“モスクワ郊外コンサート会場でテロ 40人死亡140人以上けが”
2024-03-22 23:50:27

ロシアの検察当局によりますと首都モスクワの北西にあるクラスノゴルスク市のコンサートホールで22日夜、イベントが始まる前に迷彩服をきた複数の人物が建物に侵入して銃撃を始め、火災も起きたということです。
国営のロシア通信は少なくとも3人が発砲したとし、また、爆発物が投げられたという情報もあると伝えています。
ロシアの治安機関、FSB=連邦保安庁は、テロ攻撃だとしたうえでこれまでに40人が死亡し、100人以上がけがをしたと発表しました。
モスクワの行政当局は、140人以上がけがをしたとしています。
現場のコンサートホールでは、現在、ロシアの治安部隊が銃撃犯の行方を捜しています。
このホールでは、バンドのコンサートが開かれる予定だったということで、国営テレビは建物から炎や煙が上がっている様子を伝えています。
また、ロシア非常事態省は、320人以上の救助隊員がけが人などの救出にあたっているほかヘリコプター3機を使って建物の消火にあたっているとしています。
ロシア大統領府のペスコフ報道官は地元メディアに対し、この事件についてプーチン大統領は直ちに報告を受け、必要な指示を出していると述べ、プーチン政権として対応にあたっていることを強調しました。
その後、過激派組織IS=イスラミックステートとつながりのある「アマーク通信」は「情報筋によると、ISの戦闘員がクラスノゴルスク市で、キリスト教徒の群衆を襲撃し、数百人を死傷させ、建物にも大きな被害を与えた」と伝えました。
モスクワでは、空港の警備が強化されたほか、週末に予定されていた大規模なイベントはすべて中止されることになりました。
現場のコンサートホール 会場には最大6200人いた可能性
ロシアの英字紙、「モスクワ・タイムズ」によりますと、現場の「クロクス・シティー・ホール」は、モスクワ中心部からおよそ16キロ北西にあり、当時会場には、最大で6200人がいた可能性があると伝えています。
また、イギリスの公共放送BBCなどによりますとコンサートホールは、商業施設やホテルなどが入った大規模な複合施設の一部で、世界的なアーティストの公演も行われる場所だということです。
銃撃を目撃した男性「多くの人が亡くなってけがをしている」
現地からの映像では、現在も建物から炎が上がり消火活動が続けられていて、建物を取り囲むように警察などの多数の車両が止まっている様子が確認できます。
また、現場に居合わせた人が撮影した映像では、大きな音が聞こえたあと、銃のようなものを持った数人がコンサートホールのゲートと見られる場所から次々と中に入っていく姿が分かります。
また、ゲートの周辺には座り込んだり、倒れたりしている人がいることが確認できます。
銃撃を目撃したという男性は、ロイター通信の取材に対して「多くの人が亡くなって、けがをしている。火も上がっている」と当時の状況について話していました。
在ロシアアメリカ大使館「過激派の計画あると注意呼びかけ」
今月7日、在ロシアアメリカ大使館は、アメリカの国民に対し、「過激派が、モスクワでコンサートなどの大規模な集会を標的にする差し迫った計画があるとの報告がある」として、7日からおよそ2日間にわたって大規模な集会への参加を避けるよう注意を呼びかけていました。
また、アメリカの有力紙、ワシントン・ポストは、アメリカの当局者の話として注意の呼びかけは、「ISISーK」(アイシス・ケー)と呼ばれる組織が、ロシア国内で活動している可能性があったためだと伝えています。
ISISーKは、過激派組織IS=イスラミックステートの地域組織で、アフガニスタンやパキスタン、それにイランで活動していたとしています。
一方、アメリカ・ホワイトハウスのカービー大統領補佐官は22日、記者会見で「今回の攻撃について事前に情報を把握していたとは私は認識していない。大使館の呼びかけは今回の特定の攻撃とは関連していない」と述べました。
ロシアで起きたテロ事件
ロシアでは1990年代以降、首都モスクワや南部などで、たびたび、テロ事件がおき、多くの犠牲者が出ています。
1999年9月には、モスクワで高層アパートが相次いで爆破されてあわせて200人以上が死亡し、当時、首相だったプーチン氏は南部チェチェンの武装勢力によるテロ事件と断定して、軍を派遣しました。
2002年10月には、チェチェンの武装グループがモスクワ市内の劇場で、観客らを人質にとって立てこもり、治安部隊が突入した結果、およそ130人が犠牲になりました。
2004年には、
▼2月にモスクワで走行中の地下鉄内で自爆テロがおきおよそ40人が死亡したほか、▼8月には、モスクワ郊外の空港を離陸した旅客機2機がほぼ同時に爆破され墜落し、乗客乗員90人全員が死亡しました。
▼さらに9月にはロシア南部の北オセチア共和国のベスランの学校で、武装グループが児童や生徒など1200人以上を人質にとって立てこもり、治安部隊との銃撃戦のすえ、子どもを含む300人以上が犠牲となりました。
2009年11月にはモスクワからロシア第2の都市サンクトペテルブルクに向かっていた急行列車の線路脇で爆発があり、28人が死亡しました。
2010年3月には、モスクワの地下鉄の2つの駅で自爆テロがおきたほか2011年1月、モスクワ郊外の国際空港でおきた爆弾テロでは、北カフカス地方に拠点を置くイスラム過激派の武装勢力の指導者がそれぞれ犯行声明を出しました。
ソチオリンピックの開幕を直前に控えた2013年にも南部のボルゴグラードで路線バスや鉄道の駅を狙った連続爆弾テロがおきたほか、2017年にはサンクトペテルブルクの中心部を走行中の地下鉄の車内で爆発があり、多数の死傷者が出ました。
日本の外務省は、ロシア国内では各地で爆発物や銃などを用いたテロ計画の摘発が続いていて、警戒が必要だとしていました。
ウクライナ大統領府顧問 事件との関与否定
ウクライナのポドリャク大統領府顧問は22日SNSに「ウクライナは、コンサートホールでの銃撃・爆発とは無関係だ」と投稿し、事件への関与を否定しました。
そして「ロシア軍と2年以上戦っているが、この戦争は戦場でしか決まらない。ウクライナはテロという手段に訴えたことはない」としています。
また、プーチン政権打倒を目標に掲げ、ウクライナ側に立って戦うロシア人義勇兵の組織「自由ロシア軍」も22日、声明で「われわれはロシア市民と戦争しているのではないことを強調する」として、市民を対象にした攻撃は行っていないとしています。
米ホワイトハウス大統領補佐官「ウクライナ関与を示す情報ない」
アメリカ・ホワイトハウスのカービー大統領補佐官は22日、記者会見で「われわれはより多くの情報を得ようとしている。恐ろしい銃撃事件の犠牲者に思いを寄せている」と述べました。
そのうえで、カービー補佐官は「現時点でウクライナやウクライナ人が銃撃に関与したことを示す情報はない」と述べました。