「徴用ちょうよう」めぐる裁判さいばん 収束しゅうそく見通みとおせず関係かんけい改善かいぜんは当面とうめん困難こんなんの見方みかた

太平洋たいへいよう戦争せんそう中ちゅうの「徴用ちょうよう」をめぐる裁判さいばんで、資産しさんを差し押さしおさえる韓国かんこくの裁判所さいばんしょの決定けっていが日本にっぽん企業きぎょうに通知つうちされたことを受うけ、日本にっぽん政府せいふは、請求せいきゅう権けんの問題もんだいは解決かいけつ済ずみだとする立場たちばから日にち韓かん請求せいきゅう権けん協定きょうていに基もとづく協議きょうぎを韓国かんこく政府せいふに要請ようせいしました。ただ事態じたいの収束しゅうそくは見通みとおせておらず、日本にっぽん政府せいふ内ないからは関係かんけいの改善かいぜんは当面とうめん、困難こんなんだという見方みかたが出でています。

太平洋たいへいよう戦争せんそう中ちゅうの「徴用ちょうよう」をめぐる裁判さいばんで、原告げんこく側がわが求もとめていた資産しさんの差し押さしおさえを認みとめる韓国かんこくの裁判所さいばんしょの決定けっていが被告ひこく側がわの新日鉄しんにってつ住金すみきんに通知つうちされ、対象たいしょうとなる株式かぶしきの売却ばいきゃくなどができなくなりました。

これを受うけ、外務省がいむしょうの秋葉あきば事務じむ次官じかんは韓国かんこくのイ・スフン駐ちゅう日にち大使たいしを呼よび、日にち韓かん請求せいきゅう権けん協定きょうていで、請求せいきゅう権けんをめぐる問題もんだいは完全かんぜんかつ最終さいしゅう的てきに解決かいけつ済ずみだとする立場たちばから、協定きょうていに基もとづく協議きょうぎを要請ようせいしました。

協定きょうていでは、その解釈かいしゃくと実施じっしに関にかんする紛争ふんそうが存在そんざいする場合ばあい、外交がいこうルートを通をつうじて解決かいけつすると定さだめていますが、協議きょうぎは過去かこに行おこなわれたことがないことに加くわえ、日本にっぽん側がわは以前いぜん、韓国かんこく側がわの要請ようせいに応おうじなかった経緯けいいもあり、韓国かんこく側がわが協議きょうぎに応おうじるか不透明ふとうめいで、事態じたいの収束しゅうそくは見通みとおせていません。

一方いっぽう、訴訟そしょうの対象たいしょうとなっている日本にっぽん企業きぎょうはほかにもあることに加くわえ、同様どうようの訴訟そしょうがさらに起おこされることも懸念けねんされています。

このため、日本にっぽん政府せいふは、韓国かんこく政府せいふに対にたいし、影響えいきょうが拡大かくだいしないよう粘り強ねばりづよく働はたらきかけるととともに、国際こくさい司法しほう裁判所さいばんしょへの提訴ていそに加くわえ、国際こくさい法ほうに反はんしない範囲はんいで具体ぐたい的てきな措置そちを講こうじることを検討けんとうしていて、政府せいふ関係かんけい者しゃからは関係かんけいの改善かいぜんは当面とうめん、困難こんなんだという見方みかたが出でています。

ムン大統領だいとうりょうの発言はつげんに注目ちゅうもく

韓国かんこく政府せいふは、太平洋たいへいよう戦争せんそう中ちゅうの「徴用ちょうよう」をめぐる裁判さいばんで、日本にっぽん企業きぎょうの資産しさんの差し押さしおさえを認みとめる韓国かんこくの裁判所さいばんしょの決定けっていについて、日本にっぽん政府せいふから日にち韓かん請求せいきゅう権けん協定きょうていに基もとづく協議きょうぎを要請ようせいされたことを受うけて、協議きょうぎに応おうじるかどうか慎重しんちょうに検討けんとうしているとみられます。ムン・ジェイン（文ぶん在ざい寅とら）大統領だいとうりょうは10日にち、年頭ねんとうの記者きしゃ会見かいけんに臨のぞむ予定よていで、発言はつげんが注目ちゅうもくされます。

