男女だんじょ格差かくさ 日本にっぽんは110位い 女性じょせいの国会こっかい議員ぎいんや経営けいえい者しゃが依然いぜん少すくない

スイスの国際こくさい機関きかんが、世界せかい各国かっこくの社会しゃかい進出しんしゅつにおける男女だんじょの格差かくさについて調査ちょうさした結果けっかを発表はっぴょうし、日本にっぽんは、経済けいざい分野ぶんやで格差かくさがやや改善かいぜんしたものの、女性じょせいの国会こっかい議員ぎいんや企業きぎょう経営けいえい者しゃが依然いぜんとして少すくないことなどから、149か国かこく中ちゅう110位いにとどまりました。

世界せかいの政治せいじや経済けいざい界かいのリーダーが集あつまるダボス会議かいぎを主催しゅさいするスイスの国際こくさい機関きかん「世界せかい経済けいざいフォーラム」は、政治せいじ、経済けいざい、教育きょういく、それに健康けんこうの４よっつの分野ぶんやで、世界せかい各国かっこくの男女だんじょの格差かくさについて、毎年まいとし、調査ちょうさをしています。

18日にち、ことしの報告ほうこく書しょが発表はっぴょうされ、対象たいしょうとなった149か国かこくのうち、男女だんじょの格差かくさが最もっとも少すくない国くには10年ねん連続れんぞくでアイスランドで、２に位いがノルウェ－、３さん位いがスウェーデン、４よん位いがフィンランドと、北欧ほくおう諸国しょこくが上位じょういを占しめました。

一方いっぽう、日本にっぽんは、教育きょういくや健康けんこうの分野ぶんやで比較的ひかくてき評価ひょうかが高たかく、経済けいざい分野ぶんやで賃金ちんぎん格差かくさなどが多少たしょう改善かいぜんされ、順位じゅんいは去年きょねんより４よっつ上あがり149か国かこく中ちゅう、110位いでした。

しかし、依然いぜんとして、国会こっかい議員ぎいんや企業きぎょう経営けいえい者しゃをはじめとする意思いし決定けっていが行おこなわれる層そうの女性じょせいの割合わりあいが低ひくいことなどが指摘してきされ、ことしもＧ７じ-せぶん＝先進せんしん７ななか国かこくの中なかで最もっとも低ひくい順位じゅんいとなりました。

主要しゅような先進せんしん国こくでは、フランスが12位い、ドイツが14位い、アメリカが51位いとなっているほか、アジア各国かっこくは、フィリピンが８はち位い、中国ちゅうごくが103位い、韓国かんこくが115位いでした。

世界せかい経済けいざいフォーラムは、半数はんすう以上いじょうの国くにでは格差かくさが前年ぜんねんよりも改善かいぜんしているものの、政治せいじや経済けいざいの分野ぶんやにおける格差かくさは依然いぜんとして大おおきく、現在げんざいの改善かいぜんの速度そくどでは、男女だんじょ間かんの格差かくさをすべて解消かいしょうするには108年ねんかかるとして、さらなる取り組とりくみを呼よびかけています。

ＡえいＩあい開発かいはつ者しゃの多様たよう性せい確保かくほを

ことしの報告ほうこく書しょで世界せかい経済けいざいフォーラムが課題かだいとして挙あげたのは、ＡえいＩあい＝人工じんこう知能ちのうの分野ぶんやで働はたらく人材じんざいの男女だんじょ格差かくさです。

ビジネス向むけの交流こうりゅうサイトを運営うんえいする「リンクトイン」と共同きょうどうで調しらべたところ、ＡＩを専門せんもんとする人材じんざいの割合わりあいは、男性だんせいが78％なのに対にたいして女性じょせいは22％で、男女だんじょの差さが顕著けんちょだったということです。

