紫金山・アトラスすい星が接近 尾を引く様子 国内各地で観測
2024-10-13 21:42:13

「紫金山・アトラスすい星」は日本時間の先月28日に太陽に最も近づき、先月末から今月のはじめにかけて南半球の明け方の空で長い尾を引く様子が観測されました。
13日、地球からおよそ7100万キロの位置まで最接近したということで、国立天文台によりますと、20日ごろにかけては日本でも肉眼で観測できる可能性があります。
日本では夕方の時間帯、日の入り後の西の低い空に姿を見せ、次第に西の地平線へと沈んでいきます。
高気圧に覆われて晴れたきのうは、すい星特有の尾を引く様子が国内各地で観測されました。
14日と15日は1.5等星から3等星ほどの明るさになると見られていますが、西の空の低い位置にあるため地上の明かりの影響などを受けやすいということです。
16日から20日ごろにかけては、2等星から4等星程度に暗くなる一方で、西の空の比較的高い位置に見えるようになるため、条件がよければ、肉眼でも観測できるということです。
国立天文台の渡部潤一上席教授は「尾を伸ばして見えるすい星はなかなか出現していないので、ぜひ夕方の西の空に注目してほしい」と話しています。
岡山 井原市の天文台で観察会
「紫金山・アトラスすい星」が地球に最接近した13日、岡山県井原市の天文台ですい星の観察会が開かれました。
観察会は井原市にある美星天文台で行われ、天文ファンや家族連れなど100人余りが集まりました。
「紫金山・アトラスすい星」は13日、地球に最接近し、日没直後が最も見えやすいとあって、集まった人たちは、双眼鏡などを通して空を見上げながらすい星が現れるのを待ちました。
そして、日没から30分ほどたった午後6時ごろ、西の空の低い所に、すい星とともに、特有の尾がうっすらと伸びた様子が肉眼でも見えるようになると、「見えた」などと歓声が上がっていました。
すい星は30分ほど観察でき、その後雲に隠れて見えなくなりました。
岡山市の30代の男性は「二度と見られないものを見ることができて貴重な体験をしました」と話していました。
すい星は、条件がよければ今月20日ごろにかけて、日本でも日没後の西の空で肉眼で観察できる可能性があるということです。
天文台によりますとこのあと、すい星は、太陽系の外に向かい、その後、戻ってこないとみられます。
北海道でも撮影
13日午後6時ごろに北海道幕別町で撮影された写真には、西の空に「尾」が伸びた状態のすい星が写っています。
北海道陸別町にある銀河の森天文台によりますと、写っているのは中国の天文台などで発見され地球に接近している「紫金山・アトラスすい星」だということです。
撮影した右谷宗彦さんは、「人生で初めてのすい星の撮影だったので感動はもちろん宇宙のパワーを感じることができました」と話しています。
沖縄 石垣島では
「紫金山・アトラスすい星」は、沖縄県石垣島でも撮影されました。
撮影したのは、国立天文台石垣島天文台の花山秀和室長です。
花山室長は、12日午後7時すぎ、天文台の近くにある沖縄県営公園の展望台から、西の空に現れた「紫金山・アトラスすい星」を高感度のカメラで撮影しました。
画像には、放出されたちりやガスが太陽からの光などによって尾を引いているように見えるすい星が写っています。
花山室長は「『いよいよすい星が見えてきた』という印象を持っている。肉眼で見えるくらいの明るいすい星は少ないので、双眼鏡などを使って観測してもらいたい」と話していました。
国立天文台石垣島天文台は、ホームページで撮影された画像や動画を公開しているほか、15日は「紫金山・アトラスすい星」の観測会のライブ配信を行う予定だということです。
天文愛好者「一瞬一瞬が見逃せない」
「紫金山・アトラスすい星」は、先月末から今月のはじめにかけて、南半球の明け方の空で観測されました。
この間、天文愛好者の市川雄一さんがオーストラリアで撮影した写真には、空が朝焼けに染まる中、すい星が長い尾を引く様子が写し出されています。
市川さんは「予想以上に明るくなっていて、すい星の尾を見たときは感動しました。1日たつごとに大きく姿が変わっていくので一瞬一瞬が見逃せません」と振り返りました。
さらに、日本に帰国した市川さんは13日、鹿児島県日置市でもすい星の撮影に成功しました。
午後7時前に撮影した写真には夕焼けに染まる西の空に尾を引くすい星の姿がとらえられています。
市川さんは「日没のおよそ40分後からすい星がはっきりと見え始め、1時間ほど見えていました。前の日に比べて、肉眼でもしっかりと確認でき、スマートフォンでもきれいに撮影できました」と話していました。