ことしの訪問ほうもん介護かいご事業じぎょう者しゃの倒産とうさん 過去かこ最多さいたを更新こうしん 信用しんよう調査ちょうさ会社かいしゃ

ことしの訪問ほうもん介護かいご事業じぎょう者しゃの倒産とうさん件数けんすうは、今月こんげつ半なかばまでの時点じてんで60件けんと過去かこ最多さいたを更新こうしんしたことが信用しんよう調査ちょうさ会社かいしゃのまとめで分わかりました。信用しんよう調査ちょうさ会社かいしゃは、ヘルパーの人手ひとで不足ふそくや物価ぶっか高だかなどが影響えいきょうしているとしたうえで「今後こんごも需要じゅようが高たかまる中なかでサービスをどう維持いじしていくかが課題かだいだ」と指摘してきしています。

東京商工リサーチとうきょうしょうこうりさ-ちによりますと、ことし1月つきから今月こんげつ15日にちまでに倒産とうさんした訪問ほうもん介護かいご事業じぎょう者しゃは去年きょねん1年間ねんかんよりも10件けん増ふえ、全国ぜんこくで合あわせて60件けんに上のぼりました。

調査ちょうさは介護かいご保険ほけん制度せいどがスタートした2000年ねんに始はじまり、倒産とうさんした事業じぎょう者しゃは2019年ねんが58件けんで最多さいたでしたが、ことしは今月こんげつ半なかばの時点じてんでこれを上回うわまわりました。

原因げんいん別べつでは、売り上うりあげの不振ふしんが全体ぜんたいの80％を占しめました。

また、従業じゅうぎょう員いんが10人にん未満みまんの小規模しょうきぼな事業じぎょう者しゃの割合わりあいが83％だったということです。

倒産とうさんが増加ぞうかした背景はいけいについては物価ぶっか高だかに加くわえ、コロナ禍かが落ち着おちついたことで介護かいご業界ぎょうかいやほかの業界ぎょうかいとの賃金ちんぎん格差かくさが広ひろがり、人手ひとで不足ふそくがさらに深刻しんこくになったことなどがあげられるとしています。

東京商工リサーチとうきょうしょうこうりさ-ちは「若わかいヘルパーの採用さいようが難むずかしく、高齢こうれいのヘルパーの負担ふたんも増ましている。2024年度ねんどの介護かいご報酬ほうしゅうの改定かいてい次第しだいでは、業界ぎょうかい全体ぜんたいで倒産とうさんや廃業はいぎょうが増加ぞうかする事態じたいも懸念けねんされ、今後こんごも需要じゅようが高たかまる中なかでサービスをどう維持いじしていくのかが課題かだいとなる」と指摘してきしています。

神奈川かながわ 厚木あつぎの訪問ほうもん介護かいご事業じぎょう所しょ ヘルパーの確保かくほ課題かだいに

神奈川かながわ県けん厚木あつぎ市しの訪問ほうもん介護かいご事業じぎょう所しょでは、コロナ禍かで目立めだった介護かいごサービスの利用りよう控ひかえも少すくなくなり、派遣はけん依頼いらいが急増きゅうぞうしている一方いっぽうで、ヘルパーの確保かくほが課題かだいとなっていいます。

管理かんり者しゃみずからが高齢こうれい者しゃ宅たくを回まわる機会きかいも増ふえているといい、この日ひも足あしの悪わるい90代だいの男性だんせいの自宅じたくを訪たずね、着替きがえを手伝てつだい、玄関げんかん先さきまで迎むかえに来きている介護かいご施設しせつの車くるままでの移動いどうを介助かいじょしていました。

こうした短みじか時間じかんの利用りようは、高齢こうれいの夫婦ふうふどうしや、働はたらきながら介護かいごをしている世帯せたいからのニーズがある一方いっぽう、利用りよう者しゃの希望きぼうに合あわせながらスタッフが利用りよう者しゃの自宅じたくを一いち軒けん一いち軒けん、訪たずねる必要ひつようがあり、固定こていしたシフトを組くむことはできません。

毎日まいにち20人にんほどの職員しょくいんやスタッフが出勤しゅっきんしていますが、毎朝まいあさのデイサービスの送迎そうげいや、夕方ゆうがたの入浴にゅうよく介助かいじょなど、利用りよう者しゃのニーズが高たかまる時間じかん帯たいには対応たいおうできないこともあると言いいます。

こうした場合ばあい、事業じぎょう所しょのケアマネージャーが他たの訪問ほうもん事業じぎょう所しょに対応たいおうを打診だしんしているということですが、見みつからなかった場合ばあい、時間じかん帯たいを変更へんこうするほか、利用りよう日数にっすうを減へらしてもらうこともあるといいます。

「ケアサポートツマダ」の管理かんり者しゃ、丸山まるやま隆一りゅういちさんは「人手ひとで不足ふそくはどこも同おなじで、倒産とうさんしてしまうこともあすはわが身わがみではないですが、常つねに気きになっている状態じょうたいです。それでも介護かいごを必要ひつようとしている人ひとがいるかぎり、訪問ほうもん介護かいごは無なくてはならない仕事しごとで、できるだけ多おおくの人ひとの生活せいかつをこれからも頑張がんばって守まもっていきたい」と話はなしていました。

専門せんもん家か「介護かいご職員しょくいんの処遇しょぐうを改善かいぜんして人材じんざい確保かくほを」

訪問ほうもん介護かいごの課題かだいに詳くわしい日本にっぽん総合そうごう研究所けんきゅうじょの岡元おかもと真希子まきこ 副ふく主任しゅにん研究けんきゅう員いんは「利用りよう者しゃの自宅じたくを1人にんで訪たずねる訪問ほうもん介護かいごは介護かいごの技術ぎじゅつだけでなく、対人たいじん能力のうりょくや機転きてんのよさなどさまざまなスキルが求もとめられ、ヘルパーを募集ぼしゅうをしても集あつまりにくいのが現状げんじょうだ。事業じぎょう者しゃが訪問ほうもん介護かいごサービスだけを廃止はいしや休止きゅうしするケースも含ふくめれば事態じたいはもっと深刻しんこくになっているおそれがある」と指摘してきします。

そのうえで、「ヘルパー不足ふそくから、1人にんの利用りよう者しゃに対にたいし、複数ふくすうの事業じぎょう者しゃ間かんでサービスを分担ぶんたんし合あう状況じょうきょうが生うまれているが、事業じぎょう者しゃ間かんの連携れんけいや集約しゅうやくを進すすめて効率こうりつを上あげるのも一ひとつの考かんがえだ。このままでは、保険ほけん料りょうを納おさめているのに人手ひとでが足たりなくて介護かいごサービスを受うけられない状況じょうきょうに陥おちいりかねず、まずは介護かいご職員しょくいんの処遇しょぐうを改善かいぜんして人材じんざいを確保かくほしていくことが喫緊きっきんの課題かだいで、国くにの務つとめだ」と話はなしていました。

ソース：NHK ニュース