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南海トラフ地震 臨時情報への対応 報告書まとまる
2018-12-11 08:07:38

「南海トラフで巨大地震が発生する可能性が高まった」という臨時の情報が出たらどう行動すべきか。その考え方がまとまりました。津波からの避難が間に合わない地域では、あらかじめすべての住民が避難し、期間は「1週間程度を基本」としています。

南海トラフ巨大地震に関する情報は、東日本大震災の巨大地震を予測できなかったことなどをきっかけに、予知を前提としてきた「東海地震」の情報を取りやめ、去年11月に導入されました。
「臨時」と「定例」の2つがあり、このうち「臨時」の情報は、地震の専門家でつくる評価検討会がふだんと比べて巨大地震が発生する可能性が高まったと判断した場合に、気象庁が情報を発表します。
ただし、この情報をめぐっては、住民や自治体がとるべき防災対応について国が十分に示さないまま運用がスタートしていて、情報をどう活用するかが課題となっています。
これについて、政府の中央防災会議の作業部会がことし4月から議論を進め、11日、報告書をまとめました。
報告書では、臨時の情報が発表されるケースを3つに分けて、それぞれの防災対応を示しています。
「臨時」と「定例」の2つがあり、このうち「臨時」の情報は、地震の専門家でつくる評価検討会がふだんと比べて巨大地震が発生する可能性が高まったと判断した場合に、気象庁が情報を発表します。
ただし、この情報をめぐっては、住民や自治体がとるべき防災対応について国が十分に示さないまま運用がスタートしていて、情報をどう活用するかが課題となっています。
これについて、政府の中央防災会議の作業部会がことし4月から議論を進め、11日、報告書をまとめました。
報告書では、臨時の情報が発表されるケースを3つに分けて、それぞれの防災対応を示しています。
ケース1 「M8クラス」
まず、南海トラフのプレートの境目で、震源域の半分程度が先行してずれ動いて「マグニチュード8クラス」の地震が発生し、残りの震源域で巨大地震が懸念されるケースです。
最初の地震で大きな被害が及んでいない地域でも、次の地震に備えて津波からの避難が明らかに間に合わない地域のすべての住民のほか、間に合わない可能性がある地域の高齢者などはあらかじめ避難するとしています。
その期間は「1週間程度を基本」としています。
最初の地震で大きな被害が及んでいない地域でも、次の地震に備えて津波からの避難が明らかに間に合わない地域のすべての住民のほか、間に合わない可能性がある地域の高齢者などはあらかじめ避難するとしています。
その期間は「1週間程度を基本」としています。
ケース2 「M7クラス」
次に、震源域やその周辺でマグニチュード7クラスの地震が発生したケースです。
その後の巨大地震に備えるための避難までは求めず、避難場所の確認や家具の固定など日頃からの備えを再確認したうえで、必要に応じて自主的に避難するとしています。
その後の巨大地震に備えるための避難までは求めず、避難場所の確認や家具の固定など日頃からの備えを再確認したうえで、必要に応じて自主的に避難するとしています。
ケース3 「ゆっくりすべり」
そして、プレートの境目がゆっくりとずれ動く「ゆっくりすべり」が通常とは異なる場所などで観測されたケースです。
この場合は地震に対する日頃からの備えを確認するとしています。
この場合は地震に対する日頃からの備えを確認するとしています。
計画づくりのガイドライン 国が策定へ
作業部会は、年内に最終的な報告書を政府に提出する予定で、自治体や企業などは「臨時の情報」が出た場合の具体的な防災計画づくりを進めることになります。
ただ、避難先をどう確保するかなど課題も多く、国は、年明け以降、計画づくりの際に検討すべき項目や手順などを示したガイドラインを策定することにしています。
ただ、避難先をどう確保するかなど課題も多く、国は、年明け以降、計画づくりの際に検討すべき項目や手順などを示したガイドラインを策定することにしています。
報告書の柱は「あらかじめ避難」
今回の報告書の柱は、マグニチュード8クラスの地震が発生し、残りの震源域で巨大地震が懸念される場合、「住民はあらかじめ避難する」としたことです。
対象となる地域は「地震発生から30分以内に、津波で30センチ以上浸水する地域」で、このうち、住民全員が避難するのか、避難に時間がかかる高齢者などに限って避難するかは、津波避難施設の整備状況や避難経路など地域の実情に応じて検討するとしています。
このほか、地震の激しい揺れで土砂災害の危険性があるため、高齢者や障害者などが入居している施設が土砂災害警戒区域にある場合、利用者の安全の確保を検討することが望ましいとしています。
また、企業に対しては、不特定多数の人が利用する施設や危険物を取り扱う施設では火事を防ぐための点検を確実に実施すること、明らかに従業員などに危険が及ぶと考えられる場合、それを避ける対策を取る必要があるとしています。そのうえで、先に起きた地震の被災地を支援するためにも企業活動を著しく制限せず、地震に備えつつ通常の社会活動をできるだけ維持することが必要だとしています。
対象となる地域は「地震発生から30分以内に、津波で30センチ以上浸水する地域」で、このうち、住民全員が避難するのか、避難に時間がかかる高齢者などに限って避難するかは、津波避難施設の整備状況や避難経路など地域の実情に応じて検討するとしています。