また、ＡえいＩあい分野ぶんやで先進せんしん的てきな上位じょうい20か国かこくのうち、女性じょせいの人材じんざいの割合わりあいが最もっとも高たかかったのは、シンガポール、イタリア、それに南アフリカみなみあふりかで28％だった一方いっぽう、政府せいふが中心ちゅうしんとなって産業さんぎょう分野ぶんやへのＡえいＩあいの活用かつようを進すすめるドイツでは16％だったということです。

毎年まいとし、この分野ぶんやで採用さいようされる女性じょせいは増ふえているものの、業界ぎょうかい全体ぜんたいに占しめる女性じょせいの割合わりあいはこの４よん年間ねんかんほぼ変かわらず、少すくない状態じょうたいで推移すいいしているということです。

報告ほうこく書しょでは「ＡＩが生み出うみだすビジネスチャンスを広ひろげるためには、性別せいべつも含ふくめた開発かいはつ者しゃの多様たよう性せいを確保かくほし、男女だんじょ格差かくさを助長じょちょうしないようにすることが不可欠ふかけつだ。ＡえいＩあいの技術ぎじゅつ革新かくしんが進すすむ今いまこそ、現状げんじょうを改善かいぜんすることが極きわめて重要じゅうようだ」として、早急そうきゅうな対応たいおうを呼よびかけています。

「女性じょせいの人権じんけんについての鈍感どんかんさが社会しゃかいを支配しはい」

世界せかい経済けいざいフォーラムの男女だんじょ格差かくさの報告ほうこく書しょで、日本にっぽんが110位いだったことについて、ジェンダー問題もんだいに詳くわしい京都きょうと大学だいがくの伊藤いとう公雄きみお名誉めいよ教授きょうじゅは、「ジェンダー平等びょうどうが進すすんでいないことは国際こくさい的てきにみて明あきらかだ。男性だんせいの長時間ちょうじかん労働ろうどうと、女性じょせいが家事かじ・育児いくじをして子育こそだてが終おわったらパートという70年代ねんだい、80年代ねんだい型がたのジェンダー構造こうぞうが安定あんてい成長せいちょうを維持いじさせ、成功せいこう体験たいけんを生うんでしまった。大おおきく産業さんぎょう構造こうぞうが転換てんかんしているにもかかわらず、男女だんじょで働はたらきながら社会しゃかいを支ささえる仕組しくみに転換てんかんできなかった」と述のべ、社会しゃかい的てきな構造こうぞうに問題もんだいがあると指摘してきしました。

そのうえで、伊藤いとう教授きょうじゅは、「男子だんしはげたを履はかされて職域しょくいきを拡大かくだいしていくが、女性じょせいたちは、固定こてい的てきな職業しょくぎょうにつけられ、働はたらく意欲いよくを失うしなっていく。能力のうりょくのある女性じょせいを日本にっぽんの社会しゃかいは捨すてているということに経営けいえい者しゃ、社会しゃかい全体ぜんたいが気きがついたほうがいいと思おもう。女性じょせいと男性だんせいが一緒いっしょに働はたらく仕組しくみを作つくっていかないと、これからの日本にっぽんの社会しゃかい、どんどん活力かつりょくが落おちていくと思おもう」と警鐘けいしょうを鳴ならしました。

そして、「女性じょせい活躍かつやくといっているが、女性じょせいを安やすい労働ろうどう力りょくとして使つかおうという発想はっそうでしかみていない。ＬＧＢＴの問題もんだいに関にかんしてこれだけ敏感びんかんな社会しゃかいが、なぜ、女性じょせいが世界せかいで110位いという状況じょうきょうに全然ぜんぜん反応はんのうしないのか、世界せかい最大さいだいの人権じんけん問題もんだいである女性じょせいの人権じんけんについての鈍感どんかんさが日本にっぽん社会しゃかい全体ぜんたいを支配しはいしているという印象いんしょうを持もっている」として、多様たよう性せいがもつ大切たいせつさを訴うったえていました。

ソース：NHK ニュース