太平洋たいへいよう戦争せんそう中ちゅうの「徴用ちょうよう」をめぐる裁判さいばんで、新日鉄しんにってつ住金すみきんの韓国かんこくにある資産しさんの差し押さしおさえを認みとめる韓国かんこくの裁判所さいばんしょの決定けっていが企業きぎょう側がわに通知つうちされたことから、日本にっぽん政府せいふは９きゅう日にち、1965年ねんの日にち韓かん国交こっこう正常せいじょう化かに伴ともなって締結ていけつした請求せいきゅう権けん協定きょうていに基もとづく協議きょうぎを初はじめて韓国かんこく政府せいふに要請ようせいしました。

これを受うけて、韓国かんこく外務省がいむしょうが９きゅう日にち夜よる、発表はっぴょうしたコメントでは、「要請ようせいについては綿密めんみつに検討けんとうする。被害ひがい者しゃの精神せいしん的てきな苦痛くつうと傷きずを癒やさなければならないという点てんや、未来みらい志向しこう的てきな日にち韓かん関係かんけいなどを総合そうごう的てきに勘案かんあんし、対応たいおう策さくをまとめていく」としていて、韓国かんこく政府せいふは協議きょうぎに応おうじるかどうか慎重しんちょうに検討けんとうしているとみられます。

韓国かんこく政府せいふは、「司法しほうの判断はんだんを尊重そんちょうする」としたうえで、知ち日び派はのイ・ナギョン（李り洛らく淵ふち）首相しゅしょうのもと対応たいおう策さくの取とりまとめを続つづけていますが、これまで韓国かんこく政府せいふも「徴用ちょうよう」をめぐる問題もんだいは日にち韓かん請求せいきゅう権けん協定きょうていによって解決かいけつ済ずみだとしてきただけに難むずかしい判断はんだんを迫せまられており、10日にち午前ごぜん10時じから年頭ねんとうの記者きしゃ会見かいけんに臨のぞむ予定よていのムン・ジェイン大統領だいとうりょうの発言はつげんが注目ちゅうもくされます。

河野こうの外相がいしょうは

政府せいふが日にち韓かん請求せいきゅう権けん協定きょうていに基もとづく協議きょうぎを韓国かんこく政府せいふに要請ようせいしたことについて河野こうの外務がいむ大臣だいじんは両国りょうこくの間まに協定きょうていに関にかんする紛争ふんそうがあるのは明あきらかだとして、「韓国かんこく政府せいふは協議きょうぎに応おうじると考かんがえている」と述のべました。

河野こうの外務がいむ大臣だいじんは訪問ほうもん先さきのネパールで日本にっぽん時間じかんの10日にち未明みめい、記者きしゃ団だんの取材しゅざいに応おうじました。

この中なかで、河野こうの大臣だいじんは、太平洋たいへいよう戦争せんそう中ちゅうの「徴用ちょうよう」をめぐる裁判さいばんに関連かんれんして、政府せいふが日にち韓かん請求せいきゅう権けん協定きょうていに基もとづく協議きょうぎを韓国かんこく政府せいふに要請ようせいしたことについて「差し押さしおさえに関にかんする通知つうちが届とどいたので、粛々しゅくしゅくと協議きょうぎの申し入もうしいれを行おこなった」と述のべました。

そのうえで、河野こうの大臣だいじんは、「請求せいきゅう権けん協定きょうていに関にかんする紛争ふんそうがあるのが明確めいかくになったため、協議きょうぎの申し入もうしいれをした。今回こんかいは明あきらかに紛争ふんそうがあり、韓国かんこく政府せいふは協議きょうぎに応おうじると考かんがえている」と述のべました。

そして、「韓国かんこく政府せいふは１いち日にちも早はやく対応たいおう策さくを実施じっしに移うつし、日本にっぽん企業きぎょうに不当ふとうな不ふ利益りえきが生しょうじないようにしっかりと対応たいおうしてほしい」と述のべ、韓国かんこく政府せいふが適切てきせつな対応たいおうをとるよう重かさねて求もとめました。

ソース：NHK ニュース