきされていた営業えいぎょう目標もくひょう、いわゆるノルマを見直みなおすことになりました。

ことし９月くがつに公表こうひょうされた内部ないぶ調査ちょうさの中間ちゅうかん報告ほうこくでは、顧客こきゃくに虚偽きょぎの説明せつめいをするなどの法令ほうれい違反いはんや、契約けいやく内容ないようを適切てきせつに説明せつめいしていないなどの社内しゃないルール違反いはんといった不正ふせいが疑うたがわれる事例じれいが合あわせて6327件けん確認かくにんされました。このうち法令ほうれい違反いはんが疑うたがわれる事例じれいはおよそ1400件けんでした。

一方いっぽう、この時点じてんではおよそ18万まん3000件けんのうち、調査ちょうさができたのは全体ぜんたいの４よん割わり以下いかにとどまり、速すみやかな調査ちょうさを求もとめる声こえが強つよまりました。

自粛じしゅくしている営業えいぎょう活動かつどうについても、当初とうしょは９月くがつからの再開さいかいを目指めざしていましたが、問題もんだいの拡大かくだいを受うけてたびたび再開さいかいを延期えんき。

現在げんざいは来月らいげつから段階だんかい的てきに再開さいかいさせるとしていますが、これも難むずかしい状況じょうきょうになっています。

元もと郵便ゆうびん局長きょくちょう「目標もくひょう達成たっせいのプレッシャーや企業きぎょう体質たいしつが原因げんいんに」

かんぽ生命せいめいの保険ほけんの販売はんばいに携たずさわっていた郵便ゆうびん局きょくの元もと局長きょくちょうがＮＨＫえぬえいちけいの電話でんわインタビューに応おうじ、問題もんだいの原因げんいんとして、営業えいぎょう目標もくひょうを達成たっせいすることへのプレッシャーや、営業えいぎょう成績せいせきが優秀ゆうしゅうな社員しゃいんを優遇ゆうぐうするといった企業きぎょう体質たいしつがあったのではないかと証言しょうげんしました。

東日本ひがしにっぽんの郵便ゆうびん局きょくで、最近さいきんまで局長きょくちょうを務つとめていた男性だんせいは保険ほけんの不適切ふてきせつな販売はんばい問題もんだいの原因げんいんについて、「低てい金利きんりによって商品しょうひんの魅力みりょくが低下ていかし、ほかの会社かいしゃと戦たたかえる商品しょうひんではなくなってしまったときに、何なにが何なにでも営業えいぎょう目標もくひょうを達成たっせいしないといけないというプレッシャーはあった。どんな手てを使つかっても達成たっせいしなければというふうに走はしってしまったということと、それを暗黙あんもくのうちに容認ようにんしてしまっている社風しゃふう、会社かいしゃの体質たいしつが原因げんいんではないかと思おもいます」と述のべました。

そして、優秀ゆうしゅうな営業えいぎょう成績せいせきを上あげている社員しゃいんの中なかにも不適切ふてきせつな販売はんばい方法ほうほうを多用たようしている人ひとがいたことは十分じゅうぶんに考かんがえられるとしたうえで、「どういう手てを使つかっていても実績じっせきを上あげる社員しゃいんに対にたいしては上司じょうしであってもものが言いいづらい状況じょうきょうだったのは確たしかだ。新規しんきの募集ぼしゅうが多おおい人ひとが偉えらかったり、何なにをしても許ゆるされるみたいな会社かいしゃの空気くうきになってしまっていた」と証言しょうげんしました。

不正ふせいを防ふせぐ仕組しくみについても「実績じっせきをあげることを優先ゆうせんしていたので、不ふ適正てきせいな契約けいやくを防止ぼうしするフィルターは、ほぼほぼ形式けいしき的てきなものしかなかったと思おもう」と述のべました。

また、日本にっぽん郵政ゆうせいと傘下さんかのゆうちょ銀行ぎんこう、かんぽ生命せいめいの３さん社しゃが４よん年ねん前まえに株式かぶしきを上場じょうじょうしたあと、収益しゅうえきを上あげるための社内しゃない的てきな号令ごうれいが強つよまったと述のべ、日本にっぽん郵政ゆうせいグループに対にたいして「会社かいしゃの組織そしきや体質たいしつをいちから聖域せいいきなくすべて作り替つくりかえないと信頼しんらい回復かいふくは無理むりではないか。そうでないとまた何なん年ねんかして同おなじ問題もんだいが出でてきてしまう」として、抜本ばっぽん的てきな改革かいかくが必要ひつようだと話はなしていました。

金融きんゆう庁ちょうと総務そうむ省しょうが処分しょぶんを検討けんとう

かんぽ生命せいめいの保険ほけんの不適切ふてきせつな販売はんばい問題もんだいで、金融きんゆう庁ちょうは、ことし９月くがつからかんぽ生命せいめいと日本にっぽん郵便ゆうびんに対にたいして立ち入たちいり検査けんさを行おこないました。

その結果けっか、ノルマの達成たっせいが過度かどに重視じゅうしされていたほか経営けいえい陣じんも現場げんばの実態じったいを十分じゅうぶんに把握はあくしておらず、内部ないぶの管理かんり体制たいせいに重大じゅうだいな問題もんだいがあったとみています。

このため、金融きんゆう庁ちょうは今月こんげつ末まつににもかんぽ生命せいめいと日本にっぽん郵便ゆうびんに対にたいして一部いちぶの業務ぎょうむの停止ていし命令めいれいを出だす方向ほうこうで検討けんとうを進すすめています。

また、親会社おやがいしゃの日本にっぽん郵政ゆうせいに対にたいしてはグループの統治とうちに問題もんだいがあったとみて、業務ぎょうむ改善かいぜん命令めいれいを出だす方向ほうこうで調整ちょうせいしています。

このほか、総務そうむ省しょうもグループのガバナンス＝企業きぎょう統治とうちに問題もんだいがあったとみて、日本にっぽん郵政ゆうせいと日本にっぽん郵便ゆうびんに対にたいして業務ぎょうむ改善かいぜん命令めいれいを出だす方向ほうこうで検討けんとうしています。

官房かんぼう長官ちょうかん 「抜本ばっぽん的てきな改善かいぜんに向むけての取り組とりくみが必要ひつよう」

菅かん官房かんぼう長官ちょうかんは18日にち午前ごぜんの記者きしゃ会見かいけんで、「日本にっぽん郵政ゆうせいグループとして、不ふ利益りえきを被こうむったお客様おきゃくさまへの対応たいおうに万全ばんぜんを期きすとともに、コンプライアンス体制たいせいやガバナンスなどについて、抜本ばっぽん的てきな改善かいぜんに向むけて取り組とりくんでいくことが必要ひつようだ。経営けいえい責任せきにんについては、そのうえで判断はんだんをすることだと思おもう」と述のべていました。

ソース：NHK ニュース