このほか、地震の激しい揺れで土砂災害の危険性があるため、高齢者や障害者などが入居している施設が土砂災害警戒区域にある場合、利用者の安全の確保を検討することが望ましいとしています。
また、企業に対しては、不特定多数の人が利用する施設や危険物を取り扱う施設では火事を防ぐための点検を確実に実施すること、明らかに従業員などに危険が及ぶと考えられる場合、それを避ける対策を取る必要があるとしています。そのうえで、先に起きた地震の被災地を支援するためにも企業活動を著しく制限せず、地震に備えつつ通常の社会活動をできるだけ維持することが必要だとしています。
3つのケースと過去の地震
【M8クラス】
南海トラフの震源域の半分程度がずれ動くマグニチュード8クラスの地震が起きたあと、残りの震源域で巨大地震が発生した事例は過去にも確認されています。
昭和19年には、「昭和東南海地震」が発生し、その2年後の昭和21年には、西側の震源域で「昭和南海地震」が発生して甚大な被害が出ました。江戸時代の1854年にも、「安政東海地震」が発生した32時間後に、西側の震源域で「安政南海地震」が発生し、各地が激しい揺れや津波に襲われたとされています。
【M7クラス】
南海トラフの震源域や、その周辺で発生するマグニチュード7クラスの地震は、平成16年9月に紀伊半島の南東沖で発生した地震や、昭和43年に日向灘で起きた地震など、15年に1回程度の頻度で起きています。
その後、巨大地震に結びついたとする事例は確認されていませんが、平成23年に東日本大震災をもたらした東北沖の巨大地震の2日前には、同じ震源域でマグニチュード7.3の大地震が発生しています。
【ゆっくりすべり】
一方、プレートと呼ばれる岩盤の境目がゆっくりとずれ動く「ゆっくりすべり」については、現時点で大規模地震の発生可能性を定量的に評価する手法はないとしています。
南海トラフの震源域の半分程度がずれ動くマグニチュード8クラスの地震が起きたあと、残りの震源域で巨大地震が発生した事例は過去にも確認されています。
昭和19年には、「昭和東南海地震」が発生し、その2年後の昭和21年には、西側の震源域で「昭和南海地震」が発生して甚大な被害が出ました。江戸時代の1854年にも、「安政東海地震」が発生した32時間後に、西側の震源域で「安政南海地震」が発生し、各地が激しい揺れや津波に襲われたとされています。
【M7クラス】
南海トラフの震源域や、その周辺で発生するマグニチュード7クラスの地震は、平成16年9月に紀伊半島の南東沖で発生した地震や、昭和43年に日向灘で起きた地震など、15年に1回程度の頻度で起きています。
その後、巨大地震に結びついたとする事例は確認されていませんが、平成23年に東日本大震災をもたらした東北沖の巨大地震の2日前には、同じ震源域でマグニチュード7.3の大地震が発生しています。
【ゆっくりすべり】
一方、プレートと呼ばれる岩盤の境目がゆっくりとずれ動く「ゆっくりすべり」については、現時点で大規模地震の発生可能性を定量的に評価する手法はないとしています。
今後の課題とふだんの備え
巨大地震が懸念される場合あらかじめ避難するという方向性が示され、自治体などが具体的な防災計画をつくることになりますが、多くの人が一定期間生活できる避難先の確保や介護が必要なお年寄りの避難をどうするのかなど、具体策は見えていません。
また、企業や学校を休みにするのか、公共交通機関を動かすのかなどさまざまな分野で足並みをそろえる必要がありますが、検討はこれからです。
さらに、防災対応をとる期間について、報告書では「1週間程度を基本」としていますが、一方で、「地震発生の時期などは確実に予測できないため、防災対応を行う期間や内容を一律に決めることはできず、地域の危険度に応じて現実的な方向性を見いだすべき」としています。
南海トラフでマグニチュード8から9の巨大地震が今後30年以内に発生する確率は「70%から80%」と予測され、ランク分けでも「高い」を意味する「3」に位置づけられています。
「臨時情報」が発表されないまま突発的に巨大地震が起きる可能性も十分に考えられることから、建物の耐震化や津波避難対策などふだんからの地震対策を一層推し進めることが欠かせません。
また、企業や学校を休みにするのか、公共交通機関を動かすのかなどさまざまな分野で足並みをそろえる必要がありますが、検討はこれからです。
さらに、防災対応をとる期間について、報告書では「1週間程度を基本」としていますが、一方で、「地震発生の時期などは確実に予測できないため、防災対応を行う期間や内容を一律に決めることはできず、地域の危険度に応じて現実的な方向性を見いだすべき」としています。
南海トラフでマグニチュード8から9の巨大地震が今後30年以内に発生する確率は「70%から80%」と予測され、ランク分けでも「高い」を意味する「3」に位置づけられています。
「臨時情報」が発表されないまま突発的に巨大地震が起きる可能性も十分に考えられることから、建物の耐震化や津波避難対策などふだんからの地震対策を一層推し進めることが欠かせません。
主査「情報活用し減災を」
作業部会の主査で名古屋大学の福和伸夫教授は「臨時の情報は『地震の発生の可能性が高まっている』ということであり、確実に起きるわけではないが、いったん起きれば国が破綻しかねない被害が想定されている。空振りがあることも踏まえつつ情報を利用して被害を減らすことが社会に求められる」と述べました。
そのうえで、「地域で計画づくりを進める中で課題を行政と共有しよりよい対応策を見いだしてほしい」と述べました。
そのうえで、「地域で計画づくりを進める中で課題を行政と共有しよりよい対応策を見いだしてほしい」と述べました。
ソース:NHK ニュース